転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0300話

「おいおいおい、まさか不死の吸血鬼が死んだりはしてないだろうな」

 

 ネギの放った雷の魔法は予想以上の威力を持っていた。それが直撃したのだから、もしかしたら……とも思ったのだが。

 

「何故裸?」

 

 魔法が命中した爆煙が晴れた後、そこにいたのは何故か全裸となったエヴァだった。

 いや、もしかして最後の最後で放たれたネギの魔力は風化 武装解除か何かだったのか?

 

「ふふっ、やるなぼーや。だが決着はまだ……」

 

 橋の上を飛びながらそう言うエヴァだが、さすがにこれ以上は模擬戦を越えるだろうと判断。皆の注意を集める為に拍手をしながら戦闘の中心地点へと近付いていく。

 

「エヴァ、無理をしているのは一目瞭然だぞ。ただの模擬戦でそこまでする意味は無いだろう」

「ちぃっ、アクセルか。……例え模擬戦だろうとなんだろうと、勝負自体はまだ終わってはいないのだ。観客は舞台に立っている主演に口を出さずに大人しく見物していろ」

 

 煩わしげにエヴァが口を開き、こちらへと鋭い視線を送ってくる。

 

「ちょ、ちょっと。模擬戦って何?」

「模擬戦? ……そう言えば確かに闇の福音にしてはネギの兄貴相手に随分と手こずっていたような」

 

 神楽坂とカモが混乱するが、ネギは何かを理解したかのようにどこか嬉しそうに俺へと視線を送っていた。

 

「模擬戦だから……ん?」

 

 エヴァへと言葉を続けようとしたその瞬間、唐突に橋の近くにある建物に明かりが点灯する。同時に、麻帆良中でも次々に明かりが灯っていくのが見て取れた。

 

「停電も終了したか。エヴァ、ここが潮時だろう」

「いけない、予定より7分以上も停電からの復旧が早い。マスターッ!」

「何!? ……きゃんっ!」

 

 驚愕の声を上げるも、次の瞬間には何らかの衝撃を受けるエヴァ。最悪なのは、現在のエヴァのいた場所だ。橋の上なら良かったのだが、少しずれた川の上。その状態で落下するという事は……

 

「ちぃっ! 加速!」

 

 咄嗟に精神コマンドの加速を使用し、橋を蹴って落下していくエヴァへと追いつきその手を掴む。

 

「アクセル!?」

 

 エヴァの驚きの声を聞きながら足へとSPを集中し、瞬動の要領で虚空を蹴る!

 瞬動の上位技術、虚空瞬動。まだ成功率5割程度のその技術だが、幸い今回は無事成功した。

 

「ちょっと我慢してろよ!」

 

 虚空瞬動で空を蹴り、橋の上に……届かない!? なら、もう1度!

 1度の虚空瞬動では橋へと届かなかった為に、再度足へと魔力を集中し空を蹴……

 

「何!?」

 

 本来であれば空を蹴る筈の足は、スカッとばかりに空を踏み抜いてバランスを崩す。

 ちぃっ、失敗か!?

 

「スラ……」

 

 空間倉庫を展開してスライムを使おうとするものの、結局最後までそれを口に出す事は無かった。スラスターを噴射させた茶々丸が俺とエヴァを纏めて抱き留めていたのだ。ちなみに、その茶々丸の横には川へと投げ捨てられた筈の箒に跨がって空を飛んでいるネギの姿もあった。

 空を飛ぶ魔法に関してはまだ習得していないが、後で習った方がいいのかもしれないな。だが、ネギの場合は魔法発動体である杖に乗って飛んでいるが、俺の場合はどうなるんだろう。腕輪に乗って飛ぶ? ……ちょっとシュールな光景が脳裏に浮かんだ。

 チラリと右腕に付けている腕輪へと視線を送り、苦笑する。

 俺に抱かれているエヴァは、そんな俺の様子を見て呆れたように口を開いた。

 

