転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0017話

 前回、会議室でヴィンデルと会ってから1ヶ月ちょっと。俺は再度同じ場所で同じ相手と顔合わせしていた。

 本来はもう少し早く打ち合わせをする予定だったのだが、ヴィンデルの方で仕事が忙しいらしく、ようやくまとまった時間が取れたのが今日だった。

 

「遅くなってすまなかったな。それから3年への進級を祝わせて貰う」

「ありがとうございます」

「いや、もう私もお前も同じ部隊の仲間だ。そんなに格式張った口調ではなく、いつも通りで構わんよ」

 

 ……意外にフレンドリーだな。

 

「了解。じゃあそうさせて貰う」

「さて、それじゃあ早速だが部隊編成の話に入ろうか」

「ちょっと待ってくれ。その前に聞いておきたい事がある」

 

 早速話を進めようとするヴィンデルだが、その話を遮り前回感じた疑問を口に出す。

 

「ん? 何だ?」

「ついさっきも祝って貰ったが、俺は士官学校の3年だ。つまりはまだ1年間この学校に通わなければならない訳だ。その場合シャドウミラーとしての活動はどうするんだ?」

「……シャドウミラー?」

 

 うわしまった! まだ部隊名が決まってないのにシャドウミラーの単語を出してしまった!? 洒落にならないミスだ!

 

「あ、いや、その……」

「シャドウミラー、シャドウミラーか。通常の連邦軍の鏡写しの影、とでもいうべきか」

 

 ……あれ?

 

「ヴィンデル?」

「いや、なかなかいいネーミングだ。良し、シャドウミラー。部隊名はそれでいこう」

 

 え、えー……マジ?

 もしかして、原作でも実はシャドウミラーってアクセルが名付け親だったりしたんだろうか?

 

「あー、取りあえず、部隊名はシャドウミラーで決定でいいのか?」

「そうだな、シャドウミラー。私達の部隊にふさわしい名前じゃないか。それで学校がどうした?」

「つまり、このままシャドウミラーを起ち上げても、特殊処理班の隊長である俺がまだ学生という事になってしまうんだが、その辺はどうするんだ?」

 

 その質問に対する答えはシンプルだった。

 

「簡単な事だ。シャドウミラーとしての活動と学生としての活動、両立させればいい」

「は?」

 

 いや、ちょっと待て。言いたい事は分かるんだがちょっと、いやかなり無理があるんじゃないのか?

 

「無理だろ」

「何を言う。やってもみないで無理だと決めつけるな」

「いや、どう考えても無理だろ」

「ならこう言ってやる。シャドウミラーと学生を両立しろ。上官命令だ」

 

 しょうがない、か。まぁ、確かに現実的に考えて士官学校にいる以上両立させるしかない。それに幸いにも部隊はこれから作っていくのだ。装備品の調達やら拠点となる基地の選択、部隊に所属する隊員なんかもこれからだ。最低でも半年は掛かるだろう。

 そして士官学校では3年の後半になれば自習という形も多くなる。

 つまり、両立する期間はそれ程長くないという事だ。

 

「分かったよ。それで部隊編成の話だが、もう目処はたっているのか?」

「そうだな。PTやAMは当然だがそれ以外にもADやVCの導入も考えている」

 

 やはりその2つは出てくるか。機動性重視のアサルト・ドラグーンに砲撃戦特化のヴァルキュリアシリーズ。

 だが、現在の知識として俺はそれを知ってるべきではないので、ヴィンデルの言葉に聞き返す。

 

「AD? VC? それは?」

「ああ、一般の士官学校まではまだ情報が出回ってないか。ADというのはアサルトドラグーンと言って、フレモント・インダストリー社が開発した強襲型の機体だ。高性能なマン・マシン・インターフェイスと機動力が売りの機体で俺達のような特殊部隊にとってはかなり使える機体だ。VCはヴァルキュリアシリーズ。Z&R社が開発した機体で実弾兵器が主体の砲撃戦特化の機体となる。こちらは支援用の機体として少数ではあるが欲しい所だな。両方ともごく最近発表された機体だ」

 

 ADとVCの説明を聞き、納得した表情を作る。

 

「なるほど。確かに強襲用の機体に支援砲撃用の機体というのは特殊部隊に必要かもしれないな」

 

 PTにもシュッツバルトという砲撃用の機体があった筈だが、これは確か3機しか作られていない筈だし砲撃用の機体は確かに必要だろう。

 ADに関しても、最初から強襲用というコンセプトをしっかりもって作られた機体だけにその信頼度は高い。

 

「その4つは決まりだな。後は、こんなのはどうだ?」

 

 ここで切り札を1枚切る。

 鞄の中からレポートを取り出し、ヴィンデルへと渡す。

 

「ん? これは……時流エンジン?」

 

 そう、フェル博士が発表した論文の時流エンジンに関する部分を分かりやすくまとめ直したものだ。

 黙ってレポートを読むヴィンデルだが、その表情は徐々に真剣になっていく。

 

「……どうだ?」

 

 レポートを読み終わったヴィンデルに尋ねてみる。

 

「確かにこの理論は凄い。本当に実現するのなら、だが」

「その点は大丈夫だ。俺はその理論を発表したフェル博士と個人的に親交を持っていた。嘘の論文を書く人じゃない事は保証してもいい」

「……持っていた? 過去形、か?」

「ああ。ちょっと前に亡くなってな。今は共同研究者のモントーヤ博士が研究を引き継いでいる」

 

 研究者の死亡という言葉に、頬をピクリとさせるヴィンデル。

 その頭の中では色々な事が計算されているのだろう。

 

