転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2958話

 結局ドレイクはタータラ城の市街地を攻撃するという選択をした。

 当然のようにマーベルは完全に納得出来た様子もなかったし、ナの国がこの件を知ればシーラの不興を買うだろう。

 だが、シルキーを誘拐したゼラーナ隊を引き寄せるにはここまでしなければならないと、そう判断したのだろう。

 実際、ドレイクのその判断は俺にも頷けるところはある。

 このままでは次に地上人の召喚の儀式が出来るようになった時、ラウの国に新たな地上人が召喚される可能性は十分にあった。

 そうなれば現状では聖戦士が多数いるドレイク軍の有利さが、一気に消えてしまう可能性がある。

 ドレイクとしては、無理をしてでもゼラーナ隊を誘き寄せる必要があると判断したのだろう。

 俺もドレイクの立場なら、そんな判断をした可能性が高い。

 

「マーベル、一応言っておくが、お前は無理してこの戦いに出る必要がないんだぞ?」

『そうかもしれないけど、ここでアクセルに任せて自分は何もしないでおけば、それはそれで後悔しそうだもの』

 

 だから、出撃する。

 ダンバインのコックピットに座ったマーベルは、決意の籠もった表情でそう言ってくる。

 正直なところ、そこまで決意を固める必要があるとは思えないんだけどな。

 とはいえ、マーベルがそう言うのであれば、俺も無理に止めるといったような真似はしない。

 

「分かった。なら、マーベルは市街地は市街地でも、機械の館がある場所を攻撃してくれ」

 

 以前までであれば、タータラ城はラウの国が雇ったガロウ・ランによって防御を固められ、ドレイク配下のガロウ・ランが中に侵入するのは難しかった。

 しかし、今となってはそうでもない。

 以前の夜襲のおかげで、タータラ城の外壁とかにもかなりの被害が出ており、侵入出来る場所は多数増えたのだ。

 そのおかげで、ドレイクの部下のガロウ・ランがタータラ城に侵入し、機械の館がある場所を調べてきてくれた。

 ……勿論、それでも被害が皆無という訳にはいかず、何人かのガロウ・ランは戻ってくる事がなかったのだが。

 そんな訳で、現在俺達は市街地のどこに機械の館があるのかという情報は持っている。

 当然だが、俺達が持っている情報が全てではなく、ドレイクの部下のガロウ・ランでも見つけられないような場所はあっただろうが。

 それでもラウの国の戦力を減らすという意味でも、ここでしっかりと機械の館を破壊しておく必要があるのは間違いない。

 

『そうさせて貰うわ。今の状況を考えると、少しでも向こうの戦力を減らした方がいいと思うし。けど、アクセル。貴方も気をつけてよ? 間違いなくゴラオンはサーバインを狙ってくるわ』

「……だろうな」

 

 ラウの国で唯一にして最強の聖戦士であるショウが、最新鋭機のビルバインに乗っても、俺とサーバインに勝つ事は出来ないのだ。

 そうなると、ラウの国が俺に対処する方法としては、幾つかある。

 まず、俺を無視して戦力を向けない。

 これは、戦力の消耗という意味では問題ないが、俺を自由に動かすことが出来る事になる。

 その結果として、一体どれだけの被害を受けるのかは分かったものではない。

 次に、ショウを含めて精鋭を俺に集中させる。

 これは、ドレイクがショウを相手にする時に指示した戦術だ。

 とはいえ、それはあくまでもショウ1人だけが強敵だという状況だからこそ有効な戦術だった。

 もし向こうが俺に精鋭を集中させた場合、ドレイク軍に多数いる聖戦士達は自由に動き回る事が出来る訳で、その被害は極めて大きなものになるだろう。

 そして……最後に思いつくのが、ゴラオンを使った戦術。

 オーラバトラーで俺を倒せないのなら、オーラバトラー以外の手段で倒すべきというものだ。

 ゴラオンの持つオーラノバ砲は、今までの経験から連射は出来ないものの、その一撃の威力は極めて高い。

 現状、バイストン・ウェルにおいて最強の攻撃力を持っていると言っても、決して間違いではないだろう。

 だからこそ、そのオーラノバ砲を使って俺とサーバインを反撃されることもなく遠距離から一気に倒すといった方法が考えられる。

 俺がラウの国の指導者であっても、恐らく同じ戦術をとるだろう。

 自分で言うのもなんだが、ダンバインの試作機として作られたにも関わらず、サーバインは現状でも最高峰の性能を持つ。

 そんなサーバインを、今まで幾多の戦場を乗り越えてきた俺が操縦しているのだから、普通の戦術で勝利するのは難しいのは明らかだ。

 だからこそ、俺は今回の戦いに参加する上でゴラオンに注意する必要があった。

 

