転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2882話

「じゃあ、反乱軍の連中を頼むな」

「は。その……今更ですが、本当にいいのですか?」

 

 俺のナムワンに所属する兵士が、そう言ってくる。

 珍しいな。

 ドレイクの部下である事を重要視している割には、ドレイクからの頼みを受けて不満そうな様子を見せているのだから。

 いやまぁ、ドレイク軍が戦いを挑もうとしてる――戦力差的には蹂躙しようとしているの方が正しいと思うが――ピネガンと敵対している反乱軍ではあっても、それでもミの国の住人であるのは間違いない。

 それに対して、ドレイクの部下として気にするなという方が無理なのだろう。

 

「悪いが、その辺はお前達に任せる。トッドから妙な行動はしないようにと言われている筈だが、それでも何かをしようものなら、お前達の方で処理してもいい」

 

 反乱軍にとって、トッドは大きな人気を持つ。

 やはり聖戦士であるというのは、バイストン・ウェルにおいて大きな意味を持つのだろうし、それだけではなく、実際に能力を見せてもいる。

 それを思えば、反乱軍の面々がトッドを信頼するようになるのは当然だった。

 何しろ、反乱軍はそこまで腕の立つパイロットはいなかったしな。

 それでいて、数でも正規軍に負けている、

 そんな中で聖戦士のトッドがやってきて活躍したのだから、信望を集めるのは必然だろう。

 そのトッドがしっかりと言い聞かせていると考えれば、取りあえずそこまで心配する事はないと思う。

 反乱軍が持ってきた物資の類も、結局俺の空間倉庫を使う必要はなかったし。

 俺のサーバインとマーベルのダンバインは空間倉庫に収納したが、ダーナ・オシーは結局ナムワンに普通に搭載されている。

 勿論、ナムワンだけでは足りないので、他のオーラシップにも搭載されているが。

 どうしても無理な場合は、格納庫の中だけではなく装甲の上に置いてあったりもするらしい。

 

「分かりました。……けど、反乱軍はそこまで役に立つんですか? 使ってる機体は、結局のところダーナ・オシーですよね?」

「ダーナ・オシーでも、オーラバトラーはオーラバトラーだ。それにピネガンやフラオンの軍が使っている主力もダーナ・オシーである以上、役に立たないって程ではないだろ」

 

 ゲドより性能は高いが、ドラムロよりも性能は低い。

 ダーナ・オシーはそんなオーラバトラーだが、俺が言ったようにオーラバトラーであるのは事実だ。

 それはつまり、オーラバトラー以外のユニコンに乗った騎兵とか、歩兵とか、そういう相手に対しては非常に大きな力となる事を意味していた。

 そしてピネガンやフラオンといった連中は、オーラバトラーが主力であるのは間違いないが、そのような騎兵や歩兵も結構な数がいる。

 そのような連中を相手にすると考えた場合、ダーナ・オシーは何気に使い勝手がいい。

 勿論、フレイボムを使えるドラムロとかもそういう歩兵や騎兵を相手にするには十分な威力を発揮はするのだろうが、そちらを任せられる戦力があるのなら、そちらにまかせて、性能の高いドラムロはオーラバトラーを相手に戦えばいい。

 そう考えると、ダーナ・オシーもそんなに使い勝手は悪くないのだろう。

 あるいは、敵のダーナ・オシーと戦うにしても、こっちもダーナ・オシーなんだから、普通に複数で1機を相手に戦えば問題ないだろうし。

 それ以外の歩兵については……そっちは使い道があまり思い浮かばないな。

 雑用とかか?

 それはそれで、まぁ……悪くないかも?

 

「アクセル王が問題なければ、こちらは問題ありません」

 

 兵士がそう頷き、話は決まる。

 とはいえ、これだけは言っておいた方がいいな。

 

「相手はミの国の奴等だ。お前達にも色々と思うところはあると思うが、余計な騒動は起こすなよ」

 

 ドレイク軍の兵士……その中でも、特にドレイクがアの国の国王になるよりも前、ルフト領の領主だった頃からドレイクに仕えていた、生え抜きの兵士達がいる。

 ドレイクが俺に気を遣って……ついでに、少しでもオーラシップの扱いに慣れさせる為に派遣してきたのは、そういう精鋭と呼ぶべき連中だった。

 ドレイクにしてみれば、自分に忠誠を誓っているので裏切る心配もないと、そんな風に考えてもいるのだろう。

 ともあれ、そういう兵士の中には当然ながら、以前フラオン、ギブン家、ミの国が協力してドレイク軍を襲ってきた戦いを経験している。

 つまり、ミの国の者に対して思うところがあるのは間違いない。

 ただし、あの時の戦いで攻めて来たのは、あくまでもピネガンに従っている者達……正規軍だ。

 トッドが協力していた反乱軍は、その戦いに協力していない。

 いやまぁ、実際には全く協力していないって訳ではなく、ある程度は協力している可能性が高いのだが。

 そういう意味では、反乱軍を恨む者がいてもおかしくはない。

 あの戦いで死んだ者は、それなりにいるのだから。

 それでも今は協力してピネガンと……そして恐らくフラオンを倒す必要がある。

 ドレイクの狙いとしては、ここでフラオンを殺すといったような真似はせず、ラウの国に追い払うつもりらしいが。

 ともあれ、そんな訳で協力して戦う必要があるのは間違いなかった。

 

