転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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次の世界当てクイズで正解したヴェルギナのアンケート、種死編です。
若干ヴェルギナさんの要望とは違うかもしれませんが、このような形となりました。


番外編126話 if 機動戦士ガンダムSEED DESTINY編

 正直、俺がその世界に転移した時は何故こんな事に? と思った。

 SEED世界……それは、俺にとっても馴染み深い世界の1つではある。

 マリューという恋人を得た世界でもあるし、俺にとっても馴染み深い技術のPS装甲を入手したりもした。

 そういう意味では懐かしい世界だが……

 

『アクセル、アスラン隊長が!』

 

 ルナマリアの言葉に急かされるように、俺はカオスに乗ってフリーダムとセイバーの戦っている戦闘空域に向かう。

 この世界に俺が転移した時、そこにはアビス、ガイア、カオスの3機のMSがある倉庫だった。

 当然だが、本来なら最新鋭MSのある倉庫にいきなり姿を現した俺は捕まるなりなんなりしていただろう。

 だが……その倉庫が襲撃されている真っ最中となれば、話は違ってくる。

 というか、俺が初めてSEED世界に転移した時もあんな感じだったよな。

 そんな訳でSEED世界からの流れと同じようにカオスを奪おうとしていた敵を倒して、俺がカオスに乗り込み……その後は戦いに巻き込まれたりしてと色々とあったものの、デュランダルの特例によって俺はカオスのパイロットとしてミネルバに所属する事になったのだ。

 デュランダルが俺を特例扱いしたのは、俺がこの世界に転移した時の映像がしっかりと残されており、それで興味を惹いたというのも大きいが、それ以上に俺がデスティニープランについて知っていたというのが大きいのだろう。

 その後は見ず知らずの俺を気にくわなかったらしいシンが絡んで来たのを逆に倒したり、何故かは分からないがルナマリアから積極的にアプローチされたり、この世界のアスランと会えば会ったで俺の知ってるアスランと違いすぎて混乱したり……と色々とあったのは事実だが、ともあれ現在ミネルバは地球に下りて……何故か連合軍とオーブ軍と戦っている時に、いきなり乱入してきたアークエンジェルとの三つ巴……というか、半ば2対1、いや連合軍とオーブ軍を別にすると3対1での戦いに近い状況だった。

 カオスをMA形態に変形させ、キラのフリーダムとアスランのセイバーが戦っている戦場に向かい……すると、アスランのセイバーがキラのフリーダムによって攻撃をされようしているところだった。

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速を使い、一気に2機との間合いを詰め……そして、俺は特殊兵装ポッド、ドラグーンの発展型と言われる武器でフリーダムを連射する。

 こちらの攻撃に気が付いたフリーダムが逃げようとするものの、俺のステータスの高さは伊達じゃない。

 次々と回避するフリーダムに攻撃が命中する。

 ……とはいえ、さすがキラと言うべきか。

 こちらの攻撃は命中するものの、致命傷とはならない。

 

「アスラン、無事だな?」

『アクセル……? た、助かった』

 

 セイバーからの通信に表示されていたアスランは、安堵した様子を見せる。

 

「キラの相手は俺がする。お前はミネルバの方に回ってくれ」

『……頼む』

 

 そう言い、アスランの操縦するセイバーはミネルバの方に向かう。

 そんなセイバーに向かってキラのフリーダムが攻撃をしようとするが……

 

「させると思うか?」

 

 フリーダムがセイバーに向かってビームライフルを撃とうとするのを、ビームサーベルで斬りかかって邪魔をする。

 SEED世界のビームサーベルは、ビームサーベルで受け止めることが出来ないという特徴を持つ。

 そういう意味では、ビームサーベルで攻撃されたフリーダムが回避を選択し、その結果としてフリーダムの撃ったビームが全く見当違いの方に向かったのは当然の事だった。

 

『君は! 一体何故僕の邪魔をするんだ!』

 

 アスランとの戦いを邪魔されたのがよほど許せなかったのか、オープンチャンネルでそう苛立ちを露わにした通信を送ってきた。

 

「そう言われてもな。アスランはミネルバの大事な戦力だ。新型機にも乗ってるし、それをお前にやらせる訳にはいかないだろ?」

『僕はアスランの為を思って戦ってるんだ!』

「それは分かってるよ。けど、それはお前の都合だろう? なら、俺がそれに手を出す必要はない。違うか?」

『僕の邪魔をするなら!』

 

