太陽の近くから持ってきた鉱石については、取りあえず刀鍛冶達に任せる事になった。
結局俺が岩塊を置いた場所の近くに、臨時で刀鍛冶達が色々と試す為の建物も用意されていた。
この辺は、耀哉が必要になるだろうと判断して、用意していたらしい。
読みの鋭さはさすがだな。
本来なら刀鍛冶の里に俺を連れて行って、そこで岩塊を出した方が一番早いのだろうが……耀哉個人としてはともかく、鬼殺隊を率いる者として、刀鍛冶の里についてはまだ知られたくないらしい。
この辺については、鬼殺隊という組織全体を考えた場合は仕方がないと思う。
耀哉にしてみれば、俺を刀鍛冶の里に連れて行くのは問題ないと考えているのだろうが、鬼殺隊の中にそれを心配するような者がいると言われると、耀哉としてもそれに配慮する必要があるのだろう。
勿論、耀哉は鬼殺隊の中でも絶対的なカリスマ性を持つ。
そうである以上、耀哉がどうしてもといったように言えば、それに否と言えるような者はそういない。
だが、だからといって耀哉が全てを強引に進めてしまうのは、色々と不味いのも事実。
俺が刀鍛冶の里に一度行けば、その場所をしっかりと理解出来るので、影のゲートであっさりと移動出来るようになってかなり便利になるんだが。
俺と接触した刀鍛冶が存在しない以上、俺を警戒するのは当然なのかもしれないが。
今回のこの岩塊の件で俺を認めてくれると嬉しいんだが。
「で、それはともかく……岩塊の方はどうだった?」
「そうね。未知の金属はあったわ」
レモンが俺の問いにそう答える。
当然の話だが、太陽の周辺から入手した岩塊の全てを刀鍛冶達に渡してきた訳ではない。
とはいえ、俺には岩塊にある金属が一体どうなっているのかは分からない。
そうである以上、その岩塊の中に金属があるかどうかは完全に運でしかなかったのだが、幸いな事に問題はなかったらしい。
とはいえ、太陽の光を受けて生まれる金属であると考えれば、岩塊の中に金属があるのはおかしな話ではないのかもしれないが。
「その金属はやっぱり鬼滅世界独自の金属か?」
「ええ。キブツで作ろうとしても出来なかったから、それは間違いないわ」
キブツは元素変換を行う事によって、基本的に作れない物はない。
そんな中で唯一の例外が、その世界特有の物だ。
そのキブツで作れないというのは、それはつまりレモンが岩塊から見つけた金属は鬼滅世界独自の金属であるということを示している。
とはいえ、この場合はそこまで惜しいといったような思いはない。
何しろこの金属……恐らく猩々緋砂鉄や猩々緋鉱石といった類であるのは間違いない。
刀鍛冶達からの話を聞いたところによると、地球で発掘出来る物より純度が高く、場合によってはそれぞれの上位互換であるといった意見も出ていた。
それが正解なのかどうかは、正直なところ俺には分からない。
分からないが、ともあれ猩々緋砂鉄や猩々緋鉱石の類を入手出来たというのは、シャドウミラーにとっては大きい。
俺が見たところ、太陽の周辺にはまだかなりの岩塊がある。
そして当然ながら、現在の鬼滅世界でそこまで岩石を取りに行けるのは俺だけだ。
つまり、太陽の周囲に存在する猩々緋系統の鉱石は実質的に俺が独占出来る。
……とはいえ、これだと鬼滅世界から一方的に搾取するといったような感じになるから、後で何らかの補償をした方がいいだろうな。
量産型Wやコバッタの貸し出しを割安にしてもいい。
その分の利益は十分に出ているのだから。
「しのぶの調薬技術の方はどうなっている? 量産型Wの方で経験や知識は蓄積出来ているのか?」
「出来てはいるようだけど、順調とは言えないわね」
「何でだ? 調薬技術ってのはそこまで難しいのか?」
「ええ、難しいわ。何しろその日の気温や湿度によって調合する薬の量が微妙に変わっていたし、薬を調合している時のちょっとした手の動きによってその薬の効果が大きく変わったり、そんな感じなんだから」
「それは、また……」
しのぶのやっている調薬技術というのは、そこまで凄かったらしい。
まぁ、しのぶの使っている薬の効果……蜘蛛っぽくなった者達を治療することが出来るのだから当然かもしれないが。
「実際にしのぶをホワイトスターに招待して、しっかりと調薬技術について習った方がいいかもしれないわね」
