「どうでしょう、アクセルさん」
「……うん。女にしか見えないな」
まだ子供だからというのもあるのだろうが、輝利哉は完全に女にしか見えない。
膝くらいの長さのスカートを履いているのだが、すね毛の類は何もなく、その顔立ちが整っているのも影響してか、今の輝利哉を見て男と思うような者は……いない訳ではないんだろうが、それでも殆どの者が女だと判断するだろう。
「そうですか。なら安心ですね」
安心なのはいいけど、何で嬉しそうなんだ?
女装しているのは魔除けって話だったが、やっぱり趣味的な一面もあるのかと思ってしまう。
あるいはずっと女装をしているので、女装していないと落ち着かない一面もあったりするのか。
「ともあれ、買い物はこれで終わりでいいな?」
シーマとクリスに視線を向けると、そちらでもしっかりと自分の買い物を終えているのが見えた。
買い物に付き合うと言ったのは俺なんだから、別にこの店でシーマやクリスが買い物をしているからといって、不満を口にしたりはしないけどな。
「ええ、それでアクセルは政庁に行くのよね?」
「元々セイラに会うのが主目的だったからな。……輝利哉にUC世界について教えるというのも、ある程度見せられたし」
勿論、クレイドルの中で買い物をしたくらいで、本当にUC世界について全てを知ったという訳ではないだろう。
しかし、輝利哉という大正時代の人物にしてみれば、これだけでかなり大きな衝撃だったのは間違いない。
「そうですね。色々と驚きでした。あのようなお店が普通にあるとは……」
輝利哉にとっても、クレイドルにあった店というのは驚くべき光景だったらしい。
「なら……そうだな。シーマとクリスは暫く輝利哉を預かって貰えないか? 俺はセイラと面会してくるから」
「うん? この子は連れて行かないのかい?」
「そうしてもいいかと思ったんだが、輝利哉の社会勉強の為を考えれば、クレイドルの中を色々と見て貰った方がいいと思ってな。……どうだ?」
「私は構わないよ。クリスはどうだい?」
「私も構わないわ。アクセルが向こうの世界でどんな行動をしていたのか気になるし」
「……いや、俺が鬼滅世界に出たのは昨日で、その日のうちにホワイトスターに戻ってきたんだが」
一応、鬼の中の幹部たる十二鬼月と戦ったりしたので、それを思えば昨日の1日だけで大きな活動をしたと言われてもおかしくはないのかもしれないが。
「ふーん。それでもアクセルの事だから、色々とやらかしていそうだけど?」
クリスのその言葉にそっと視線を逸らす。
実際、俺が鬼滅世界で色々とやってしまったと言われれば否定は出来ないのだから。
「ともあれ、そういう意味でも輝利哉はお前達と一緒にいた方がいいだろ。それに……輝利哉もそっちの方がいいよな?」
「それは……」
意味ありげに視線を向けると、輝利哉の頬が赤くなる。
輝利哉の様子を見ている限り、クリスに憧れの視線を向けているのは俺にも分かっていた。
シーマではなくクリスなのは……うん。まぁ、年齢的に色々とあるんだろう。
そう思った瞬間、シーマの視線がこちらに向けられたのでそっと視線を逸らす。
女の勘というのは鋭いので、迂闊な事は考えられないんだよな。
「ふーん。まぁ、アクセルがそう言うのなら私は構わないけど」
「こっちも構わないよ。輝利哉だったかい? そっちの子にはちょっと悲惨な事になるかもしれないけど」
具体的にどういう意味で悲惨な事になるのかは分からないが、シーマの様子を見る限りでは何か色々とあるんだろう。
「じゃあ、輝利哉は任せる。セイラとの話が終わったら通信機で連絡を入れるよ」
「あ、ちょ……アクセルさん!?」
輝利哉が戸惑ったように俺に視線を向けてきたものの、俺はそれを気にせず移動して建物の陰に向かい、影のゲートを展開するのだった。
「あら、いらっしゃい」
「……全く驚かれないってのも、正直どうかと思わないでもないな」
セイラの執務室にある影から姿を現したのだが、セイラは俺を見ても特に驚いた様子はない。
何らかの書類を見ていながら、俺に向かってそう声を掛けてきたのだ。
「アクセルがこの世界に来ていたのは、何となく分かっていたもの」
UC世界最強のニュータイプ能力者というのは伊達じゃないか。
アムロやシャアといったような優れたニュータイプと比べても、セイラのニュータイプ能力は上だ。
とはいえ、セイラは女王である以上、戦闘に出るといったような事は基本的にない。
よって、戦闘でニュータイプ能力を使うような事はないが……代わりに、女王としての立場でニュータイプ能力を使う。
セイラとの面会を希望する者にしてみれば、何か後ろめたい事があったり、あるいはセイラを騙そうとしていたりした場合、あっさりとそれを察知されてしまうことになる。
そういう意味では、セイラのニュータイプ能力はアムロやシャアのように戦闘で使うよりも極めて厄介な存在なのかもしれないな。
「それで、いつ戻ってきたの?」
「昨日だ」
あれ? 俺の事を心配していたって話だったが、見た感じではあまりそんな様子には見えないんだが。
「そう。無事に戻ってきたようで何よりね。……それで、どういう世界だったの?」
ん? やっぱり心配していたのか?
