転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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3019話

 しのぶと話していたのだが、やがて柱合会議とやらの時間になったのだろう。

 しのぶが立ち上がる。

 

「俺はどうすればいいんだ? 耀哉の話だと、俺にもその柱合会議とやらに出るようにって感じだったが」

「それは……どうするのでしょうね。恐らくあまね様がやって来ると思うので、そちらから聞いて下さい」

「分かった。なら、俺は暫くここで待ってるよ」

「はい。では冨岡さんと共に、柱合会議の場でお待ちしていますね」

 

 そう言い、しのぶが部屋から出ていく。

 こうして部屋の中には俺だけになる。

 さて、取りあえずは柱合会議が行われるまでは暇だな。

 耀哉に会いに行くか? とも思ったが、耀哉は多分まだ眠っている筈だ。

 身体の具合が悪い以上、そこで眠っている耀哉を邪魔する訳にはいかないだろう。

 そんな風に考え、暇潰しに空間倉庫の中から雑誌を取り出す。

 ペルソナ世界で購入した雑誌だが、こういう雑誌も大正時代の鬼滅世界においては、かなり珍しいものなのは間違いない。

 そんな風に考えながら雑誌を読んでいると……やがて俺の部屋に近付いて来る気配に気が付く。

 その気配は部屋の前で止まると、声を掛けてくる。

 

「アクセル様、よろしいでしょうか?」

「ああ、入ってくれ。今は特に何もやる事はないしな」

「失礼します」

 

 そう言い、襖を開けて中に入ってきたのは黒髪の子供……少女だった。

 顔立ちからすると、耀哉の娘か。

 

「産屋敷輝利哉と申します」

 

 一礼する輝利哉。

 こういうのが、多分大和撫子って言うんだろうな。

 

「耀哉の娘か」

「いえ。その……息子です」

「……そうか」

 

 まぁ、世の中にはそういう趣味を持っている奴もいるしな。

 とはいえ、まだ子供の頃からそういう趣味を持ってるのはどうかと思わないでもなかったが。

 そんな俺の視線に何かを感じたのか、輝利哉は少し困った様子で口を開く。

 

「その、何か誤解していませんか? この格好は、魔除けの風習ですよ?」

「そうなのか? 趣味じゃなくてか?」

「趣味って……趣味で女物の服装をする訳がないじゃないですか」

 

 きっぱりとそう告げる輝利哉だったが、それは輝利哉が世間を知らないからこその言葉だろう。

 世の中には、そういう趣味を持ってる者は珍しくない。

 いや、男が女物の服を着るのは奇異に見られるが、女が男物の服を着るのは許容されているというのが正しかった。

 その辺は人それぞれだから、俺からは何とも言えないが。

 

「取りあえずそういう事にしておくか。それで、一体何しに来たんだ? 今は柱合会議とかいうのをやってるんだろ? さっきしのぶもそっちに向かったし」

「はい。なので父上がそろそろアクセルさんを呼んで来て欲しいと」

 

 どうやら、耀哉も起きたらしい。

 

「耀哉の様子はどうだ? 寝る前は体調が悪いという話だったが」

「今は大分体調がいいようです。アクセルさんの話を聞いたから、というのが理由らしいですが」

 

 俺の話か。

 まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 耀哉にしてみれば、鬼との戦いに一石を投じる……どころか、一気に鬼との戦いを終わらせられるかもしれないのだから。

 また、耀哉の呪いも……絶対に解呪出来るとは断言出来ないものの、それでもどうにか出来る可能性がある。それも1つではなく複数。

 そんな状況だけに、耀哉に気力が湧いてきてもおかしくはない。

 そして病は気からという言葉やプラシーボ効果を見れば分かるように、病人にとって気力というのは大きな意味を持つ。……プラシーボ効果と気力はちょっと違うか?

 

「そうか。なら俺も耀哉と会ってよかったと思うよ。……さて、じゃあ行くか。耀哉をあまり待たせる訳にもいかないだろ?」

 

 そう言うと、輝利哉は頷いて俺を案内するのだった。

 

 

 

 

 

「やあ、アクセル。待たせてしまったかな?」

 

 耀哉の部屋に行くと、そう声を掛けられる。

 その顔色は、輝利哉が言っていたように眠る前に比べるとかなり良くなっていた。

 

「どちらかと言えば、待たせたのは俺の方だろ。……随分と元気になったみたいだな」

「アクセルと話した内容が、大きな刺激になったんだろうね。それより、今まで暇ではなかったかい?」

「そうでもないな。しのぶが話し相手になってくれていたし、しのぶがいなくなってからは……こういうのを見ていたし」

「これは……」

 

