転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0291話

 翌日。いつも通りに教室へと入った俺の元へ、朝倉が向かって来た。

 

「アクセル君、ちょっといいかな?」

「ああ。昨日の話か?」

 

 俺の言葉に頷く朝倉。どちらを選んだのかは分からないが、その目からは強い意志を感じさせる。

 

「後で……そうだな、放課後にちょっと時間を貰える?」

「構わない。場所は?」

「えっと、人が余りいない方がいいから……あ、そうだ。寮の裏にしよう。あそこなら滅多に人が来ない隠れスポットになってるから」

 

 朝倉の言葉に、寮の周辺を思い出す。

 ……確かに、寮の裏は多少広く作られており人もあまり来ない人気の無い場所だ。密談をするにはそう悪くない場所だろう。

 

「ネギは呼ばなくていいのか?」

「うん。この件に関しては、ネギ君よりもアクセル君の方が決定権は上なんでしょ?」

 

 さすが報道部というべきか、要所は押さえているな。

 これでパパラッチ気質がなければ十分に優秀な記者なんだろうけど。

 

「……っ!? じゃ、じゃあ放課後にそこでね!」

 

 何故か急に急いで話を纏めると、そのまま急いで俺から離れていく朝倉。

 その謎はすぐに解けた。エヴァが茶々丸と共に教室の中へと入り、自らの席である俺の隣へと向かって来ていたのだ。

 

「朝倉和美がいたようだが?」

「ああ。お前とネギの空中大決戦を見ていたからな。その件についてだよ」

「……ふむ、なるほど」

「一般人を巻き込むのは御法度じゃなかったのか?」

「ふん。確かにそうだが、ぼーやと朝倉和美が同じクラスにいるという時点でいずれ魔法バレしていただろうさ」

 

 エヴァのその言葉に思わず納得してしまった俺はもしかしたら3-Aに毒されてきているのかもしれない。

 

「ま、好きにすればいい。私としては祭りの参加者が増えるのを止める気は無い」

 

 そう言いつつ、荷物を片付けると再び教室を出て行く。

 

「おい?」

「昨日と同じだ。私がいるとぼーやが安心出来ないだろう」

「体のいいサボりの口実を見つけたな」

「さて、どうだろうな。行くぞ、茶々丸」

「はい。では、アクセルさん。私達はこれで失礼します」

 

 ペコリと一礼すると、茶々丸はエヴァの後を追って教室を出て行った。

 

 

 

 

 

「で、私も一緒に行った方がいいのね?」

 

 千鶴の言葉に頷く。その隣ではあやかも千鶴の言葉に頷いていた。

 今日の授業も終わって現在は放課後。朝倉との約束の時間が迫る中、俺は千鶴に朝倉との約束がある事を話していた。本来なら連れていくのはあやかのみにする予定だったのだが、そのあやかから千鶴も連れていった方がいいと言われた為だ。

 取材能力に優れる朝倉の事なので、迂闊に千鶴の事を隠しておいてそれを後で知られた時に朝倉にこちらが怪しまれるというのを警戒したらしい。

 

「時間的には大丈夫か?」

「そう、ね。ちょっと待っててちょうだい」

 

 携帯を取り出し、どこかへと連絡をする千鶴。

 

「もしもし。はい、那波です。その、今日のボランティアなんですが……ええ、はい。実はちょっと用事が出来てしまって……はい、はい。……すみません。いえ、もちろん無理はしてませんので。ええ、はい。では、そういう事でお願いします」

 

 多少残念そうな顔をしながら、通話を終える千鶴。だが、すぐにいつもの笑顔を浮かべるとこちらへと頷いてくる。

 

「幸い今日は私以外のボランティア参加者も多かったから、お休みを貰えたわ。じゃ、行きましょうか」

「悪いな」

「いいのよ。だってアクセル君の事でしょう? 保護者としては当然こちらを優先させてもらうわ」

 

 いや、保護者って……思わず諦めの溜息を吐く。随分前に俺の実年齢については教えたんだが、それでも俺の見た目は子供だという事で千鶴は保護者役をやめるつもりは無いらしい。同様にあやかも俺に対する好意を隠そうとはしていない。

 

「では、お話も纏まった事ですし早速行きましょうか。朝倉さんを待たせる訳にもいきませんしね」

 

 あやかの言葉に頷き、教室を出る。

 

 

 

 

 

「……あら、あれはのどかさん?」

「ネギ先生もいらっしゃいますわね」

 

 寮の裏で朝倉を待っていると、少し離れた所で宮崎とネギを発見する。ネギの肩の上には当然のようにカモの姿もあった。

 幸い、俺達のいる場所は上手い具合に木の陰になっている為に2人には気が付かれてはいないらしい。

 ネギは何やら慌てて、宮崎はどこか緊張した様子だ。

 

「……嫌な予感がするな」

「アクセル君もですの? 私も、その……」

 

 俺の言葉にあやかも同意する。

 既にクラス中に知れ渡っている事だが、宮崎はネギに対して好意を抱いている。年下のネギに対してそういう感情を持つというのは、あやかの件もあって特に驚かれもせずにクラスに広まっていった。宮崎があやかの同類という認識が広まったとも言えるが。

 そして、仮契約というのは魔法使い側と従者の関係が重要だ。お互いが種類は違えど好意を持っているに越した事はないだろう。

 ……いや、言葉は悪いが基本的に魔法使いの従者というのは一種の肉壁的な役割があるというのを考えると宮崎が相応しいかどうかは正直疑問なのだが。

 これが、例えば昨日俺の従者になったあやかなら話は別だ。あやか本人もある程度の武芸は収めているという話だし、運動神経もいい。そして俺に至っては普通の魔法使いとは違って近接戦闘もそれなり以上にこなせるのだ。