「全く、空も飛べないのに橋から飛び降りるとはな」

「虚空瞬動があっただろう?」

「……それで発動に失敗していては意味が無いだろうに。良かろう。今日の礼もあるし、今度お前の訓練に付き合ってやる。少なくても虚空瞬動に関しては今日のような間抜けなミスをしない程度にはな」

 

 嗜虐的、とも取れる笑みを浮かべるエヴァに思わず苦笑する。

 全く、素直じゃないな。ここに千鶴がいれば面白い事になったかもしれない。

 

「マスター、ツンデレ乙です」

 

 ……いや、千鶴の代わりに茶々丸がいたな。

 

「茶々丸、貴様!」

 

 そんな風に少し前までは魔法大決戦をやっていたとは思えない感じにいつも通りのやり取りをしていると、やがて茶々丸が橋の上へと着地する。

 

「アクセルさん。マスターを助けていただき、ありがとうございます」

 

 俺を地面へと降ろしながら茶々丸がペコリと頭を下げる。その横ではエヴァがどこから取り出したのか分からないが、黒いマントのようなものを羽織って面白くなさそうにそっぽを向いていた。

 

「えーっと、取りあえずエヴァちゃんもアクセルも無事って事でいいのよね?」

「そうだな。さすがにあの高さから水に落ちていたら怪我くらいはしたかもしれないが、幸い茶々丸が受け止めてくれたからな」

「……ふぅ、ならいいわ。……じゃなくて! それよりもさっき言ってた模擬戦ってどういう事なのよ!」

「そうっすよ。俺っちも初耳です」

 

 神楽坂とカモのがーっという感じの抗議が予想通りの流れだったので思わず苦笑を浮かべる。

 

「ちょっと、何笑ってるのよ! そんなに私達があんたの手の上で踊らされてるのが面白かった訳!?」

 

 そしてその笑みを誤解して余計に頭に血を昇らせる神楽坂。

 

「あー、違う違う。そもそもこの模擬戦は魔法学校を出たばかりのネギに実戦経験を積ませようとして学園長が仕組んだものだ」

 

 正確には、ナギの息子が来るというのを隠していた近右衛門に対してエヴァが怒り、その妥協案として……というのが正確な所だが。

 

「え? 学園長先生が!?」

「ああ。ほら、携帯を貸すから聞いてみろ」

 

 懐から携帯を取り出して神楽坂へと渡す。

 何処となく疑わしげにその携帯を見つつも、慣れた操作で登録番号を呼び出す神楽坂。

 

「……あ、学園長先生ですか? いえ、私です。神楽坂明日菜です。はい、アクセルから携帯を借りて電話してるんですけど。それで、今回のエヴァちゃんとネギの戦いについてなんですが。……はい、無事終わりました。一応、ネギの勝利……かな?」

 

 ネギの勝利。その言葉を口に出した途端、エヴァの頬がピクリと動く。

 だがまぁ、客観的に今回の勝負だけを見れば確かにネギの勝ちと言ってもいいだろう。エヴァが本気を出せていないというのもあるが。……ん? そう言えば。

 

「エヴァ、何で停電が終わった途端にあんな具合になったんだ?」

「……ふん。お前は忘れているのかもしれんが、基本的に私はこの麻帆良に登校地獄という呪いで封じられている訳だ」

「まぁ、その辺は以前聞いたな」

「で、だ。登校地獄という呪いは私をこの麻帆良に縛り付けはするが、別に魔力等を封じるような効果は無い」

「……何? だが」

 

 現実にエヴァの魔力は封じられており、満月の夜くらいしかある程度の実力を発揮出来なくなっている。

 

「アクセルの疑問も分かる。……お間抜けな事に私もつい最近まで気が付かなかったのだが、私の魔力を封じているのはこの麻帆良に敷かれている結界だった訳だ。で、その結界は魔力ではなく大量の電力を消費して維持していたんだよ」

