「私がアクセルをこの屋敷に呼んだのは、アクセルがどのような人物であるのかを知りたいと思ったからだよ。そういう意味では、この2人が一緒にいて問題ないと判断した時点で、そこまで気にする必要はないのかもしれないけどね」
耀哉はそう言って、俺をこの屋敷に招いた説明をする。
俺というイレギュラーがどのような存在かを見たかった、と。
「そう言って貰えると、俺も大人しくしていた甲斐があるよ」
「……大人しく……?」
何故か俺の隣でしのぶが小さく呟いたが、俺としてはそれなりに大人しくしていたのは間違いない。
「それで、アクセル。君は一体何をしにこの世界にやって来たんだい? それも、鬼と戦っている場所にわざわざ出て来るというのは、それを狙っての事なのかな?」
「いや、違う。元々俺は俺の世界でもない、この世界でもない別の世界にいたんだが、そこでちょっと……そう、ちょっとしたトラブルがあってな。その結果この世界にやって来たんだよ。あの場所に出たのは、本当に偶然だな」
ちょっとしたトラブルというところでマーベルやシーラの顔を思い出したが、今はそれを思い出しているような時ではない。
半ば無理矢理その件を忘れ、説明をする。
「偶然……偶然なのかい? それは、本当に偶然なのかな? 私にしてみれば、あのような状況でアクセルがあの場に現れた事には、何か……そう、運命的な何かを感じるのだが」
「お館様、よろしいでしょうか?」
今まで黙って話を聞いていたしのぶが、耀哉に向かってそう告げる。
耀哉はそんなしのぶの様子に、特に気にした様子もなく、視線をそちらに向ける。
「何だい?」
「私がアクセルから聞いたのですが、アクセルの国……シャドウミラーでは、私達よりも技術が進んでおり、お館様の呪いをどうにか出来るかもしれないそうです」
「本当ですか!?」
しのぶの言葉に真っ先にそう反応したのは、耀哉……ではなく、あまねだった
夫の呪いについて、あまねは当然のように色々と心を砕いていたのだろう。
しかし、それが功を奏していない……もしくは、そこまで効果がなかったのは、今の耀哉を見れば明らかだろう。
だからこそ、あまねはしのぶの言葉に大きく反応したのだろう。
「ああ、本当だ。ただし、あくまでも可能性があるというだけで、絶対に治るといった訳ではない」
「それでも、可能性があるのなら……お願いします」
深々と頭を下げるあまね。
夫の耀哉を深く心配しているのが、その様子から理解出来た。
「そうだな。俺もその件に関しては協力してもいい。ただ、当然だが無償でとはいかない」
「……何が望みだい? 鬼舞辻無惨を殺すまで、私は死ねない。今、竈門炭治郎や竈門禰豆子といったような、新しい風が吹いている。それに、アクセルのような、普通なら信じられないような存在と縁を結ぶ事も出来た。そうである以上、私はここで死ぬ訳にはいかないんだ」
「そうだな。その辺の説明をするよりも前に、俺達シャドウミラーの国是を説明しておいた方がいいか」
国是という言葉に、耀哉を含めて他の者達が……それこそ義勇までもが真剣な表情となる。
大正というこの時代、愛国心は非常に高い。
第二次世界大戦が終わり、昭和や平成といった時代に生きる者にしてみれば信じられないくらいに。
……まぁ、俺も実際に大正に生きる人間と接するのはこれが初めてなので、あくまでも知識でそういう風に知っているというだけでしかないのだが。
ましてや、鬼殺隊という鬼を殺す為の組織に所属する者達だ。
鬼から国を守るといったような思いを懐いている者が多くいても、おかしくはない。
だからこそ俺の口から出た国是という言葉に強く反応したのだろう。
「俺の国はこの世界や俺が以前いた世界を含め、色々な世界と接触がある。その理由として、未知の技術を集めるというのがある」
「未知の……技術?」
「ああ。耀哉達には実感がないかもしれないが、その世界だけにしか存在しない技術というのはそれなりにある」
トロニウムを代表として、それ以外にも様々な技術であったり、物質であったり……色々とある。
「例えば……そうだな。ちょっと見せてもいいけど、ここだと畳が傷むな」
現在空間倉庫には色々と入っているが、その中でも分かりやすいのはニーズヘッグを始めとした人型機動兵器だろう。
しかし、そんなのをここで出す訳にもいかない。
