ダンバインというのは、ショットやゼットが聖戦士用に開発したオーラバトラーだ。
オーラ力の少ないバイストン・ウェルの人間が乗っても、そこそこの性能しか発揮しないが、聖戦士と呼ばれる地上人が乗った場合、その性能は他のオーラバトラーより上になる。
とはいえ、オーラ力というのはその時の気分や体調、それ以外にも様々な理由で変わる。
そういう意味では、高性能ではあっても振れ幅が高いオーラバトラーという事になる。
……実際、ショウが乗るダンバインは、それ以後にショットやゼットが開発したオーラバトラーを相手にしても、互角以上に渡り合っていた。
それこそ、ダンバインに乗ったショウを相手にするのに、トッド、トカマク、アレン、ガラリア、フェイといたドレイク軍の聖戦士を総動員する必要があったくらいに。
だからこそ、フェイを殺したという新型のオーラバトラー……それがダンバインに似た意匠を持つというのは、大きな意味を持っている。
ましてや、ウィングキャリバーに変形する機能を持つという点でも、非常に珍しい機体なのは間違いない。
ウィングキャリバーというのは、オーラバトラーが乗って移動する……いわばSFSのような代物だ。
シャドウミラーのダラニや、UC世界のドダイといった感じか。
バイストン・ウェルのシャドウミラーは、基本的にヨルムンガンド……その前はナムワンに乗って移動しているし、場合によっては俺が空間倉庫に収納したりもするので、ウィングキャリバーの類はあまり使われてはいない。
まぁ、あれば便利ではあるんだし、ヨルムンガンドの格納庫の広さを思えば導入してもいいんだが……ウィングキャリバーよりもオーラバトラーを使った方が戦力になるのは間違いないんだよな。
それにタンギーとか普通に使っているし。
「それにしも、ダンバイン系のオーラバトラーか。……ショウと黒騎士、どっちだと思う? 勿論ショウと黒騎士が別人だと仮定しての話だが」
ダンバイン系という事で驚いていたマーベルだったが、俺の言葉に少し考えてから口を開く。
「普通に考えればショウだと思うわ。黒騎士は直接見た事がないから分からないけど、もしショウと別人であった場合、多分バイストン・ウェルの人間でしょうし」
「……今更だが、ギブン家とかフラオンとか、もしくはピネガンやフォイゾンといった連中がエ・フェラリオの協力を取り付けて地上人を新たに召喚したといった可能性はないか?」
「どうかしら。地上人を召喚するとすれば、オーラロードを開く必要があるのよ? あんな光の柱みたいなの……見逃すと思う?」
「ないな」
シルキーが地上人を召喚したところは、俺も見たことがある。
その時に見た光景は、かなり派手だったのは間違いない。
もし誰かが地上人を召喚したとすれば、それこそかなり離れた場所で行っても分かるだろう。
……あるいは、本当にそれが見つからないようにどこか山奥とかで召喚した可能性もない訳ではない、か?
「でしょう? だとすれば、やっぱりそのダンバインと似た機体を操縦していたのは、ショウの可能性が高いわ」
「そうなると、次の問題は誰がそのオーラバトラーを開発したかだが……候補は絞られるな」
「そうね」
俺の言葉にマーベルが頷く。
普通に考えて、オーラバトラーを独自開発出来る勢力は限られている。
アの国、クの国、ギブン家、ミの国……正確にはピネガン、ラウの国、ナの国。
そんな中で、ドレイク軍に攻撃してきた以上、アの国とクの国は候補から外してもいい。
クの国は……場合によってはもしかしたらといった可能性はあるが、それでも現状ではドレイクと友好的である以上、考えなくてもいい筈だ。
ギブン家は……技術力はあるかもしれないが、国ではなく領主でしかない。
それも、領地を追い出された領主だ。
ただ、ラウの国の国力があれば、可能性はある。
ショットの部下を引き抜いたという点で、開発能力は高いだろうし。
ラウの国も、国力があるのでギブン家と協力すれば……その新型機を開発出来る可能性は高いだろう。
何しろギブン家に引き抜かれた技術者は、ダンバインの開発にも関わっていたのだ。
そして新型がダンバインの意匠を残しているように思えるとドレイク軍の兵士が言うのなら、その可能性は高い。
そして、ナの国。
ボチューンを開発するだけの技術力を持っているし、オーラバトルシップも開発中との事だ。
また、シーラを始めとして優秀な人物も多い。
そうである以上、新型のオーラバトラーを開発出来る能力は十分にあった。
ダンバインのデータをギブン家やラウの国から受け取れば、新型のオーラバトラーを作る事も可能だろう。
とはいえ、シーラは……というかナの国は停戦交渉の襲撃の件もあってラウの国よりもアの国の方に友好的な筈だ。
そう考えると、新型のオーラバトラーを開発したとしても、それをラウの国に渡すとは思えない。
だとすれば、やはりダンバインと似た新型のオーラバトラーは、ラウの国が開発したのか?