「なるほど。つまり今夜の停電に乗じた訳だな」

「ああ。と言っても、私ではなく茶々丸がだがな。ハイテクって奴は私には良く分からん」

 

 エヴァの言葉に納得する。停電が回復し、同時に学園結界とやらが再び展開されていつもの封印状態に戻ってしまった訳だ。

 

「しかし、15年も麻帆良に封じられていた割には気が付くのに随分と時間が掛かったな」

「ふん、だから言っただろう。ハイテクは苦手なんだよ」

「マスター、私も一応そのハイテクなのですが」

 

 エヴァの言葉に茶々丸がそう言った時、目の前に俺の携帯が差し出された。

 

「はい、携帯返すわね」

「納得したか?」

「ええ、学園長先生に聞かせて貰ったわ。……全く、これなら別に私が仮契約する必要なんてなかったんじゃないかしら。乙女の唇を何だと思ってるのよ」

 

 ぶつぶつと口の中で文句を呟いているのを聞きながら携帯を懐へとしまう。

 と言うか、仮契約したんだな。恐らく一度エヴァ達の前から姿を消した時に光ったアレだと思う。

 

「でも良かった。やっぱりアクセル君は僕達を裏切った訳じゃなかったんだね」

 

 ネギのほっとした声に神楽坂がピクリとする。

 

「裏切った?」

「あ、はい。女子寮の大浴場に行ったらアクセル君といいんちょさんがエヴァンジェリンさんと一緒に待っていたので、てっきり最初はエヴァンジェリンさんサイドの人かと思ったんですよ」

 

 そのネギの言葉でふと思い出す。そう言えばあやかをあのままにしてきたな。寮に戻る前に回収していかないと。

 と思った次の瞬間、ある意味お約束的にあやかがこちらへと走ってくるのが見えた。

 

「アクセル君、ネギ先生。ご無事ですか!?」

 

 その速度はさすがに神楽坂には負けるものの、並のスポーツ選手よりは余程早かった。

 

「あやか、ここに来たって事は明石と佐々木は?」

「ええ、学園長の使いの者だと仰る方が来て引き取って行かれましたわ」

 

 仕事の早さに関してはさすがと言うべきか。

 

「げ、委員長。……そっか、アクセルがここにいる以上は従者である委員長が一緒にいるのも当然か」

「何? 雪広あやか。貴様、アクセルと契約したのか?」

「へっへっへ。俺っちがコーディネートしたんでさぁ。まぁ、本契約じゃなくて仮契約ですが」

 

 エヴァの言葉に、どこか自慢気なカモ。……こいつ、懲りてないな。

 

「ね、アクセル君。結局この模擬戦は僕の勝ちって事でいいのかな?」

「ま、いいんじゃないか?」

「よーし。じゃあクラス名簿にその事を書いておこうっと」

 

 どこからともなくクラス名簿を取り出すネギ。それを見ていたエヴァとしては当然黙ってはいられない訳で。

 

「ふざけるな! 停電が続いてれば私が勝ったんだよ!」

「えー。だってアクセル君も僕の勝ちだって言ってるし、それに勝負に『たられば』は禁物ですよ?」

「えーいっ、余計な所にだけ口が回るな貴様は! とにかく私のプライド的にそんな真似は許さん!」

 

 ぎゃあぎゃあと言い合いをするエヴァとネギを見て、神楽坂が茶々丸へと声を掛ける。

 

「ね、これって仲直りって事でいいのかな?」

「……どうなんでしょうか?」

「仲直りでいいんじゃありませんの? もっとも、あの様子ではすぐに第2戦が始まりそうではありますが」

「ちょっ、こんな状態でそんな事になったら堪ったもんじゃないわよ! ネギ、エヴァちゃん。いい加減にしなさーーいっ!」

 

 エヴァとネギへと突っ込んでいく神楽坂を見ながら、苦笑を浮かべる俺達だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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