「アクセル王、機械の館と思しき場所を発見しました」
ヨルムンガンドのブリッジにそんな声が響く。
ちなみにヨルムンガンドには以前からドレイク軍の兵士がいたが、その兵士達は現在もヨルムンガンドに残っている。
ドレイクにしてみれば、俺達を信頼しているということを示しているのと同時に……何かあった時、即座に連絡をするという為でもあるのだろう。
いわば、首に掛けられた鈴だな。
もっとも、鈴ではあっても今のところ何も問題はない。
少なくても、今のところはドレイクと敵対をするつもりはないのだから。
……まぁ、この前のようにドレイクが市街地を無差別に攻撃するような真似を続ければ、どうなるかは分からないが。
そのような事になれば俺も好ましいとは思わないし、それ以上にマーベルがドレイク軍と行動を共にするのを拒むようになるだろう。
ガラリアやトッドの件があるので、完全に敵対するとは限らないが。
あの一件は、聖戦士としてそれなりに多くの戦いに参加してきたマーベルにとっても、衝撃的だったのは間違いない。
この先どうなるのかは分からないが……ともあれ、今は俺のやるべき事をやるだけだ。
そして、俺のやるべき事というのは、機械の館の接収。
「よし、手の空いてる者は出撃するぞ。戦力は基本的にタータラ城に集まっているとは思うが、敵が来る可能性は皆無じゃない。気をつけろよ」
そう言い、俺はオーラバトラー隊を率いて出撃するのだった。
「何だか、こう言うのもなんですが……ドレイク軍に味方をしている割に、ダーナ・オシー系の生産ラインだけが次々と増えていきますね」
キブツが若干の呆れと共に、そう告げる。
まぁ、その気持ちも分からないではない。
機械の館から確保したのは、ボゾンの生産ラインや予備部品、もしくはまだオーラバトラーのパーツに加工前の恐獣の素材だったのだから。
「敵対している相手の戦力を奪ってるんだから、そんな感じになるのもしょうがないだろ。ただ、出来ればボゾンじゃなくてボチューンがあって欲しかったけどな」
「さすがにそれは無理でしょう。ボチューンは最新鋭機ですし。……それに、アクセル王はシーラ女王から貰っていたのでは?」
「ああ。ただ、それでも最新鋭機は多ければ多い程にいいしな」
そう言えば、嵐の球の件で何かを後でくれるって話だったけど、あの件はどうなったんだろうな。
ナの国にしてみれば、停戦交渉は黒騎士の乱入でご破算になった以上、俺に何らかの報酬を渡すのも難しくなった……とか、そういう事もあったりするのか?
今度いつナの国に行くのか、あるいはシーラに会うのかは分からない。
分からないが、会えたらその辺を尋ねてみるか。
シーラはボチューンを3機くれと言ったら、すぐに頷いてくれた。
嵐の球のお礼の件も、もしかしたらちょっと話したらすぐに何かをくれるかもしれないし。
……けど、そこまで気前がいいと、シーラのことが少し心配になるな。
体型はこれからに期待といったところだが、美人なのは変わらない。……美人じゃなくて美少女ってところだが。
まだ10代半ばで女王として完璧にやっているだけに、周囲には当然のように有能な者達が揃っているだろう。
だからこそ、恋愛対象としては周囲にいないような人物……つまり、いわゆるダメンズ好きと呼ばれる性癖になってしまうのではないかと、そんな風に思ってしまう。
「随分と楽しそうだけど、一体何を考えているのかしら?」
シーラの心配をしていると、不意に真横からそんな風に声を掛けられる。
それが一体誰の声なのかというのは、考えるまでもなく明らかだった。
「別に楽しそうじゃなかったと思うぞ、マーベル」
「ふーん……私には随分と楽しそうに思えたんだけどね。……まぁ、いいわ。取りあえず機械の館の襲撃は終わったけど、次はどうするの?」
まだ不満そうな様子を見せていたものの、それでもマーベルはこれからどうするのかといった事を聞いてくる。
にしても、これからどうするのか、か。
……正直、現状だと特にやる事はないんだよな。
ドレイクに協力するのなら、ラウの国との戦いという仕事が幾らでもある。
だが、現在のシャドウミラーはドレイクと同盟関係こそ維持しているものの、それなりに距離を取っているような感じになっている。
その原因は、言うまでもなく市街地を無差別に攻撃した一件だ。
その為、現状で俺達がやるべき事となると……それこそ、ラウの国にある機械の館を襲撃して生産ラインやそこにある部品、場合によってはオーラバトラーを入手するか、もしくは恐獣を倒して素材とするくらいしかない。
「もうこの辺に機械の館はないだろうし……恐獣狩りに行くか。恐獣の死体は、幾らあっても困らないしな」
普通なら、恐獣の死体をそのまま置いておけば腐る。
だが、俺の場合は空間倉庫に入れておけば、全く問題はない。
そしてヨルムンガンドには機械の館があり、そこでは恐獣の素材をオーラバトラーの部品にする事も出来るし、それがなくてもホワイトスターに戻った時、技術班への土産になる。
……出来ればバイストン・ウェルとホワイトスターを直接繋げて、生きている恐獣をホワイトスターに運び込みたいところだが。バイストン・ウェルでは何らかの妨害でもあるのか、ゲートは起動しない。
この辺、出来れば技術班に改修して貰いたいところだが……ちょっと難しいだろうな。
今までにも似たような事はあったし、技術班の方でもそれは認識している。
だが、それでもゲートが改良されないのは……もしかして、技術班の面々が好き勝手に自分の研究だけを進めているから、なんて事はないよな?
