転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2915話

 わあああああああ、と。そんな声が聞こえてきて、目が覚める。

 一体何があったんだ?

 そう思うも、こうして多くの者が騒いでいるとなると、考えられる可能性としてはそう多くはない。

 

「もしかして、本当に来たのか?」

 

 呟きつつ、素早く身支度を整えてブリッジに向かう。

 夜襲があるかもしれないというのは、予想していた。

 予想していたが、それでも実際には起こらないだろうと、そう考えていたのだ。

 無人に見えた村の中をキッス家の面々に調査させたところ、どこかに誰かが隠れている様子はなかったし、倉庫やユニコンの厩舎の中にもオーラバトラーはなかったと聞いている。

 そんな訳で、夜襲の可能性は完全に払拭された訳ではなかったが、それでも多分問題ないだろうというのが予想だったのだが……それが覆された形だ。

 こっちの意表を突くという意味では、成功したのだが。

 ナムワンのブリッジに入ると、そこでは既にキッス家の面々がキブツの指示によって情報を集めている。

 

「襲撃か?」

「はい。どうやら夜の闇に紛れて襲撃してきたようです」

「……そうか、やっぱりそうなるか」

 

 村の中の建物には隠れていなかった以上、襲撃をするとなればそれ以外の場所から襲う必要が出て来るだろう。

 あるいは、村はドレイク達の目を逸らす為の一種のフェイクだったのかもしれないな。

 もっとも、ドレイクも当然だがそんな様子は理解していたのだろうから、そこまで効果はなかったのだろうが。

 

「反撃に関しては?」

「既に警戒をしていたドレイク軍と戦いになっていますよ。……アクセル王、私達はどうします? 出撃しようと思えば出撃出来ますが」

 

 ドレイク軍のように寝ずの番で見張りの類はしていなかったが、それでも何かあったら即座に出撃出来る準備はしていたのだろう。

 キブツの問いに少し考えてから口を開く。

 

「攻めて来た相手がどの軍……フラオン軍なのか、ピネガン軍なのか、ラウの国の国軍なのかは分からないが、このナムワンに攻撃をされないようなら、問題はない。あくまでも護衛に専念しろ」

 

 あくまでも俺達は、ドレイク軍に協力している立場だ。

 その状況で勝手に動くのは色々と不味いし、何よりも戦力となるのがドロとダーナ・オシーというのが、一番不味い。

 夜襲を仕掛けてきた連中がどんなオーラバトラーを使っているのかは分からないが、こうして夜襲をすることが出来る以上、精鋭なのは間違いない。

 だとすれば、ダーナ・オシーの後継機種であるボゾンを使っている可能性が高かった。

 そんな中にダーナ・オシーで攻めていけば、どうなるか。

 キッス家の面々はそれなりに強いが、あくまでもそれなりでしかない。

 精鋭を相手にした場合、純粋な技量で勝つのは難しいだろう。

 そこに更に相手がボゾンに乗ってるとなれば、キッス家のパイロットでは太刀打ちが難しい。

 相手が普通のパイロットであれば、キッス家のパイロットでも対処は出来るんだが……この辺は、色々と考える必要があるな。

 一応、それなりに模擬戦とかはやっているのだが、それでも正直なところ精鋭と呼ぶのは難しい。

 この辺は人材的な問題もあるんだろうな。

 あるいは、トカマクのように後方からの援護射撃とかなら向いている奴とかいそうだな。

 安全性を考えれば、やっぱりレプラカーンを使って後方からの援護射撃がベストなのは間違いない。

 ともあれ、キッス家の兵士達がダーナ・オシーに乗ってナムワンの周囲に展開するのを確認してから、改めて周囲の状況を確認していく。

 

「敵の数は……それなりに多いな」

「ええ。でも、ボゾンじゃなくてダーナ・オシーということは、精鋭じゃないのかしら? アクセルの考えでは精鋭だった筈よね?」

 

 マーベルの言葉通り、ブリッジにある映像モニタに表示されているのは、ダーナ・オシーだけだ。

 ゼラーナだったり、ショウの乗っているダンバインの姿もない。

 だとすると、フラオン軍じゃないのは間違いない。

 だとすれば……ピネガン軍か?