 そう言うと、フリーダムはカオスに向かって攻撃してくる。

 しかし、俺の操縦するカオスはそんな攻撃を次々と回避していく。

 そんな状況が信じられないのか、最初は不殺のキラらしく手足を狙っていたフリーダムの攻撃は、次第にカオスを撃破する動きになっていく。

 へぇ……キラの性格を考えると、もう少し不殺に拘るとばかり思っていたんだが。

 しかしそんなキラの動きでもカオスに命中させる事は出来ない。

 さて、そうなるとキラをどうするのかだな。

 このまま殺そうと思えば殺せる。

 だが、俺にとってもキラは――SEED世界のキラだが――それなりに親しい知り合いだし、アスランのいる場所でそんな真似をするのも気まずい。

 俺の知ってるキラとこのキラが別人だというのは分かってるんだけどな。

 俺の知ってるキラなら、もう不殺なんて馬鹿な真似はしない。

 それどころか、フレイとラクスという2人の嫁との生活を守る為なら、容赦なく相手を殺すといった真似をしてもおかしくはなかった。

 

「取りあえず、アスランを殺そうとはしていなかったみたいだから……この程度で許してやるよ!」

 

 そう言い、フリーダムの頭部をビームサーベルで切断する。

 

『え!?』

 

 まさか、こうもあっさりと頭部を切断されるとは思わなかったのだろう。

 焦ったような声を上げ……そんなキラを放ってフリーダムの頭部を手に入れようと動こうとしたのだが、バルトフェルドのムラサメがフリーダムの頭部を受け取ると、そのままアークエンジェルに向かって撤退していく。

 ちっ、フリーダムの頭部は情報的に色々と美味しい代物だったし、出来れば手に入れたかったんだが。

 そんな風に考えていると、シンのインパルスがオーブ軍の軍艦を破壊しているのを見る。

 こっちのシンも、俺の知ってるシンとは大きく違うんだよな。

 スティングやアウルもそうだけど。

 ともあれ、そんな風に考えつつ俺は連合軍の軍艦を攻撃すべく行動を始めるのだった。

 

 

 

 

 

「よう、アクセル。やっぱりお前凄いな!」

 

 戦いが終わると、ハイネが俺に向かってそんな風に言ってくる。

 少し前にミネルバに来たパイロットだが、コーディネイターの割には俺に対してもかなりフランクに接してくる。

 俺の正体……異世界の存在であるというのは、限られた者達しか知らない。

 そんな中で、ナチュラルのパイロットという事になっていた。

 そのお陰で、中には俺を敵対視してくる奴も多い。

 プラントがこの戦争でいきなり核ミサイルを撃たれたのを考えれば、それも納得は出来るのだが。

 ミネルバのクルーは俺との付き合いもそれなりに長いし、何よりも俺の実力を直接知ってるので、そういう事はないのだが。

 そういう意味では、ミネルバに来てからまだ短いハイネが俺と友好的に接するのは……まぁ、以前の戦いでガイアに倒されそうになったところを助けたから、というのも大きいんだろうが。

 

「まぁ、デュランダル直属なんだし、このくらいはな」

 

 そう言う俺に、ハイネは笑みを浮かべつつ言葉を交わすのだった。

 

 

 

 

 

「これがロゴスの秘密兵器か」

 

 巨大な……MSというよりは特機と呼ぶに相応しい姿をしたMS。

 ベルリンを焼いたそのMSを止めるべく、ミネルバ隊はやって来たのだが……

 

『ステラ! ステラぁっ!』

 

 不意に聞こえてきたインパルスからは、必死の思いを宿したシンの叫びが聞こえてくる。

 一体何故? と思ったが、ステラという名前ではっきりとする。

 つまり、あの巨大MSに乗ってるのはステラらしい。

 以前研究所で捕虜にしたものの、シンが勝手に連合軍に返したステラ。

 レモンの治療もないので、特殊な薬であったり、特殊な装置が生きるのに必須となっているステラを殺さない為には、それが必要だったのだろうが……それでも、やりすぎだったのは間違いない。

 ともあれ、そんな思いをして返したステラが、再び戦場に現れたのだ。

 シンが半ばパニック状態になるのも、分からないではない。

 そして好きな女を助けたいという思いは、俺も理解出来る。

 

「行け、シン。お前はステラを助ける事だけを考えろ!」

『アクセルさん……分かった!』

 

 そうして巨大MSに突っ込むシンのインパルスだったが、そのインパルスを援護しようとしたのか、フリーダムが姿を現す。

 出て来るのが遅かったのは、以前俺に切断された頭部の修理の為か? けど……

 

「今は、邪魔をするな!」

 