俺の知ってる技術班なら、普通にありそうで困る。
とはいえ、そうならないようエキドナを始めとしたお仕置き隊とでも言うべき者達がいるから、大丈夫だとは思うが。
恐らく、その世界によってゲートを起動させないようにしている原因は違うのだろう。
だからこそ、例えばこのバイストン・ウェルからホワイトスターに戻って、そこでバイストン・ウェルでもゲートが繋がるように改修して貰った場合、バイストン・ウェルでゲートは繋がるようになるかもしれないが、また別の世界ではゲートが繋がらなくなったりしても、おかしくはない。
「ともあれ、暫くは恐獣狩りだ。いざという時の為に、腕が鈍らないようにする必要もあるし」
そういうと、俺はヨルムンガンドを恐獣のいそうな場所に向かわせるのだった。
恐獣狩りをしてから、数日……大量の恐獣を倒し、その死体は3割がオーラバトラー用の部品として加工され、それ以外は全て空間倉庫に収納された。
生きたまま恐獣を連れていくのは不可能かもしれないが、いざとなればレモンに恐獣の細胞とかを使ってクローンを製造して貰うといった方法もあるしな。
出来れば量産型Wと同じような感じに出来ればいいんだが……ああ、でもそうなると牧場の名物が少し減るな。
ちなみに、オーラバトラーの部品に回したのが3割と聞くと少ないように思えるかもしれないが、実際にはそんな事はない。
何しろ、機械の館にストックしてある量がかなり多くなってしまい、空いている場所が少なくなってしまったのだから。
その辺の事情を考えると、寧ろ2割でもよかったのではないかと思う程。
つまり、それだけ多数の恐獣を狩ったのだ。
……それこそ、この近辺の恐獣は全滅したのでは? と若干心配になってしまうくらいに。
今更の話だが、生態系とか大丈夫だよな?
「アクセル王、ドレイク軍からの使者です!」
次の恐獣がいる場所を探そうかと考えていると、ブリッジにそんな声が響く。
「ドレイク軍からの使者? まぁ、送ってきても不思議じゃないけど」
ドレイク軍とは距離を置いているが、敵対関係にある訳ではなく、同盟関係は維持している。
それを考えれば、ドレイクが使者を送ってきてもおかしくはない。おかしくはないんだが……それでも、現在の状況で何の為にそんな使者を送ってくる?
