「アクセル殿! 久しぶりだな!」
神鳴流から派遣された男を鬼滅世界に案内してから数日、その辺がどうなってるのかちょっと気になったのでやって来たのだが、幸いにして神鳴流の男と鬼殺隊の面々はそれなりに上手くやっているらしい。
その事に安堵しつつ、蝶屋敷に顔でも出してみるかと思っていたところで、不意に声を掛けられたのだ。
誰の声なのかというのは、その覇気のある声を聞けば考えるまでもなく明らかだった。
「杏寿郎、どうしたんだ?」
炎柱の杏寿郎がここにいるのは少し驚きだった。
杏寿郎も柱である以上、当然ながら他の柱と同じように自分の担当地区が存在する。
そんな杏寿郎がここにいるのは、何らかの問題があったと考えるべきか?
とはいえ、杏寿郎の表情は特に何かがあったようには思えない。
いつものように覇気に満ちている様子だし。
ちなみに炎柱を代々輩出している煉獄家は、鬼殺隊の中でもかなり特殊な家だ。
基本的に鬼殺隊というのは、鬼の被害にあった者が入隊する。
あるいは何らかの特殊な能力を持つ人物がいると聞けば、スカウトをすると聞く。
そんな中で煉獄家は代々産屋敷家に仕えているという、特殊な家だ。
もしかしたら他にも同じような家が存在しているのかどうかも分からないが、煉獄家というのは産屋敷家に仕えている点では非常に大きい存在だ。
「うむ。少しお館様に相談があってきたのだ」
「耀哉に? ……まぁ、最近は耀哉も元気だしな」
「その点では、シャドウミラーに感謝をしている」
杏寿郎のその言葉は裏のない、本当に素直にそう思っての言葉なのは間違いない。
杏寿郎の性格を考えれば、そのように思うのは当然だろう。
「感謝しているのなら、耀哉にはさっさと治療や解呪を受けるように言ってくれないか? 行冥ももうすぐ現場に復帰するらしいから、出来ればそのタイミングで耀哉にはホワイトスターに来て欲しいんだが」
何だかんだと、行冥のリハビリはそれなりに時間が掛かった。
その理由としては、やはり行冥がずっと盲目のままで視覚というのを初めて手に入れたからというのが大きいのだろう。
……実はそこにレーザーを使いこなす為の訓練とかが含まれていても驚きはしないが。
ともあれ、行冥のそんなリハビリも終わって、近々鬼殺隊に復帰する手筈となっていた。
レモンが言うには、リハビリの時間は一般人と比べるとかなり短いらしい。
この辺は行冥の高い身体能力や鋭い感覚が影響しているのかもしれないな。
そんな行冥と比べると、耀哉は呪いによって視力を失う前にはきちんと周囲の状況を見る事が出来ていたのだ。
ましてや、鬼と実際に戦う剣士達は視覚と身体の動きを合わせたりする必要がある行冥と比べて、耀哉は実戦に出るような事はない。
鬼殺隊がどういう風に動くのかといったような事を考えたりする必要はあるし、何よりも得られた情報から鬼舞辻無惨がどこにいるのかを推理するという役目がある。
特に耀哉にしてみれば、俺達シャドウミラーの協力を得て、更には神鳴流の協力も得られるようになったのだ。
鬼舞辻無惨のいる場所を発見すれば、俺の影のゲートを使って一気に戦力を送り込んで倒すといった真似も出来る。
だからこそ、耀哉にしてみれば無駄な時間を使いたくないという思いを抱いているんだろうが……視力を取り戻してからその辺を考えても十分に出来ると思うんだが。
この辺に関してはあくまでも自分の感覚が全てとなる。
耀哉にしてみれば、視覚のない今の状況の方が考えが纏めやすい……と思っているのかもしれないが。
杏寿郎を含めた他の者達にしてみれば、少しでも早く耀哉には治療をして欲しいと思っているのだろうが。
「お館様には、進言しておこう」
杏寿郎が俺の言葉に素直に頷く。
杏寿郎にしても、耀哉には出来るだけ早く呪いを解呪して少しでも長生きして貰いたいと思っているのだろう。
「頼むぞ。耀哉も柱から進言されれば、それを聞かないという訳にもいかない筈だ」
耀哉は鬼殺隊の隊員を自分の子供達といったように評している。
そうである以上、その子供達から少しでも早く解呪をして欲しいと言われれば、それに否と答えるような真似はしない……と思いたい。
実際にどうなのかは分からないが。
そうして杏寿郎と短く会話を交わしてから別れると、蝶屋敷に向かう。
刀鍛冶達が集まっている場所に顔を出してもいいんだが、向こうは今のところかなり忙しいだろうし。