「アクセル、どうするの?」
「そうだな。取りあえずこのまま恐獣狩りをしているといった訳にはいかないか」
フェイが……聖戦士が死んだというのは、大きな意味を持つ。
それこそ、ドレイクが俺達を呼び戻そうとするのを理解出来るくらいに。
「じゃあ、ウィル・ウィプスと合流する?」
「いや、その前にまずはマーベルのダンバインを受け取ってこないとな。ラース・ワウだ。まぁ、そっちはヨルムンガンドで移動するんじゃなく、転移だけど」
ショットからは、まだ改修が終わったといった連絡は来ていない。
しかし、ラース・ワウからラウの国までは遠い。
影のゲートを使えば一瞬だが、それは影のゲートが特別なだけだ。
この世界の通信装置は、基本的に戦場となっている場所くらいの範囲でしか通じない。
ラース・ワウからラウの国までというのは、絶対に無理な話だ。
だとすれば、それこそ誰かに手紙を持たせるか、伝言を頼むかしかない。
つまり、改修が終わってもまだ連絡がついていないだけという可能性もあるのだ。
……単純に、まだ改修が終わっていないという可能性もあったが。
ともあれ、恐らくはショウが操縦しているであろう、ダンバインの後継機を相手にするのだから、マーベルも万全の状態でいた方がいい。
にしても、ダンバインの後継機か。
ドレイク軍にとって、ダンバインの後継機となるとビランビーを意味する。
そしてビランビーを改修したビアレスが直接の後継機となる……のか? ビアレスはクの国のオーラバトラーだが。
とはいえ、ライネックやズワァースもビアレスの系譜と言ってもいい。
ただし、ライネックもズワァースも、純粋にビアレスの後継機という訳ではなく、ビアレス以外のオーラバトラーの要素も取り入れているので、そういう意味ではダンバインの正統な後継機はビアレスで打ち止めといった感じになる。
そういう意味では、トッドやアレンがビアレスを好んで使っているのは納得出来る事なんだろう。
「さて、そういう事になったが……それでいいんだな?」
俺やマーベルの会話に口を挟めずにいた騎士に向かい、そう尋ねる。
すると騎士は、すぐ我に返ったように頷く。
「はい、よろしくお願いします」
「分かった。なら、先に戻ってドレイクに俺達はこれから向かうと伝えておけ」
ヨルムンガンドはその巨体故に、どうしても機動力という点では劣る。
元々が後方で移動する要塞的な使い方をするオーラバトルシップなのだから、移動力が低いのはしょうがないのだろうが……こういう時は少しだけ残念だよな。
騎士が頭を下げてブリッジから出ていくのを見送ると、キブツに声を掛ける。
「そんな訳で、俺とマーベルはこれからラース・ワウに向かうから、ヨルムンガンドはウィル・ウィプスに合流してくれ。……ただし、今の話を聞く限りだとウィル・ウィプスの周辺で戦闘になる可能性も高い。そうなった時は、くれぐれも慎重にな。新型のオーラバトラーとは絶対に戦うな」
フェイは聖戦士の中では若干キャラが薄かったのは間違いないが、それでも聖戦士と呼ぶだけのオーラ力を持っており、オーラバトラーの操縦技術に関しても決して技量が低い訳ではない。
そんなフェイであっても殺されたのだから、ヨルムンガンドのオーラバトラー隊では新型のオーラバトラーと戦うのは無理だろう。
戦った場合、一方的に蹂躙される事になりかねない。
ヨルムンガンドのオーラバトラー隊は、俺やマーベルが模擬戦をしているので、練度という点ではそれなりに高い。
ドレイクから借りている兵士達も、何だかんだと訓練に巻き込まれているので操縦技術は上がっている。
だが……それは、あくまでも一般的な兵士としてだ。
アルダムも、性能そのものは高いが、それでも最新鋭機のライネックやズワァースに比べれば見劣りする。
そんな訳で、オーラバトラー隊としてはショウや……出て来るかどうかは分からないが、黒騎士と戦うのは無謀に近い。
キブツもそれは分かっているのだろう。
特に反論する様子もなく頷く。
「分かりました、もしそのような相手と遭遇したら、アクセル王の指示に従います。……私も、キッス家に仕えている者達を死なせたくありませんし」
