「ばいばい、アクセルにーちゃん!」
そう言いながら、子供達が走っていく。
その手には、俺が捕まえた川魚……イワナやヤマメが、川の近くにあった木の枝でエラから口を貫く状態で持たれていた。
恐らくあの魚は今日の夕飯か何かになるのだろう。
ああいう魚は塩焼きにして食べると美味いんだよな。
今日の夕食でああいう川魚の塩焼きが出るのを期待しながら、温泉のある場所に向かう。
その途中で色々田舎ならではの光景を楽しんでいたりしたのだが……温泉が近付いたところで、視線の先に見覚えのある2人を見つける。
蜜璃と炭治郎。
無一郎ならともかく、何で蜜璃がいるんだ? と思ったが、そう言えばこの刀鍛冶の里は以前蜜璃がいた村からそう遠くない場所にあるし、日輪刀のメンテナンスか、あるいは温泉に入りにきてもおかしくはない。
あ、でも炭治郎は背中に禰豆子の入った箱を背負ってるので、そういう意味では2人ではないのか。
……それでも、今の状況を考えれば2人と表現した方がいいのかもしれないが。
そんな風に考えながら2人のいる方に向かうと、やがて蜜璃と炭治郎も俺の存在に気が付く。
気が付くんだが……蜜璃の浴衣は胸元が思い切りはだけられており、その豊かな双丘が今にも零れ落ちそうな様子だ。
隊服があんなデザインなんだから、そう考えれば蜜璃にとっては浴衣も同じような感じの方が動きやすいんだろう。
走れば色々な意味で危険だが。
善逸が俺や炭治郎と別行動でよかったと、つくづく思う。
もしここに善逸がいれば、一体どうなっていたことらやら。
「アクセルさんも温泉ですか?」
その言葉から、炭治郎もまた温泉に入りに来たのが明らかだった。
「ああ。炭治郎もか? ……蜜璃は、温泉上がりだな」
「あ、はい。そうなんです。……湯上がりのアクセルさん……きゃっ!」
一体何を想像してるのかは予想出来るが、取りあえずそれには気が付かないという事にしておこう。
それに湯上がりという事なら、それこそ蜜璃の方が湯上がりでかなり色っぽい。
うん、本当にここに善逸がいなくてよかったな。
「そうか、ここの温泉は気持ちいいらしいから、結構楽しみなんだよな」
「そうらしいですね。あ、でもアクセルさん。何でも甘露寺さんを無視した人がいるみたいなので、注意した方がいいかもしれません」
「蜜璃を?」
炭治郎のその言葉に蜜璃に視線を向けると、その蜜璃は手を振りながら頷く。
「そうなんですよ。挨拶をしたのに無視されちゃったんです」
ショックだといった様子を見せる蜜璃。
まぁ、蜜璃は柱の中でもトップクラスに性格がいい。
いい性格をしている者なら柱にも何人もいるが、性格のいい者となると、蜜璃の名前が最初に出て来るだろう。
にしても……蜜璃を無視か。
この刀鍛冶の里に来ている以上、当然ながら鬼殺隊の関係者の筈だ。
そうである以上、蜜璃が柱の1人だというのは当然のように知ってる筈であり……そんな蜜璃を無視するってのは、妙だな。
「柱の蜜璃を無視するってのは、また随分と豪胆な真似をする奴だな。普通に考えれば柱を無視したりはしないだろうし、何よりも蜜璃のようないい女を無視するとか有り得ないと思うんだが」
「……え? いい女ですか? 私が? ……きゃあああああっ! し、失礼しますね!」
いい女と呼ばれた事に照れたのか、蜜璃は照れた様子でその場から走り去る。
その速度は、常中を使っているからというのもあるのかもしれないが、かなりの速度だった。
にしても、いい女と言われただけで、あそこまで照れるか?
蜜璃は顔立ちは美人……というよりは可愛いといった方向性だが整っているし、性格も悪くない。身体付きも中乳が見えてる状態からでも分かるが、非常に女らしい。
欠点らしい欠点が……いや、誰から聞いたのかはちょっと忘れたが、かなり大食いらしいという話は聞いてるが、それだけだ。
ぶっちゃけ、大食いというだけなら俺の方がよっぽど大食いだろう。
俺の場合は、身体の中に入った料理は即座に分解されて魔力になるので、そういう意味では大食いというのとは正確には違うのかもしれないが。
ともかく、俺から見れば蜜璃は欠点らいし欠点はもっていない。
同じ女の柱であるしのぶの場合は、性格が何気にきつかったり、何よりも姉の仇を殺す為に自分の身体を毒に侵させたりとか、そんなところが色々と普通ではない。
俺の好みはともかくとして、一般的に考えれば蜜璃はかなりモテてもおかしくない筈だが。
「えっと……どうします、アクセルさん?」
「蜜璃もいなくなったし、いつまでもここにいても仕方ないだろ。温泉に入るとしよう。炭治郎はそれで構わないか?」
「え、ええ。それはいいですけど……でも、温泉には甘露寺さんの言ってた人がいるんですよね? 大丈夫でしょうか?」
この場合の大丈夫というのは、その相手が俺達に絡んでこないかという事だろう。
……伊之助とか、無一郎とかか?