セイラの態度から、どっちが本当なのかは分からないものの、ともあれダンバイン世界と鬼滅世界について説明する。
さすがに異世界についての話となると書類を処理しながら話すといったような真似は出来ないらしく、素直に俺の話を聞いてた。
そうして20分程が経過して話が終わる。
「そう。やっぱり色々と大変だったのね」
「大変だったかどうかと言われれば、やっぱり大変だったな。けど、色々と得るものがあったのも間違いない」
実際、俺個人としてはマーベルやシーラの件があって色々と思うところはあるが、シャドウミラーとして見た場合、一種の生体兵器に近いオーラマシンというのは、今まで存在しなかった種類の兵器だ。
また、鬼滅世界でも色々とシャドウミラーにとって大きな利益となる物がある。
そう考えれば、今回の一件は決して悪い話ではなかったのだ。
何だか、半ば自分にそう言い聞かせているように思えないでもなかったが。
「大変だったみたいね」
「……何で2回言うんだ?」
「アクセルの様子を見て、何となくかしら」
ニュータイプ能力で俺の心の中を読んでいるとか、そういう感じじゃないよな?
セイラなら普通に有り得そうで怖いんだが。
「それで、俺がいない間のUC世界の方はどうだったんだ? 1年戦争が終わって、ある程度自由に動けるようになったりしたんじゃないか?」
「どうかしらね。まだ戦後という事で色々と大変なのは間違いないわ。連邦軍の方でも強硬派が台頭してきてるらしいし」
「またか。あの連中はどれだけ倒しても蘇ってくるな」
強硬派はかなりの数が死んだ以上、蘇っているとはいえ、それはあくまでも別人ではある。
それだけに、余計に厄介に感じてしまうんだが。
この辺は連邦軍や連邦政府という巨大な組織に所属しているからこその傲慢なのかもしれないな。
実際、1年戦争で連邦軍が勝ったのは間違いないが、クレイドルで結ばれた条約……いわゆるクレイドル条約において、連邦が得た物は決して多くはない。
ジオン共和国にはMSの保有制限はあったが、なし崩しに独立を認めた形になったし、賠償金の類もない。
独立を認めたとはいえ、実際にはルナ・ジオンのような本当の意味での独立ではなく、半ば連邦の従属国といったような感じでの独立だが。
賠償金も支払ったりしないものの、1年戦争で破壊されたコロニーの補修とかをジオンがやる事になったし。
とはいえ、1年戦争規模での戦いの勝利として考えれば、連邦が得た物はかなり少ない。
それを不満に思っている者、そして自分達こそが勝者だと考えているような者。
そんな者達が強硬派になっているのだろう。
「それで、強硬派が月に仕掛けて来る様子は?」
「今のところはないわ。ただ、それもいつまで続くのかは分からないけど」
「レビルがいれば、ある程度は押さえてくれると思うんだが。レビル派閥の奴はどうなんだ?」
「一応対抗はしてるみたいだけど、優勢……とはとても言えないわね」
「ゴップは?」
「我関せずといったところかしら」
ゴップが本気を出せば、強硬派を押さえるくらいは出来ると思うんだが。
純粋な軍人として考えた場合、ゴップは決して有能とは言えない。
だが、補給を担当したり、いわゆる軍政といったような方面になれば、非常に高い能力を発揮する。
1年戦争で連邦軍が勝利したのは、純粋に軍人として有能なレビルと、後方を任せられるゴップの2人が手を組んだからというのが大きい。
そんなゴップが本気になれば、当然だが相応の影響力を持つと思うんだが。
「何とかゴップは動かせないのか?」
「一応こっちでも接触してみたけど、難しいわね」
セイラがそう言う以上、その言葉は決して間違っている訳ではないのだろう。
そうなると強硬派に対処するのは難しいか。
いっそ俺が力を振るうか?