下手に顔を出すと、それこそ日輪刀について色々と実験させられる可能性があった。
赫刀は取りあえず日輪刀の上位互換といった形で落ち着いたものの、俺が握った赫刀とはまた別の状態についてはまだ何も分かっていない。
刀鍛冶達にしてみれば、そんな俺の握った日輪刀が気になるのもおかしくはないだろう。
「あら、アクセル君?」
「千鶴? どうしたんだ、こんな場所で」
声の主は俺の恋人の1人にして、政治班の1人でもある千鶴。
実際には政治班以外にも木乃香と同じく治療魔法が得意という事もあり、忙しい場合はそっちにも手を貸すんだが……まぁ、今のところシャドウミラーが特にどこかと戦っている訳でもない以上、千鶴は政治班として鬼滅世界に来ているのだろう。
「ドロの件でちょっとね」
「ドロの? ……そっちの話も進んでたんだな」
オーラバトラーではなく……無理矢理に当て嵌めるのならUFO的な外見をしているドロは、鬼滅世界でもそれなりに使い勝手はいい。
勿論一般人に見られないようにするというのが大前提ではあるが。
これがオーラバトラーの類なら、どうしても人型である分だけ噂になりやすいんだよな。
ただし、ドロは移動手段であったり、山とかに隠れている鬼を炙り出すという目的ではそれなりに使い勝手がいいものの、純粋に鬼と戦うとなると牽制くらいしか出来ない。
いやまぁ、フレイボムの攻撃力はかなり強いので、鬼を殺すのは無理でも再生させるのに時間を使わせるという意味では結構役立つかもしれない。
あるいはドロは何気にそれなりの人数が乗れるので、どこかに急に強い鬼が姿を現したという時に纏まった戦力を空輸出来るというのも大きいだろう。
うん、こうして改めて考えるとドロは結構便利だな。
「ええ。近いうちにドロを鬼殺隊の人達が動かせるかどうか、試してみる予定よ」
「試す? 一応ダーナ・オシーはしのぶが操縦出来るのを確認したけど?」
「それでもよ。ダーナ・オシーはオーラバトラーという1人で動かす機体だし、それにしのぶさんというのは鬼殺隊の中でも柱という幹部の1人でしょう? それと比べると、今回貸し出すドロは色々と違うもの」
「なるほど。人数とかか」
ドロは基本的に乗っている全員のオーラ力を使って操縦するといった仕様になっている。
これはドロが開発された当時、1人で乗ってもオーラ力が足りなかった事から、ショットやゼットが改良した形となる。
そういう意味では、確かに鬼殺隊の普通の――柱ではないという意味で――剣士達が複数乗って、それで呼吸……正確には気の力を使って動かせるかどうか、試してみる必要があるのは明らかだった。
「具体的にどういう風になるのかは、まだ分からないけどね。多分鬼滅世界で試す事になると思うけど」
「……いいのか、それ?」
ドロは一見すると小さく見えるものの、何気にそれなりの大きさがある。
鬼滅世界に持ってきて使用出来るかどうか試すとなれば、間違いなく注目を浴びる。
まぁ、ここは鬼殺隊の隠れ里みたいな場所だから、もしドロを見てもそれは自分達が借りる兵器だと思えば、妙な真似をする奴はいないと思うけど。
寧ろ問題なのは、ドロが受け入れられるかどうかだよな。
ドロは性能はそれなりだが、外見が微妙に万人受けしない。
ショットやゼットも、一体何でああいう形にしたのやら。
いや、その理由は分かっている。
ドロは元々地上にいるガロウ・ランを攻撃する為に開発されたオーラマシンだ。
言ってみれば、必要な機能を持たせた結果としてああいう形になったのだろう。
ドレイクにしてみれば、必要な機能を有していれば十分だと思ったのだろうが……そのドロがこの鬼滅世界で受け入れられるかどうかは、また別の話となる。
「いいのよ。貸せば鬼殺隊で使う事になるんだもの。なら、今のうちからしっかりと慣れておいた方がいいでしょう? 今後の事を考えると、シャドウミラーの機体に慣れておいて貰った方がいいし」
慣れると言っても、シャドウミラーは多くの世界から技術を集める為に、その兵器とかも集めている。
つまり、シャドウミラーで使用されている機体にも複数の種類がある。
具体的には、KMFとPTでは大きさからして違うし。
オーラマシンだって生物兵器的な一面を持っているのが特徴だが、それに慣れたからといって他の兵器に慣れるとはいかないんだよな。
