転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2892話

「は? それは本当なのか?」

 

 アレンに向かい、そう告げる。

 エレを送っていったアレンだったが、途中でここまででいいと言ったので、そのまま置いてきたらしい。

 普通に考えれば、エレの言葉を信じてそのまま途中までしか送らないってのはどうよ? という思いがない訳でもない。

 そもそもの話、エレを送っていったのはエレが誰か危険な奴に絡まれたりしないようにという思いからだったのだが……それで途中で別れたとなると、それは中途半端にすぎないと思うのは、俺だけではないだろう。

 

「しょうがねえだろ。向こうがいいって言ってるのに、無理に送っていくってのも、それはそれで何だか微妙な気分だし。……そのくらい、アクセルも分かるだろ?」

 

 アレンが言い訳がましくそう告げる。

 とはいえ、アレンの言いたい事も分からないではない。

 10歳……いや、しっかりと年齢を聞いた訳ではないが、あの話し方から考えると、15歳前後か? 外見からすると、15歳よりはもう少し下といった感じではあったが。

 ともあれ、アレンは……具体的に何歳なのかは分からないが、それでもトッドが23歳だって話だったので、それより年上なのは間違いないだろう。

 ……というか、個人的にはトッドが23歳だというのがかなり驚いたんだが。

 この世界の主人公たるショウとの関係を考えると、20歳に届かないと思っていたのだから。

 ただ、パイロット候補生であったというのを考えると、その年齢にも納得出来るかもしれないが。

 

「まぁ、アレンがそれでいいのなら、俺は構わないけどな。最悪、問題ない場所までは送ってきたんだろ?」

「ああ。貴族の屋敷が建ち並んでいる場所まではな」

「なら、いい。そんな状況なら、エレも誰かとぶつかってどうこうって事は、まずないだろうし。……あっても、エレが貴族の出なら周囲に知り合いとかもいるだろうし」

 

 そう言うと、アレンは安心した様子を見せ……そんな中で、ふと口を開く。

 

「なぁ、アクセル。トッドから聞いたんだけど、アクセルは地上の料理を持ってるって? 俺にもちょっとくれないか?」

 

 トッドがその件を話したというのは、少し珍しいな。

 まぁ、トッドにしてみれば、ある意味で自慢という一面もあったのだろうが。

 

「そうだな、エレを送って行って貰ったし……1個だけならいいぞ。何が食べたい?」

「ハンバーガーを頼む」

 

 トッドもそうだったが、アレンもハンバーガーを希望するらしい。

 ハンバーガーとコーラというのは、アメリカ人がよく食べているファーストフードといった印象を抱く者が多いが、アレンもまたそんなイメージに負けてはいなかったという事か。

 

「ハンバーガーか……竜田揚げバーガーがあるけど、それでいいか?」

「竜田揚げバーガー? ……まぁ、ハンバーガーならそれでいい」

 

 そう言うアレンに、竜田揚げバーガーを出す。

 にしても……本当に今更の話だが、竜田揚げと唐揚げの違いって何なんだろうな。

 正直なところ、同じ料理にしか思えない。

 勿論こうして名前が違うということは、当然のように別々の料理ではあるんだろうが。

 今度ホワイトスターに戻れたら、その辺を調べてみてもいいかもしれないな。

 もしくは、何らかの手段で地上に出る事が出来たら日本で調べてみてもいい。

 

「うおっ、空間倉庫だったか? 相変わらず便利だな。 ……へぇ、フライドチキンのバーガーか。ちょっと珍しいな」

「いや、フライドチキンじゃないんだが」

 

 どっちも似たような料理なのは間違いないが、それでも唐揚げと竜田揚げに比べると、フライドチキンは違う。

 和風と洋風。

 醤油を味付けに使うかどうか。……いや、唐揚げはともかく、竜田揚げって醤油を味付けに使うか?

