転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0281話

「アクセル君、本当によろしいんですの?」

 

 寮の部屋であやかにそう尋ねられる。

 その態度はいつものハイテンションなものではなく、どこか遠慮がちなものだった。

 

「今更何を言ってるんだ? そもそもあやかの家に遊びに来ないかと最初に聞いてきたのはそっちだろうに。それにもう準備は終わってるぞ」

 

 そう言って、手に持った着替え入りのバッグをあやかの方へと見せる。

 ……いや、このバッグにしても中の着替えにしても用意してくれたのはあやかなんだけどな。

 春休みに突入して数日。あやかが実家に帰るというので俺に一緒に行かないかと誘ってきたのが昨日の夜。特に予定の無かった俺はその誘いに乗る事にしたのだ。

 夏美なんかは貞操の危機云々と言ってはいたが、実は俺はそこまで心配はしていない。

 と言うか普段の態度を見れば確かに色々と怪し気な要素はあるのだが、あやかの性格からして強引にコトに及ぼうとはしないだろうし、そもそもコトに及んだとしても返り討ちに遭うのは確定済みだったりする。伊達に恋人が3人もいる訳じゃないのだ。

 

「そ、そう。でしたらもちろん私としては断る理由はありませんし、大歓迎ですわ。その、千鶴さん、夏美さん。後の事はお願いしますわね」

「ええ。あやかはお家でゆっくりとしてきてね」

「アクセル君、本当に大丈夫? わざわざ自分から狼の巣に飛び込んで行かなくても……」

 

 落ち着いている千鶴と、心配そうな夏美。そんな正反対の2人を見ながら思わず苦笑を浮かべていると千鶴に抱き寄せられる。

 中学生としては桁外れに豊満なその胸に俺を埋めながら、周囲に聞こえないようにだろう、小声で囁いてくる。

 

「アクセル君、毎年この時期になるとあやかはどこか沈んでしまうのよ。いつもなら気が気じゃないんだけど、今年はアクセル君に任せるわね」

「……了解」

 

 口元に笑みを浮かべながらも、どこか真剣な口調でそう頼まれては俺としては頷くしか出来ない。実際、千鶴とあやかの2人はこの世界での俺の恩人と言っても差し支えないのだ。その恩人が困っているのなら出来れば力になりたいと思うのは当然だろう。

 

「ちょっと、千鶴さん! またアクセル君を誘惑して!」

 

 そんな俺と千鶴の様子を見て叫ぶのは、いつものあやかだった。

 ……この時期に沈み込むっていうのは本当なんだろうか?

 

「さて、では行きますわよ。家の方から迎えが来る予定になってますのでそろそろ寮を出ましょうか」

「ああ。じゃ、千鶴、夏美。行ってくる」

「ええ、行ってらっしゃい」

「気をつけてねー。特にいいんちょには」

「ちょっと、夏美さん!」

「ごめーん。冗談冗談。それよりもほら、早くいかないとアクセル君が待ちくたびれるよ?」

 

 そんな見送りを受けて、女子寮の前に止まっていた黒塗りの高級車であやかの家へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

『お帰りなさいませ、あやかお嬢様』

 

 車からあやかと共に降りて、まず聞こえてきたのがその一糸乱れぬ声だった。

 周囲を見るとメイドや執事達が揃って頭を下げていた。

 

「うお」

 

 これ程の本物のメイドや執事を見たのは初めてだったので、思わず声を漏らす。

 スパロボOGsの世界ではメイドや執事というものに縁は無かったし、コードギアスの世界だとコーネリア付きのメイドとかがいたのかもしれないが、基本的に俺は軍部の方で過ごしていた為に接触する機会がなかった。SEEDの世界だとアスハ家には何人かメイドや執事が存在したようだが、アスランのようにカガリと親しい訳でもない俺はアスハ家に行った事がない。

 つまり、これ程のメイドや執事を実際にこの目で確認するのは初めてなのだ。

 

「あらあら。驚かせてしまいましたわね」

 

 苦笑を浮かべているあやかへと、一番近くにいた執事が近寄ってくる。位置的な問題から考えるに、恐らく執事長とかそんな感じの人物なのだろう。

 

「あやかお嬢様、こちらは?」

「あら、連絡はいってなかったかしら? こちら、アクセル・アルマー君。寮で同室の同級生ですわ」

「同級生? 同室? その、すいませんが私の目には10歳前後の男の子にしか見えないのですが」

「ええ、それで間違ってませんわ。彼は男女共学と飛び級のテストケースとして私達のクラスに転入してきたのです」

 

 あやかの言葉に頷く執事。

 

「成る程。……ですが、そのお嬢様と同室というのは……大丈夫ですか?」

「何がですか?」

「その、外聞的な事もありますが、何よりもお嬢様の性癖的に」

「……」

 

 執事の言葉に黙り込んでしまうあやか。

 と言うか、執事やメイド達にもあやかの性癖って広まっているのか。

 結局その後は何とか場を取り繕った執事に案内をされてあやかの私室へと通され、屋敷と呼んでも差し支えのない家の中を案内されたりしてその日は過ぎていった。

 そして夜。

 

