「はい、アクセル。これが藤の花の強化された毒の入った銃弾と拳銃よ。それと……こっちは鬼滅世界で藤の花を研究してる、蟲柱だったかしら? その人に渡してくれない?」
魔法球の中を数時間見て回り――その間に色々と騒動に巻き込まれることになったが――マリューが藤の花の研究をしている研究室に戻ってくると、俺と同じタイミングで戻ってきたマリューから銃弾と拳銃を渡される。
渡されるのはいいんだが……
「何でリボルバー?」
渡された拳銃は、かなり小さめの拳銃ではあった。
それはいいが、それがいわゆる自動拳銃ではなくリボルバーであるというのは疑問しかない。
勿論、リボルバーにはリボルバーの利点がある。
部品が少なくシンプルな構造なのでコストが安い。……が、シャドウミラーに関しては必要な資源はキブツで入手出来るので、コストに関しては特に気にする必要がなかった。
動作する場所が少ないので、安定して射撃が出来る。……まぁ、これがリボルバー最大の利点なのかもしれないな。
デメリットとしては、装弾数が少ない。……デメリットとして大きいのは事実だが、今回はあくまでも藤の花の毒を使った弾丸の実験なので、装弾数は特に求めていない。それに俺のステータスで命中の数値はかなり高くなっているし。
他には、実際に撃つまでにダブルアクション……2回の動作が必要となる。
これは結構大きいだろう。
「何となくこっちの方がいいと思って。アクセルの事だから、リボルバーでも普通に使えるでしょう?」
「それは否定しない。……まぁ、小型という点では結構いい感じだけどな」
小型の拳銃というのは、隠し持つのに最適だ。
ただ、それがリボルバーとなると、どうしてもそこが邪魔になってしまう。
そういう意味だと、隠し持つのは難しいな。
……ガーターベルトに隠しておくというのは、見る分にはかなりそそるものがあるんだが。
「それと、こっちが藤の毒ね。割っても人に被害はないだろうし、アクセルだから万が一があっても大丈夫だと思うけど、それでも気を付けてね」
マリューから試験管を渡される。
ちなみに、この試験管は鬼舞辻無惨の血を入れた物と同じタイプではあるのだが、まさか同じ物を使い回しているとかじゃないよな?
そんな疑問を抱きつつも、藤の花の毒の入った試験管を空間倉庫に収納する。
「じゃあ、俺はそろそろ戻るよ」
「そう? 今日はどうするの? 戻ってくる?」
「ああ、そのつもりだ」
「じゃあ、今日は鍋物に挑戦してみようかしら」
「それは楽しみだな。……夕食には遅れないように戻ってくるよ」
そう言うと、マリューと軽く唇を触れるだけのキスをしてから、俺は魔法球を出るのだった。
「アクセルさん? どうしたんですか? ……お館様に何かが!?」
ホワイトスターから鬼滅世界に戻ってくると、すぐに蝶屋敷に向かう。
ゲートが設置されているのが蝶屋敷のすぐ側なので、移動するのにそう時間が掛からないのはいいよな。
そんな訳で蝶屋敷にやって来たんだが、ちょうと玄関の掃除をしていたしのぶが、俺を見るとそんな風に詰め寄ってくる。
「安心しろ。耀哉は現在無事に治療中だ。……というか、何で柱のしのぶが玄関の掃除なんてしてるんだ? そういうのをやる為に量産型Wとかを貸し出してるんだろうに」
耀哉は無事に治療中だという話を聞いて安堵したしのぶだったが、何故掃除をしているのかという質問には少し照れ臭そうな笑みを浮かべてから口を開く。
「その、少し気分転換に」
「気分転換? ……まぁ、いい。俺もちょうどしのぶに用事があったんだからな」
「あら、私にですか? 一応言っておきますけど、こう見えて私は身持ちが堅いですよ?」
「……一体何を想像しての言葉かは敢えて聞かないし、誰から聞いたのかというのも気にしないでおく」
そう言う俺に対し、しのぶはジト目を向けてくる。