「ともあれ、ドレイクからの使者なら受け入れるしかないだろ。ヨルムンガンドに収容して連れてこい」
そう、命令をするのだった。
「アクセル王におかれましては、ご機嫌……」
「いや、そういうのはいいから」
兵士……ではなく、騎士の1人だな。
その騎士が跪いて仰々しい挨拶を口にしようとするのを止める。
一応王という立場にある俺だが、そういうのを好む訳じゃない。
とはいえ、あの騎士はドレイクから派遣されてきた人物だ。
そうである以上、ドレイクと同等の同盟関係にある俺に対して、失礼な真似をする訳にはいかなかったのだろう。
ドレイクと同等という事は、言ってみれば俺はドレイクと同じくらいに偉いという事になるのだから。
「は。失礼しました」
「分かってくれればいい。それで? 今日は何をしに来たんだ? 現在ドレイクはラウの国と戦争中だろ?」
当然の話だが、ドレイクと距離を取ったとはいえ、タータラ城周辺で起きているドレイク軍とラウの国の戦いについての情報は、それなりに得ている。
キブツの配下のガロウ・ランが、それを知らせてくれているのだ。
たまに影のゲートを使って俺が直接見に行ったりもしていたが。
ともあれ、そんな訳で現在ドレイク軍はラウの国との戦いを繰り広げていた。
ただし、ラウの国のオーラバトルシップ……ゴラオンというらしいが、そのゴラオンが使うオーラノバ砲は強力極まりない。
タータラ城に夜襲をした時に使われた、あの攻撃だ。
その攻撃を食らえば、それこそウィル・ウィプスであっても一撃で大きなダメージを受けるという事で、本来なら戦力ではドレイク軍の方が有利なのだが、戦いそのものは半ば膠着状態になっているらしい。
とはいえ、それでもオーラバトラーやオーラボム同士が激しくやり合ったりはしているらしいが。
「その件ですが……まず、これをお知らせしておいた方がいいでしょう。聖戦士のフェイ様が戦死なさいました」
「……フェイが?」
それは、俺にとっても予想外の言葉だった。
色々な意味でキャラが濃い聖戦士達ではあるが、そんな中でフェイは微妙にキャラが薄い。
とはいえ、だからといってフェイと交流がない訳ではなく、それなりに話をしてもいる。
俺が知る限り、フェイはレプラカーンという難しい機体を十分に乗りこなしていた。
その辺は、まさに聖戦士と言ってもいいだろう実力を持っていたのだ。
そんなフェイが死んだとなると、考えられる可能性は多くはない。
「ショウか? それとも黒騎士か? あるいは、数を使っての消耗戦か? 運悪くオーラノバ砲を使われたといった可能性もあるか」
何気に、最後の運悪くオーラノバ砲に命中するというのは一番情けなさい死に方ではあるが、可能性としては十分にあるのだ。
何しろ、オーラノバ砲の攻撃力は命中すれば無条件で相手を殺すだけの威力を持っている。
それこそ、フェイだけではなく……トッドのような腕利きの者であっても、運が悪ければオーラノバ砲によってあっさりと撃墜されてしまうのだ。
そういう意味では、オーラノバ砲という武器を持つゴラオンは非常に厄介なオーラバトルシップと言ってもいいだろう。
このゴラオンを建造するように命じたのはフォイゾンだったらしいが、やはりフォイゾンは先を見る目を持っていたんだな。
ぶっちゃけ、ゴラオンの性能はドレイクにとって非常に厄介なのは間違いない。
そんな風に思っていると、ドレイク軍の兵士は口を開く。
「新型のオーラバトラーにやられました。それも1対1の戦いで」
「……何?」
ドレイク軍の兵士の口から出たのは、俺にとっても完全に予想外の言葉だった。
フェイは、聖戦士として十分な能力を持っている。
幾らか攻撃的な性格をしているのは事実だが、だからといってそう簡単に1対1で負けるとは思えない。
それはつまり、フェイに勝った相手は相応の実力者……つまり、ショウか黒騎士といった可能性が高い。
とはいえ、ショウはともかく未だに俺は黒騎士をその目では見ていない。
黒騎士が強いという話は、あくまでも人伝のものなのだ。
また、新型のオーラバトラーというのも、気になる。
「新型のオーラバトラーと言ったな? 一応聞いておくが、その新型のオーラバトラーというのは、ボチューンじゃないんだな?」
現状、ラウの国側で新型のオーラバトラーとなると、真っ先に思いつくのはボチューンだ。
少し前ならボゾンもあったが、ボチューンという最新鋭の機体に押されて、その姿は急速に消えつつある。
もっとも、消えつつあるとはいえ、まだ戦場では十分な数がいるのだが。
何しろ、ボチューンも含めてダーナ・オシー系のオーラバトラーは、オーラ増幅器のおかげでバイストン・ウェルの人間なら多くの者が乗れる。
そう思えば、幾らボチューンの数が増えてきたからとはいえ、それを捨てるという事はないだろう。
「はい。ボチューンではありません。その……ウィングキャリバーに変形する機能を持ったオーラバトラーです。それも、恐らくどこかダンバインの意匠を感じさせるような……」
「何だと?」
その言葉に、俺は我知らず驚きの声を発するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1580
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1684