 だが、ネギは話が違う。どちらかと言えば純粋な魔法使いであるだけに従者に守って貰って後ろから巨大な魔法を撃ち込む……という戦闘スタイルになるだろう。そんなネギの従者を見るからに文系の宮崎が務められるかどうか。

 そんな風につらつらと考えていると、カモがネギの肩から飛び降りて……

 

「契約!」

 

 そう叫んで、昨日と同様に地面に魔法陣を浮かび上がらせた。

 

「ちぃっ、やっぱりやりやがったな、あのエロオコジョ」

「ああっ、ネギ先生! ここは止めるべきでしょうか。それとも……」

「ほらほら、落ち着いてあやか」

 

 あやかが右往左往して、仮契約を止めるかどうか迷っている。そしてその横で成り行きを見守っている千鶴。

 ……まぁ、千鶴には仮契約について話してないので何が起きているのか分からないというのもあるのだろう。

 宮崎とネギは、昨日俺も襲われた仮契約の魔法陣による影響下にあるのかお互いに見つめ合う。そしてやがて宮崎がネギの頬へと手を当てる。

 その場面を見て、カモを止めるべく動き出そうとする……前に、唐突に神楽坂が姿を現し、地面で2足歩行をして宮崎とネギを煽っていたカモを地面へと手で押しつぶした。

 

「こら、このエロオコジョ」

 

 カモに掛かったその衝撃が、仮契約の魔法陣にも影響したのだろう。宮崎とネギの間でパンッとばかりに何かが破裂するような音がして、同時にその衝撃で宮崎が気を失って倒れ込む。

 

「ア、アスナさん!? これは、その……」

「……出遅れたな」

 

 そしてそんな2人の横に現れる俺。

 

「え? アクセル君!?」

「ちょっと、何でアクセルがここにいるの!? もしかしてあんたもこのエロオコジョとグルになってたんじゃないでしょうね!」

 

 戸惑うネギに、思い込みで突っ走る神楽坂。この辺がお互いの性格が良く出ているな。

 

「落ち着け。俺達は別口だ」

「俺、達?」

 

 不思議そうな顔をした神楽坂の目に入ったのは、こちらへと向かって来ているあやかと千鶴の2人だ。

 

「委員長に、那波さんも?」

「ついでに、あそこでシャッターチャンスを狙っているのも……な」

 

 そう呟き、近くにある木の影へと視線を向ける。そこにはカメラを構えてシャッターチャンスを狙っている朝倉の姿があった。

 

「あーっ、朝倉! え? じゃあ、これって」

「お馬鹿なアスナさんでもようやく理解出来たようですわね。これはエヴァンジェリンさん対策の集まりなのですわ」

 

 いや、ちょっと違うけどな。正確にはエヴァとネギの魔法戦闘を見た朝倉のこれからに関して決める集まりだ。

 

「ありゃ、見つかっちゃったか」

「ちょっと、朝倉! あんたも見てたんなら止めてよね!」

「いやー、生徒と先生の禁断の愛! という見出しを考えてたらついつい……」

「ちょっとぉっ!」

 

 ふと、どこかで『ラブ臭が!?』とか言っている触覚頭が脳裏に浮かんだが、きっと気のせいだろう。

 

「っと、それ所じゃなかったわ。ちょっと、そこのエロオコジョ! あんた子供をたぶらかして何させようとしてたのよ。ほら、ネギのお姉さんからの手紙! あんたがネギに渡すとか言ってたのにゴミ箱に捨ててあったわよ。しかも封もそのままに」

「げっ、姐さん読んじまったんですか!?」

「そうよ。何よ、下着泥棒二千枚って……」

 

 そこからの話はまさに突っ込み所満載な内容だった。自分は無実だと叫ぶカモ。下着を盗んだのは病弱な妹がウェールズの寒い冬を越す為の寝床にする為だとかなんとか。それが原因で結局捕まり刑務所へ。しかしその刑務所を脱獄して頼りになるネギがいるこの麻帆良に来たらしい。ここで仮契約を結んでネギに従者を付けてその手柄としてネギの使い魔にしてもらう、という目論見だったようだ。英雄の息子であり、マギステル・マギ候補生であるネギの使い魔になればそうそう手出しされる事は無い……と思ったのだろう。

 

「何と言うか、突っ込み所が満載過ぎて、どこから突っ込めばいいのやら」

「アクセル君、この場合は突っ込んだら負けだから流すのが一番よ」

 

 思わず額を押さえた俺に、千鶴がそう声を掛けてくる。

 ちなみに、その間にもネギとカモのある意味で感動的とも言えるやり取りの後で結局カモはネギの使い魔として雇われる事に成功したらしい。

 

「あー、取りあえず茶番はその辺にしておけ。カモについてはネギが責任を持つって事でいいんだな?」

「ちょっと、アクセルの兄貴。それはいくらなんでも酷いんじゃないんすか?」

「……ほう、なら突っ込んでもいいのか? 微に入り細に入り?」

「と、取りあえずスルーの方向でお願いしやす」

 

 これでカモがネギをただ利用するだけの目的だったのなら問答無用で処分している所だが、カモはカモで一応本気でネギの事を慕ってはいるらしい。ネギもネギでカモに親しみを持っているらしいし……この件についての判断は学園長なり高畑なりに任せるとしよう。

 

「で、とにかく話をするにも宮崎を何とかしないとな」

「あ、そうですね。僕ちょっと宮崎さんを校舎に運んできますね」

 

 俺の言葉に、ネギがそう言うと肩にカモを乗せたまま宮崎を背負ったまま杖に乗って飛んでいった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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