転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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3071話

 耀哉の許可を貰い、エヴァの説得……説得? あれを説得と表現してもいいのかどうかは微妙なところだが、とにかく耀哉が出来るだけ早いうちに治療や解呪を受けるといった事が決まると、俺はエヴァを連れて早速蝶屋敷に行く事にした。

 行く事にしたのだが……

 

「うん、どうやらまだ機能回復訓練には苦戦してるようだな」

 

 炭治郎、善逸、伊之助の3人が、廊下でうなだれているのを見つけてそう言う。

 以前来た時と全く同じ光景だった。

 いやまぁ、善逸がそこに加わってるのが若干の違いかもしれないが。

 ただ、善逸は女にモテる為に、鬼殺隊の剣士として真面目に行動するように言っておいたのだが……そんな善逸でも駄目だったらしい。

 あるいは、量産型Wが機能回復訓練に出るようになったとか?

 

「あ、先生!」

「……先生?」

 

 善逸のその言葉に、エヴァは訝しげに俺を見てくる。

 俺が先生と呼ばれることに違和感があったのだろう。

 あれ? これってもしかして師匠と呼ばれなかったのは運がよかったのか?

 エヴァの性格を考えれば、自分が戦い方を教えるといったような真似をするのだから、自分が師匠と呼ばれるのはともかく、俺が師匠と呼ばれるのを見れば面白くないだろう。

 元々、炭治郎達を鍛えるのは決してエヴァが自分で進んで行おうとしている訳ではない。

 そうである以上、この辺はしっかりとしておいた方がいい。

 

「ちょっと待っててくれ。……善逸、こっちに来い」

「え? あ、ちょっ!」

 

 半ば強制的に善逸を引き連れ、一度その場から離れる。

 そうしてエヴァ達のいる場所から十分に離れると、そこで俺は口を開く。

 

「いいか? 今までは、俺の事を師匠や先生と呼んでいたが、これからは師匠は禁止だ。呼ぶのなら先生と呼べ。……名前で呼んだ方が気楽でいいんだがな」

「え? えっと、ししょ……いえ、先生。一体どういう事なんですか?」

「俺と一緒に来たあの2人。どういう奴か分かるか?」

「ええ、2人共人じゃないですよね」

 

 どうやら善逸の耳はその辺の情報についてもしっかりと受け取っていたらしい。

 それでも最初に俺と遭遇した時のように騒がなかったのは、善逸が成長したからか、それともエヴァと茶々丸が女だからか。

 ともあれ、今のこの状況は決して悪くない……と、そう思いたい。

 

「そうだ。小さい方がエヴァ。吸血鬼……簡単に言えば、こことは違う世界の鬼だ。茶々丸の方は、魂を持っている人形だ」

「え? ……人形?」

 

 エヴァの存在よりも茶々丸の方を気にするのは、善逸の趣味によるものだろう。

 実際、茶々丸は一見すれば人形……ロボットの類には見えないしな。

 

「ああ。もっとも、当然ながら普通の人形じゃない。シャドウミラーの魔法の力によって、ああいう感じになっている」

 

 実際にはシャドウミラーの魔法ではなく、あくまでもネギま世界の魔法なのだが。

 それに茶々丸を作ったのは、シャドウミラーではなく葉加瀬や超といった面々だ。

 とはいえ、その辺を正直に言えばどれだけ時間が掛かるか分からないし、何よりも女子中学に何故か俺が通っていたというのを聞けば、血涙を流しそうだしな。

 何しろ善逸とあの当時のあやか達は、年齢的にそう離れていないし。

 ……あ、そう言えば禰豆子も同じような年齢なのか。

 とはいえ、禰豆子に関しては今は様子を見るしかないしな。

 

「ともあれ、だ。あっちのエヴァは外見とは裏腹にかなりの強さを持つ。それこそ、本気で戦った場合は俺でもなかなか勝てないくらいにな。……善逸にも分かりやすく言えば、柱が何人か本気で戦って負けている」

 

 実弥はともかく、行冥はリハビリ中で、しかも日輪刀――鉄球だが――を持っていない状況での戦いだった。

 それを思えば、俺の言葉は少し大袈裟かもしれないが。

 ただ、実際にエヴァが本気になれば柱全員と戦っても勝てると思う。

 そのくらいの実力が、エヴァにあるのは間違いなかった。

 もっともエヴァの外見であったり、普段の性格を見ている限りでは俺の言葉を素直に納得するような真似は出来ないかもしれなかったが。

 

「そんなに強いんですか?」

「ああ、それについては俺が保証する」

「分かりました。先生の言う事ですし、納得します」

 

 本当に心の底から俺の言葉を信じているといった様子の善逸。

 善逸の様子を見る限り、これは本気で言ってるのだろう。

 それが十分に分かってしまう。

 こんなに簡単に俺の言葉を信じてもいいのか?

