「駄目ね」
日輪刀を最初に握ったのは、凛。
だが、その凛が日輪刀を握っても特に色は変わらない。
呼吸が使えないからか、それとも魔術の影響か、はたまたFate世界からの影響か。
その辺りの可能性は色々とあるが、とにかく俺の予想だった鬼滅世界以外の人間が日輪刀を握ると、炎の呼吸の使い手とはまた違った色の赤になるという予想はあっさりと外れてしまった。
「いきなり俺の仮説が外れたか。あー……どうする? まだやるか?」
まさか1人目でいきなり失敗というのは予想外だったが、とにかく仮説が外れたのだから、これ以上やっても意味がないのでは? と、ひょっとこのお面を被った刀鍛冶達に尋ねる。
だが、刀鍛冶達はそんな俺の言葉に首を横に振る。
「いえ、アクセル王の仮説は外れましたが、出来れば他の人にも試してみて欲しいです。もしかしたら、アクセル王とは違う理由で何らかの別の反応を示す人もいるかもしれませんから」
「そういうものか? ……まぁ、俺は構わないけど。どうだ?」
他の面々に尋ねてみるが、それに反対する者はいない。
何だかんだと、日輪刀に興味を持っているのだろう。
「そんな訳で、全員が問題ないらしい」
「ありがとうございます。では、次はそちらの男性がお願い出来ますか?」
「あ? 俺か?」
まさか荒垣は自分が指名されるとは思っていなかったのだろう。
意外そうな様子を見せる。
「はい。アクセル王は男ですよね?」
「……そうね」
何故か刀鍛冶の言葉に同意したのは、荒垣ではなく美砂。
それどころか、円や凛、綾子もまたその言葉に頷いていた。
頬を薄らと赤くしているのを見れば、一体何を考えて今のような事を言ったのかは明らかだった。
多分、昨夜の件を思い出しての言葉なんだろう。
とはいえ、その辺りの理由が分かるのはあくまでも俺や美砂達だからこそだ。
刀鍛冶は一体何で美砂がその言葉に同意したのか、不思議そうな表情を浮かべている。
荒垣にははっきりとした理由は分からないのだろうが、それでも何となくその辺りの理由については予想出来ているのか、呆れの視線を俺に向けていた。
そんな荒垣の視線をスルーして口を開く。
「そうだな。もしかしたら、異世界の男という理由で日輪刀の色が今までとは違った形になる可能性もある。それを確認してみてもいいんじゃないか?」
「分かったよ。別に嫌だとは言ってねえだろ」
そう言い、荒垣は凛から日輪刀を渡され、それを握る。
だが……荒垣の握った日輪刀は、凛の時と同じように何かが変わるといったようなことはない。
「駄目、ですか」
刀鍛冶の1人が、残念そうな表情で呟く。
異世界の男なら刀身の色が変わるかもしれないと、そう思っていったのだろう。
「悪いな。……で、どうする?」
荒垣の言葉に、美砂、円、綾子の3人に視線を向ける。
日輪刀をまだ握っていないのは、この3人だけなのだから当然だろう。
「美砂か円だな。Fate世界出身という意味では、凛が握ったし」
「別にいいけどね。どうせ早いか遅いかの違いでしかないんだし」
綾子はそう言い、特に不満はないといった様子を見せる。
そうなると次は誰が日輪刀を握るかという事になるが、美砂が先となる。
結局は日輪刀を握るだけでしかないのだから、別にどちらが先でも構わないと思ったのだろう。
「駄目ね。アクセル君、次はどうするの?」
「円で頼む。この状況だし、どうせなら最後は半サーヴァントの綾子にやって欲しいし」
「いいけどね、別に」
ここまでやって全員が駄目である以上、残る可能性としては綾子なのだが……そこまで考えたところで、ふと思い出す。
そう言えば異世界云々といった訳ではなく、俺が強く握ったのも色が変わったのに影響していたなと。
「円、今更だけど日輪刀の柄を握る時にかなり力を入れてくれ」
「え? 何でいきなり? まぁ、いいけど。……具体的にどれくらいの力を?」
「あー……そうだな。俺もそれなりに力を込めていたから、身体強化をしてしっかりと力を込めてだ」
「アクセル君、何で今更そんな事を言うのかしら?」
俺の言葉を聞くと、円ではなく美砂が不満を口にした。
美砂にしてみれば、力を入れるのなら自分でも十分出来たのではないかと、そう思ったのだろう。
実際にネギま世界の魔法界においては拳闘士として活動していた経験があり、美砂も円も魔力で身体強化をする事は普通に使える。
