キブツ・キッスとその一族が俺の傘下に入るということになったのだが、問題となるのはキッス家がどこに住むのかという事だった。
まさか、ドレイクの住んでいるドレイク城という訳にもいかないし、かといって俺が住んでいるラース・ワウだと、何気にドレイク軍にとって重要な諸々が多数ある。
何より、ラース・ワウではいざ何かあって出撃という事になった時、行動に遅れが出る。
そうなると、やはりドレイク城の近くに住むという事になるのだが……不幸中の幸いと言うべきか、もしくは当然の成り行きと言うべきか、アの国の中でフラオンに近しい存在だった者達は、ドレイクとの戦いで死んでいる者が多い。
中には生き残ってドレイクに仕えている者もいるが、比率としては死んでいる者の方が圧倒的に多かった。
そうである以上、当然ながらそのような者達が住んでいた家がドレイク城の近くにはある訳だ。
とはいえ、死んだのはその一族の男だけで、妻や娘、妹、姉……といったような者達が現在もその家に住んでいたりするのだが、中にはドレイクの報復を恐れて逃げ出した者も多数いる。
「そんな訳で、ここが今日からキッス家の屋敷となる。……まぁ、将来的にどうなるかは分からないが、今はこの屋敷で生活していてくれ」
そう言うと、キブツは驚きの視線をこちらに向けてくる。
まぁ、当然だろう。目の前にある屋敷は、かなり立派な建物だ。
ラース・ワウにあったドレイクの城よりは当然のように劣るものの、恐らくキッス家が以前使っていた屋敷より大きいというのは、キブツや他の者達の表情を見れば分かる。
ちなみに、既にここにはキブツ以外にもキッス家の面々が全員揃っている。
ドレイクの前でキブツに鵬法璽を使った後、ナムワンを使ってキッス家を迎えに行ったのだ。
……最初は、ナムワンが来たという事で、キブツが殺され、自分達も始末しにきたのではないかと、キッス家の面々も混乱していたのだが、それに関してドロでキブツを派遣した事で、問題なく混乱を治めることは出来た。
「ありがとうございます、アクセル王。何と感謝の言葉を口にすればいいのか……これで、今日は皆をゆっくりと休ませることが出来ます」
そう言い、深々と頭を下げるキブツ。
キブツ達にしてみれば、ラウの国から脱走してからは、それこそ本当に心の底からぐっすりと眠るような事は出来なかったのだろう。
そういう意味で、周囲の様子を全く気にすることなく眠れる屋敷の存在は、ありがたかったのだろう。
……実際には、そこまで安心出来るという訳ではない。
謁見の間でのやり取りを考えると、キッス家への対応に納得していない者も多かったし、その中でも特にルーザは気にくわないといった様子だった。
とはいえ、ルーザの場合はキブツやキッス家が気にくわないのではなく、俺が気にくわないので、俺が関わっているキブツ達への処遇に不満があったというのが正しいのだろうが。
とはいえ、ルーザは腐っても王妃だ。
俺が気にくわないので、出来れば俺を排除したい。
だが、実力ではどうやっても俺に勝てない以上、俺に降伏してきたキブツ達にちょっかいを出す……それこそガロウ・ランを雇って暗殺者として送り込むといったような真似をしても、どこにも不思議はない。
まぁ、そのような真似をすれば、俺は確実にドレイクと距離を置き、最悪クの国に向かうといったような真似をするかもしれない。
ドレイクに言ったように、俺がここにいる必要というのは、今となっては絶対ではない。
それでもここにいるのは、何だかんだとこのアの国がオーラマシン発祥の地で、研究や開発が一番進んでいるという点や、フラオンに指名手配された俺とマーベルを匿ってくれたという感謝があるからというのが大きい。
それでも、それは何があっても絶対にアの国にいなければならない理由ではないのだ。
俺達が出ていくのを止めたいのなら、やはりドレイクがルーザの行動に目を光らせ、妙な真似をしてきたら止める必要があった。