一瞬そう思わないでもなかったが、今ここで俺がルナ・ジオンに直接手を貸すのは面倒な事になりそうだな。
「そうなると、ジオン共和国と協力して対処するしかない訳だ」
「今のところはそんな感じね。幸い……というのはどうかと思うけど、今のジオン共和国はこちらと友好的だから」
「だろうな。ガルマにしてみれば、連邦とルナ・ジオンのどっちが接しやすいかと言えば、当然ルナ・ジオンだし」
何より、ルナ・ジオンとサイド3はかなり近い。
そういう意味でも、連邦より付き合いやすい相手なのは間違いないだろう。
「問題なのは、未だに逃げ続けているキシリア・ザビね。彼女が一体どのような手段に出るのかは分からないわ。有能な人物だけに余計にね」
「有能なのは間違いないんだよな」
MSの有用性に真っ先に目を付けたり、ニュータイプ研究を進めたり。
とはいえ、だからこそ厄介な相手なのだが。
「一応色々と調べさせてはいるけど、まだ見つけることは出来ないわ」
「他のジオン軍残党は?」
俺がペズンに向かう途中に遭遇した……デラーズだったか。
キシリアとは別勢力のジオン軍の残党というのは、また厄介な一面がある。
「それらしき人達はいるけど、末端でしかないわね」
「そっちもまた厄介だな」
そんな会話をしていると、不意に扉がノックされる。
「入りなさい」
俺がいるというのに、セイラは特に躊躇する様子もなく中に入るように言い……そうして中に入ってきたのは、モニクだった。
「モニク!?」
「アクセル!?」
モニクも俺がセイラの執務室にいるというのは予想外だったのか、驚きの声を上げる。
モニク・キャディラック。1年戦争の末期に俺が捕虜にしたというか、降伏を受け入れたというか……まぁ、色々とあってルナ・ジオンに所属する事になった女だ。
性格はかなりきつい。
顔立ちは整っており、身体も非常に女らしいのだが、その性格がモニクに男が近づかない最大の理由だろう。
お互いに驚いている俺とモニクを見て、セイラは小さく笑みを浮かべる。
それを見れば、恐らくセイラが最初からこの状況を狙っていたのだろうというのは明らかだった。
モニクもそんなセイラの様子に気がついたのか、不満そうに口を開く。
「アルテイシア様、あまりいい趣味ではありませんよ?」
「あら、そう? でも、モニクもアクセルと会いたいって言っていたのではなくて?」
「そ、そんな事はありません! た、ただちょっと……そう、少し心配していただけです! ……あ」
モニクは咄嗟に叫びつつ、自分が何を言ったのかを理解し、慌てたように俺に視線を向け、そして視線を逸らす。
「心配してくれていたのは、俺としても嬉しい。けど、別にそこまで照れる必要はないんじゃないか?」
「ふんっ、そんなのは私の勝手でしょう。それで、こうしてアクセルが戻ってきたという事は、未知の世界からは戻ってきたのよね。随分と遅かったけど」
「色々とあったからな。それでもこうして無事に戻ってくる事は出来たよ」
「アクセルなんだから当然ね」
「それは……褒められてるのか?」
褒められているようにも思えるし、アクセルなんだからしょうがないといったように言ってるようにも思える。
一体これはどう反応すればいいのか分からず、少し戸惑う。
「……とにかく、無事にアクセルが戻ってきたのは何よりだということよ」
モニクの言葉からすると、どうやら褒められていたらしいな。
「アクセルが無事に戻ってきたのは、私も喜んでいるわ。……ただ、少し前にモニクが心配していたから、ここに呼んだのよ」
「ちょっ、アルテイシア様!?」
セイラの口から出た言葉に、慌てた様子のモニク。
そこまで動揺する事はないと思うんだが。
そんな風に考えつつ、ともあれモニクが俺を心配していたのは事実らしいので、感謝の言葉を口にする。
「ありがとな」
「ば……馬鹿……」
感謝の言葉を言ったら、何故か怒りで頬を赤くしたモニクに罵倒されたのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730