 一瞬迷うも、取りあえずフライドチキンとは違うというのは間違いない事実だった。

 

「これも食うか?」

 

 珍しそうに竜田揚げバーガーを食べているアレンに、フライドポテトを渡す。

 こちらは、アメリカでも珍しくないので、特に驚いた様子もなく口に運び……

 

「美味っ! 何だこのフライドポテト、破滅的に美味いぞ!?」

 

 アレンの口から、驚愕の声が上がる。

 当然だろう。そのフライドポテトは、ナデシコ世界で購入したフライドポテトなのだから。

 ハンバーガーの類は不味いという訳ではないが、可もなく不可もない味といったような感じだったのに、フライドポテトだけは信じられない程に美味いのだ。

 正直なところ、何故このフライドポテトがここまで美味いのか、全く理解出来ない。

 どういう調理法で作っているのか、それとも材料のジャガイモが違うのか、もしくは味付けが何か違うのか。

 シャドウミラーが誇る料理人の四葉ですら、ちょっと分からないと言っていたくらいに、色々ととんでもないフライドポテトだ。

 勿論、このフライドポテトが最高のフライドポテトと言うようなつもりはない。

 それこそ、四葉のような料理人が精魂込めて作ったフライドポテトの類があれば、あるいはこのフライドポテトよりも美味くなるかもしれない。

 だが……この場合、恐ろしいのはこのフライドポテトがナデシコ世界のファーストフード店で普通に売られていたという事だろう。

 つまりこれは、幾らでも量産出来る味なのだ。

 

「だろ? 今まで俺は色々な世界に行って色々な料理を食ってきたが、これより美味いフライドポテトってのは、ちょっと見た事がないな」

 

 そう言う俺に、アレンは何故か悔しそうな様子を見せる。

 これ、多分アメリカにも美味い料理があるって言いたかったんだろうな。

 とはいえ、アメリカに美味い料理があるというのは、俺も否定しない。

 というか、俺が知ってる限りではアメリカって結構美味い料理とか多いんだよな。

 まぁ、料理の美味い不味いというのは個人の感覚によって違ってくるので、俺が美味いと思っている料理が、必ずしもアレンにも美味いと感じるのかどうかは、また別の話なのだが。

 それでもあのフライドポテトを美味いと感じたということは、俺とそう味覚が離れている訳ではないのだろう。

 そうやって、少しの間アレンと料理についての話をし……王都の中を改めて見て回る事にする。

 

「つっても、ミの国の王都だろ? 何か興味深いのとか、あったりするのか?」

 

 大通りを歩きながら、アレンが暇そうに呟く。

 ただ、その気持ちも分からないではない。

 例えば、アの国なら現在ドレイクが国王になったという事で、かなり賑わっている。……フラオンの無能ぶりを考えると、その辺は当然かもしれないが。

 リの国は……行った事がないから何とも言えないが、恐獣の素材を輸出している国だけに、多分恐獣関係の肉だったり素材だったり、もしくは加工品の類があったりするのだろう。

 クの国は、ビショットの有能さを思えば……栄えているのは間違いないだろうし、その中にはオーラマシン関係の技術があってもおかしくはない。

 そんな国々に比べると、ミの国は小国だけにどうしても王都であってもそこまで栄えているといった印象はないのだ。

 いやまぁ、戦争が始まる前……まだ王都から住人が避難していないような時であれば、また話は違ったのかもしれないが。

 しかし、残念ながら今のこの王都には以前程の活気はない。

 

「まぁ、それでもナムワンやブル・ベガーにいるよりは、暇潰しが出来る分だけいいんじゃないか? ……何なら、ビランビーの訓練に付き合ってもいいけど、どうする?」

 

 アレンは周囲の者を自分よりも格下に見るという悪癖こそあるものの、本人の技量という点では間違いなく非常に高い。

 この辺はトッドと同じく、地上で戦闘機に乗っていたという経験が活かされているのだろう。

 もっとも、あくまでパイロット候補生だったトッドに比べて、アレンは正規のパイロットだった。

 ……まぁ、それでも今ではトッドの方が立場も実力も上になっているのだが。

 

「オーラバトラーで模擬戦か。いいかもしれないけど、ちょっと無理だな。俺のビランビーは、現在整備中なんだよ」

 

 少しだけ残念そうに言うアレン。

 何だかんだと、向上心は高いアレンだ。

 ここで俺との模擬戦を行いたいという思いはあるのだろう。

 

「そうか。それは残念だったな。けど、何かあった時に万全の状態で出撃するという事を考えれば、やはりここはビランビーを無理に使わない方がいいと思うぞ」

「まあな。……とはいえ、この状況でビランビーを使うような事になるとは思わないが」

 

 アレンのその言葉は、普通なら納得出来る。……あくまでも普通なら、だが。

 

「フラオンが相手だと、何をやってきてもおかしくはないからな。それこそ、今こうしている時にもフラオンがこの王都に攻撃してこないとも限らないし」

「それは……そんなにとんでもない奴なのか?

