転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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3010話

 ハイパービルバインが、何を思ってゼラーナを攻撃したのかは、俺にも分からない。

 ハイパー化した影響でショウが暴走していたというのが一番可能性が高いだろう。

 まだハイパー化という現象そのものが少ないので、具体的にハイパー化についての情報は色々と不明な点が多い。

 高いオーラ力を持つショウがハイパー化しているだけに、パイロットのショウに掛かった負担はかなり大きなものであってもおかしくはなかった。

 それにより、ビルバインは俺ではなく俺の背後にいたゼラーナを攻撃した可能性も高い。

 あるいは、リムルによってギブン家に亡命したのを心の底で後悔していて、それによってギブン家の象徴たるゼラーナに対する不満が現れたという可能性もある。

 その辺りの理由は正確には分からない。分からないが、それでも俺に分かる事が1つだけあった。

 それは、ゼラーナのブリッジにいたギブン家の面々は間違いなく死んだだろうという事だ。

 あの状況で生き残れるのなら、それこそ不死身と呼んでも間違いではない。

 そして何より……ショウにとってもゼラーナを攻撃したのはショックだったのか、それともハイパー化の限界だったのかは分からないが、ハイパービルバインが終わりに向かっているのは間違いなかった。

 それを示すように、オーラ力で構成されたハイパービルバインの姿が崩れつつあったのだから。

 とはいえ、ここでショウは倒してしまう必要がある。

 最高の聖戦士と呼ばれるショウだけに、ハイパー化が終わってもまだビルバインとして普通に行動出来る可能性がある。

 そう判断し……ゼラーナを攻撃してショックを受けたのか、それとも単純に限界を迎えたのかは分からないが、そんなハイパービルバインに向かって俺は突っ込んでいく。

 オーラソードを手に、ハイパービルバインの中心部分……ビルバイン本体のある場所を目掛けて。

 ハイパー化というのは、その外見通りにオーラバトラーが巨大化している訳ではない。

 オーラバリアを本体のオーラバトラーの外見に沿った形で展開している。

 言わば、オーラバリアで出来た着ぐるみを着ているような、そんな感じだ。

 それだけに、ハイパー化したオーラバトラーの中心部分に本体はいる。

 ジェリルとバーンの時はそうだったし、そして今回に限ってもそれと同様だった。

 

「見えた! 死ね!」

 

 ハイパービルバインが崩れゆきつつある中、その中心部分にビルバインの姿がある。

 そして予想通り、そのビルバインは半ば崩壊しつつあった。

 ハイパー化がオーラバリアによる影響である以上、強いオーラ力を持つ者程ハイパー化で強力な力を得られるものの、同時にその強力なハイパー化による持続時間も短いのか?

 いや、ショウのハイパー化はジェリルやバーンよりも上だった。

 だとすれば、本人の持つオーラ力による影響で、ハイパー化に耐えられるといったような可能性もある……のか?

 そんな風に疑問に思いつつもヴェルビンの動きは止まらず、次の瞬間にはオーラソードがビルバインのオーラコンバータを破壊し、その奥にあるコックピットをも貫き……

 レベルアップ!?

 寧ろ、俺は自分がレベルアップするという事をすっかり忘れていた。

 というか、俺が最後にレベルアップしたのはいつだ?

 改めてステータスを表示するが、そこに表示されているレベルは間違いなく44となっていた。

 うん、改めて本当にいつぶりだろうな。

 とはいえ、44になったところで今更感があるんだよな。

 基本的に俺はレベルが10上がるとスキル欄が1つ増える。

 そして今の俺がレベル44ということは、次にスキル欄を1つ増やすにはもう6レベル上げる必要があるのだ。……まぁ、不老の俺だ。いつかはレベル50に達する日も来るだろう。

 そんな風に思いつつ、俺はハイパービルバイン……ではなく、ビルバインから離れる。

 同時に、ビルバインが爆散し……次の瞬間、周囲が光に包まれる。

 何だ?

 

『アクセル……アクセル……』

 

 と、どこからともなく聞こえてくる声。

 その声は、俺にとっては馴染みのある……シーラの声。

 しかし、シーラの声は聞こえているものの、その声がどこから聞こえてくるのかは分からない。

 ヴェルビンの通信機でもなく、そして念話の類でもない。

 それこそ……そう、光に満ちている周囲の空間そのものからシーラの声が聞こえてくるような、そんな声。

 

「シーラか? 一体、何がどうなっている?」

『アクセル……貴方のおかげで、この地にあるオーラ力が一定の強さを超えました』

「オーラ力が? ……タイミングからすると、俺がショウを倒したからか?」

『はい。ショウ・ザマ……あの者も独善的ではありましたが、強力なオーラ力を持つ聖戦士であるのに変わりはありません。そのショウ・ザマがハイパー化した事によってオーラ力が爆発的に増え……それにより、バイストン・ウェルへのオーラロードを開く事が出来るようになりました』

「……は?」

 

 シーラの言ってる意味が分からない。

 いや、分かるのだが、それが実現可能なのか? といった疑問の方が強い。

 俺達をバイストン・ウェルから追い出した者が一体誰だったのか分からない。

 分からないが、シルキーは地上人を3人召喚するだけで疲労で倒れるくらいに疲れていた。

 それはつまり、オーラロードを開いて召喚するにはそれだけの力が必要となるのだ。

 それをシーラがやると?

