突然戦場に乱入してきたビアレス。
それが誰なのかは、分からない。
分からないが、それを予想する事は出来た。
アメリカにいてビアレスに乗っているパイロットとなると、それこそ候補は2人だけだ。
トッドとアレン。
双方共にアメリカ出身である以上、オーラロードで転移した時にマーベルと同様、アメリカに出ていてもおかしくはない。
空軍の基地に出たのか、それとも自分の家に出たのか。
その辺りは、俺にも分からない。
しかし、アメリカに出たのは恐らく間違いないだろう。
これで俺がサーバインを使えれば、通信で誰があのビアレスに乗っているのかといった事も分かるんだが……仕方がないので、現状ではこのままにしておいて、戦闘が終わった後で接触するとしよう。
ダーナ・オシーを破壊したビアレスは、そのまま鎌のオーラソードを手にボゾンに向かって突っ込んでいく。
狙われたボゾンは、咄嗟にオーラソードを構えて鎌の一撃を受け止めようとしたものの、次の瞬間にはオーラソードの一撃をすり抜けるようにしながら、ボゾンの胴体を切断した。
普通のオーラソードではなく、刀身が短い鎌のオーラソードだからこそ、出来た事なのだろう。
あの鎌状のオーラソードの使い方は、多分トッドだな。
アレンはビアレスのオーラソードをああいう風に使っていなかったと思う。
そんな戦い方をしているビアレスから少し離れた場所では、ダンバインが別のドラムロと戦っている。
とはいえ、一般の兵士と始まりの聖戦士と呼ばれるマーベルの実力差は大きい。
最初こそドラムロの戦闘意欲旺盛な態度に戸惑った様子を見せたマーベルだったが、そういう相手となれば、相応に対処する。
次々とドラムロの四肢を切断していく。
オーラコンバータが装備されているのは胴体なんだから、四肢を切断されても飛んで移動するくらいは出来ると思うんだが……心が折れたのか、四肢を切断されたことで機体に影響が出たのか、その辺りの理由はともかく、次々と街中に落ちていく。
マーベルは一応その辺も考えて道路であったり広場であったりに落としてはいるが、それでも手足が落下していくことによって建物に幾らかの被害が出ているのは間違いなかった。
そうして十分少しが経過し……トッドのビアレスはダーナ・オシー、ボゾン、ボチューンを全て撃破し、マーベルのダンバインもドラムロ全機の四肢を切断し終える。
ドラムロのパイロットは生きているものの、ラウの国の軍勢はその多くが死んでいる。
これは、ドレイク軍とラウの国の軍隊との差といったところか。
ちなみに、俺はその間何もしていなかった訳ではなく、ドラムロの切断された手足だったり、胴体を回収したりしていた。
ちなみに胴体のパイロットはコックピットから放り出して気絶させ、その辺に放り出してある。
この街の現状を生み出した者達である以上、まだ残っているだろう街の住人に見つかれば最悪殺されてもおかしくはないが……その辺は運次第だろう。
一応ドレイクに対する配慮として、見つかりにくいようにゴミの中に埋めたりとかしておいたが。
そうして戦いが終わると、俺は街中でも一際高いビルの屋上で、上空に炎を放つ。
白い炎、白炎を見たマーベルのダンバインと、トッドと思しき者が乗っているビアレスは屋上の方にやって来る。
取りあえず屋上の扉は鍵を壊して取っ手も破壊しておいたので、ここに誰かが来るのは少し時間が掛かるだろう。
そうして屋上に着地したダンバインからはマーベルが、そしてビアレスからは予想通りトッドが姿を現す。
ちなみに、ダンバインとビアレスが屋上に立っているものの、建物が崩壊するといったような事はない。
オーラバトラーはそこまで重くはないしな。
これがPTとかなら、多分屋上が崩れたりしていた可能性が高いが。
「アクセル……いたのかよ!?」
驚きの声を上げるトッド。
その気持ちは理解出来ないでもない。
俺がその場にいたのなら、それこそ戦いに参加している筈だと、そのように思っていたのだろう。
「ああ。けど、俺のサーバインはラウの国での戦いの時にちょっと損傷してな」
「マジか!? アクセルのサーバインが損傷!?」
トッドにとって、俺の言葉はそれだけ意外だったのだろう。
とはいえ、バイストン・ウェルにおいてトッドが俺との模擬戦で勝利した事はない。
そうである以上、トッドにしてみれば俺の乗っているサーバインがそこまで損傷を受けたというのは、とてもではないが信じられなかったのだろう。