「聞いたも何も、宇髄さんみたいに何人もの女の人と一緒にいるのを見れば、その辺は明らかでしょう?」
しのぶの言葉に、そう言えば何だかんだと俺は恋人達を鬼滅世界に連れてきていたなと納得する。
そもそもの話、先遣隊としてやって来た中にも凛、綾子、円、美砂の4人の恋人がいるのだから。
その辺の事情を考えれば、しのぶが何を警戒しているのかは十分に理解出来た。
「取りあえず俺の用件はそっち方面じゃないとだけは言っておく」
しのぶは間違いなく美人だし、背は低いものの女らしい身体付きをしている。
いわゆる、トランジスタグラマーって奴だな。
とはいえ、だからといって俺が見境なく口説くのかと思われているのは不満だ。
不満……ではあるものの、日頃の行いを考えろと言われれば、それを否定は出来ないのだが。
「じゃあ、どんな用件なんです?」
「これだよ」
空間倉庫から取り出した試験管をしのぶに渡す。
しっかりと密閉されたその試験管を見たしのぶは、今までのどこか俺をからかうかのようだった表情から、真剣な表情に変わる。
俺が渡した物がなんなのか、藤の花の毒の研究の第一人者とも言うべきしのぶだからこそ、分かったのだろう。
「これは……藤の花の毒? 何故アクセルさんがこれを?」
「言っておくが、これは別に俺がどうにかした訳じゃない。マリュー……シャドウミラーの技術班の中に藤の花の毒に興味を持って調べている奴がいてな。そいつの手柄だ。何でも普通の藤の花の毒よりも効果が強力になっているらしい」
「強力に……」
しのぶは俺の言葉に興味津々といった様子で試験管を見る。
「ちなみに、こういうのもあるぞ」
そう言い、拳銃を取り出す。
「これは、銃ですよね?」
当然だが、しのぶも銃については知っている。
大正時代の人間だから当然だろう。
「ああ、銃だ。ただし、この場合は銃が特別なんじゃなくて、弾丸が強力なんだ。この弾丸には今しのぶに渡した試験管に入っている毒が使われている。つまり、この銃弾を鬼に撃ち込めば、それは藤の花の毒と同じ効果を持つ訳だ」
「それは……」
俺の説明に微妙な表情を浮かべるしのぶ。
日輪刀での戦いが標準の鬼殺隊の剣士だけに、素直に喜ぶ事は出来ないのだろう。
それでも日輪刀を使わずに遠距離……いや、このリボルバーの大きさを考えれば、精々が中距離といったところか。
ともあれ、近接戦闘ではなく射撃攻撃が出来るというのが大きいのは間違いない。
「この弾丸については、実際に効果があるかどうか分からない。だから使う時は俺が自分でやろうと思ってたんだが。……もっとも、鬼と遭遇する機会もそうないけど」
以前に聞いた話によると、鬼殺隊は人材不足らしかったんだが……神鳴流であったり、ムラタを始めとする先遣隊の面々が行動した結果として、人手不足はかなり解決してきたらしい。
あるいは鬼の行動そのものが減ってきている……といった可能性もあるが。
そんな訳で、藤の花の毒の弾丸を試すにもまずは鬼を見つける必要がある。
具体的にいつ見つけられるのかは、正直なところ分からないが。
「そう、ですね。鬼殺隊で銃を使ってる人は……いるのかもしれませんが、私は知りませんから」
しのぶの言葉は俺を納得させるのに十分だった。
実際に俺も鬼殺隊の剣士全員を知ってる訳ではないが、その中で銃火器を使ってる奴は知らない。
……銃火器ではなく、鉄球を使ってる奴は知ってるが。
あ、でも今の行冥は目からレーザーを出せるんだから、ある意味で飛び道具を使ってると言ってもいいのか?
使えるからといって実際に使ってるかどうかは分からないが。
「だとすると、やっぱりこの拳銃は俺が使った方がいいな。……そっちの藤の花の毒はしのぶの方で使うという認識でいいんだよな?」
「はい。シャドウミラーという組織の人が強化した、藤の花の毒。正直なところ私にとってはこれが光明になるかもしれません」
光明? それはちょっと大袈裟な言い方じゃないか?
