転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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3157話

 刀鍛冶の里を襲ってきた鬼との戦いは無事に終わった、

 当然ながら、鬼を全て倒し、あるいは撃退するといったような結果になったものの、刀鍛冶の里側に被害がない訳でない。

 結構な数の刀鍛冶が鬼によって殺されていた。

 ……玉壺に狙われていた小屋の中にいた面々が無事に生き残ったのは、ある意味で奇跡に近い。

 本人達にその自覚があるのかどうかは分からないが。

 ともあれ、戦いが終わってまずやった事は、一体どれだけの被害が出たのかを確認する事だった。

 刀鍛冶達は全員が顔見知り――ひょっとこのお面を被っているが――なので、誰かいないのかといったような事は比較的簡単に判別出来る。

 

「10人ちょっとか。……これを多いと思うか少ないと思うのかは、人それぞれといったところだろうな」

「少ないと、そう思いたいところです」

 

 刀鍛冶達の長である鉄珍が、俺の隣に立つ狛治を複雑な視線で見ながら、そう言う。

 狛治が元鬼……それどころか、刀鍛冶の里を襲ってきた鬼だったというのは、既に知られている。

 それだけに、今この状況で狛治がここにいるのは思うところがあるのだろう。

 それでも不幸中の幸いだったのは、狛治はこの刀鍛冶の里で誰も殺していないという事だろう。

 この刀鍛冶の里に来て、真っ直ぐ俺のいる場所にやって来たのだから。

 ……鬼舞辻無惨から、半ば見捨てられたかのような状態だったのだろう。

 つまり、俺に対する捨て駒として扱われたと考えた方がいい。

 鬼舞辻無惨は、下弦の鬼を使えないからと判断して汽車にいた下弦の壱以外は全員殺すような性格をしている。

 そうである以上、上弦の参であっても何度も俺に負けたのが許容出来なかったのだろう。

 その結果として、鬼舞辻無惨は狛治を切り捨てる決断をした。

 ……下弦の鬼の多くを殺すだけではなく、上弦の鬼も殺すようにする辺り、さすがに鬼柱なだけはある。

 

「そうだな。ただ……鬼が襲ってきたという事は、もうこの場所は鬼に知られたと思ってもいい。そうなると、他の場所に引っ越す必要があるんじゃないか?」

 

 俺が聞いた話によると、刀鍛冶の里というのはここにあるだけではなく、他にも幾つかあると聞いている。

 一定の期間で別の里に移動するといったような真似をしているのを考えると、今回の一件では別の里に引っ越すといった真似をしてもおかしくはない。

 それでもこの里が使えなくなったというのは、刀鍛冶にとっては痛いだろう。

 使える場所は他にも複数存在するのは間違いないが、それでも1つの里が使えなくなったのは間違いないのだから。

 

「……それは否定出来ませんね」

 

 鉄珍が俺の言葉に、残念そうな様子で呟く。

 ちなみに、この場には鋼鐵塚はいない。

 未だにあの小屋で人形の中から出て来た日輪刀を研ぎ続けていた。

 この辺、刀鍛冶の中でも突出して職人らしい存在ではあるよな。

 

「ともあれ、もう少しすれば鬼殺隊から隠が派遣されてくるので、それによって引っ越しの準備をすることになりそうです」

 

 鉄穴森という男が、そう言ってくる。

 まぁ、刀鍛冶の全員が引っ越すのだ。

 人数は多ければ多い程にいいし、それで隠を派遣されているのだろう。

 

「そうか。なら、色々と大変だとは思うが、頑張ってくれ。……出来れば俺も協力したいところなんだがな」

 

 俺の空間倉庫を使えば、引っ越しの際にはかなり楽になる。

 あるいは量産型Wやコバッタを使えば、更に引っ越しは楽になるだろう。

 だがそのような真似をした場合、当然だが次の刀鍛冶の里がどこにあるのかを俺に知られる事になる。

 ……いやまぁ、量産型Wやコバッタ、バッタで護衛をする事になれば、当然ながら刀鍛冶の里がどこにあるのか、俺に知られる事になるんだが。

 それにここに来る際はドロで来たのだから、耀哉は俺にこの場所を教える気だったのは間違いない。

 

「はい、ありがとうございます。それで……アクセルさん達はこれからどうするのですか?」

 

 鉄穴森の問いに、俺は狛治を見る。

 狛治の件については、それこそ一刻も早く耀哉に知らせる必要があるだろう。

 それに狛治が持っている鬼の情報については、それを知る事が出来ればこれからの鬼との戦いについても有利になるだろうし。

 

「俺と狛治は一足早く鬼殺隊の隠れ里に戻る。……転移魔法という手段を使っての移動になるが、一緒に来る奴がいれば連れていってもいいぞ」

 