 そんな俺の心配を察したのか、光の空間の中からシーラの笑い声が聞こえてくる。

 

『ふふふ、何を心配しているのかは分かるわ。けど、安心して下さい。オーラ力はアクセルのお陰で問題ありません』

「俺のお陰?」

 

 取りあえず聞こえてくる声は苦痛を我慢しているといった様子はないので、安心する。

 だが同時に、俺のお陰だというのに疑問を持つ。

 そんな俺の疑問を感じた……というか、この光の空間の中だと、俺の考えを完全ではないにしろ読んでいるような……

 

『正解。ここはオーラロードの中……正確には、私とアクセルの力で、本来とは少し違うオーラロードとなっています。このような事が出来たのもまた、アクセルのお陰です』

「具体的には?」

 

 そう尋ねると、何故かシーラが恥ずかしがっている感情が俺に伝わってくる。

 

『察しなさいよ、朴念仁』

 

 ふと、俺とシーラ以外の声が聞こえてくるが、当然ながら俺にはそれが誰の声なのかというのをすぐに理解出来た。

 

「マーベルもいるのか」

『ええ。私、シーラ、そして……アクセル。この3人がいて、シーラが以前とは比べものにならない力を手に入れた。その原因に心当たりがあるでしょう? ヒントは、私が曲がりなりにもショウと戦える程のオーラ力を得たことと関係があるわね』

 

 そう言われれば、俺にもその理由が理解出来た。

 そしてシーラが何故恥ずかしがっているのかも。

 そう、つまり……俺に抱かれた事によってマーベルやシーラのオーラ力が増したのだろう。

 とはいえ、それはそれで疑問に思う。

 俺に抱かれた事で力が増すというのなら、それこそレモン達は数え切れない程に抱いている。

 しかし、レモン達がどうにかなっている影響はない。

 ああ、いや。でもシェリルの件があったか。

 シェリルは元々かなり重い病気だったのだが、俺に抱かれた事で症状が改善した。

 ……俺の体液って、一体なんなんだろうな。

 あ、でも抱く抱かないは別として、UC世界でニュータイプに触れて精神世界に意識を飛ばしたとか、そういうのもあったか。

 そんな風に思っていると、マーベルからは苦笑が。そしてシーラから拗ねたような感情が伝わってきた。

 

『アクセルの女好き』

 

 シーラの拗ねた声に俺は話を逸らす。

 

「それで、何でシーラとマーベルだけが俺に抱かれたことで力が増したんだ?」

『私とマーベルの持つ力が、オーラ力だからでしょう。とはいえ、私とマーベルはオーラ力が増しているとはいえ、その方向性は違うようですが。私は内面的なものに、そしてマーベルは外向きの力にといったように。……本来なら、私は自分の命を賭して地上に出た者達をバイストン・ウェルに戻すつもりでした。ですが、アクセルから得られた力のおかげで、こうして生きたままバイストン・ウェルに戻れます。また、本来ならバイストン・ウェルから来た者達全員の命を奪うといった形でバイストン・ウェルに戻る予定でしたが、少なくても現時点で生きている者は全員生きたままバイストン・ウェルに移動させることが可能となりました』

「……おい」

 

 シーラの言葉に半ば反射的に突っ込む。

 そんな俺の言葉に、シーラは誤魔化すように言葉ではなく、空間に笑い声を広げる。

 

「まぁ、それについては後で追及するとして……また、バイストン・ウェルか」

『いえ、違います』

『そうね、違うわ』

 

 何故かシーラとマーベルは俺の言葉に対し、否定の言葉を発する。

 

「どういう意味だ?」

『アクセルが元の世界に戻る……いえ、私達の世界から出るのは、今しかないのよ。シーラに頼んで、お土産も用意したからありがたく思いなさい?』

『ええ。あの場にあったオーラマシン全て……それがアクセルの空間倉庫でしたか? そこに入っています。もっとも、ゲア・ガリングは別の場所に存在したのでどうしようもありませんでしたが』

「えっと……え? あれ?」

 

 色々と……そう、色々と聞くべき事があって混乱するも、俺はまず最初に聞くべき事を尋ねる。

 