「出来れば、ゴラオンは奪いたいところなんだが……難しいだろうな」

『当然でしょ。……まぁ、奪えても私達だと運用出来ないでしょうけど』

 

 マーベルの呆れたような声に、俺は頷く。

 実際、もしゴラオンを奪えても、現在はヨルムンガンドですらドレイクから兵士を借りた上で、ようやく運用している状況なのだ。

 ゴラオンを入手して使うとなれば、ヨルムンガンドの代わりにゴラオンを使う必要がある。

 だが、ゴラオンは間違いなくヨルムンガンドよりも使いにくい筈だ。

 というか、使用人数が絶対的に足りなくなると思う。

 ヨルムンガンドは、ショットやゼットが必死に開発した自動化の機能がある。

 それに比べて、人数の心配をしなくてもいいゴラオンでは、当然ながら自動化の設備はそこまでなく、ヨルムンガンドよりも多くの人手を必要とする筈だった。

 それを考えれば、やはりゴラオンを奪ったとしても俺達で使うのは不可能だろう。

 だとすれば、使い道は……ショットやゼットによる解析か、もしくはホワイトスターにいる技術班への土産といったところか。

 シャドウミラーの立場から見ても、ゴラオンは十分一線級の性能を持つので、普通に運用する事も出来る。

 オーラノバ砲の威力も、十分に強力だしな。

 

「まぁ、ゴラオンはあくまでも入手出来ればってだけだよ。……それより、そろそろ出撃するぞ」

『分かったわ。ふふっ、アクセルと話していると緊張があっという間になくなってしまうわね』

 

 そんなやり取りをしつつ、次にライネックに乗っているオーラバトラー隊に通信を繋ぐ。

 

「オーラバトラー隊、準備はいいな? 今回の出撃はかなり大変なことになるかもしれないから、気をつけろよ。決して死ぬな」

『了解!』

 

 オーラバトラー隊から返事に頷く。

 ちなみにオーラバトラー隊はキッス家の面々はライネックに乗っており、ドレイク軍はドラムロに乗っている。

 最新鋭の量産機ライネックは、まだ開発が完了してからそこまで時間が経っていないので、まずはウィル・ウィプスへの配備が最優先なんだろう。

 いや、ウィル・ウィプスだけではなくても、ドレイク軍を構成しているオーラシップに配備をする必要がある。

 ドレイクにしても、見栄を張る為にはヨルムンガンドに派遣されている兵士にライネックを配備したいんだろうけど、見栄よりもやはり現在の自分達の戦力が問題なのだろう。

 また、ドラムロもかなり古い機体ではあるが、それでも十分一線級の能力を持っている。

 だからこそ、ヨルムンガンドに派遣されたドレイク軍の兵士は未だにドラムロを使用していた。

 そうして出撃の時間となり……

 

「アクセル・アルマー、サーバイン、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、サーバインはヨルムンガンドの格納庫から出撃する。

 そうして向かうのは、当然ながらタータラ城。

 

『アクセル』

 

 タータラ城を目指して飛んでいると、そんな風に通信が入ってくる。

 誰だ? と思ったら、ビアレスに乗っているトッド。

 

「トッドか。どうした?」

『いや、アクセルがこれらどう動くのかを聞いておこうと思ってな。ドレイク軍の方でも、その辺を気にしてる奴は多いぜ?』

「どうって言われても、普通にタータラ城を攻撃するだけだな。そもそも、今回の作戦の目的はあくまでもタータラ城を攻撃して向こうを焦らせ、ゼラーナ隊を誘き出す事だしな」

『それは分かってるけどよ。……本当に来ると思うか?』

 

 なるほど、トッドが心配しているのはそこか。

 ドレイク軍が本腰を入れてタータラ城を攻撃する以上、ゴラオンはともかく、タータラ城を守るのは不可能と考えて、敢えて手を出さない。

 そうすればゴラオンもゼラーナ隊と同じく部隊での行動となる。

 ……もっとも、そうなればそうなったで補給をどうするのかといった問題があるが。

 ヨルムンガンドの場合は機械の館が艦内にあるので、オーラマシンの部品に関しては問題ないが、ゴラオンやゼラーナとなると、武器の補充やオーラマシンの予備部品とかを入手するのも一苦労となる。

 また、食料のような生活雑貨の類もどうするかってのが問題になってくるだろう。

 その代わり、ドレイク軍に見つかりにくいという利点はあるし、そうして逃げ回っている間に時間が経過し、シルキーが地上人を召喚するように考えている……とか?