 そう言うが、名乗り出る者はいない。

 炭治郎は以前影のゲートを使った経験があるから、ここで出て来てもいいんだろうが……今は、まずやるべきことがあるのだろう。

 鋼鐵塚に研いで貰っている日輪刀の件もあるし。

 蜜璃と無一郎の柱の2人がまだここに残るといった選択をしたのは、少し意外だったが。

 ともあれ、誰も来るつもりがない以上、俺はいつまでも待っているのも何だし……それに、狛治をいつまでも他の者達の視線に晒させておくのもどうかと思う。

 刀鍛冶の中で死んだのは、玉壺と雑魚鬼が理由だ。

 半天狗は襲撃の最初から炭治郎達と戦っていたので、そのおかげで一般人達を殺すといったような事はなかった。

 ……代わりに炭治郎達が結構な激戦を経験したが。

 そう言えば、半天狗なんだが……その戦いの詳細について聞いて、俺はかなりがっかりした。

 何でも半天狗の分身した中には、マジックアイテムに似たような物を使う個体がいたらしい。

 巨大な扇で風を起こすといった物や、雷を流す錫杖といったように。

 どちらもそれなりに興味深いので、もし最初からそれを知っていれば玉壺よりもこっちを優先していたのに。

 勿論、その扇や錫杖も半天狗の分身によって生み出された物である以上、半天狗が死んでしまえばそのまま消えてしまった可能性も否定は出来ないが。

 玉壺や半天狗の身体の一部も入手出来なかったのは痛いよな。

 もし半天狗のクローンを生み出す事が出来れば、そのマジックアイテムを大量に入手出来ていた可能性もあったのだが。

 童磨は……そうだな。逃がしたが、次に戦う事があったら出来るだけ早くその身体の一部を確保したいものだ。

 それと上弦の壱についての情報も狛治から聞いておく必要があるな。

 上弦の弐の童磨と狛治の戦いによって、童磨がどういう戦闘をするのかというのは確認することが出来た。

 そんな童磨と戦う時にどう対処すればいいのかは、もう理解出来ている。

 というか、俺と童磨の相性というのは、俺にとっては最高であって童磨にとっては最悪だ。

 あるいは同じ氷使いのエヴァをぶつけても普通に倒せそうなんだよな。

 勿論、童磨が狛治との戦いにおいて奥の手を出したりといったような真似はしていないだろう。

 童磨の奥の手がどういうものなのか……それはまぁ、狛治に話を聞けば分かりそうだが。

 というか、狛治との戦いで童磨が本気を出さなくても情報が俺に漏れるというのは向こうも予想出来てると思うんだが。

 そう考えると、狛治との戦いで童磨が本気を出さなかった理由は何だ?

 狛治も俺の召喚獣になって身体が色々と変化した事で、まだ完全にそれを使いこなせるといった真似が出来ていなかったのを考えると、童磨の行動は寧ろ助かったのだが。

 そんな風に考えながら、俺は影のゲートを使うのだった。

 

 

 

 

 

「これは……また……アクセルの事だから、何かをやるとは思っていたのだが、これは予想以上だね」

 

 俺の説明を聞いた耀哉は、驚きの視線を狛治に向けている。

 ちなみに現在部屋の中には、俺と狛治、耀哉以外にもしのぶと、偶然産屋敷家に報告をしに戻ってきていた行冥の姿もある。

 それ以外にも、あまねや輝利哉もいた。

 ようは、俺の召喚獣になったとはいえ、元上弦の参である狛治と耀哉を護衛もなしに会わせる訳にはいかなかったということなのだろう。

 俺は狛治の事を知ってるし、召喚の契約も結んでいるので、鬼の血から解放された狛治が耀哉に危害を加えるとは思わない。

 というか、下手に狛治に危害を加えられようとした場合も、耀哉の義眼はレーザーを発射する事が出来るし、相手の動きを先読みするといった真似も出来る。

 それに耀哉のニュータイプじゃないかと疑わしい勘の鋭さが組み合わせれば、上弦の鬼であっても耀哉に対しては容易に攻撃を命中させるような真似は出来ない。

 

「今まで何度も戦っていて、狛治の性格とかは分かっていたしな。取りあえず狛治はもう人を食いたいとか、そんな風に思っていたりはしないから、その方面の心配はいらない」

「アクセルの言葉だし、信じるよ。……それで、狛治だったね。君がアクセルの召喚獣になったという事は、私達に協力してくれるのかな?」

「アクセルが協力するようにと言うのなら」

 

