俺の操縦するズワウスと、ゲア・ガリングの距離が近付いてくる。
当然のように、ゲア・ガリングは俺を近づけないように攻撃を集中してきた。
ゲア・ガリングはウィル・ウィプスと違って前線に出るような性格のオーラバトルシップではないが、それでも敵に近付かれた時に対処する為、グランガランと同じように多数の対空砲が装備されている。
そんな対空砲が俺に向かって攻撃してくるが、その攻撃のことごとくを回避し……そして速度を一切緩めることなく、ゲア・ガリングに突っ込む。
正確には、ゲア・ガリングの格納庫の中に。
オーラバトルシップだけあって、その格納庫は十分に広い。
それこそオーラバトラー同士で戦うだけの余裕は十分あるくらいに。
……そう、格納庫の中で俺を待ち受けていた、黒騎士のズワァースと戦うくらいには。
「黒騎士か」
『ここでなら、お前の得意とする高機動戦闘も出来まい』
なるほど。それを狙ってここで待ち受けていたのか。
個人的には、ガラミティと戦っているところに黒騎士が乱入してくるのが嫌だったのだが……この選択も嫌だな。
俺が力押しではなく高機動での戦闘を好むのは、黒騎士も理解はしており、だからこそここで俺を待ち受けていたのだろう。
「厄介な真似をしてくれる。だが、その程度で俺をどうにか出来ると、本気で思っているのか?」
そう通信を入れると、ズワァースが曲刀のオーラソードを抜き、構える。
それを見て、俺もまたズワウスのオーラソードを抜いて構えた。
ズワァースとズワウス。
そんな2機がゲア・ガリングの格納庫の中で相対しているのは、見ている者にしてみればどこか違和感があるだろう。
とはいえ、ズワウスはズワァースをベースにして改修した機体ではあるが、その外見はかなり違っている。
尻尾が生えていたり、羽根が生えていたり、複合武装を持っていたり。
また、黒騎士が乗っているズワァースは黒だが、俺のズワウスは赤だ。
こうして見ると、客観的にはかなり違いがあるな。
……もっとも、格納庫にいる者達はその多くが既に避難しており、この戦いを見る事は出来ないだろうが。
現在、外では大きな戦いが行われている。
そのおかげで、ゲア・ガリングの格納庫に残っているオーラバトラーは殆どない。
それもあって、余計に格納庫が広くなっているのは間違いなかったが。
『貴様に好き放題させるよりはいい。それに……私は、この日の為に腕を磨いてきたのだ。簡単に勝てると思うなぁっ!』
その叫びと共に、黒騎士のズワァースはオーラソードを手にこちらに向かってくる。
オーラコンバータを全開にして突っ込むその様子は、俺に余計な動きをさせない為のものなのだろう。
だが……確かに俺は高機動戦闘を得意としているが……
「射撃もあると忘れるな!」
その言葉と共に、複合兵装のオーラショットを撃つ。
だが、そこで黒騎士が取った行動は……何と、回避。
そんな黒騎士の行動は、さすが俺にとっても予想外だった。
そもそもの話、ここはゲア・ガリングの格納庫だ。
ここが地上である以上、当然のようにクの国は地上にはなく、ビショット軍にとってはこのゲア・ガリングこそが本拠地となる。
つまり、黒騎士にとってもここは重要な場所の筈なのだが、にも関わらず一瞬の躊躇もなく、あっさりと回避した。
結果として、ゲア・ガリングの艦内では巨大な爆発が起こる。
オーラショットを含め、バイストン・ウェルの火薬を使った兵器は地上では非常に大きな威力を発揮する。
そんな攻撃が格納庫の中で行われたのだから、その被害は間違いなく大きいだろう。
『死ねぇっ!』
しかし、黒騎士はそんなゲア・ガリングの様子には構わず……それどころか、背後の爆発すらもズワァースの推進力として利用し、速度を上げて突っ込み、オーラソードを振るう。
その一撃を複合兵装の盾で受け止め、いなす。
普通ならそのような事になれば機体のバランスが崩れる。
しかし、黒騎士のズワァースはそのような状況になってもバランスを崩すことなく、連続攻撃を仕掛けて来る。
これは……確かに言うだけの事はある。
以前タータラ城で戦った時にも思ったが、黒騎士はかなりの技量の持ち主だ。
それこそ、純粋に操縦技術という点では聖戦士に並ぶくらいの実力を持つだろう。
そう思い、ふと頭に電撃が走ったような感覚があった。
こちらから攻撃せず、意図的に黒騎士のズワァースに一方的に攻撃させ、その攻撃を複合兵装の盾で、もしくはオーラソードで弾く。
1分程そのような行動を続け……そして俺は確信する。
「お前、バーンだな!」
バーンとは、生身ではともかくオーラバトラーを使った模擬戦は殆どしていない。
だからこそ気が付くのが遅れたのだが、それでもバーンの操縦するオーラバトラーの戦闘を見た事はある。
だからこそ、俺は黒騎士の戦い方の癖の幾つかがバーンと同じだと理解出来た。
そんな俺の通信を聞き、ズワァースは攻撃を止めると距離を取り……そして映像モニタに黒騎士が映し出される。
黒騎士は被っていたマスクを脱ぎ捨て……そこにあったのは、やはり俺の予想通りバーンの顔だった。
『アクセル・アルマー……私は、貴様に味わわされた屈辱を払拭する! その為に顔を隠し、黒騎士となったのだ!』
叫ぶバーンだったが、それなら俺の前で隠していた顔を出すのはどうなんだ?