あるいは甘露寺みたいに俺達とは別の方法――普通に隠におぶって貰っての移動――でやって来た連中とか。
「どうだろうな。まぁ、幾ら何でも俺に突っ掛かってくるような事はないと思うけど」
耀哉から、俺についての情報は既に鬼殺隊に周知されている筈だ。
そうである以上、ここで俺を相手に絡んでくるといった真似は……いや、でもそれを言うのなら、柱を無視するというのが、そもそも間違ってるような。
「ともあれ、どういう奴なのかは直接会ってみないと何とも言えないし、行くぞ」
そう言い、俺は炭治郎と共に温泉に向かうのだった。
温泉には、男が1人入っていた。
しかし、その男は俺にとっても初めて見る奴だ。
まぁ、俺の鬼殺隊での行動範囲は蝶屋敷と産屋敷家といったところが大半なので、そういう場所に行かない奴とは、あまり会う機会がないのも事実だ。
多分、温泉に入ってる奴もそういう奴なんだろうが……
「あ、えーっと……確か……そうだ、不死川玄弥!」
炭治郎の方は男……玄弥? の名前を知っていたのか、そんな風に叫ぶ。
というか、不死川? それって実弥と同じ名字だな。
「……ふん」
温泉に入っていた男は、炭治郎を見て鼻を鳴らす。
というか、この温泉って男湯女湯に分かれていないという事は、混浴なのか?
だとすれば、もしかしてあの玄弥とかいう男が蜜璃を無視したのって、もしかして照れ臭かったからとか?
蜜璃の裸身を見たのか、あるいは見ていないにしても湯上がりの蜜璃を見て照れ臭かったとか。
そんな風に思っていると、炭治郎は素早く服を脱いで温泉に入る。
「久しぶり! 元気でやってた? 風柱と名字一緒だね!」
「死ね!」
勢いよく話し掛けてくる炭治郎の顔を温泉に沈める玄弥。
最初は無視しようとしていたらしかったが、それを知った上で炭治郎が連続で話し掛けてきたのが我慢出来なかったのだろう。
そんな様子を見ながら、俺もまた服を脱いで温泉に入る。
「……不死川玄弥、か。炭治郎も言っていたが、実弥と同じ名字だな。しかも不死川という名字はよくある名字という訳ではなく、かなり珍しい。そう考えると、お前は実弥の関係者か?」
そんな俺の問いに、玄弥は少し眉を顰めたものの、頷く。
なるほど。やっぱり上から俺についての情報は降りてきてるのか。
炭治郎の場合は、自分と同期の剣士だから今のような態度を取る事も出来るのだろう。
だが、俺に対してそんな真似をする訳にはいかず、結果としてある程度は素直に答える、と。
あるいは俺が実弥の名前を口にしたのが、この場合は関係してるのかもしれないな。
とはいえ、自分が実弥の関係者だというのを口にしても、それ以上は何も言わない。
具体的にはどういう関係だとか、そういうのは口にしない辺り、俺の問いに答えるのも不承不承なのだろう。
「じゃあ、失礼します」
これ以上は一緒にいたくない。
如実にそう分かる態度で、玄弥は温泉から上がっていく。
「あー……行っちゃいましたね」
残念といった様子を見せつつ、炭治郎が呟く。
そうして温泉を楽しんでいると、やがて太陽は完全に沈んで夜になり……
「むー! むー、むー!」
夜になったのを察知したのか、木箱から禰豆子が姿を現し、温泉に入って泳ぐ。
「すいません、アクセルさん。禰豆子も温泉は楽しみだったみたいで……」
「いや、それはいいんだが……服を着たままで温泉に入っていいのか?」
そう、禰豆子は温泉を泳いでいるものの、それは服を着たままだ。
勿論、禰豆子の裸を見せろと言いたい訳ではないが……今はいいけど、温泉から上がったら服が濡れていてかなり不快な感じがするんじゃないのか?