「悪いな、ちょっと忘れてた。……円、頼む」
「分かったわ」
そう言い、魔力による身体強化を使った円は日輪刀の柄を握る。
『おお』
次の瞬間、円の握った日輪刀の刃は赤くなる。
ただし、赤は赤ではあるが俺が握った時の赤や炎の呼吸の使い手である杏寿郎の赤ともまた違う、別の赤。
同時に俺が握った日輪刀との最大の違いは、日輪刀の刀身からそれなりに強力な熱として発せられている事だろう。
「これは……私が?」
戸惑った様子で呟く円の声が周囲に響く。
円にしてみれば、まさか身体強化を使って日輪刀の柄を握るとこのような事になるとは思っていなかったのだろう。
「ああ。で、その日輪刀はどんな感じだ?」
「どんな感じって言われても……別にそこまで違和感の類はないわね。ただ、日輪刀からの熱が結構強いと思うわ」
そう言い、日輪刀を見る円。
他の面々もそんな円が持つ日輪刀に視線を向けていた。
「取りあえず握っている力を緩めてみてくれ」
「ええ」
円は頷き、日輪刀の柄を握っていた手の力を緩める。
すると赤くなり熱を発していた日輪刀は、暫くはそのままだったものの、それでも少し時間が経つと刃の色が消え、熱もなくなっていく。
「……綾子、頼む」
他の誰かが何かを言うよりも前に、俺は綾子にそう告げる。
もしここで誰か他の者……特に刀鍛冶達が何かを言うのを待っていたら、間違いなく面倒な事になるだろうと判断した為だ。
そうなるよりも前に、出来るだけ早く日輪刀を別の者……綾子に渡す必要があった。
ましてや、円への一件で力を込めれば刀身の色が変わるというのははっきりとしたのだから。
「ええ、任せて」
円が握った時に刀身の色が変わったとなると、綾子が握った時にどうなるか。
俺が握った時と円が握った時の日輪刀の様子が違うのは、あるいは人間と人外であるというのも関係している可能性はあった。
であれば、完全な人外の存在である俺はともかく、半サーヴァント……つまり半分は人間である綾子の場合はどうなるのか。
そう思いながら見ていると、綾子は円と違って特に身体強化をしたりせず、日輪刀の柄を握る。
『おおおおおおおおお』
再び刀鍛冶達の口から歓声が上がった。
それは、綾子の握った日輪刀が熱を持ち赤く染まり……つまり、円が握った時と同じ状態になっていた為だ。
……何でだ?
いやまぁ、綾子の握った日輪刀が変わったのはいい。
だが、人間かそれ以外で結果は違うという俺の仮説は、再び外れたという事になる。
もしくは綾子が半サーヴァントだったからこそ、その半分の部分が人間側に分類された可能性もあるが。
ともあれ、この様子だと異世界から来た存在が握力で強力な力を日輪刀に加えると、こうして赤くなる……のか?
「ちょっといいか?」
再現された熱を持った日輪刀の様子について話し合っていた刀鍛冶の1人に声を掛ける。
ちなみに綾子が握っていた日輪刀は既に手を放されているが、まだ熱を持ったままだ。……急激に温度が下がってきてはいるが。
「はい、何でしょう?」
一瞬面倒そうな声で返事をした刀鍛冶だが、それでも相手が俺……色々な意味で鬼殺隊にとって重要な人物であるというのは理解しているのだろう。すぐに面倒そうな色は消えた。
刀鍛冶達にしてみれば、日輪刀に起きた未知の現象だ。
出来るだけ早く解明したいし、その話し合いに参加したいのだろう。
それが分かるだけに、俺も単刀直入に尋ねる。
「力を入れるとああいう現象が起きるという事が判明した訳だが、今まで鬼殺隊の中でこういう現象が起きた事はないのか?」
「ないですね。少なくても私達には伝わっていません」
「だとすれば、あの現象は鬼殺隊の剣士では起こせないと?」
「どうでしょう? 実際に試してみないと何とも言えません。ただ、今までの歴史を考えれば、その可能性はあるかもしれません」
「一度試してみたらどうだ?」
「試すと言われても……それはちょっと難しいと思います。実際、今まで多くの者が日輪刀を使ってきており、鬼を攻撃する際には柄を強く握っていた筈ですから。だというのに、その辺についての情報が全くなかったのを考えると……」
言葉を濁す刀鍛冶。
刀鍛冶にしてみれば、日輪刀には今まで知らない奥が存在したというのは嬉しいものの、それを起こせるのがシャドウミラーの者だけだという事に思うところがあるのだろう。
「お前の気持ちは分かる。分かるが、もしかしたらこの鬼殺隊の剣士でもその辺はどうにかなるかもしれないぞ?」