 近付いて来るフリーダムに向かい、ビームライフルを連射する。

 それを必死に避けようとするフリーダムだったが、俺の攻撃は一切回避することも出来ず、次々とビームが命中していく。

 それもしっかりと、致命傷にならないような場所だけだ。

 まさか、俺がキラのやる不殺をする事になるとは思わなかったが。

 

『何で邪魔を!』

 

 これ以上は回避をし続けてもダメージを受けるだけだと判断したのか、キラはオープンチャンネルでそう叫んでくる。

 

「お前が邪魔をするからだ」

『何を言ってるんだ!』

「見ろ」

 

 そう言い、カオスで巨大MSを指さす。

 するとキラはそちらを確認し……

 

『攻撃を……して、いない?』

「正解だ。今、シンが……インパルスのパイロットが巨大MSのパイロットを説得している。お前が邪魔をすれば、それが失敗する可能性がある」

 

 その言葉にキラは沈黙し……結局この戦場に来て何も出来ず、アークエンジェルに戻るのだった。

 ちなみにシンの説得は成功してステラを助け出し、ステラはより施設の整っているプラントに送られる事になる。

 ミネルバでは施設の問題もあってろくなことが出来なかったものの、ステラ達がいると思われる研究所のデータを入手した以上、コーディネイターなら何とかするだろう。

 そして俺にとっての収穫は……巨大MS、デストロイ。

 殆ど無傷で入手したデストロイは、俺が乗る事になるのだった。

 カオスも悪い機体じゃないんだけどな。

 デストロイはザフトでも解析したいという意見があったものの、この辺もデュランダルの一声であっさりと俺の乗機になった。

 とはいえ、当然ながらミネルバでデストロイの運用は難しいので……

 

「へぇ、これがデストロイね。でも、こんな大きいMS、使うのは難しいんじゃない? まぁ、アクセルなら何とか出来るかもしれないけど」

「ルナマリア、何でここに?」

 

 俺がルナマリアに声を掛けられたのは、デストロイの運用艦として用意して貰ったコンプトン級の格納庫。

 陸上戦艦としては、ザフトでも最新鋭の艦だが、デストロイを使えるように色々と改修されている。

 結果として、普通のMSの搭載数は少なくなっていたのだが……何故かその数少ない搭載数の場所には、赤いザクの姿があった

 

「艦長からの命令でね。アクセルの補佐をする事になったわ」

 

 そう告げるルナマリアの言葉に、俺はそうかと頷くのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル、デストロイ、出るぞ!」

 

 オーブで行われている戦いで、当然ながら俺も出る事になったんだが……島国での戦いで、デストロイの出番ってあるのか?

 そんな疑問を抱きつつも、取りあえず海底の浅い場所を移動する。

 デストロイの巨体は当然のように発見しやすい。

 そして半分程が海中にあるという事でいい的だと思ったのだろう。

 オーブ軍のムラサメがMA形態……いや、戦闘機形態といった方が正しいが、こちらに向かって近づき、攻撃を仕掛けてくる。

 だが、その攻撃はデストロイの持つバリア、陽電子リフレクターによってあっさり防ぐ。

 基本的にビームを弾くのが陽電子リフレクターなのだが、デストロイの場合は物理攻撃も防げるんだよな。

 手が分離し、指先のビーム砲で一気にムラサメを撃破する。

 そうしてオーブ軍と戦っていると、不意にアークエンジェルが姿を現す。

 それも……フリーダムではなく、ストライクフリーダムに乗って。

 その機体がどれだけの性能を持つのかは、シャドウミラーの実働班の下部組織たる精霊の卵で遣われているので、知っていた。

 こちらに向かって放たれるビームを陽電子リフレクターによって防御しつつ、こちらからも反撃する。

 

『っ!? この攻撃……君は、カオスの!』

「正解だ。……アスラン、お前の友達が来たぞ。セイバーでは厳しいが、相手を任せる」

『分かった! 俺がキラを止める!』

 

 キラのフリーダムを相手に、アスランのセイバーが攻撃を仕掛ける。

 アークエンジェルやフリーダムの攻撃は、アスランにとっても理解出来なかったことなのだろう。

 あるいは、デュランダルの性格によってはもしもの可能性はあったかもしれないが……幸い、デュランダルは俺との接触のおかげでかなり性格が変わっている。

 そうである以上、今はフリーダムはセイバーに任せ、海の中をオーブに向かって進んでいき……背後でフリーダムに乗っているキラの声を無視しながら、オーブにいるジブリールを捕らえるか、殺すかする為に動き始めるのだった。


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