 ピネガンにしてみれば、現在の自分達の状況を打破する為には功績を挙げる必要があるのは間違いない。

 パットフットがフォイゾンの娘だったおかげで、何とかラウの国には招き入れられたものの、その待遇は決していいとは言えない。

 まぁ、フォイゾンにしてみれば駆け落ちした事で親子の縁を切り、国交断絶までしたミの国の王族がドレイク軍に追い出されて自分の国までやって来たのだ。

 伝え聞くフォイゾンの性格を考えれば、寧ろ受け入れたのが驚きですらあった

 寧ろラウの国に入れるような真似すらしないというのが、伝え聞いているフォイゾンの性格からするとやるべき事だったのだが。

 その辺に関しては、結局のところ親子の情は強かったというところか。

 あるいは、娘と婿は未だに許せなくても、孫のエレは別だといった可能性もある。

 そしてエレは両親思いのいい娘だった。

 そのおかげで、フォイゾンはピネガン達を受け入れたという可能性も否定は出来ない。

 ともあれ、フラオン軍ならゼラーナ隊やダンバイン、ラウの国と一緒に開発したボゾンがあってもおかしくはないし、ラウの国なら全機がボゾン……とはいかないまでも、何機かは混ざっていてもおかしくはない。

 それがないという事は、やはりこれはピネガン軍なのだろう。

 そういう意味では、一番楽な相手が襲ってきてくれたな。

 

「ドレイク軍、優勢です!」

 

 ブリッジにいる男の1人がそう叫ぶが、考えてみれば当然の話だろう。

 夜襲というのは、奇襲の中でも非常に効果の高い攻撃方法だ。

 相手の意表を突く奇襲という効果に加え、夜であるという事から、より一層その効果は高くなる。

 ただし、当然だがそのような攻撃は難易度が高くなるのだが……その辺を、オーラバトラーを使う事で対処しているのだろう。

 しかし、問題なのはそのように攻撃をしてきても効果があるのは相手が油断している時だけだという事だ。

 ドレイク軍は、夜襲があるかもしれないと判断して警戒していた。

 あるいは村に誰もいない事で警戒を緩ませようとしたのかもしれなかったが、生憎とそういう訳にはいかなかったという事だろう。

 ましてや、ドレイク軍には聖戦士が5人もいる。

 通常の兵士と比べると明らかに強い聖戦士が迎撃に参加するような事になったら、夜襲をしてきた相手も勝利は難しいだろう。

 

「この様子だと、俺達の出番はないみたいだな。ただ、一応警戒はしておけ。奇襲が得意なフラオン軍もいるんだ。この夜襲そのものを囮として、ゼラーナ隊やダンバインがこっちに攻撃を仕掛けてくる可能性も否定出来ない」

 

 フラオン軍の厄介な場所は、奇襲を得意としているところだ。

 そんなフラオン軍が、このような絶好の機会を逃すかと考えれば……普通なら、考えられない。

 だとすれば、周囲を警戒するのは当然だろう。

 特に、現在ナムワンが停まっているのは、ウィル・ウィプスのすぐ側だ。

 フラオン軍がウィル・ウィプスに攻撃をするような事があった場合、俺達も巻き込まれる可能性は十分にあった。

 当然、ドレイク軍でもその辺については理解している筈だ。

 バーンに代わってドレイクの側近となったガラリアも、フラオン軍については当然だが今まで何度も戦ってきており、その辺についての情報は詳しく知っている筈なのだから。

 だが……そんな俺の予想とは裏腹に、ピネガン軍と思われる部隊は奇襲が失敗すると損害が大きくなる前に撤退していく。

 そして、結局フラオン軍からの攻撃はないまま、この日の夜襲は終わりを告げるのだった。

 

 

 

 

 

「どうなっている? まさかこの状況でフラオン軍が奇襲をしてこないというのは、予想外だったが」

「ふむ、可能性としては……フラオンとピネガンの関係が決して友好的ではないことが関係しているのかもしれんな」

 

 ウィル・ウィプスにある、ドレイクの部屋。

 そこで俺達は昨夜の夜襲についての話をしていた。

 なお、部屋の中にいるのは俺、ドレイク、マーベル、ガラリアの4人。

 そんな中で、ドレイクのその言葉に疑問を抱き……だが、すぐに納得する。

 考えてみれば当然の話だが、フラオンとピネガンは決して友好的な関係ではない。

 何しろ、ピネガンはフラオンの口車にのったおかげでミの国を攻められる事になったし、匿ったフラオンは盗賊同然の存在で、更にはミの国で起きた内乱について自分も1つの勢力として活動したくらいだ。