「そうだな。そう出来ればいいんだが。鬼滅世界の今の状況を見る限り、しばらくの間は少し難しいだろうな。……耀哉の件と同様に」
「そう。そうなると、調薬技術はもっと長い目で見た方がいいと思うわ」
しのぶの調薬技術よりも、耀哉の治療の方が重要なのは間違いなく大きいだろう。
そうである以上、レモンの言うように調薬技術の習得はもう少し後にした方がいいと思うし。
「話は変わるけど、行冥の方はどうなった? 行冥の性格からすると、かなり頑張ってるだろうけど」
行冥としては、少しでも早くリハビリを終えて鬼滅世界に戻りたいのだろう。
とはいえ、まだリハビリが終わっていない状況で鬼滅世界に戻っても、行冥の実力を最大限に発揮するといったことが出来なければ戻る意味はない。
レーザーとかの使い方は、上手い具合に使いこなせるようになればいいんだが。
「かなり頑張ってるわよ。ただ、急に視覚を得た事によって、まだ感覚がきちんとはしていないみたいね」
「それはそうだろうな。これが生まれた時は普通に見えていて、何らかの事故や病気、怪我といった理由で盲目になっていたら、話は別だったんだろうが」
とはいえ、そうなると見えなくなった時に受けた衝撃とかはかなり大きいだろう。
生まれた時から盲目だったから、そういうものだと認識出来ていたのが、突然見えなくなるというのはかなり痛い。
そういう意味では、耀哉はそのタイプだが……耀哉の場合は、そういう風なのも受け入れる覚悟のようなものがあるんだよな。
さすが鬼殺隊を率いる人物だという事か。
そのような人物だからこそ、鬼殺隊の面々からもお館様と慕われているのかもしれないが。
「取りあえず……政治班に頼んで、ネギま世界に応援を頼むか?」
「神鳴流?」
「ああ。鬼を倒すのなら、神鳴流の存在はこっちにとって悪い話じゃないだろ」
「でも、いいの? かなりグレーな行為よ?」
レモンが何について言ってるのかは、理解出来る。
基本的に異世界間貿易を行っている世界において、兵器の輸出は禁止している。
勿論何が何でも絶対に禁止という訳ではなく、マブラヴ世界のように地球そのものが危機に瀕している状況であれば、輸出が許可される事もある。
しかし、鬼滅世界は鬼という存在がいるものの、とてもではないが世界全体の危機といった訳ではない。
言い方は悪いが、日本という国に百匹以上の獰猛な肉食獣が放し飼いになっている程度でしかない。
日本という国にしてみれば、かなり被害を受けるのは間違いない。
だが、世界全体で見た場合、地球そのものが受ける被害は皆無に近かった。
そんな鬼滅世界に、兵器……ではなくても、ネギま世界から神鳴流を雇って送るのは、不味いのではないか。
そうレモンは言いたいのだろう。
神鳴流は兵器ではなく人だ。
だが同時に、気を使って人外の存在と戦う戦闘集団でもある。
そう考えると、後々問題になる可能性もあるのは事実だ。
当然だが、問題になったからといって、それでもシャドウミラーの方が立場は上だ。
それもちょっとやそっとではなく、圧倒的なまでに。
何しろ、他の世界はホワイトスターを通してしか異世界との取引が出来ないのだ。
もしその世界にあるゲートを封鎖するなり、破壊するなり、回収するなりといったような事になった場合、その世界で俺達と取引を行っている者が受ける被害はとんでもないものになる。
なるのだが、だからといってそうして立場や力を振りかざして黙らせるといったような真似は、短期的にはともかく長期的には間違いなく問題となる。
だからこそ、出来れば普通に説得して話をつけたいところなのだが。
「その辺は政治班に任せるよ」
シャドウミラーの政治班は、大袈裟でも何でもなく傑物揃いだ。
それ故に少数精鋭となるのだが、その辺は魔法球の方でどうとでも対処は出来る。
……勿論、出来れば人数を増やした方がいいのは間違いないんだけどな。
「後でエザリアに差し入れをするように言っておくわ」
「頼む。神鳴流の方は問題ないと思うか?」
「どうかしらね。ネギま世界で今までシャドウミラーについて正確に知っていたのは、麻帆良の人達とあやかと千鶴の実家の会社でも限られた人達だけでしょう? そこに神鳴流を雇って連れてくるとなると、神鳴流は勿論、関西呪術協会にも知られる事になるでしょうね。そうなった時、取引をどうするか、ね」