そう思うも、筋力不足で鬼の首を切断出来ないしのぶにしてみれば、藤の花の毒の強化というのは大きな意味を持つのだろう。
薬……薬か。炭治郎の協力者だという珠世だったか? その鬼と協力すれば、より強力な毒になりそうなんだが……ただ、鬼だというのが問題だよな。
禰豆子でさえ、鬼殺隊の一員として認められるのにかなりの騒動があった。
杏寿郎はあの下弦の壱が起こした汽車の一件で戦場を共にし、それによって禰豆子を認めたらしいが。
そんな状況で新たな鬼が鬼殺隊に入る、もしくは協力するとなると絶対に問題が起きる。
炭治郎が協力者として扱っている以上、多分問題はないんだろうけど。
「そう言えば、炭治郎達はどうしたんだ? 随分と静かだけど」
「ああ、あの3人はそれぞれ出てますよ。別々ですが、鬼が出たという話で」
「鬼が出たのか」
鬼の数が少なくなっているという俺の予想は、どうやら外れたらしい。
「はい。ただ、最近はここを拠点にしているので、それが終われば戻って来ますよ。ただ、竈門さんは煉獄さんの家に行く事も多いですが」
「そうなのか? 俺が聞いた話によると、杏寿郎の父親と炭治郎はかなり大きな喧嘩をしたって話だったが」
「ええ。でも、それで寧ろある程度気に入られたようですね」
この場合、気に入られたというは杏寿郎ではなく、炭治郎が喧嘩をしたという杏寿郎の父親だろう。
喧嘩をしてお互いに分かり合う。
いっそ、夕方の河原で殴り合いの喧嘩をすればもっとらしいシチュエーションだったんだろう。
お互いに殴り合いをして、双方共に地面に倒れて『やるな』『お前もな』とか。
王道というか、懐古的な感じか?
「ヒノカミ神楽について、何か分かったのか?」
「私に聞かれても、分かりませんよ。ただ、もっとはっきりと分かれば自然と耳に入ってくるでしょうから、今はまだそこまで気にする必要もないのでは?」
そうして俺としのぶは十分程話をし……やがてしのぶが話題を変える。
「気分転換も出来ましたし、アクセルさんから貰ったこの藤の花の毒を色々と調べてみたいので、この辺で失礼しますね。掃除も終わりましたし」
「そうか。なら、炭治郎達がいないみたいだし、俺も帰るよ。用事はすませたしな」
蝶屋敷に上がらずとも、しのぶと遭遇出来たのは悪い話ではなかった。
別に蝶屋敷に上がっても構わないとは思うんだが。
「分かりました。今日はありがとうございます」
そう言い、頭を下げるしのぶ。
そんなしのぶに軽く手を振り、蝶屋敷を後にする。
後にするのはいいが……どうするかな。
今の時点で急いでやるべき事は、特にない。
最大の懸念事項だった耀哉の治療も、今はもう心配する必要はないしな。
……都合よく猗窩座がどこかに出てくれれば、こっちからちょっかいを掛けたりといったような真似も出来るんだが。
そうそうこっちの思い通りに事態が運んだりはしない。
そんな訳で、俺は適当に鬼殺隊の隠れ里を歩いて回る。
何だか、魔法球の中でも同じような事をしていた気がするな。
「あら、アクセル? どうしたの?」
適当に見て回っていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
声のした方に視線を向けると、そこには凛の姿。
「ちょっと時間が出来たから適当に見て回ってたんだよ。それより、凛はどうしたんだ? 訓練の方はいいのか?」
「いいのよ、今日は特にもうやるべき事はやったし。あまり集中しすぎても、こういうのはよくないでしょ」
「それはそうだな」
集中しすぎて自分の身体の調子とかにも気が付かず、結果として身体の調子を崩すというのは珍しい話ではない。
ましてや、鬼殺隊にいる者の多くは鬼に強い恨みを持っている者達だ。
その鬼を殺す為の訓練ともなれば、集中しすぎてもおかしくはない。
「なら、久しぶりにデートでもするか?」
「そうね。鬼滅世界でデートというのも、悪くないわ。それに、後で綾子や美砂、円達に自慢出来るしね」
にんまりとした笑みを浮かべる凛。
そんな凛の様子に笑みを浮かべ、俺は凛と手を繋いで隠れ里を見て回る。
とはいえ、そこまで珍しい物はない。……いや、田舎生活があると言えばいいのか?
あるいは、何もないがあると言えばいいのか。
そんな風に考えつつ、俺は凛と一緒にデートを楽しむ。
「こうして見ていると、本当に平和な田舎って感じよね」
「そうだな。……まぁ、その田舎の中で暮らしている者が全員鬼殺隊の一員だったりするんだが」
「ふふ。そうすると一件平和そうに見えても、実は危険な場所といったところかしら。それはそれで面白そうだけど、あまりロマンがないわね」
「そこにロマンを求めるのが、そもそも間違ってると思うけど」
凛にとって、鬼滅世界はそれなりに暮らしやすい世界なのは間違いないだろう。
機械との相性が決定的に悪いのだから、その手の物が殆どない鬼滅世界は凛にとって悪くない環境の筈だ。
「あら、女は常にロマンを求めるものよ? それに……大正時代の田舎なら、夏になれば蛍とかもいるんじゃない? 夜のデートも悪くないでしょ?」
そんな会話をしつつ、デートを楽しむのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730