……実際には、ショウと黒騎士を相手にして追い詰められたといった訳ではなく、精神コマンドを使った影響からなんだが。
「ああ、そんな訳で、現在の俺はオーラバトラーに乗る事は出来ない。……ともあれ、いつまでもここにいると不味いから、一旦ここから退避する。俺とマーベルは一緒に行動するけど、トッドはどうする?」
「俺は……そうだな、取りあえず俺も一緒に行動してもいいか?」
「それはいいけど、構わないのか? ドレイクのウィル・ウィプスと合流した方がいいんじゃないか?」
俺とマーベルはシャドウミラーという集団ではある。
だが、それに対してトッドは俺達と友好的な関係ではあっても、ドレイク軍の一員、それも聖戦士筆頭といった立場の人物なのだ。
そんなトッドが、俺達と一緒に行動してもいいのか。
「これを見るとな。ドレイク軍がアメリカに被害を与えるとなると、ちょっと考えたいんだよ。実家でも友人に銃を向けられたし」
「あー……それは……」
マーベルの場合は、両親にすんなりと本人であると認められたものの、トッドは違ったのだろう。
この辺、前回ショウとガラリアが地上に転移してきた時、ショウの母親がショウを宇宙人と入れ替わってるとか何とか言ったのが大きい。
ビアレスはダンバインとは違う機種だが、それでもオーラバトラーであるのは間違いない。
そうである以上、トッドの友人もトッドを宇宙人だと認識してもおかしくはなかった。
「なら、取りあえず俺達と一緒に来るか。俺達の拠点は現在マーベルの家だけど、牧場で周囲に他の家もないから、トッドがいても見つかったりはしないだろ」
「けど、ビアレスがあれば……」
「心配ない」
そう告げ、俺はマーベルのダンバインを空間倉庫に収納し、続けてビアレスも同様に収納する。
トッドも俺が空間倉庫を使えるというのは知っていたのだろうが、こういう状況だからこそ、思いつかなかったのだろう。
驚きの表情でこっちを見ていた。
「ほら、行くぞ。いつまでもここにいたら、誰かが来る可能性がある」
俺とマーベルがこの街に来たのは、この街での戦いが生中継といった形でTVに映っていた為だ。
そうである以上、いつまでもこのような場所にいれば、それをまたTVで放映される可能性があった。
友人に銃で撃たれた――それでも怪我はしていないようだが――トッドはともかく、現状で俺とマーベルの存在は世界にバイストン・ウェルの関係者として知られていない。
だからこそ急いでここから立ち去る必要があった。
「分かった。……まさかマーベルの家に行く事になるとはな」
そう言いながら近付いてくるトッドと共に、俺は影のゲートを展開するのだった。
「へぇ、ここがマーベルの家か。……随分と広い。確か牧場だったよな?」
マーベルの家の周囲を見て、トッドが感心したように言う。
以前トッドから聞いた話によると、トッドの家はそれなりに都会にあるらしいからな。
こういう、地平線が見えるような大きな牧場というのは珍しいんだろう。
「マーベル!」
トッドの声が聞こえたのか、人の気配を感じたのか。
その辺りは分からないが、家の中からマーベルの父親が飛び出てきた。
そうしてマーベルに抱きつくと、心の底から安堵した様子を見せる。
父親として、娘が実戦に参加するというのは色々と思うところがあったのあろう。
ドラムロの部品や、ダーナ・オシー、ボゾン、ボチューンの部品も多少なりとも入手出来たという意味で、俺としては悪くない戦いだったんだが……マーベルの両親はマーベルが実際に今までどれだけの戦いを繰り広げてきたのか分からない以上、心配するなという方が無理か。
「パパ、私は大丈夫だから安心して。アクセルも無事だったから」
「ああ、無事で何よりだ。それで……そちらの方?」
「トッド・ギネス。バイストン・ウェルで知り合った人よ。彼もアメリカ出身だったの。TVを見ていたなら分かるでしょう? 途中で戦いに参加した機体のパイロットよ」
「いや、マーベルの機体……ダンバイン、だったか? それが戦い始めて少ししてから、中継が切れたんだ」
「そう」
中継の切れた理由が、カメラが壊れたからか、もしくはこれ以上は危ないと思って避難したといったようなものならいいだろうが、可能性としては戦いに巻き込まれてカメラマンが死んだというのも否定出来ない。
マーベルもそう思ったからこそ、少し沈んだ様子で呟いたのだろう。