……とはいえ、考えてみればキブツ達キッス家の面々にしてみれば、自分達の事を知っている者が多いアの国ではなく、キッス家については殆ど何も知らない――フラオンやギブン家の関係でドレイクから情報提供はされている可能性はあるが――クの国に向かった方がいいのかもしれないな。
取りあえず、ドレイクが本気で俺を逃がしたくないのなら、ルーザをどうにかするのは間違いない筈だ。
「取りあえず、お前達には明日からナムワンについて……それ以外に、ブル・ベガーについても操縦について習得して貰う」
ナムワンはフラオン軍にもあったので、それなりに操縦出来てもおかしくはない。
しかし、それはあくまでも普通のナムワンだ。
俺の所持しているナムワンは、俺の意見だったり、ショットやゼットの意見を採用したりして、可能な限り自動化されている。
その為、普通のナムワンと比べると少人数で運用出来るのは間違いないが、同時に自動化されている為に普通のナムワンと比べて色々と操縦がしにくかったりする場所が多い。
その辺の事情を考えると、やはりしっかりと操縦訓練をしていおいた方がいい。
それ以外にも、ブル・ベガーはフラオン軍も持っていないので、そっちの運用方法も知っておいた方がいい。
俺はブル・ベガーを持ってないんだけどな。
ただ、今までの経験から考えると、ラウの国との戦いにおいても俺達はドレイクと一緒に出撃する事になる。
そして何かあった時は、ドレイクが俺達に依頼をしてくるといった可能性は十分にあった。
その時、依頼の報酬として何を貰えるかとなると……ブル・ベガーだろう。
後はショットの開発したレプラカーンも確保しておきたいな。
そんな風に考えつつ、俺はキブツとの会話を終える。
ちなみに、当然の話だがこの屋敷にはメイドの類はいない。
この屋敷を使っていた者がいた時は、メイドの類もいたのだろうが……屋敷の主人がいなくなり、屋敷に残っていた他の家族も何らかの理由でいなくなったのだから、当然だろう。
この屋敷から出ていった他の家族と一緒にどこかに向かった者もいれば、あるいはこの屋敷ではもう働けないと判断して自分の家であったり、あるいは何らかの繋がりで他の屋敷に雇って貰ったり。
ともあれ、そんな感じでこの屋敷からは誰もいなくなり……つまり、それなりにさびれていたり、汚れていたりする訳だ。
ドレイクがアの国の国王になってから、まだそこまで長い時間は経っていない。
だが、家というのは誰も住んでいないと、どうしても傷みが早くなる。
その辺に関しては、キッス家の面々で働いて貰う必要がある。
というか、よく考えたらキッス家が俺の部下になるという事は、俺が給料の類を支払う必要があるんだよな。
今までは俺とマーベルの2人だけだったし、生活費に関してはドレイクから貰っていた。
だが、今度からは30人以上の人物を俺が雇う必要がある。
……まぁ、金を入手するだけなら、それこそ幾らでも手段はあるのだが。
例えば、空間倉庫に入っている地上の服とか、そういうのを売るとか。
ドレイクはフラオンではないので、もし王都で服を売っても俺を捕らえようとはしないだろうし。
あるいは、それこそドレイクから何らかの仕事を引き受けて金を貰うといったような感じにしてもいい。いいのだが……そうなると、ブル・ベガーとかを入手するのは難しくなってしまう。
「アクセル王? どうしたのです?」
「いや、何でもない。ただ、お前達には出来るだけ早くシャドウミラーの一員として働いて貰う必要があると思ってな」
幸い……という表現をすれば恐らく怒られるだろうが、ルフト領だったり王都以外の場所では、未だにガロウ・ランの盗賊が多い。
あるいは、恐獣の被害に悩まされていたりする場所もある。
そのような場所で依頼を受けて解決し、報酬を貰いつつ盗賊のお宝だったり、恐獣の肉や素材だったりを売るといったような真似をすれば、金を稼ぎつつ、戦闘訓練にもなって一石二鳥……ついでにシャドウミラーだったり、ドレイクだったりの評判も上げる事が出来るので、一石三鳥か?