 そう思わないでもなかったが、善逸だからという事で納得は出来てしまう。

 

「なら、それでいい。……じゃあ戻るぞ」

 

 取りあえずこれで善逸がその場の勢いとかで俺を師匠と呼ぶような事はないだろう。

 であれば、これでエヴァが機嫌を損ねるといったような事はない筈だ。

 その事に安堵しながらエヴァ達のいる場所に戻ったんだが……

 

「何をしてるんだ?」

 

 そこで行われていた光景に、思わずそう告げる。

 何しろそこでは、伊之助が床に倒れており、その身体の上にはエヴァの足が乗っっていたのだ。

 伊之助は必死になって自分を踏んでいるエヴァを退けようとしているものの、エヴァはそんな伊之助を気にした様子もなく、笑みを浮かべていた。

 

「アクセル、戻ってきたのか、いや、この獣が自分の立場を弁えていないのでな。身の程を教えてやっているところだよ」

 

 伊之助の性格を考えると、エヴァの言葉にはどこか納得出来るところがある。

 俺が最初に会った時の伊之助は大人しかったものの、それはあくまでも戦いで負けて自信を喪失していたのが理由だった。

 そうである以上、その落ち込みから立ち直れば元気な……元々の伊之助の性格になるのは当然だった。

 そんな伊之助にとって、エヴァという相手は突っかかるのに最適だったのだろう。

 エヴァも傲岸不遜といった性格をしており、そういう意味では伊之助との相性は決してよくない。

 そのような2人がぶつかりあった結果が、現在俺の前に広がっている光景らしい。

 とはいえ、俺と善逸が話している間は全く戦いらしい音はしなかった。

 それを考えると、恐らく伊之助は手も足も出ずエヴァにやられたといったところか。

 

「獣じゃなくて、伊之助な。……伊之助、お前も何でまたエヴァに突っかかったんだ?」

「猪突猛進!」

 

 エヴァに踏まれた状態ではあったが、伊之助はそう叫ぶ。

 いや、ここで猪突猛進って叫ぶのはどうよ?

 

「取りあえず落ち着け。エヴァにはお前達を鍛えて貰う為に来た……善逸、茶々丸に目を奪われてないで、こっちを見ろ」

「でも先生……」

 

 茶々丸は人形だけにその外見はかなり整っている。

 葉加瀬やエヴァ、あるいは技術班の力によって、関節部分とかも目立たないようになっており、より人間らしくなっていた。

 そんな茶々丸だけに、善逸が目を奪われるのも分かる。

 さっき向こうで話していた時も、善逸の興味はエヴァじゃなくて茶々丸に向けられていたしな。

 そう思えば、この状況は当然の結果なのか?

 

「ここでがっつくような真似をするな。お前は女にモテたいんだろう? なら、今はまずしっかりとこっちの話を聞け。そうすれば、茶々丸もお前を好意的に見る……かもしれない」

 

 最後の方だけは小声で言ったものの、聴覚の鋭い善逸には当然のように聞こえていたらしい。

 不満そうな視線をこちらに向けてくる。

 とはいえ、実際茶々丸にしてみれば善逸をそういう対象としては見ていないのも事実だ。

 そんな茶々丸を振り向かせたかったら、まずはエヴァと友好的にやる必要がある。

 

「善逸と伊之助はこの調子でいいとして、炭治郎はどうなんだ? エヴァから戦闘訓練をつけてもらう事に異論はないのか?」

「はい、強くなれるのなら……それに禰豆子の為にも……」

 

 最後まで言うようなことはなかった炭治郎だったが、その言葉の意味は十分に理解出来る。

 炭治郎にしてみれば、何としてでも禰豆子を人に戻す為に強くなる必要があった。

 鬼と戦うには、強さが必要なのだから。

 そういう意味で、エヴァの存在を一番素直に受け入れられたのは炭治郎なのだろう。

 そんな炭治郎の様子に、エヴァは微妙な表情を浮かべる。

 真面目だというのはエヴァも分かっているのだろうが、同時に炭治郎はどこかネギと似ている真面目さを持つ。

 とはいえ、ネギは外見上は真面目であっても、実際にはそこまで真面目といった訳でないのだが。

 その心の奥底にあるのは、復讐といった気持ちだったらしいし。

 そんなネギと炭治郎は、本質という意味ではやはり似ていないのだろう。

 だが、外から見た限りではそれなりに似ているところもあるように思え、それが今のエヴァの表情の理由だった。

 

