「へぇ……遊郭ね。アクセル的にはちょっと興味あるんじゃない?」
ミナトが面白そうな様子でそう言ってくる。
そんなミナトの横では、シェリルもまた面白そうな様子でこちらを見ていた。
ホワイトスターにある俺の家。
現在そこでは夕食の時間。
夕食の最中に今日の一件について話していると、ミナトがそんな風に反応したのだ。
……なお、ラピスの耳はルリが塞いで話が聞こえないようにしていた。
ラピスにはまだ早いと考えたのだろう。
もっとも、ルリもまたそういう話が早いのは間違いなかったが。
「ミナト、シェリル。それと美砂。言っておくけど、アクセルを遊郭に連れていくのは危険な事だと理解してるわよね?」
レモンが遊郭という言葉に面白そうな表情を浮かべていた面々にそう告げる。
「何でかしら? 遊郭なんて場所、かなり珍しいんだし……出来れば私もちょっと行ってみたいと思うんだけど」
そうシェリルが言う。
実際、シェリルが遊郭に行けば、花魁になるくらいの素質はあるだろう。
それだけシェリルが持つ美貌と、天性の魅力は多くの者を惹き付ける。
ただし……
「遊びに行くのはいいけど、遊女として働くのなら、アクセル以外の男に抱かれるかもしれないのよ?」
「やっぱり止めておくわ」
レモンのその言葉に、即座に前言を翻すシェリル。
シェリルにしてみれば、そういうのは絶対にNGなんだろう。
「まぁ、ここにいる皆、誰もがそうでしょうけどね。とにかく、アクセルが遊郭に客として行った場合、アクセルが酒を飲む事になる可能性が高いのよ? それがどういう意味を持つのか……それくらいは考えるまでもなく分かるわよね?」
「……そうね。アクセルが遊郭に行くのは止めた方がいいわね。下手をしたら鬼滅世界の遊郭が消滅して、鬼滅世界の歴史そのものが変わってしまいかねないわ」
いや、そこまで言わなくても。
そんな風に思ったものの、もし俺が酒を飲めばそんな状況になりかねないのは事実だ。
俺が酒を飲んだ影響で、気が付けばマクロス世界に転移していたり、あるいはナデシコ世界ではミナトとエリナを抱くという事になったりもした。
そういう意味では、酒を飲んでも周囲を破壊するといったようなことにはならない可能性もある。
だが、逆に破壊するといったような事になる可能性もあった。
「取りあえず、俺が直接遊郭に行くのは実際に戦いが始まってからだな。天元から連絡が来れば、即座に移動するつもりだ」
「……ふむ。そうなると、アクセルはいざという時の為に鬼滅世界にいる事が多くなるのだな?」
コーネリアのその言葉に、俺は素直に頷く。
実際、コーネリアの言葉は決して間違っている訳ではないのだから。
影のゲートが使える以上、実際にはどうしても鬼滅世界にいなければならないという訳ではない。
だが、それでもいざという時の事を考えると、鬼滅世界にいた方がいいのは事実だ。
影のゲートがあっても、他の世界にいた場合は連絡があったら影のゲートを使って、ホワイトスターに戻る。
その後、ホワイトスターの転移区画を使って鬼滅世界に転移する必要があった。
そうやって鬼滅世界に転移したら、次にまた影のゲートを使って遊郭まで移動する。
時間にすればそこまで違いはないのだが、鬼との戦いにおいては実際に戦いが始まってしまうと、ほんの数秒が生死を分けるという感じになりかねない。
そうならないようにする為には、やはり出来るだけ早く遊郭に移動出来るように遊郭の外でどこかに家を借りるか宿に泊まるかといったような事をした方がいい。
ただし、外泊となると毎晩行われている愛の営みが出来なくなるのが残念だが。
ただ、炭治郎達がこうして直接遊郭に行ったのを考えると、実際に騒動が起きるのはそう遠い話ではないと思う。
炭治郎がこの世界の主人公であると考えればこその予想だが。
とはいえ、世の中の原作によってはこういう場所で時間を多く割くといったような事があってもおかしくはないので、あくまでも参考程度だが。
「そうなるな。とはいえ、そんなに長い期間にはならないと思うけど」
「それでもアクセルが鬼滅世界にいるとなると……誰か見張りを派遣した方がいいような気がするが、どう思う?」
「本気か、コーネリア?」
コーネリアの言葉は、俺にとって完全に予想外のものだった。