キブツの言葉に、ブリッジにいる面々が感動の視線を向ける。
自分の仕えている相手が、あっさりと自分達を見捨てるような人物ではないというのを改めて知る事が出来たのが嬉しいのだろう。
「ああ。それでいい。……マーベル、行くぞ」
そう言い俺はキブツ達をその場に残し、マーベルと共にラース・ワウに転移するのだった。
「アクセル王!?」
いきなり姿を現した俺を見て、技術者の1人が驚きの声を上げる。
そろそろ転移とかにも慣れてきて欲しいところなんだけどな。
「ダンバインの改修の方はどうなっている?」
「え? あ、ああ。はい。その……えーっと……そうそう、そろそろ終わっている筈です。現在は改修作業後の微調整をやっているところですね」
技術者は俺の質問に驚きながらもそう答える。
唖然としてたが、それでもすぐにダンバインについて説明する辺り、技術者として本物なのだろう。
「そうか。微調整の方は……どれくらいで終わる?」
「分かりません。ただ、余程の問題が出ない限り、今日中には終わると思いますよ」
その余程の状況というのが、ちょっと気になる。
だた、技術者の様子を見た限りでは、その辺についてはあまり心配しなくてもいいのだろう。
「分かった。なら、出来るだけ早くその微調整を終わらせてくれ。ちょっと急用で、ダンバインが必要になりそうだ」
「分かりました。では、すぐにショット様とゼット様にお知らせしてきます」
「頼む」
「お願いね」
俺の言葉に被るように、マーベルも技術者にそう声を掛ける。
マーベルに声を掛けられたのが嬉しかったのか、技術者は普段以上に急いで機械の館の奥に向かった。
マーベルは確かに美人で、始まりの聖戦士と呼ばれて人気がある。
それは事実だが、それでも……少し、浮かれすぎじゃないか?
技術者の中には女もいるので、別に出会いがないって訳じゃないと思うんだが。
それに機械の館で働く技術者は、ドレイクの部下の中でも高給取りだ。
女にモテないって事はないと思うんだが。
そんな風に考えていると、数分もしないうちにショットが姿を現す。
「ゼットは?」
「ゼットはダンバインの微調整を任せているから、そっちを優先させたよ。……それより来てくれ」
ショットはそう言い、俺とマーベルを連れてダンバインのある方に向かう。
そうして俺の目に入ってきたのは、白いダンバイン。
それだけなら、マーベルが以前使っていた機体とそう変わらないのだが、左手にサーバインが使っている複合兵装の盾と同じ物が装備されているのが、見て分かる程の大きな違いだ。
そんなダンバインの周囲では多くの技術者達が作業をしており、少し離れた場所ではゼットがその指揮を執っていた。
「見ての通り、もう少し掛かると思うが……何かあったのか?」
「ああ、実は敵に新型のオーラバトラーが出て、フェイが死んだらしい」
「な……」
驚きの声を上げるショット。
ラウの国が新型のオーラバトラーを出してくるのはともかく、まさかそれでフェイが……ドレイク軍の聖戦士が死ぬとは思わなかったのだろう。
そんなショットに対し、俺は事情を話していく。
話の中で一番驚いたのは、やはりウィングキャリバーへの可変機構を持つという、ダンバインの意匠を残したオーラバトラーの件だった。
ダンバインの開発をしたショットにしてみれば、その性能には驚くべき事が多かったのだろう。
「なるほど、それでダンバインを取りに来たのか」
「そうなるな。恐らくはショウが乗ってるだろう敵の新型機を相手にするとなると、マーベルが慣れている機体の方がいいだろうし」
「うむ。だがそうなると、アクセルの為に作っている機体は少し見直した方がいいかもしれんな」
「俺の為?」
「そうだ。以前、ズワァースをアクセル用に改修するという話をしただろう? ダンバインの件でそちらに集中していたから、まだそこまで進んでいないんだが……」
そう告げるショットに、俺は出来るだけ頑張ってくれと言うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1684