「エヴァ」

「分かっている。約束は守る。それに……この者達、それなりに面白いしな」

 

 ニヤリとした笑みを浮かべるエヴァ。

 炭治郎達は、意味も分からずに何故か寒くなったように一瞬震えたが……うん。まぁ、それに関しては俺からは他に何も言うつもりはない。

 実際、エヴァの訓練はかなり厳しいだろうが、その訓練を無事に終えれば十分に強くなれるのは間違いないのだから。

 ただ、それはあくまでもエヴァの訓練を無事に終えればの話だが。

 

「頑張れよ。エヴァはシャドウミラーの戦闘訓練の教官だ。あくまでも生身での戦いだがな」

「こんな子供がか!?」

「貴様……縊り殺されたいか?」

 

 エヴァに踏まれて身動き出来ない伊之助だったが、それでもエヴァに向かって悪態を吐くのは止めない。

 本当にこの2人、相性が悪いな。

 類は友を呼ぶ……いや、この場合はちょっと違うか?

 とにかく、エヴァの訓練が上手くいくかどうかは、伊之助とエヴァの相性に関わっているような気がしないでもない。

 現実にはエヴァと伊之助の間には埋め切れない程に大きな実力差がある。

 そうである以上、伊之助がエヴァに食ってかかっても、あっさりと倒されてそれで終わりだろう。

 

「善逸、伊之助を上手い具合にコントロールしてエヴァの訓練を無事に進めれば、茶々丸から頼りになる男だと認識される可能性があるぞ」

「え……それは……」

 

 俺の言葉に、善逸の視線が一瞬茶々丸に向けられる。

 もしかしてと、そんな万が一の可能性を考えているのだろう。

 とはいえ、そう簡単に茶々丸をどうこう出来るとは限らないが。

 

「炭治郎。この3人の中ではお前が一番真面目だ。そうである以上、お前がこの3人を纏めていく形になると思う」

「頑張ります」

 

 決意を込めた表情で、そう断言する炭治郎。

 実際、この3人の中で誰がリーダーシップを取れるかと言われれば、やはりそれは炭治郎しかいないだろう。

 俺としては、結局のところ炭治郎が皆を引っ張るという形になると思う。

 問題なのは、エヴァがそんな炭治郎にどんな風に対応するかなんだよな。

 何だかんだとエヴァはネギを結構可愛がっていた。

 炭治郎ともそういう関係を築いてくれれば、俺としては言うこともないのだが。

 

「エヴァ、そんな訳でこの3人の訓練を任せるぞ。とはいえ……俺達がここに来た時の様子だと、まだ機能回復訓練の方は攻略出来ていないんだろう? 正式な訓練は機能回復訓練が終わってから……」

「いや、同時進行だ」

 

 俺の言葉を遮るように、エヴァはそう告げる。

 そんなエヴァの様子に、再び炭治郎達の身体が一瞬震えたように思えたものの、今はその辺については考えないことにする。

 先程から何度も言ってるように、エヴァの修行を無事に終えれば間違いなく強くなれるのだから。そう、間違いなく。……無事に終わればだが。

 

「同時進行? そんな真似が出来るのか?」

「呼吸というのを私は知らないからな。いや、柱だったか? あの連中が使っているのを見た事はあるが、言ってみればそれだけでしかない。だからこそ、この連中の様子を見て、呼吸について学びたい……うん?」

 

 話していたエヴァは、不意に視線をとある方向に向ける。

 それとほぼ同時に俺もそちらの方に視線を向け……すると、その視線の先からはしのぶが歩いて来た。

 その後ろには量産型Wが2人いて、まるで秘書か護衛のように付き従っている。

 しのぶはどうやら、量産型Wの優秀さを気に入ったらしい。

 

「お前は……以前ホワイトスターで会ったな」

「はい」

 

 しのぶを見たエヴァがそう声を掛けると、しのぶも笑みを浮かべて頷く。

 だが、そんなしのぶの様子を見て、エヴァは微かに目を細める。

 他の者達には分からなかったかもしれないが、それはエヴァがしのぶに対して何か思うようなことがあるということの証明でもあった。

 他の者達はそんなエヴァの様子に分からなくても、そのような視線を向けられたしのぶは、その視線の意味を知ったのか、不思議そうに首を傾げる。

 

「どうしました? 私、何か失礼なことでもしてしまったでしょうか?」

「違う。……ふんっ、私に何故そのような目で見られているのかは、お前が一番知ってるだろう? お前、そのままだとそう長くないぞ」

 

 そう、エヴァはしのぶを見て断言するのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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