何もわざわざ俺に見張りを派遣するといったような真似はしなくてもいいと思うんだが。
それでもこうして言ってくるとなると、もうコーネリアの中ではそうなった方がいいと判断されているのだろう。
問題なのは、この場合は一体誰が見張りになるかという事だろう。
「まず、政治班に所属してる人は駄目でしょうね」
「そんなあああ、何故ですの!?」
レモンの口から出た政治班は駄目という言葉に対し、真っ先に反応したのはあやか。
千鶴はあらあらウフフといった様子で笑みを浮かべており、エリナは薄らと頬を赤くしている。
「当然でしょう? ただでさえ凛が抜けているのよ? 今の状況でこれ以上政治班から人を引き抜く訳にはいかないでしょ」
それは大袈裟でも何でもなく、真実でもあった。
元々シャドウミラーの政治班は、少数精鋭と言えば聞こえはいいものの、人数は多くない。
いやまぁ、大抵の処理は量産型Wが出来るし、何よりも魔法球を使えば疲労とかそういうのは殆ど問題がないので、そこまで気にするような事ではないのかもしれないが。
だが、それでも人数が少ないのは事実で、レモンの言うように簡単に人を引き抜くといった真似は出来ないのだろう。
「ふむ。では私はどうだろう? 政治班ではないし、実働班だがコーネリアと違って率いる立場という訳でもない」
スレイのその言葉に、何人かが羨ましそうな視線を向ける。
実際、スレイは俺の見張りとしては丁度いいのは間違いない。
「うーん。でもスレイも実働班として訓練で忙しいでしょうし……なら、いっそゆかりか美鶴はどう?」
美砂の提案は、驚きをもって迎えられる。
それこそ美砂の性格を考えると、自分が俺の見張り役になりたいといったような事を言ってもおかしくはなかったからだろう。
「アクセルがいいなら、私は構わないと思うけど? もっとも、ゆかりと美鶴が問題ないならだけど」
「ゆかりは……この前、もう学校は殆ど休みになってるって言ってたから、ゆかりの方でいいんじゃない? 美鶴は大学とシャドウワーカーの運営もあるし」
美砂と円がそんな会話をしているのを聞きながら、俺はどっちでもいいと判断する。
「美鶴は忙しいから難しいかもしれないけど、ゆかりが問題ないなら俺は構わないぞ」
そうして話が決まると、すぐにコーネリアがゆかりに連絡する。
ゆかりと美鶴の2人は、現在ホワイトスターに住んでいない。
ペルソナ世界で高校に通っていたり、大学に通いながらシャドウワーカーを運営している美鶴の性格を考えると、ホワイトスターに住むといった真似が出来ないのは仕方がない。
……まぁ、何だかんだかんだと結構俺の家に泊まりに来てはいるんだけどな。
それでも生活の基盤が向こうにある以上、それは仕方がない。
「じゃあ、ゆかりに提案して問題がないようなら受けて貰いましょう。ゆかりも学校はもう殆ど休みらしいけど、それでも行かないといけない日とかはあるでしょうし」
そういう事に決まるのだった。
「アクセル、よろしくね」
翌日、俺はホワイトスターの転移区画でゆかりと待ち合わせをしていた。
レモンからの連絡がいった結果、ゆかりは即座に了承の返事をしたのだ。
ゆかりにしてみれば、俺と一緒にどこかの世界に行くというのはちょっとした旅行気分なのだろう。
「分かった。よろしくな。……けど、俺が言うのもなんだが、お目付役として俺と一緒に行動するとなると、最悪鬼と戦ったりとかする事になるけど構わないのか?」
ゆかりと美鶴は、俺の恋人枠という事でエヴァの訓練を受けている。
……ちなみに、これは別に贔屓とかそういう訳ではなく、単純に俺との関係が知られた場合、俺に対する人質として敵対勢力に狙われる可能性が高いというのが大きい。
俺の力を知ってれば、ちょっとやそっとの実力の持ち主なら俺に直接攻撃をしてくるといったような事は、まずない。
そんな状況で、俺に対する切り札として俺の恋人を狙うというのは当然の話だ。
とはいえ、ゆかりも美鶴もペルソナ世界で起きたニュクスの一件を生き残った実力者であり、ちょっとやそっとの相手ではどうしようもない。
しかし、ストレガのような連中もいるので、ゆかりや美鶴も強くなる必要があるのは間違いなかった。
とはいえ、基本的にはホワイトスターではなくペルソナ世界で生活してる2人だ。