とはいえ、鬼滅世界ではオーラマシンが使いやすいのは間違いない。
何よりもエネルギー源がオーラ力で、推進剤の類が必要ないというのが大きい。
UC世界のMSだと、推進剤がなくなればろくに動けなくなるだろうし、KMFの流体サクラダイトは消耗が激しい。
他にも色々な兵器はあるものの、総合的に見て鬼殺隊で使うのに便利なのはやっぱりオーラマシンなんだよな。
「その辺は千鶴に任せる。ああ、そうだ。一応聞いておくけど、技術班に話は通してあるんだよな?」
技術班は今までの科学技術で開発されたロボットではなく、生体兵器的な側面を持つオーラマシンに強い興味を示していた。
技術班にしてみれば、今までとは全く違う技術で開発された系統の機体なのだから、無理もないだろうが。
それだけにオーラマシンを勝手に持ち出すといったような真似をした場合、技術班の方で問題になるかもしれない。
もっとも、ドロは結構な数を確保してあるので、数機くらいなくなっても構わないだろうが。
「その辺は問題ないわ。ちょっと見てきたところだけど、現在技術班はウィル・ウィプスだったかしら? それを修復するのに夢中になっていたみたいよ」
「それは……また……」
ウィル・ウィプスはオーラバトルシップの中でも一番初めに作られた艦であると同時に、オーラバトルシップの中では最もバランスがいい作りとなっている。
ヨルムンガンドは後方での運用に特化されているし、ゲア・ガリングは一応前線でも戦えるが、どちらかと言えば後方で空母的な使い方を考えられている。
ゴラオンは攻撃という一点では非常に高い完成度だが、それはつまり攻撃に偏りすぎているということを意味していた。
グラン・ガランはそもそも移動する宮殿といった形で、戦闘には向いていない。
そう考えると、やっぱりウィル・ウィプスは一番バランスのいいオーラバトルシップとなる。
もっとも、俺達との戦いで相応に傷つき、最終的にはゴラオンの攻撃でブリッジが消滅して海中に沈んでいったが。
あのウィル・ウィプスを修復するとなると、技術班の面々でも結構手間だろう。
まずはオーラマシンがどのように動いているのかといったことを把握し、オーラマシンについての技術を習得する必要がある。
今までなら大抵はその世界から技術者を引き抜いてきたりしていたし、そこまでいかなくても基本的に科学技術を使って設計されていたので、ある程度は何とか出来た。
しかし生物兵器的な性質を持つオーラマシンが相手となれば、技術班でも結構苦戦すると思うんだが。
……苦戦をしても、技術班は天才揃いである以上、どうにか出来るのは間違いないと思うけど。
「完成したら、シャドウミラーの戦艦が増えるわね」
「そうなるな。とはいえ、すぐにどうこうといったような使い道はないだろうけど」
これで、実は宇宙要塞とかそういうのなら、UC世界の月の周辺とか、もしくはペズンの近くに護衛として配置してもいいのだろう。
しかしウィル・ウィプスはオーラバトルシップであっても、宇宙要塞ではない。
というか、今更の話だけどオーラバトルシップって宇宙で使えるのか?
その辺は後で色々と調べてみた方がいいかもしれないな。
ともあれ、ウィル・ウィプスだ。
まさか鬼滅世界でウィル・ウィプスを使うなんて真似は、とてもではないが出来ないしな。
大正時代にそのような真似をした場合、それこそ日本が混乱してしまうのは間違いない。
「暫くはウィル・ウィプスが完成しても、技術班が色々と調査するでしょうね。ウィル・ウィプスはオーラバトルシップの基本なんでしょう? なら、オーラバトルシップを調べる上で一番重要でしょうし」
「それは……まぁ、そうかもしれないな」
千鶴の言葉に思わず納得する。
実際、オーラバトルシップを調べるという意味ではウィル・ウィプスが一番いいのは事実なのだから。
それに、何かあった時に使うという意味でもウィル・ウィプスを含めてオーラバトルシップを解析しながら修理した方がいいのは、間違いなかった。
もっとも、戦艦というか軍艦という意味ならトライロバイト級やヤンマ、ミネルバ……それ以外にも色々とストックはあるのだが。
そんな風に考えながら、俺は千鶴と会話をするのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730