そう思わないでもなかったが、この様子からすると本人的にこれは問題のない事なのだろう。
「そう言ってもな。正直なところ、俺がそこまでお前に憎まれるってのは、何でだ? 俺は別にお前に憎まれるような事をした覚えがないんだがな」
『貴様……この期に及んで、まだそのような事を! 許さん!』
正直な気持ちを言っただけだったのだが、バーンにしてみればそれこそが許せなかったのだろう。
ズワァースは先程同様……いや、先程以上の気迫でこちらに近づき、オーラソードを振るってくる。
しかし、気迫が籠もっているのは間違いないが、怒りで攻撃が雑になっているのも事実。
先程までの冷静な一面はどこにいったのかと言いたくなるが、普通に考えれば俺が何故恨まれているのか分からないというのが、余程バーンの怒りを買ったのだろう。
とはいえ、雑になった攻撃は対処が容易となる。
大振りの一撃を複合兵装の盾で弾き……次の瞬間、ズワウスのオーラソードの一撃がズワァースのコックピットに向かう。
だが、咄嗟のことではあったが反射的に動いたのだろう。
バーンはオーラソードを持っていない方の手を上げ、コックピットを庇う。
結果として、ズワァースの左手は俺のオーラソードによって切断されたものの、機体そのものは無事だった。
ちっ、頭に血が上ってるのかと思っていたが、予想していたよりも冷静だな。
そんな風に思うも、この状況で左腕を失ったというのは痛い筈だ。
「甘いな、バーン!」
『黙れぇっ!』
俺の言葉に苛立ちと……何よりも濃厚な憎悪を滲ませながら、残った右手1本でオーラソードを振るってくる。
片手になったばかりでオーラソードを連続して振るっているにも関わらず、ズワァースの機体バランスが崩れないのは、それだけバーンの実力が高いという事か。
……ただし、機体バランスは崩れてないが、バーンのズワァースが振るうオーラソードによってゲア・ガリングの格納庫の中はかなりの被害を受けていたが。
それこそ、最初に俺が発射したオーラショットよりも、バーンのズワァースが破壊した被害の方が、今では多くなっているだろう。
それでもバーンは、そんなのは関係ないと言わんばかりにオーラソードを振るってくる。
いっそ、このままバーンのズワァースを引き連れて艦内を移動すれば、ゲア・ガリングに大きな被害を与える事ができるんじゃないか?
そんな風に思いながら、こちらに振るわれたオーラソードの一撃を弾き、ショットクローを放つ。
ズワァースの動きを封じるのではなく、打突武器としての一撃。
本来なら敵の動きを止めるように使う事が多いのだが、今の状況では打突武器の方がいいと思っての判断。
ズワァースはその攻撃を何とかオーラソードで防ごうとしたものの、複合兵装の盾を装備している腕を軽く動かしたことでショットクローの軌道を変更し、その機体に命中する。
その衝撃でズワァースのバランスが崩れるものの、ショットクローの一撃で敵を殺すといった真似は出来ない。
……あるいは敵がズワァースではなくバストールのように装甲が薄いオーラバトラーなら、話はべつだったかもしれないが。
『貴様、貴様、貴様ぁっ! アクセル・アルマー! 貴様を殺す、絶対に殺してやる!』
ショットクローの一撃は、ズワァースに大きな被害を与えるといった事は出来なかったものの、パイロットのバーンを怒らせるのには成功したらしい。
この調子で、バーンを怒らせてゲア・ガリングの中を……そう思った瞬間……
ドクンッ!