しっかりとホワイトスターで暮らしている他の者達と比べると、どうしても訓練の回数は少なくなる。
今のゆかりと美鶴は、荒垣以上レモン達未満といったところか。
荒垣も一応ある程度は訓練をしているものの、エヴァの訓練に比べればどうしても劣る。
まぁ、現在は鬼滅世界で鬼殺隊の面々に訓練をしているし、場合によっては鬼と戦ったりもしてるので、そういう意味では以前よりも強くなってるかもしれないが。
そういう訳で、ゆかりが俺と一緒に行動するとなると、鬼との戦いに巻き込まれる可能性が高かった。
「ええ、問題ないわ。……久しぶりの実戦だけど、アクセルと一緒だしね。あ、でも弓は預かって貰える? 持ち歩いていると目立つし」
「だろうな。分かった」
日輪刀……というか日本刀を持っているのは不味いが、一応弓は持っていても問題ない。
弓道とかそういうのはこの時代にもあったし。
だが、持っていてもいいからといってそれが目立たない訳でもなかった。
弓は大きいし、矢の入った矢筒もある。
それで目立ってしまい、警官とかにどこに住んでいるとか、どこの弓道場に通うのかといったような事を聞かれるのは面倒だ。
それを考えれば、やはりここは俺が空間倉庫に収納しておいた方がいい。
ついでにということで、ゆかりの持ってきたお泊まり道具や着替えの類も空間倉庫に収納しておく。
正直なところ、影のゲートを使えばいつでもホワイトスターに戻れるんだから、別にこういうのをわざわざ持ってこなくてもいいんだが……まぁ、この辺についてはゆかりの気分といったところだろう。
やっぱり恋人と一緒に旅行というのは、ゆかりにとっては特別なんだろうな。
「ああ、そういう意味ではこれはゆかりの卒業旅行って事になるのか」
「そうね。旅行の行き先が浅草というのはどうかと思うけど……別世界の大正時代の浅草に卒業旅行に来るなんて、私くらいでしょうね」
ゆかりにとっては卒業旅行だが、俺は別に卒業旅行じゃ……あ、いや。でも俺も一時期とはいえゆかりの同級生だったんだから、そう考えれば卒業旅行というのも納得は出来る……のか?
「他の連中はどうしてる?」
「んー、そうね。風花は有里君と一緒に卒業旅行に行くとか言ってたわ。まだ行ってなくて、旅行場所を迷ってるらしいけど。……泊まりで行くらしいから、多分……」
最後まで言わなかったゆかりだったが、何となくその言葉の意味は理解出来る。
つまりは、そういう事だろう。
ゆかりの場合は、もうとっくにそういう体験はすませてしまった。
なので、そんな友達が初々しいのだろう。
「さて、転移区画で話していてもなんだし、そろそろ行くか」
「ええ。そう言えば結局宿にしたの? それとも家を借りたの?」
「宿だな。ちょっといい宿を耀哉の伝手で用意して貰った」
この場合、最高級という訳ではなく、ちょっといい宿というのがポイントだ。
耀哉に頼めば、それこそ最高級の宿……いや、ホテルとかも用意してくれたんだろうが、どうせなら気楽にすごせる場所がいいしな。
それに幸いというべきか、浅草はそれなりに宿も多い。
そんな訳で、泊まる場所にも困らなかった。
ちなみに家を借りるのではなく宿にしたのは、単純に家を借りた場合は自分達で掃除とかをしないといけない為だ。
その点、宿ならその宿の職員が普通に掃除とかをしてくれるので、その辺で困る事はない。
俺とゆかりは、システムXNを使って鬼滅世界に転移する。
「へぇ、ここが……凄い長閑な場所ね」
「ここは一応鬼殺隊の隠れ里で、そういう意味では長閑というのとはちょっと違うんだけどな」
鬼と戦う剣士達の本拠地と考えれば、普通は長閑という表現は相応しくない。
しかし、それでもこうして実際に俺達の前に広がっているのは長閑という表現が相応しい場所だった。
そんな風に思いつつ、俺とゆかりはゲートの周辺を散策する。
都会に住んでいる……いや、平成の世界に住んでいるゆかりにしてみれば、このような大正時代の世界に来るというのはカルチャーショックがあるのだろう。
そんなゆかりに付き合うように、俺も周辺を一緒に歩いて回り……それでゆかりが満足したところで、浅草に向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730