「えっと、何で一緒のベッドで?」

 

 俺は戸惑ったように目の前の人物に声を掛ける。そこにいたのは当然あやか……ではなく、屋敷で働いているメイドの一人だった。

 

「申し訳ありませんが、今日だけなんとかお願い出来ないでしょうか? その、今日は特別な日で、お嬢様も……その」

 

 言い淀むメイド。その声を聞きながら、何となく言いたい事を理解する。

 俺へと屋敷を案内していたあやかだったが、非常に元気と言うか、妙にはしゃいでいたのだ。……そう、まるで無理してハイテンションを保っているかのように。

 この世界に転移してきてからずっと一緒だと言っても過言ではないあやかの事だ。それが本心からのものなのかどうかくらいは雰囲気や空気で何となく分かる。

 成る程、これが千鶴が言ってた沈んでいるという奴か。

 

「……はぁ、しょうがない。分かったよ」

 

 溜息を吐きながら、メイドへと頷く。それを見たメイドは嬉しそうに笑みを浮かべながらベッドの用意を調えていった。

 

 

 

 

 

「……あら?」

 

 ベッドの用意を調えたメイドがあやかの寝室から去ってから5分程。パジャマに着替えたあやかが寝室へとやってくる。

 ちなみに俺もパジャマ姿だ。……千鶴とあやかが選んで買ってきたパジャマだという事で大体どんなパジャマなのかは分かって貰えるだろう。

 

「アクセル君? どうかしましたか? 私に何か用事が?」

「いや、偶にはあやかと一緒に寝るのもいいかと思ってな」

「……まぁ! まぁまぁまぁ! ついに私の気持ちが伝わったのですね!」

 

 例の如くハイテンションに喜ぶあやかだが、その表情はやはりどこか無理をしているように感じられる。

 

「いいから、ほら。さすがにこの時間になるとそろそろ俺も眠いんでな」

 

 時計を見ると、既に夜の11時を過ぎている。

 子供化した影響か、大人の時のように夜遅くまで起きているのが出来なくなってしまったのだ。……もしかしてこのまま普通に大人に成長するのをやり直しって事は無いよな? 微妙に不安になりながらも、ベッドの上に寝転がる。それを見ていたあやかもまた微妙に顔を赤くしながらも布団へと潜りこんでくる。

 

「その、では失礼しますね」

「いや、そもそもここはあやかの家で、あやかの部屋だから」

「ふふっ、それもそうですわね。……では、お休みなさい」

 

 そう言って、ベッドの近くにあるスイッチを操作すると部屋の電気が消えて暗くなる。

 そのままあやかと隣り合って数分。ふと、あやかが声を掛けてくる。

 

「アクセル君、まだ起きていらっしゃいますか?」

「ああ」

「その、今日はありがとうございます」

「……何がだ?」

「千鶴さんでしょう?」

「さて、どうだろうな」

「ふふっ。幾ら私でも、そのくらいは分かります。……駄目ですわね。心配を掛けるつもりは無かったというのに」

「何の事を言っているのかは分からないが、友達を心配するのはそうおかしくはないだろう」

 

 そう言う俺の脳裏には、今は既に亡いヴィンデル、コードギアスの世界のギルフォード、ガンダムSEEDの世界のムウの姿が浮かんでいた。

 

「そうですわね。……では、お休みなさい」

「ああ、おやすみ」

 

 その言葉を最後に、お互いに無言となり意識が闇へと沈んでいく。

 眠りにつく直前、あやかの『ありがとうございます』という言葉と頬に触れる唇の感触があったが、俺は特に気にする事も無く眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 目に入ってくるのは柔らな光。それを感じながら意識が徐々に浮上し……

 

「くっ、あ、あ、あ、あのガキーーッ」

 

 横で唐突に響き渡ったその大声で一瞬にして目が覚めた。

 

「……あやか?」

 

 無言で隣を見ると、何故か朝から興奮しているあやかの姿が。

 

「あ、あら? アクセル君? ……そう言えば、昨日は……」

 

 寝起きで頭が働いていないのか、何かを思い出すかのように数秒考えてすぐに思い出したらしい。

 

「お、おはようござます。その、朝からみっともない所を見せてしまいましたわね」

 

 照れ笑いを浮かべながら、ベッドから起き上がるあやか。その様子を見ながら俺も口を開く。

 

「ああ、おはよう。余程夢見が悪かったようだな」

「いえ、まぁ……その。小さい頃の事を少し」

「なるほど。まぁ、無理には聞かないが」

 

 そこまで言った時、あやかの寝室がノックされる。

 

「あやかお嬢様、お目覚めですか?」

「ええ、入ってもいいわよ」

 

 あやかの返事を受け、中へと入ってくるメイドが2人。1人はあやかに。そしてもう1人は俺へと近寄ってくる。

 

「アクセル様、身支度をしますので付いてきて貰えますか?」

 

 その言葉にチラリと横を見ると、あやかがパジャマを脱ごうとしている所だった。

 なるほど、例え子供でもお嬢様の素肌は見せられない、か。

 主人を思う心根に感心しながらも、メイドの後を付いて俺の荷物が置いてある部屋へと向かった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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