そんな風に疑問を抱くのは当然だろう。
だが、炭治郎はそんな俺の様子を気にした様子もなく、笑みを浮かべて口を開く。
「禰豆子がそれがいいみたいなので、問題はないですよ。それに、服も用意してくれると言ってましたから」
「……まぁ、炭治郎がそう言うのなら構わないが」
あるいは、これは禰豆子が泳ぎながら洗濯をしている……とかか?
本人がそんな風に思っているのかは、また別の話だが。
「そう言えば、今度珠世達に俺の世界の料理を食べさせようと思ってるんだが、禰豆子にはまだ食べさせる気はないか?」
猗窩座の一件で、鬼滅世界の鬼は他の世界の料理なら普通に食べられるというのは判明したので、珠世や愈史郎達に何か料理を食べさせてもいいと思っていたんだが……どうせなら、禰豆子も一緒にと思わないでもない。
だが、禰豆子に他の世界の食べ物を食べさせるのは、炭治郎に止められてるんだよな。
「はい。その……珠世さんのおかげで禰豆子を人間に戻すことが出来るかもれしれないんです。だとすると、ここで禰豆子がアクセルさんの料理を食べて体質が変化するような事になったら、薬が効かなくなるかもしれませんから」
「そういうものなのか?」
「はい。珠世さんから聞いた話によると、禰豆子の血は色々と特殊らしいので。……ちなみに俺が浅草で鬼舞辻無惨と遭遇した時の騒動で鬼にされた人がいたんですが、その人が禰豆子の血で治ったらしいですよ。そういう意味では禰豆子の血はもの凄く特殊な訳で……」
「異世界の食べ物でその体質が変わると困る、か」
「そうなります」
そう言い、嬉しそうに温泉で泳いでいる禰豆子を見る炭治郎。
ただでさえ、禰豆子は人を食わず睡眠によって力を回復するという特殊性を持っている鬼だ。
それだけに異世界の食べ物によって、禰豆子の血が変化するといったような事になった場合、珠世が開発している薬が効かなくなる可能性は十分にあった。
「分かった。なら、珠世達に料理を食べさせる時は、禰豆子がいない時を見計らって行動するよ」
「むー?」
自分の名前が出たので呼ばれたと思ったのか、禰豆子は温泉を泳ぎながら俺のいる方までやってくる。
「いや、何でもない。禰豆子は泳ぎが上手いなと思って話していただけだよ」
「むー!」
泳ぎが褒められたのが嬉しかったのか、禰豆子の口からは嬉しそうな声が出て、再び泳ぎ始めた。
それに対して何か言おうかと思ったものの、それは取りあえずやめておく。
「それにしても、温泉ってのはいいよな。……いっそ、エヴァを連れてくればよかったか?」
「え!? ……その、ちょっとそれは……」
真面目な炭治郎にとっても、エヴァの訓練はそれだけ厳しかったのだろう。
俺の言葉を聞いて、そんな風に言ってくる。
露天風呂は、和風なものを好むエヴァにしてみれば十分楽しめる場所だとは思うが。
「エヴァの訓練は厳しいか?」
「それはもう。それこそ、上弦の鬼よりも強いと思います」
「だろうな」
その言葉にはあっさりと同意する。
麻帆良で能力を封印されていた時ならともかく、今のエヴァは全盛期の力を取り戻している。……いや、それどころかシャドウミラーで訓練をしている者達の中にはぐんぐんと実力を伸ばしている者もおり、そのような者達に負けない為にエヴァは密かに訓練を積んでいるらしい。
そんなエヴァが、上弦の鬼よりも強いというのは当然の話だ。
堕姫や妓夫太郎は上弦の陸で、上弦の鬼の中では一番弱い。
上弦の参の猗窩座も、エヴァには勝てないと思う。
あ、でもエヴァは合気道が得意だったし、魔法とかを使わないで純粋に体術だけで猗窩座と戦えば、それなりにいい勝負になる……かも?
そんな状況でも、エヴァの勝つ可能性がかなり高いだろうが。
「ただ、エヴァとの訓練を重ねれば、炭治郎は間違いなく強くなる。……それは実感としてあるんだろう?」
「はい。他にも色々と鍛えて貰っていますが、自分でも強くなっていると思います」
そう呟く炭治郎の様子を見れば、本当の意味で不満を言うつもりがないのは間違いなかった。
「なら、いい。禰豆子を元に戻す為にも……そして、鬼舞辻無惨を倒す為にも、今はまず強くなる事を第一に考えた方がいい。もしまた鬼舞辻無惨と遭遇しても、炭治郎が弱ければ、結局どうする事も出来ないのは間違いないしな」
そんな俺の言葉に、炭治郎は真剣な表情で頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730