そうなると、ダンバイン世界で入手したオーラマシンの中でも、小型だという事でピグシー辺りを見せてもいいかと思ったのだが、そうなると間違いなく畳みが傷むし汚れる。
何しろピグシーというのは外を移動する為に使われるオーラマシンなのだから。
「ああ、ならこれはどうだ? しのぶや義勇は見てるだろうけど」
そう言い、ゲイ・ボルクを取り出す。
どこからともなくいきなりゲイ・ボルクを取り出した俺の姿に、耀哉やあまねは驚いた様子を見せる。
だが……しのぶや義勇は、もし俺が何か妙な行動をした場合は即座に日輪刀で俺を攻撃するといったような体勢になっていた。
「これはゲイ・ボルクという宝具だ」
「な……ゲイ・ボルク……? それはもしかして、アイルランドの光の御子の……」
おお、どうやら耀哉はゲイ・ボルクについて知っていたらしい。
これが昭和の後半や平成なら、ゲームとかでそれなりにゲイ・ボルクについて知っている奴もいるんだが。
大正の時代でゲイ・ボルクについて知ってるとなると……その知識はこの時代にしてはかなり高い。
まぁ、鬼殺隊を率いているのだと考えれば、そういう知識も必要なのだろう。
「正解だ。クー・フーリンから貰った。こことは違う世界では、聖杯戦争というのがあってな」
そう言い、Fate世界について……そしてそこで行われた聖杯戦争について説明する。
クー・フーリン、アーサー王、メデューサ、ヘラクレス、メディア、ギルガメッシュ、佐々木小次郎といった者達が戦った聖杯戦争を。
ちなみにだが、耀哉も含めて全員が一番反応したのは、当然のように佐々木小次郎だった。
この世界でも佐々木小次郎の名前は知られているらしい。
Fate世界では、実は佐々木小次郎というのはいないという事らしいが、もしかしたらこの世界だと佐々木小次郎は存在したのかもしれないな。
それどころか、腕利きの剣士だったということは、鬼殺隊の一員であったという可能性もある。
……物干し竿が、実は日輪刀だったとか? それはそれで面白そうではあるが。
「そんな訳で、俺はクー・フーリンからこのゲイ・ボルクを貰った訳だ」
そう言い、ゲイ・ボルクを空間倉庫に収納する。
それを見て、しのぶと義勇は安堵した様子を見せていたが……うん、その辺は気にしないでおこう。
「なるほど、話は分かった。つまり、日輪刀を……いや、それ以外にも欲しい物があるんだね?」
「ああ、その辺はまだ色々とお互いに相談する必要もあるだろうけど。そうだな。今の時点で俺が興味深いと思っているのは、この世界だけに存在する日輪刀、それに鬼殺隊で使われているという呼吸。……まぁ、呼吸に関してはまだそこまで詳しい事を聞いてないから何とも言えないが」
「ふむ、なるほど。しかし……呼吸というのはそう簡単に習得出来るものではないよ? 皆が長い時間修業をして、それでようやく習得出来る技術だ」
「だろうな。それくらいは俺も分かる」
実際、気の運用であったり魔法であったりも、習得するには長い時間が必要となる。
ダンバイン世界において、マーベルやガラリアが魔法を習得しようとしていたものの、結局完全に習得は出来なかった。
ガラリアがショウと一緒に地上に出た時は、バイストン・ウェルに戻ってくる際に火事場の馬鹿力的なやり方で一時的に魔法でバストールを強化して、無事に戻ってきたが。
「けど、心配するな。ホワイトスター……ああ、シャドウミラーの首都というか、本土というか、まぁ、本拠地だと思って貰えればいいか、そこにはネギま世界という、こことはまた違う、魔法とかがある世界から入手した魔法球というのがある。これは外の1時間が内部では48時間になるという、非常に優れたマジックアイテムだ。これを使えば、呼吸の効率的な修行は出来ると思う」
呼吸というのが本当に人間的な意味での呼吸が必要とするのであれば、俺には使えない技術だろうが。
「そのような物があるのかい? それは凄いね。かなり便利な道具のようだけど」
「それは間違いない。ただし、当然だが内部で48時間経つという事は、それだけ年齢にも影響してくる」
年齢に影響してくるという言葉に反応したのは、しのぶとあまね。
やはり女だけに、年齢については気になるのだろう。
しのぶはまだ10代後半といったところだが、あまねは20代半ばくらいといった様子だし。
「年齢か。けど、それだとアクセルの仲間達も迂闊に使えないのでは?」
「シャドウミラーのメンバーは、基本的に不老だ」