 空間倉庫から取り出した雑誌を見て驚きの声を上げたのは、耀哉……ではなく、輝利哉。

 耀哉は呪いの影響で目が見えなくなっており、俺が何かを手にしているというのは分かるかもしれないが、実際にそれが何なのかというのは分からないのだろう。

 

「輝利哉、どうしたんだい??」

「父上、これは……本です。それも凄く精巧な、そして色つきの写真が載っている……」

 

 写真自体は、江戸時代後期から明治時代辺りには既に日本にあった筈だ。

 具体的にいつから写真が日本に入ってきたのかは分からないが、新撰組の写真が残っているとか、そういう話があったし。

 もっとも、それはあくまでも俺の知っている歴史の話であって、この鬼滅世界でも同じなのかどうかは分からない。

 こうして大正時代になっても日輪刀を使って鬼と戦っているのを思えば、江戸時代とか明治時代にも鬼とかはいた筈で、それが幕末とかにどう影響したのかは分からないのだから。

 もしかして……本当にもしかしての話だが、それこそ新撰組の中に鬼殺隊のメンバーがいてもおかしくはない。

 

「ほう、そこまで綺麗な写真が……? アクセル、輝利哉が驚いている本は、珍しい物なのかい?」

「いや、全然。店に行けば普通に買えるな」

 

 雑誌にもよるが、この雑誌は300円かそこらだった筈だ。

 1食分にもならない。……まぁ、世の中には300円で1食という人もかなりいるだろうから、この表現はあくまでも俺に当て嵌めてのものだが。

 

「そうなのか。それは素晴らしいね。この世界でもそのような未来が待っていることを祈るのみだ。……その為にも、鬼舞辻無惨を倒さなければね」

 

 決意を込め、そう告げる耀哉。

 輝利哉と、耀哉の着替えを手伝っていたあまねは、そんな父親にして夫を心配そうに見ていた。

 このままだと、耀哉の命は呪いで長くないと、そう理解しているのだろう。

 もっとも、俺も耀哉をこのまま殺させるつもりはない。

 柱合会議とやらが終わったら、すぐにでも蝶屋敷に行ってゲートを設置する予定だ。

 大正時代だけに、偵察衛星とかそういうのを心配しなくてもいいのは助かる。

 ……ただ、問題なのはゲートが無事に動くかどうか、か。

 ダンバイン世界においては、オーラ力の影響と思われるが、それによってゲートは動かなかった。

 この鬼滅世界では、どうなっているのか。

 ダンバイン世界の事があるだけに、この鬼滅世界での事を心配するのも当然だろう。

 

「どこにいるのか分かれば、俺が殺してもいいんだけどな」

 

 これは正直な気持ちだ。

 鬼舞辻無惨というのがどんなに強くても……それこそ平安時代から生きているような存在であったとしても、正面から戦えば俺が負けるとは思わない。

 それだけの強さを持っているという自信がある。

 

「アクセルの気持ちは嬉しいよ。だが……出来れば、鬼舞辻無惨は私達鬼殺隊の手で殺したい。色々とアクセルからは協力して貰うことになるだろうけど。こんな私を、馬鹿だと思うかい?」

「そうだな。利口と馬鹿のどっちかと言われれば、間違いなく馬鹿だろうな」

 

 鬼舞辻無惨の居場所さえ判明すれば、俺なら即座に殺す事が出来る。

 だというのに、耀哉は自分達鬼殺隊の手で鬼舞辻無惨を殺したいと、そう言ってるのだ。

 普通に考えれば、それは馬鹿以外の何物でもないだろう。だが……

 

「けどまぁ、それならそれでいいんじゃないか? お前達鬼殺隊は、今までずっと鬼舞辻無惨を殺そうして戦ってきたんだ。そんな状況で横からひょっこり出て来た俺が敵の大将首を獲るような真似をすれば、納得出来ない者も多いだろうし」

 

 鬼殺隊というのが、具体的にいつからあったのかは俺にも分からない。

 しかし、鬼舞辻無惨が平安時代から鬼として生きているのなら、鬼殺隊もまたそのくらいに産まれたと考えるのが自然だろう。

 つまり、鬼殺隊の歴史もまた平安時代から今まで繋がっているのだ。

 さすがにそんな状況で鬼殺隊の最終標的たる鬼舞辻無惨を俺が殺すのは不味いだろう。

 

「とはいえ、お前が……鬼殺隊が危なくなったら、俺も出るぞ。いや、俺だけじゃなくて、シャドウミラーに所属する戦力も出す。幸い、生身で戦える者も多数いるしな」

「うん? 生身で? それはどういう事だい?」

「……あれ? 言ってなかったか? 俺達シャドウミラーが未知の技術を集めているという話はしたよな? そんな中で特に重要視しているのが、人型機動兵器だ」

「人型機動兵器?」

 

 大正時代だと、機械の類は分かっても人型機動兵器……俗に言うロボットとかそういうのは分からないか?