 

「出来れば来て欲しいけどな。でないと、タータラ城を攻撃する意味がなくなるし」

 

 トッドに対し、そう返しておく。

 これでゼラーナ隊が来なければ、それこそこの攻撃の意味はなくなる。

 いやまぁ、ラウの国の戦力を減らすという意味では、十分に意味があるんだが。

 そうして考えていると、やがてこちらの存在を認識したのだろう。

 タータラ城側から、こちらを迎え撃つべくオーラバトラーの群れが姿を現す。

 一番数が多いのはボゾンで、その次がボチューン。ダーナ・オシーもそれなりにいるな。

 ここまでの戦いで、ラウの国は結構な被害を受けている筈だ。

 にも関わらず、まだこれだけの数を出せるとは……やっぱりタータラ城の城下街にある機械の館はまだ結構動いているといったところか。

 ボゾンよりも最新鋭のボチューンの数が少ないのは、やはり最新鋭機だけあって生産ラインが少ないからだろう。

 

「来たな。トッド、じゃあ俺はあの連中の相手をするが、お前はどうする?」

『俺もそんな感じだな。市街地を攻撃するのは、性に合わねえし』

 

 この辺り、トッドが軍人である事の証かもしれないな。

 市街地にいる連中が明確に敵対行動を取れば、トッドも攻撃をしないという選択肢はないだろう。

 ……いやまぁ、市街地に機械の館を作ってるだけで、十分敵対行動だと思うんだが。

 トッドにしてみれば、直接攻撃されていない以上は民間人を攻撃するといった真似はしたくないといったところか。

 

「分かった。じゃあ……死ぬなよ!」

 

 そう告げ、俺はトッドをその場に残して敵に向かって突っ込む。

 普通に考えれば、単機で敵の集団に突っ込むというのは自殺行為でしかない。

 だが……俺の場合は違う。

 まずサーバインの性能が突出してるので、敵の集団に向かっても問題はない。

 というか、そうすると敵が同士討ちを避ける為に行動が鈍くなるので、戦いやすくなるのだ。

 また、ゴラオンのオーラノバ砲対策という一面もある。

 ドレイクなら戦っている味方諸共俺を攻撃するといった選択を出来るだろうが、現在のゴラオンの艦長というか指揮を執っているのはパットフットだ。

 夫を殺した停戦交渉の場を用意したのが俺というのを知っていて、夫の仇という風に認識していても、それで味方諸共オーラノバ砲で攻撃するといったことは……多分、ないと思う。

 とはいえ、それも絶対ではないが。

 何しろ、愛する男と結婚する為に祖国を捨てるような性格の女だ。

 場合によっては、愛に狂って味方諸共攻撃をする……といた真似をする可能性も否定は出来ない。

 そんな風に思いつつ、近付いてきたところで複合兵装のオーラショットを撃つ。

 高い射撃と命中の数値によって、放たれたオーラショットの砲弾はボゾンの胴体をあっさりと貫き、その機体が爆散する。

 当然のように、向こうもガッシュを使って反撃してくる。

 放たれた無数の矢は、しかしオーラコンバータを使って自由に空を飛び回るサーバインには命中しない。

 命中しそうな矢も、オーラソードであっさりと斬り捨てる。

 そうして十分に間合いが詰まったところで、複合兵装のショットクローを放つ。

 狙うのは、一番数の多いボゾン……ではなく、一番高性能のボチューン。

 どうせ倒すのなら、高性能の敵から倒した方がいいに決まっている。

 ボチューンはショットクローが放たれた瞬間に自分が狙われていると判断したのだろう。

 回避しようとするが、複合兵装に少し力を入れて動かし、ショットクローの軌道を変える。

 胴体を貫くといった真似は出来なかったが、右肩を貫き、そのまま身体中にショットクローのワイヤーが巻き付き……その瞬間を逃さず、電撃を流す。

 そうして動けなくなった状態のボチューンを手元に引き寄せ……そのまま一気に敵の中心部分まで突っ込んでいく。

 当然ながらサーバインは敵にぶつからないようにしているが、ショットクローで引っ張られているボチューンは何度も敵にぶつかってはダメージを重ねていく。

 そうして敵の中央付近まで到着したところでボチューンを振り回し、やがて敵のダーナ・オシーにぶつかったのを確認すると、一気にオーラソードを手に突っ込み、2機のコックピットを串刺しにする。

 そして次の獲物をと思ったところで、不意にサーバインを囲んでいるボゾンの1機が、ズワァースによって後ろからオーラソードによって斬り裂かれる。

 ドレイク軍の兵士か。

 しかもズワァースを与えられているということは、相当の腕利きだろう。

 

「ここは俺に任せろ。お前は……っ!?」

 

 他の場所で戦え。

 そう言おうとした瞬間、ズワァースは左前腕部に装備されている盾の3連オーラショットをこちらに向かって放つのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1595
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1687

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