 狛治のその言葉に、話を聞いていた者達は少しだけ険悪な表情を浮かべる。

 狛治の言葉は、俺が言うのなら協力はするが、俺が言わないのなら自分から進んで協力はしないと、そう言ってるに等しいのだから当然だろう。

 それでもしのぶや行冥が即座に襲い掛かったりしなかったのは、俺が狛治を押さえているからという事になる。

 

「なら、鬼舞辻無惨については話してくれ。……いや、その前に幾つか俺が狛治から聞いた情報を話すか。見ての通り、狛治は口下手だ。そうである以上、俺の方から話した方が分かりやすいだろうし。それで構わないか?」

 

 そう告げると、耀哉を含めて皆が頷く。

 それを確認してから、口を開く

 

「まず第1に……十二鬼月で現在残っているのは、上弦の壱と弐の2匹だけだ」

「何? それはどういう事だい? 私の情報では、まだ下弦に4人生き残りがいたと思うんだけど」

 

 不思議そうな耀哉。

 その気持ちは俺も分かる。

 普通に考えれば、そんな疑問を抱くの当然なのだから。

 

「何でも俺が最初にこの世界に来た時に下弦の鬼を倒したところ、それが原因で下弦の壱……汽車で遭遇した以外の下弦の鬼は全て鬼舞辻無惨に殺されたらしい」

「……は?」

 

 間の抜けた声を上げる耀哉。

 うわ、凄いな。沈着冷静な耀哉にここまで間の抜けた声を上げさせるってのは、ある意味で鬼舞辻無惨の実力が最大限に発揮されたとか、そんな感じじゃないか?

 まぁ、実際にそんな風に言えば耀哉は困った表情を浮かべそうだが。

 ちなみに耀哉だけではなく、他の面々も揃って理解出来ないといった表情を浮かべていた。

 

「そう言いたい気持ちは分かる。俺も最初に話を聞いた時はそんな風に思った。鬼舞辻無惨は俺が思っていたよりも、かなり大胆というか……」

「考えなしでしょう?」

「……そうだな。まぁ、しのぶの言う通りだと思う」

 

 しのぶの鋭い突っ込みに、俺も納得する。

 とはいえ、しのぶにしてみれば姉の仇も死んだ可能性があるかもしれないので、いつも以上に攻撃的になっているような気がするな。

 それでいて、口元に笑みを浮かべているのは……ちょっとした迫力があるのは間違いない。

 

「ちなみに、本当にちなみにだが、俺が狛治からその話を聞いて思ったのは、鬼舞辻無惨を鬼柱と呼んでもいいのでは? というものだったんだが……どう思う?」

「ぷっ!」

 

 鬼柱という単語を聞いた耀哉の口から、そんな声が吹き出される。

 他の面々は、不機嫌な顔をしている者もいるが……真っ先に耀哉がこんな反応を示してしまった為か、怒るに怒れないといったような感じだ。

 まぁ、鬼舞辻無惨を殺す為の組織である鬼殺隊の幹部の称号の柱を、よりもよって鬼舞辻無惨に与えるというんだから、そんな反応になってもおかしくはない。

 

「複雑な気分になるかもしれないが、鬼舞辻無惨を挑発するにはそう悪くはないと思うぞ。下弦の鬼を纏めて殺すような奴だ。感情の制御が苦手なのは間違いないから、鬼柱の称号を与えるといったような事をすれば、間違いなく頭に血が昇る筈だ」

「かもしれないね。しかし、どうやって鬼舞辻無惨に鬼柱襲名というのを知らせるんだい?」

「別にそう難しい話じゃない。新聞か何かに載せるとか、あるいはチラシを作って配るとか……何なら、どこかの建物、あの貿易商の建物にでも大きく書いてやればいいんじゃないか?」

 

 青い彼岸花を探している貿易商に、鬼舞辻無惨が関係しているのは、もう間違いない。

 そうである以上、鬼舞辻無惨に連絡を取るにはあの建物に直接落書きをする方がいいと思ったのだが……

 

「駄目だね。今、私達があの貿易商について気が付いているとは、向こうは思っていない。そんな状況でそのような真似をすれば、こちらが気が付いているという情報を与えるだけだろう? そうなると、青い彼岸花の偽物で誘き寄せるという作戦そのものが中止になってしまう」

 

 そう言われ、なるほどと納得する。

 貿易商に対して現在行われている青い彼岸花を餌にした件は、鬼舞辻無惨を誘き寄せるという意味では、かなりの労力を使っている筈だった。

 その辺の事情を考えれば、耀哉のその言葉には強く納得出来る一面がある。

 

「そうだな。そっちの件はともかくとして……話を戻すか。狛治、鬼について知ってる内容を話してくれ」

 

 こうして、俺達は狛治から鬼についての情報を聞くのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1815
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1731

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