「今の言い方だと、この世界から脱出するのは俺だけで、マーベルとシーラはバイストン・ウェルに残ると、そう聞こえたんだが気のせいか?」

『気のせいじゃないわ。……正直、私もアクセルと一緒に行きたかったんだけど、出来ないのよ』

「……何でだ?」

『バイストン・ウェルの持つ、オーラ力が影響している、としか言えないわね。とはいえ、これは感覚的なものだけど。でも、シーラも同じでしょう?』

『ええ、マーベルの言う通りです。ですから……アクセル、貴方は自由に、アクセルらしく生きて下さい』

「おい、ちょっと待て。待てって。そんな無茶、俺がどうにかするから!」

『無理です。そうしなければ、アクセルはこの世界から出る事は出来ない』

『そんなシーラを1人、置いていけはしないでしょう? それに……別に、私もシーラも、アクセルと一緒に生きていく事を諦めた訳じゃないわ。アクセルなら、またどうにかしてバイストン・ウェルに来る事が出来るかもしれないでしょう?』

 

 マーベルの言葉にあるのは、絶対的な信頼。

 そのような真似をされてしまえば、俺としてもこれ以上ここで無茶を言う訳にはいかない。

 

「……絶対だ。今すぐにとはいかないが、いずれ絶対にお前達を迎えに行く。だから、それまで待ってろ」

『ええ、待ってるわ。アクセルのことだから、それこそ明日にでも来てもおかしくはないしね』

 

 軽い言葉――ただし、そこには俺に対する絶対の信頼を込めて――呟かれたマーベルの言葉に、俺は笑みを浮かべて頷く。

 

「そうだな。ゲートと繋がってないと時間の流れが違うから、もしかしたらすぐにでも迎えに来る事が出来るかもしれないな」

 

 それは最悪の場合、ホワイトスター側で数日しか経っていなくても、バイストン・ウェルでは数年……あるいはもっと時間が経っているという事も意味している。

 当然ながらマーベルとシーラの2人も、その事は全て承知の上でこのような行動に出たのだろう。

 

『ふふっ、エルやベルもアクセルとまた会うのを楽しみにしていると思いますよ。……では、アクセル。そろそろ時間です。アクセルに貰った力を使っても、いつまでもこの空間を展開しておける訳ではありませんので』

「分かった。……そう言えばオーラマシンとかを纏めて俺の空間倉庫に突っ込んだとか言っていたが、よくそんな真似が出来たな」

『それこそ、アクセルから貰った力のお陰です。それに、オーラマシンを持ってバイストン・ウェルに戻れば、もしかしたらまた地上に出されてしまうかもしれませんしね』

「けど、そう言ったところで生きたままってことは、オーラマシンを開発する知識を持つ者もバイストン・ウェルに戻るんだろう? それに、バイストン・ウェルには機械の館も多数ある。それをどうする?」

『そちらはご心配なく。私やマーベルが責任をもってバイストン・ウェルからオーラマシンを全て排除しますので』

 

 それが一体どれだけの労力が必要なのかは、考えるまでもなく明らかだ。

 また、ショットやゼットを始めとした技術者達の扱いも問題になってくるだろう。

 ……その辺を全て丸投げにするのはどうかと思うが。

 

「分かった。それと、キブツ達の事は……」

『そっちは私が。これでも始まりの聖戦士にして、アクセルの恋人よ? 任せておきなさい』

『では……そろそろ本当に限界です。アクセル……また会える日を楽しみにいています。愛していますよ、アクセル』

『あら、先に言われてしまったわね。アクセル、また今度会いましょう。愛してるわ』

 

 その言葉と共に周辺一帯を覆っていた空間の光が全て消え失せ……不意に、俺は影のゲートとはまた違う転移の感覚を覚え……

 

「どこだ、ここ」

 

 てっきりホワイトスターに戻るのかと思っていたら、出て来たのは自然の……というより、山の中。

 そして同時に、ここで死闘が繰り広げられているのは、周囲に漂う濃厚な鉄錆臭が示しており……何より、俺からすこし離れた場所には倒れている男が1人と、その男の前には人の身体を持つ何かが1人。

 ここで何かと評したのは、首が切断されており、自分の首と思しき頭部を右手で持ち、そのまま平然としていた為だ。

 これは……ネギま世界にでも来たか?

 

「もういい。お前もお前の妹も殺してやる。こんなに腹が立ったのは久しぶりだよ」

 

 そう言いながら、人外の存在は頭部を切断された首につけると、そこは瞬く間に癒着する。

 かなり高い再生能力を持っているな。

 そして人外の存在は、誰かを庇うようにして地面に倒れている男に向かって何かを話し掛けている。

 その身体に殺気を纏わせて。

 そんなやり取りを見ていたが、俺としては最悪の気分だ。

 マーベルとシーラ。新たに出来た2人の恋人と別れたかと思えば、いきなりこのような展開なのだから。

 俺が乗っていたヴェルビンも、いつの間にか消えている。

 いや、ヴェルビンはシーラが言ったように空間倉庫の中に入っているのだろうが。

 ともあれ、恋人と別れた直後にこれなのだ。

 とてもではないが愉快な気分になれる筈がない。

 

「血鬼術、殺目篭」

 

 そう人外の者が言った瞬間、俺は半ば八つ当たりと知りつつ瞬動を使って白い存在を殴り倒すのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1805
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1729

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