「それでその、時流エンジンを使った機体というのは現状どのくらいの完成度だ?」

「完成度もなにも、まだその辺はさっぱりだ」

 

 再度ピクリとするヴィンデル。

 だが、今度のピクリは先程のピクリとは違い、怒りを抑えた為だろう。

 

「レポートには書いてないが、時流エンジンは元々タイムマシンの可能性を求めて作り出された物だ。頭が固い学者先生にタイムマシンの可能性、なんて言えばどうなるか分かるだろう? その煽りを受けて研究資金に困っていた。だが、それでもフェル博士は有能な研究者としてそれなりに知られていたからギリギリだが何とかなっていたんだ。だがそのフェル博士が亡くなり、今は同僚のモントーヤ博士のみ」

 

 口の中が乾いたので、テーブルに置いてあったペットボトルのお茶を1口。

 

「で、ヴィンデルと初めて会った前日に俺はそのフェル博士の葬儀に行ってきた。その時にモントーヤ博士に永久機関という特性を活かして時流エンジンを使用した兵器を作るという事になれば連邦軍から資金援助して貰えるとアドバイスしてきた訳だ」

「なるほど。だが、その時流エンジンしかない状態ではどうにもならないだろう?」

「今はそうだろう。だが、俺達が実際に行動出来るようになるには最低でも半年。その半年は長くはなっても短くはならない」

 

 俺の言いたい事が分かったのか、納得した表情で頷く。

 

「だが、それにしても半年で機動兵器を製造するのは無理だと思うが? ましてや、時流エンジンなんて今まで扱った事がないものを動力源に使ったものならなおさらだ」

「だが、燃料のいらない永久機関というのは魅力的だろう? それに最悪、動力源の時流エンジンはあっち。機体はこっちという方法もある」

「なるほど……ならばシャドウミラーのメンバーには機体開発出来る者も必要か……ふむ。なら奴、か?」

 

 1人納得した様子のヴィンデルを眺めつつ、考える。

 シャドウミラーがあちら側に転移すれば、色々な最新技術を集める事が可能だ。そうなれば、時流エンジンに対するブレイクスルーになる可能性もある。

 実際、原作のツヴァイザーゲインはあちらの技術を使う事で完成したのだ。

 出力制限のない永久機関、か。

 

「そうだな、幸い特殊兵装技術研究所に1人、有能なんだが逆に有能すぎて持て余されている奴がいる。そいつを引き込んでみるか」

「ほう、天才は理解されないって奴か?」

「そうだな。まさにそんな感じだ。何となくだが、お前と馬が合うような気がするよ」

 

 俺と馬が合う、ね。誰だ? その奇特な奴は。

 ……ん? 待て。特殊兵装技術研究所? それってもしかして……

 

「なぁ、ヴィンデル。ちなみにその天才さんはなんていう名前なんだ?」

「レモン・ブロウニング」

 

 あー、あー、あー、あー、やっぱり。レモンがここで出てくるのか。

 まさか時流エンジン関係でレモンが出てくるとはちょっと、いやかなり予想外だ。

 と言うか、キョウスケが事故にあってまだそれ程時間が経ってないんだが、もうレモンとしての自我があるのか。

 いや。エクセレンを基にしてるんだからそれはあり、なのか?

 

「まぁ、そっちで何とか出来そうなら頼む」

「うむ、それは構わんが。時流エンジンの方は大丈夫なんだろうな? レモンを加えて資金援助の用意もして、いざという時にやっぱり兵器転用されるのは嫌です、なんて事になったら取り返しがつかんぞ」

「それは大丈夫だと思う。さっきも言ったが、研究者といえども人だ。研究資金がなければどうにもならない」

「分かった。ならそっちは任せるぞ」

 

 取りあえず時流エンジンの件はこれで大丈夫だろう。

 原作が見る影も無いが、原作よりも俺が生き残る方が大切だからな。

 

「他に何か使えそうなものはあるか?」

「ふむ、先程言ったADとVCに関してだが、ADの開発ベースになったソルプレッサ、VCの開発ベースになったフュルギアというのがある」

「どんな機体だ?」

「ソルプレッサは戦闘機だ。整備性に優れ、離陸走行距離が短いのが特徴だ。要撃機としてなら十分使用可能だろう。フュルギアはホバータンクでホバー移動による機動性や旋回速度は優秀だ。火力にしても、腕のいいパイロットが乗ればという条件が付くが、PTやAMを1撃で破壊出来る性能を持っている」

「使えると思うが、シャドウミラーは少数精鋭の部隊になる予定なんだろう? 人型兵器だけで十分じゃないか?」

「何、どんなものでも使いようさ」

 

 そんなものか? ……まぁ、そうか。原作でもノイエDCにソルプレッサやフュルギアを渡していたからな。

 そう考えると確かに使いようなのか。別に無理に俺達が使わなきゃいけないという訳でもないだろうしな。

 

「さて、そろそろ時間だが……これを渡しておく」

 

 渡されたのは、1枚のデータディスク。

 

「これは?」

「私がピックアップしたシャドウミラーの部隊員候補だ。お前から見て有能そうだと思う奴を絞り込んでくれ」

「おい、俺に丸投げか?」

「ほう、なら基地やら何やらの方面を担当してくれるのか? 私はそれでもいいが」

「OK、ボス。部隊員の選抜は俺に任せてくれて構わない」

 

 呆気なく負けた俺だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:9
PP:30
格闘:142
射撃:160
技量:152
防御:149
回避:177
命中:199
SP:214
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:A
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
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スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.4
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撃墜数:4

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