「は! お任せ下さい。アクセル王に仕えることにした以上、頑張らせて貰います!」
キブツがそう言う。
他の者達も、そんなキブツの言葉に同意するように頷いた。
俺はそんなキブツ達に頷き、その場を去るのだった。
「ほう、これがボゾンか」
キブツ達と別れた俺は、ラース・ワウにある機械の館にやって来ていた。
何をしに来たのかは、ショットの言葉を聞けば分かるだろう。
そう、キブツから受け取ったボゾンを持ってきたのだ。
一応キブツやその部下から説明は聞いているものの、それでもどうせなら本職のショットにしっかりと調べて貰った方がいい。
「ああ。ラウの国では、これからこのボゾンがダーナ・オシーに変わって主力となるらしい」
「ふむ、なるほど。……いかにもダーナ・オシー系の技術が使われているな。外見も、私達が作るオーラバトラーとはどこか違う」
一番分かりやすい特徴はそれだろう。
ショットやゼットが開発したオーラバトラーも、人型ではあるが恐獣の素材を使っている為か、どこか異形っぽいというか、昆虫のような印象を受ける。
昆虫のような印象を受けるのは、オーラコンバータの羽根とかも関係してるのだろうが。
ともあれ、そんなショット達が開発したオーラバトラーに比べると、最初からバイストン・ウェルの人間だけで開発したオーラバトラーというのは、より異形度が上がっている。
そういう意味では、一目でダーナ・オシー系のオーラバトラーと分かるのは便利でいいのかもしれないが。
「けど、ショットやゼットが関わってないって事なら、クの国で開発されたアルダムはどうなんだ? あのアルダムもショット達が関わっていない割には、ダーナ・オシーとかよりもショット達が開発したオーラバトラーに近いと思うが」
「その辺りは、それを開発した者の個性でも出るのだろうな。だからこそ、面白いのだが」
「そうかい。ともあれ、このボゾンの解析については頼むぞ。ただし、これの所有権があるのは、あくまでも俺だというのを忘れるなよ?」
「分かっている。このように興味深いオーラバトラーを持ってくるのだ。アクセルを不愉快にさせるような真似はしたくないさ。それにしても……このボゾンを手に入れる為だとはいえ、また随分と思い切った行動に出たな」
それが何の事を言ってるのかは、考えるまでもなく明らかだ。
キッス家の面々を俺が引き受けた事についてだろう。
「ナムワンやヨルムンガンドの運用で、いつまでもドレイクから兵士を借り続けるって訳にもいかないしな」
「だからといって、ギブン家に仕えていた家だぞ? そのような相手を信じられるのか?」
「その辺はマジックアイテムを使って対処したから問題ない。ドレイクもそれを見て、キッス家が裏切る事はないと言ってきたしな」
鵬法璽の能力をしっかりと見せたのは、危険ではあったが効果は大きかったのだろう。
もっとも、そのおかげで警戒されるようになったのは間違いないが。
「マジックアイテムか。……興味があるな。見せて貰えるか?」
「無理だ。鵬法璽の持つ強制性は、迂闊に使えばかなり問題が大きい。そうである以上、出来れば使いたくない代物なんだよ」
「だが、それを使ったのだろう?」
「使うしかなかったからな」
「つまり、アクセルはそれを使わなければならない時は、それを使える訳だ」
そう言い、意味ありげな視線を向けてくるショット。
そんなショットの様子を無視し、ボゾンに視線を向ける。
「そんな事よりも、まずはボゾンの件だ。このボゾンをしっかりと解析してくれよ。そうなれば、ショット達が作るオーラバトラーの役にも立つかもしれないし」
そんな俺の言葉に、ショットは鵬法璽についての気分を切り替え、改めてボゾンに視線を向けて口を開く。
「心配するな。やるべき事はしっかりとやる。このボゾンも見るべきところはあるだろうしな」
「そう言えば、レプラカーンの量産はどうなってる?」
「……高い技術を使っているのもあって、少し難しいな。そもそも、あのレプラカーンは私が試しに作ってみた……半ば趣味や技術立証機的な意味で開発した面もある。武器が多い……多すぎるのが特徴なのだが、それだけにパイロットはどの武器を使うのかといったことを瞬時に判断する必要も出て来る。その辺がしっかりと判断出来る腕利きのパイロットでもなければ、本当の意味で使いこなす事は難しいだろうな」
やっぱりそうなるか。
元々レプラカーンは武器を大量に装備しすぎなんだよな。
それをきちんと使いこなせるような者であれば、圧倒的な火力を活かせるだろう。
だが、使いこなせない場合は、緊急時にどの武器を使えばいいのか迷う。
そして戦闘の中ではその一瞬こそが致命傷となる。
特にショウのような腕利きのパイロットを相手にしている場合、武器を選ぶのに迷った瞬間には、既に死んでしまうだろう。
そうならないようにする為には、やはり武器の数がもっと少ない……それこそ、ビランビーとかの方が一般の兵士にも向いてるのかもしれないなと、そう考えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680