「トッド・ギネスだ。よろしく頼む」
マーベルの両親に自己紹介をして頭を下げるトッド。
「ほら、ここだと何だし、私の部屋に行きましょう。どこからトッドの姿が見つかるか、分からないし」
マーベルの家は、戦いのあった街からかなり離れている。
ましてや、牧場である以上、周囲の家からは遠く離れている。
その辺の事情を考えると、この一件をそこまで気にするような必要はないと思うんだが。
そんな風に考えつつも、マーベルがそう言うのならという事で、俺とトッドはマーベルの部屋に向かうのだった。
「さて、それで問題なのは、これからどうするかだけど。……何か意見はある?」
マーベルが紅茶とお茶菓子を用意すると、そう言う。
アメリカだと紅茶よりもコーヒーといった印象があるのだが、マーベルの家は紅茶派だったらしい。
あるいは俺がコーヒーを苦手としているのを知っていて、紅茶を用意してくれたのか。
「意見っていうか……その、これからの事にはあまり関係ないんだけどよ。何だかアクセルとマーベルの距離が近くないか?」
それは、トッドが俺やマーベルと親しいからこそ、感じた事なのだろう。
実際に俺とマーベルの距離感は、間違いなく縮まっている。
その理由は言うまでもなく、俺とマーベルが付き合うようになったからだ。
「こういう事よ」
そう言い、マーベルは俺の身体に密着して体重を預けてくる。
昨夜散々手や舌で触れた柔らかな双丘が、俺との間に挟まって潰れる。
「え? マジか……つまり、そういう事だったりするのか?」
「俺とマーベルが付き合う事になったってのなら、間違ってないな」
そんな俺の言葉に、トッドは驚き……だが同時に納得した様子も見せる。
「なるほど。……ある意味で予想はしてたけど……」
「してたのか?」
「ああ。マーベルがアクセルを好きなのは、すぐに分かったぜ?」
「……それより、今はこれからの事を考えるのでしょう?」
トッドに自分の気持ちが知られていたのが恥ずかしかったのか、マーベルは薄らと顔を赤くしながらそう告げる。
ちなみに、俺もマーベルに好意を抱かれているとは思っていたが、その好意は男女のものではなく仲間同士のものだと思っていた。
今更の話だが、考えてみればそれらしい好意も色々と見せていたんだけどな。
「これからか。俺とマーベルが話していた限りでは、まずショットと合流するのが最優先って感じになってたな」
「それは、サーバインの修理の為か?」
「それもあるけど、修理にどれくらいの時間が掛かるのかは実際に見せてみないと分からないしな。そうである以上、ショットに頼んであったズワァースの改修機を受け取りたい」
「そんなのも頼んでるのかよ」
呆れた様子で俺を見るトッドだったが、どうやらその辺については知らなかったらしい。
まぁ、俺とドレイクの間で行われた会話である以上、その辺の事情については知らなくても無理はないのかもしれないが。
「ズワァースはオーラバトラーの最終形と言われている機体だ。そうである以上、俺にとってはサーバインの代替機として問題はない。……まぁ、性能を比べてみてズワァースがサーバインよりも性能が低ければ、サーバインの修理が完了するまでの機体になるだろうけど」
ズワァースは、確かに高性能なオーラバトラーなのは間違いない。
ただし、サーバインと比べると重装甲すぎるのが少し難点だ。
サーバインに限らず、オーラバトラーというのは感覚で動かす面が大きい。
それはつまり、俺がズワァースに乗って操縦しようとすると、その際に戸惑う可能性があるという事を示していた。
同じ高機動型のオーラバトラーであっても、サーバインとズワァースでは大きく違う。
サーバインは機体の装甲を薄くし、機体の重量を軽くすることで機動性を得ている。
それに対して、ズワァースは重装甲をオーラコンバータの数と出力を上げる事で補っている。
同じ高機動型でも、この差は大きい。
ズワァースの改良型に乗って馴染まないようなら、中継ぎとしてサーバインの修理を待つか……もしくは、サーバインと同系統で同じくらいの性能のオーラバトラーをショットに作ってもらうか、だな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1600
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1688