 

「分かりやすく言うと、機械で出来た人形だな。それを使った戦いが標準的な戦いとなる。とはいえ、この鬼滅世界もそうだが、世界によっては人型機動兵器を使うと悪目立ちする世界とかもある」

「それは……何とも想像出来ないね」

「この時代の人間にしてみればそうだろうな。ともあれそんな訳で、生身での戦いについても相応に鍛えられている……どころか、そっちの戦いの方を専門としている者もいる」

 

 ネギま世界とペルソナ世界の面々は、そんな感じだ。

 将来的にはPTとかに乗るようになる奴もいるかもしれないが……どうだろうな。

 ゆかりや美鶴は、政治班の方に回って欲しいと思う。

 うーん、でもゆかりは性格的に政治班は難しいか?

 美鶴なら政治班でも十分問題なく活躍出来ると思うが、シャドウワーカーを運営してるしな。

 ニュクスの一件でペルソナ世界でのシャドウの問題が全て解決した訳ではない。

 元々シャドウというのは、俺が関わった一件以前から、普通に存在していたらしいし。

 そう思えば、ニュクスの一件程大規模ではないにしろ、シャドウによる騒動が起こる可能性は否定出来ない。

 だからこそ、シャドウワーカーというのは美鶴が運営する必要があるのだ。

 いやまぁ、ペルソナ能力という点では別に美鶴じゃなくてもいいのかもしれないが。

 ただ、美鶴の仲間で組織運営が出来る者となると……うん、そうなってしまうんだよな。

 

「とにかく、そんな訳で生身で戦える者はこっちにもかなりいる。鬼との戦いでも十分役に立つだろうし、模擬戦の相手をしてもいい」

 

 木乃香を通じて関西呪術協会に連絡を取って貰うのもいいかもしれないな。

 陰陽師が多数在籍しているので、鬼を召喚したり出来るし。

 ……鬼殺隊の面々がやりすぎないかどうかが少し心配だが。

 

「そうかい。それは頼もしい。……とはいえ、その件に関してはきちんとゲートが繋がってからしっかりと打ち合わせをしよう。今はまず、柱合会議だよ」

 

 そう告げる耀哉の言葉に、頷きを返す。

 現在はまずその柱合会議を終わらせる予定があった。

 それに……この柱合会議というのは、俺にとってもかなり興味深いものなのは間違いない。

 しのぶや義勇のような柱というのは、鬼殺隊にとって最高幹部。そして話によれば最高戦力でもあるらしい。

 実際、しのぶと義勇の動きは全集中の呼吸によるものだろうが、かなりの鋭さだった。

 そんな実力を持つ柱が、多数。

 一体どのような実力者がいるのか、興味を持つなという方が無理だろう。

 これから俺達シャドウミラーは、鬼殺隊と行動を共にすることになる。

 そうなると、当然だが鬼殺隊の最高実力者達が一体どのくらいの強さを持つのか……それは知っておきたい。

 普通なら自分の組織の最高実力者達というのは、他の組織にそう簡単に話していいようなものではない。

 しかし、耀哉は柱合会議ということで、それを俺に見せるつもりだった。

 これは耀哉が俺を信じているからなのか……それとも、単純に組織の規模の違いを自覚し、ここで俺にその辺について隠しても意味がないと理解しているのか。

 その辺は、正直なところ俺にも分からない。

 分からないが、それでも今の状況を思えば、俺にとっては悪くない。

 それに耀哉にとっても、自分達に隠し事はないといったように見せ、俺からの信頼を得ようとしている。

 勿論、本当の意味で何の隠し事もしていないとは思っていない。

 仮にも平安時代から続いているだろう組織なのだ。

 その辺の状況を考えれば、俺に話せないような出来事の1つや2つ……いや、もっとそれ以上のものがあっても、おかしくはない。

 俺もそれは理解しているので、そこを詳しく聞くといったような真似はしないが。

 

「準備は出来た。……では、アクセル。行こうか。今日これからが鬼殺隊としての新たな出発点にして、到着点を目指して進むべき時だ」

 

 目が見えないとは思えないくらい、しっかりと俺の方を見て……そして、耀哉は笑みを浮かべてそう告げる。

 俺もそんな耀哉の言葉に頷きを返し、耀哉やあまねと共に部屋を出るのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1730

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