現在の取引は、麻帆良や雪広グループ、那波重工としかやっていない。
しかし、神鳴流や関西呪術協会がそれを知ったら、当然ながらそれに噛ませて欲しいという要望も出て来るだろう。
何しろ、異世界だ。
普通に考えて、異世界と接触出来るのなら行ってみたいと思うものは多い筈。
その辺りは……まぁ、麻帆良に任せておけばいいだろう。
とはいえ、関西呪術協会は未だに麻帆良とは敵対関係にある。
以前と比べると、多少は騒動の数も減ってきたらしいが、それはあくまでも以前までと比べればの話だ。
そうである以上、関西呪術協会が俺達との取引に関わろうとしても、正直なところ難しいと思う。
あるいは雪広グループや那波重工に手を出してくる可能性もあるが……その場合は、どうなるんだろうな。
力で無理矢理にとなれば、それこそ制裁としてシャドウミラーからメギロートやバッタ辺りが出撃するといったような事になるだろう。
「取引については、近右衛門に任せればいいだろ。麻帆良の学園長だけに、ある程度は対処出来る筈だ」
「……彼もそろそろ引退してもいいと思うんだけどね」
何だかんだと、俺と近右衛門との付き合いはそれなりに長い。
俺と会った時はもう老人だったが、今もまだ老人のままで、年を取っているようには見えない。
「ああ、そう言えば」
ふと思い出したようにレモンがこっちを見ていた。
「どうした?」
「アクセルはすっかり忘れてるかもしれないけど、独房に閉じ込めていた2人、死んだわよ」
「……2人?」
レモンの言葉に、最初誰について言ってるのか分からなかった。
そんな俺の様子を見て、レモンが呆れの視線を向けてくるが……俺は俺で今まで色々とあったんだから、しょうがないだろう。
そう言い返そうと思った瞬間、レモンが誰について言ってるのかを思い出した。
「パトリック・ザラとムルタ・アズラエルか」
「正解。どうやら思い出したみたいね」
SEED世界で色々と問題を起こした2人。
その2人は独房に入れておき、世話役として量産型Wをつけていた筈だ。
2人共……特にアズラエルはまだ若かった筈なんだが。
「一応聞くけど、暗殺とかそういうのじゃないよな?」
「どっちの意味かしら? 私達が暗殺したのか、それとも暗殺者に侵入されたのか」
「前者だよ。後者のような事態が起きるのは……まぁ、SEED世界の件で前例がない訳ではないから、何とも言えないが」
SEED世界の工作員の一件で、俺はネギま世界に転移したんだよな。
その点に関しては、それなりに感謝している。
何しろネギま世界で得た物は多い。
魔法、混沌精霊、グレート・グランドマスターキー、そしてあやか達4人の恋人。
まぁ、その点はともかくとして……
「それでどうした?」
「ムルタの死体は連合軍に、パトリックの死体はアスランに引き渡したわ。葬式とかは向こうでやったわ」
「そうか」
不思議と、その件を聞いても特に驚くといったような事はなかった。
実際、独房に閉じ込めた後は会ったりもしていなかったしな。
記憶の底に眠っていたくらいに忘れてしまったのだから、それも当然かもしれないが。
「まぁ、その件は上手く処理してくれたのなら、それはそれで問題ない。ありがとな」
「いいわよ、それくらい」
SEED世界の一件を引き起こした2人。
あの戦争の元凶という意味では、それこそ即刻処刑されてもおかしくはない相手だった。
そんな2人が、何だかんだと自由こそないものの、それ以外は殆ど不自由のない生活をしていたのだ。
そういう意味では、決して悪い最期ではなかったのだろう。
もっとも、不自由ではないが会えるのはあくまでも世話役の量産型Wとかだけで、情報も入手は出来るが発信の類は出来ない。
それが幸せであるかどうかと言われると、正直なところ俺には何と言ったらいいのかが分からないが。
ともあれ、これでSEED世界で起きたあの戦争も本当の意味で決着がついた……と、そう思ってもいいのか?
実際にはSEED世界の面々は少数を除いてパトリック達の事は既に忘れられていてもおかしくはなかったのだが。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730