「本当ですか!?」
刀鍛冶の声が周囲に響く。
その声に、先程の現象について話し合っていた他の刀鍛冶達も俺に視線を向けてきた。
「あくまでも可能性だ。……もしかしたら、異世界云々とは関係なく、純粋に柄を握る力が強力ならそれで十分だという可能性もあるしな」
「いえ、ですから……」
「分かっている。それなら今までその情報が残っていないのが不思議だと、そう言いたいんだろう?」
その言葉に何度も頷く刀鍛冶。
実際に鬼殺隊の剣士達を知ってるからこそ、鬼殺隊の剣士ではそのような真似は出来ないと、そう考えたのだろう。
「呼吸を使って身体能力を上げた鬼殺隊の剣士の握力でも、あの刀を赤くする現象には力が足りなかっただけ。そういう可能性はないか?」
これは、ある意味逆転の発想と言ってもいいだろう。
だが、俺のそんな言葉に話を聞いていた刀鍛冶は動きを止める。
ひょっとこのお面で表情は見えないが、現在その頭の中では色々なことを考えているのだろう。
それは俺と話していた刀鍛冶だけではなく、他の刀鍛冶達も同様だ。
今の俺の言葉が真実かどうかを考えている。
「もしかしたらアクセルの言葉は当たってるかもしれないわね」
そう言ったのは美砂。
そんな美砂の手の中には日輪刀があり、円や綾子が握った時と同様に刀身が赤く、そして熱を放っていた。
先程日輪刀を握った時は、特に何も起きなかった。
だが、今は円や綾子の時と同じように、刀身が赤く染まり、熱を放っている。
当然だが今の美砂は円と同じように魔力を使って身体強化をしていた。
「美砂、ちょっと貸してくれる?」
そう言い、凛が美砂から日輪刀を借りると、こちらもまた魔力を使って身体強化を行い、日輪刀を赤くする。
魔術が得意な凛だったが、別に魔術だけしか使えないという訳ではない。
ネギま世界の魔法も普通に使いこなすので、当然のように魔力を使った身体強化も出来る訳だ。
ただし……
「ふん」
微妙に面白くなさそうな表情をしているのは、荒垣。
荒垣は正式にはシャドウミラーに所属している訳ではなく、言ってみれば外部協力員とでも呼ぶべき立場だ。
その為にエヴァとの戦闘訓練をする事が出来ず、当然ながら生身での戦闘力という点では、実はシャドウミラーの先遣隊の中では一番弱かったりする。
それでもペルソナを使えば相応の実力を持ってはいるのだが。
そしてペルソナを使えば、ある程度身体強化もされる。
勿論、その身体強化は魔力を使った身体強化に比べれば数段劣るのだが。
そしてそんな荒垣であっても、鬼殺隊の剣士と模擬戦を行うには十分な実力を持っている。
「気にするな」
「おい、別に俺は落ち込んでなんかいねえぞ」
俺の言葉に何を感じたのか、不満そうな様子で荒垣が言う。
とはいえ、荒垣が不満そうな様子は間違いなく日輪刀の刀身の色を変えられない件だろうし。
そう考えれば、今のこの状況ではあまり説得力はない。
「荒垣の強さは、ペルソナにあるだろ。実際、もし鬼と戦ってもペルソナを出せば間違いなく驚くだろうな。混乱してしまえば、そこを倒すのは難しくはない。違うか?」
例え鬼であっても、ペルソナを前にすれば間違いなく混乱するだろう。
あるいは血鬼術という風に誤認する可能性も……うーん、どうだろうな。
ありそうだとは思うが、だからといって確実にそうだとは思えない。
その辺に関しては、実際に鬼を相手にペルソナを使ってみるまでは分からないし、ペルソナを見た鬼も個体によって反応は違ってもおかしくはなかった。
裏切り者の鬼が使った血鬼術であると認識したり、あるいは血鬼術であるとも思えず、何が何だか分からないといったような状況になったり。
とにかく、実際に鬼に対して使ってみないと分からない。
それがペルソナであり……俺や俺以外の面々が日輪刀を握った時に刀身に起こった現象についても同様だった。
あとは、鬼殺隊の剣士によって強く握った時に同じような事が出来るかどうかだな。
俺の仮説は色々と外れたものの、鬼滅世界以外の者が日輪刀を強く握った時にあのような現象が起きるのか、それとも鬼滅世界の人間でも同じように日輪刀の刀身の色が変わるのか……その辺は本当に色々と試してみる必要があった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730