そんな脈動がズワァースから空気越しに伝わってきた。
これは、もしかして……
俺はそれを知っている。
これはジェリルがレプラカーンに乗っている時に戦い、そして起きた現象。
そんな俺の予想を裏付けるかのように、ズワァースは脈動し、その脈動に連動するかのように機体が一瞬巨大になったり、小さくなったりといった事を繰り返していた。
やはり間違いない。これは……ハイパー化。
ショットが名付けたその現象は、実際にはオーラバトラーが巨大化しているのではなく、オーラバリアによってハイパー化した機体と同じ外見の人形を着込んでいるかのような、そんな状況だ。
ただし、ハイパー化によって巨大化したそのオーラバリアは普通に相手に触れる事が可能となる。
「おいおい、本気か? ここはゲア・ガリングの中だぞ!?」
バーンがハイパー化した事に驚きはしたが、それと同様に……いや、それ以上に驚いたのは、この状況でハイパー化した事だ。
現在俺とバーンがいるのは、ゲア・ガリングの格納庫。
つまり、ゲア・ガリングの内部だ。
そのような場所でズワァースがハイパー化したらどうなるか。
それは、現在俺の視線の先で明らかになっていた。
脈動が続くのと同時に、ズワァースは巨大になっていく。
その巨大さは当然のように格納庫の中で収まりきれるものではない。
ズワァースがどれだけ巨大化するのかは分からないが、ジェリルがレプラカーンでハイパー化した時、そのハイパーレプラカーンはズワウスを片手で握り締めることが出来るくらいに巨大化していたのだから。
ハイパーズワァースがハイパーレプラカーンと同じ大きさにまでなるのかどうかは分からないが、現在ズワウスの映像モニタでは既に格納庫の中では収まりきらなくなったハイパーズワァースが、格納庫に頭をぶつけたまま、ゲア・ガリングを軋ませており……次の瞬間、破壊音と共にゲア・ガリングの天井を突き破る。
本気でやったのか、こいつ。
頭で天井を突き破っただけでは収まらず、そのまま更に巨大化していき、ゲア・ガリングを破壊していく。
その被害はゲア・ガリングにとっては、恐らく致命的だろう。
幸い……本当に幸いな事に、格納庫の天井は破壊されたものの、床はまだ無事だ。
そのおかげで技術者達は被害を受けていない。
ただし、それでゲア・ガリングに被害が及んでいないかと言えば、その答えは否だ。
ハイパーズワァースの頭部が天井を突き破った事で、格納庫の上にいた者達がそこから落ちてきては、床に叩き付けられ、手足があらぬ方向に曲がって泣き喚き、あるいは首が折れて死んでいる者もいる。
『う……うおおおおおっ!』
と、不意にそんな雄叫びが聞こえてくる。
何だ? と思って周囲の様子を確認すると、そこではビアレスがオーラソードを手にハイパーズワァースに突っ込んでいくところだった。
ビショット軍の兵士が、まだいたのか?
そんな疑問を抱きつつも、すぐに納得する。
恐らく……本当に恐らくだが、あのビアレスのパイロットはバーンのズワァースがピンチになった時、こちらの不意打ちをするつもりだったのだろう。
だが、バーンのズワァースがハイパー化した事により、それどころではなくなった。
それこそ、今のままでは自分も危なくなると思い、黒騎士のハイパーズワァースを攻撃したのだろう。
だが……ハイパーズワァースと化した機体は、当然ながらビアレスの能力でどうにか出来る筈もない。
次の一瞬には、ハイパーズワァースがこちらも巨大化したオーラソードを握ったまま、邪魔だといった様子で無造作に吹き飛ばす。
その一撃は、特に狙った訳ではないのだろう。
だが、ビアレスは次の瞬間には完全に砕けた。
バーンにしてみれば、その程度は何の意味もない事だと考えているのか……オーラソードを手にし、格納庫を破壊しながらそれを俺に向かって振り下ろす。
「うおっ!」
まさか、この状況でそのような真似をするというのは、俺にとっても完全に予想外だった。
ゲア・ガリングの受けた被害は、それこそ小破どころか中破……場合によっては大破に近い被害を与えているのは間違いないだろう。
そんな風に思いながら、俺はハイパーズワァースの一撃を回避するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1685
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1705