「……………………は?」
たっぷりと1分近く黙り込み、それからようやく耀哉の口からそんな言葉が漏れる。
耀哉らしくない――とはいえ、俺が耀哉とあったのは今日が初めてだが――間の抜けた声。
いやまぁ、その理由は分かるけどな。
不老というのは、人間の夢の1つでもある。
それこそ太古の昔から、多くの者が求めてきた代物だ。
だというのに、そんな不老を国民全員が……と、そう思うのは当然の事だった。
実際には不老になる為の受信機を欲するかどうかは、あくまでも個人の自由だ。
しかし、今のところはエルフ達も含めて全員が受信機を身に着けている。
これでもっと時間が流れれば、中にはこれ以上の長生きは嫌だと、受信機を外して寿命で死ぬような者も出て来るのかもしれないが。
「言っておくが、嘘でも何でもない、真実だぞ。……まぁ、シャドウミラーに所属する者達が不老になったのは、半ば成り行きに近いが」
「え……あ、すまない。ちょっと待って欲しい」
耀哉は俺の言葉に困った様子を見せ、そう呟く。
耀哉にしてみれば、全く理解出来ない事だったのだろう。
「言っておくが、あくまでも不老であって不老不死じゃない。年齢は変わらないが、重傷とかを負った場合は普通に死ぬ」
木乃香やレモンの治療技術があるので、重傷であってもそう簡単には死ぬ事はないのだが、それでも死ぬ事があるのは間違いのない事実だ。
「いや、それでも十分驚くよ。よければ、一体何故そのような事になったのか聞かせて貰えるかな?」
「ああ、別にいいぞ。そこまで難しい話じゃないし」
そう言うと、時の指輪に関しての話をする。
勿論、その全てを話すといった訳にはいかないので、あくまで話してもいいだけのところだけだが。
「時の指輪、か。それは素晴らしいね。ちなみにだが、その受信機だったかい? それを私が持てば、私も不老になれるのかな? いや、もっと具体的に言えば、呪いはどうなるんだろう?」
「どうなるんだろうな。正直なところ、その辺については検証したことがないから分からないとしか言いようがない。ただ、あくまでも仮説ではあるが……多分、無理だろうな」
不老の状態であっても、怪我をすれば血が出るし、致命傷を受ければ死ぬ。
そうである以上、呪いによって身体が蝕まれている場合、それを不老でどうにか出来るかと言われれば、難しいと思う。
ただし、これはあくまでも俺の仮説だ。
実際に試してみた場合、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、不老で呪いをどうにか出来る可能性もない訳ではなかった。
「それに、呪いについてはしのぶが言っていたように、色々と解呪出来る可能性がある。実際にはホワイトスターに戻って相談してみないと正確なところは言えないが、強力な回復魔法の使い手がいる。その人物が、解呪を出来るかもしれない。これが本命だな」
木乃香の能力を思えば、あるいはあっさりと回避出来る可能性も否定は出来ない。
「次に、鬼殺隊のお前達にとっては許容出来ないかもしれないが、シャドウミラーにはエヴァという吸血鬼がいる、話に聞いた鬼舞辻無惨程ではないにしろ、600年を生きていて、魔法については専門家だ。それだけに解呪についてどうにか出来る可能性も否定は出来ない」
「待って欲しい。鬼が仲間にいる……というのは、本当なのかい?」
「ああ。けど、正確には鬼じゃなくて吸血鬼だ。それにこの世界の鬼と違って、別に人を殺して食ったりとか、そういう事はない。血も……まぁ、飲まなければ飲まないで、特に問題はないしな」
そう説明するも、耀哉を含めて他の者達も複雑そうな表情を浮かべていた。
鬼殺隊という組織の性格を考えれば、無理もないだろうが。
うーん、これだと俺がリョウメンスクナノカミを一部なりとも吸収してその要素があるってのは、言わない方がいいのか?
「最後にレモン……ホワイトスターの技術班という部門を率いている人物だが、そのレモンに頼る方法。前の2つは魔法的な側面からの解呪だったが、レモンは魔法ではなく科学を使って解呪を試みる。……この場合は、解呪ではなく治療と言った方がいいのかもしれないが」
そう告げる俺の言葉に、呪いを治療するということが信じられなかったのか、耀哉達は驚きの表情を浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730