 ミの国の王都付近では、フラオンとピネガンは協力した。

 だが、それは本当にピネガンが追い詰められていたからであり、本心として考えれば、フラオンと手を組むなどという真似はしたくなかっただろう。

 そんな以前の状況に比べると、今のピネガンはある意味では楽になっている。

 フォイゾンからは半ば見捨てられている状況ではあり、戦力の補充も難しい。

 だが、それは同時に現在自分のいる国……ラウの国を守る必要がないという事を意味してもいた。

 いや、本当に守る必要がない訳ではないのだが。

 もしラウの国が占領された場合、フラオンとピネガンは本当に行く場所がなくなってしまうし。

 その辺の事情を考えれば、そこまで余裕がないとは思うんだが……まぁ、その辺はラウの国が強国だからというのを、当てにしているのだろう。

 

「だとすれば、ラウの国を攻略するのはそう難しくはないのかもしれないな」

「うむ。内部で仲間割れをしているのであれば、戦い易い相手なのは間違いないだろう。……アクセル王、期待しても構わんか?」

「ああ、俺は全く問題ない。ただし、俺達に仕事を頼むという事は、しっかりと報酬を貰うぞ? こう見えて、俺も部下が増えてきたからな。その連中を養っていく必要もある」

 

 俺とマーベルだけなら、衣食住に関してドレイクから提供して貰っていたものの、それをいつまでもという訳にはいかない。

 ましてや、今はキッス家もいるのだ。

 そうである以上、報酬は今まで以上にしっかりとする必要があった。

 ドレイクにしても、いつまでも俺に部下を貸す必要がなくなり、しっかりとした戦力として考えられるのは、悪い話ではない。

 言ってみれば、一種の傭兵的な存在だと、そう思って貰えればいいのだ。

 

「ふむ、その辺に関してはこちらもしっかりとしよう。だが、こうして報酬をしっかりとする以上は、今までよりもしっかり働いて貰う必要があるぞ?」

「そう聞くと、今までしっかり働いていなかったかのように思えるな」

 

 ドレイクの言い分に、少しだけ不満そうに返す。

 その言葉通り、俺は今までもしっかりと働いていたつもりだ。

 特にミの国の王都の近くで起きた戦いにおいては、俺とマーベルがいなければドレイクはショウに討たれていた可能性が高い。

 それを止めたという時点で、十分しっかり働いていると思うんだが。

 ドレイクもその辺は分かっているのか、俺の言葉に頷く。

 

「アクセル王の実力については、十分に理解している。そのおかげで、儂が無事だという事もな」

「なら、いいけど。……ともあれ、今日こうして奇襲を仕掛けてきたということは、明日以降も奇襲を仕掛けてくる可能性があると思うが、どうだ?」

「ふむ」

 

 俺の言葉に、ドレイクは少し考えた後でガラリアに視線を向ける。

 そんなドレイクの視線に込められた意味を理解したのだろう。

 ガラリアは小さく頷いてから口を開く。

 

「アクセル王の指摘はもっともです。厄介なのは……いえ、こちらにとっては運がよかったのかもしれませんが、とにかくラウの国の中に3つの勢力がいるというのは、色々と面倒かと」

 

 ガラリアの言葉に、俺も頷く。

 

「多くの勢力がいるというのは、戦う方としては楽だ。少なくても1つの戦力に纏まっているような状況に比べればな。……問題なのは、複数の戦力がいてもその全てがラウの国と友好的な関係を築いているといったところだが……まぁ、それはしょうがないか」

「でしょうね。でも、ここでクの国の援軍を待つような真似はしないんでしょう?」

 

 マーベルの確認するような言葉に、ドレイクは当然といった様子で肯定する。

 

「今はまだ向こうの足並みも揃っていない。そうである以上、ここで向こうに時間を与えれば、それはラウの国にとって有利になるだけだ。であれば、儂らはここで足を止めるような真似はせず、前に出る方がいい」

「ここで時間を掛ければ、それだけボゾンの生産数も増えるしな」

 

 ダーナ・オシーから若干性能が上がっている程度の機体であるとはいえ、それでも性能が上がっているのは間違いない。

 そうである以上、そのような機体を相手にするよりは、ダーナ・オシーを相手にした方がいいと、そのように思ってもおかしくはない。

 俺にとっても、その方が色々とやりやすいのは間違いないし。

 

「なら、やっぱりここは前進だな。……どうする? 今からでもすぐに動くのか? こっちはそれでも構わないけど」

 

 シャドウミラーの戦力は、今のところナムワン1隻だ。

 ましてや、昨夜の夜襲でも戦いらしい戦いはしていない。

 そうである以上、出撃するとなればすぐにでも動けるが……数の多いドレイク軍は、とてもではないが俺達のようにフットワークを軽くするという訳にはいかず、ドレイクは悩むのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1680

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