 

 アレンは、フラオンを直接見たことがない。

 だからこそ、あの無能さを理解出来ないだろう。

 その無能さにより、それこそいつ何をするのか分からないというのは、正直なところ厄介ではある。

 普通に考えれば、現在ミの国の王都にはドレイク軍が大量に集まってきている。

 そんな場所に攻撃をしたらどうなるか、普通なら分かってそんな真似はしないだろう。

 だが、フラオンはそれをやる。

 死中に活を求める……といった訳ではなく、単純に王都の側にドレイク軍がいて、自分がドレイクに恨みを持っているからこそ、攻撃をするといった選択をしかねない。

 ドレイクにしてみれば、フラオンという存在は無能であるが故にその時の気分で行動し、その行動を読む事は出来なかった。

 ある意味、フラオンはドレイクにとって一種の天敵に近いのかもしれないな。

 とはいえ、気分次第という事はドレイクの意表を突くのには十分であっても、フラオンと一緒に行動している者達にとっても自分達に被害を大きくする相手という事になる。

 そういう意味では、ドレイクだけではなく味方にとっても厄介な存在なのは間違いない。

 その辺りの説明をすると、アレンは嫌そうな……心の底から嫌そうな表情を浮かべる。

 

「俺達を召喚したのがドレイクで、本当によかったな」

 

 しみじみとした様子で呟くアレン。

 

「だろうな。もしフラオンに召喚されようものなら、一体どうなっていたのやら」

 

 そういう意味では、現在フラオンの部下になっているショウなんかは、今頃ドレイクの下から逃げ出した事を後悔していてもおかしくはない。

 かといって、ドレイク軍に散々被害を与えてきた以上、まさかこの状況で戻ってくるなんて真似を出来る訳もないし。

 

「マーベルなんかは、未だにフラオンを嫌ってるしな」

「……マーベルが?」

 

 俺の一言に、興味深そうな視線を向けるアレン。

 アレンは以前から何度かマーベルにモーションを掛けている。

 もっとも、マーベルの方はアレンを同じアメリカ出身の聖戦士という事で、仲間としては認識してるのだろうが、男としてはそこまで興味を持っているようには思えない。

 それでも、アレンにとってマーベルは十分以上に魅力的なので、手を出さないという選択肢はないのだろう。

 

「ああ。俺とマーベルがバイストン・ウェルに来た時の話は知ってるか?」

「ちょっと聞いた覚えはあるな」

「そうか。ともあれ、俺達が売った服の件がフラオンに報告されて、それでフラオンは俺とマーベルを捕らえようと兵士を派遣したし、指名手配までした。それを思えば、マーベルがフラオンを嫌う理由は分かるだろ?」

 

 マーベルは元々正義感の強い性格をしている。

 それだけに、フラオンが私利私欲の為に自分達を捕らえようとした事は、決して許容出来なかったのだろう。

 その件もあって……そして自分達を理由にドレイクに攻撃を――それも背後からの不意打ちといった形で――したのが、余計に許容出来ない相手だと思ってもおかしくはない。

 マーベルだけじゃなく、俺もまたフラオンに対して面白いとは思ってないが。

 ただ、俺の場合は結局国を追われてミの国で内乱を起こし、更にはラウの国でも同じような役割を果たさせようとされているというのを考えると、フラオンの道化っぷりに哀れみの色の方が強いのだが。

 

「なるほどな。……大統領制とか、そういうのがあれば、まだマシだったかもしれないな」

 

 そんなアレンの言葉に、俺は素直に頷く事は出来なかったが。

 今まで色々な世界を見てきたが、民主制というのは結局のところ民衆の人気を集めた者が選挙で勝つというのが大半だった。

 民衆の方がしっかりと政治について考えた上で投票するのではなく、有名人だから、聞こえのいい言葉を言ってるから、頼まれたから……そんな理由で投票する者が多く、政治家もまた選挙の公約はあっさりと破棄する者が多い。

 そういう意味では、俺の印象としてはやはり民主制というのは衆愚政治という印象が強かった。

 理想的に運用されれば、最高の政治体制になるのかもしれないが、それをやるには人間は数世紀……あるいはもっと習熟が必要となる。

 そういう意味では、有能な独裁者が支配する国家の方が総合的に見て優秀な国家体制だと、そう思える。

 勿論、フラオンのような人物が国王の独裁国家となれば、それは地獄でしかないので、あくまでも有能な人物が国王であればという事に限るが。

 そういう意味では、俺……はともかく、実際に国を動かしている政治班が非常に優秀で私利私欲で妙な真似をしないと信じられるシャドウミラーは、ある意味理想の国家体制なのかもしれないな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1680

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