「分かっています。ただ……このナムワンに乗ってる者達はそういう風にする者は少ないと思いますが、他のオーラシップに乗っている者となると……」

「難しいか」

「はい。恐らく……いえ、間違いなく騒動になるかと」

 

 そう言い切る。

 何だかんだと、俺は普通の兵士と絡むといったようなことは、基本的にない。

 一番多いのは、やはり技術者の面々だったり、聖戦士だったり、騎士といった相手だ。

 だからこそ、普通の兵士がどんな風に思っているのかといったような事は……完全に分からないといった訳ではないが、それでもある程度しか理解していないというのが正直なところだ。

 そんな訳で、俺と話していた兵士が他の場所で騒動が起きると断言しているという事は、恐らく騒動が起きるのは間違いないだろう。

 軍人としての教育をしっかりと受けている者であれば、ここでミの国の相手ではあっても、一緒に協力する事になる反乱軍と揉めるのが問題だというのは、理解出来る筈だ。

 だが、騎士はともかく普通の兵士は、そのような教育を受けてはいない。

 だからこそ論理的に考えず、単純に気にくわないからという理由だけで反乱軍と揉めるといった者は出て来るだろう。

 

「ただ、この場合問題なのは……ルフト領時代からの兵士ではなく、お館様が国王になってから、兵士となった者達かと」

「そうなのか? 俺はてっきり、フラオンやギブン家と手を組んだ時の件でミの国の兵士を気にくわない……といった者が多いんだとばかり思っていたんだが」

「そのよう者がいるのも間違いないでしょう。ですが、新たにお館様の下にやってきた兵士の中には、ミの国という小国を自分達が討伐するといったような事に酔っている者もいます」

 

 あー、なるほど。

 実際に戦った訳ではないが、それでもドレイク軍が以前倒した……それも蹂躙したといったような戦いをした相手だけに、自分達よりも格下だと思っている奴がいるのか。

 いやまぁ、アの国とミの国では、国土も国力も違う。

 そう考えれば、アの国の兵士がそのように思っても決しておかしくはないのだ。

 とはいえ、そうなれば面倒な事になるのは間違いない。

 特にこのミの国は、ドレイクに治めて欲しいと、そう思っている者が多い。

 反乱軍の上層部には、という意味でだが。

 そんな訳で、今回の一件は後々ミの国をドレイクが占領するという事になると、色々と面倒な事になりかねなかった。

 とはいえ、今からどうこうしようとしても、もう遅いだろうしな。

 既に反乱軍はドレイク軍の艦隊に分散して搭乗している。

 ドレイクに頼まれたように、このナムワンに一番多くの人数を集めているのは間違いないが、それでも他のオーラシップにもそうやって乗っているのだ。

 今からその辺を注意したとしても、既に騒動が起きてる可能性がある。

 そう思っていると……

 

「アクセル、トラブルよ」

 

 ブリッジに入ってきたマーベルの声が周囲に響く。

 もうか。

 そう思った俺は、決して悪くはない筈だ。

 とはいえ、今の状況ではそうやって残念に思っても意味はない。

 今はまず騒動になっているのをどうにかする方が先だった。

 

「場所はどこだ?」

「食堂よ」

 

 よりにもよって食堂か。

 いや、食堂というのは改めて考えてみればそんなにおかしな話でもないか。

 テーブルや椅子が揃っている食堂は、当然ながら休憩するにも多くの人が集まる。

 UC世界で俺がホワイトベースに乗っていて、サイド7の民間人を月まで運ぶ時も、食堂には常に多くの者が集まっていた。

 そう考えれば、食堂に反乱軍とドレイク軍の兵士達が集まるのは当然であり、この結果も分かりやすいものではあったのだろう。

 

「何が原因だ? というか、どっちから仕掛けた?」

「どうやら、歩いている時に肩がぶつかったとか、そういう理由みたいね」

「それは、また……」

 

 この世界の原作って、もしかしてファンタジー世界の原作だったり、ロボットものだったりするんじゃなくて、実は不良漫画とかだったりしないよな?

 一瞬そう考えたのは、決して俺が悪い訳ではない筈だ。

 とはいえ、そういう風になるというのは十分に考えられたことでもある。

 反乱軍なんて組織に所属しているのだから、そのような者達は当然ながらピネガンという体制に逆らっていたのだ。

 つまり、反骨心が強い。

 そのような者達が、ドレイク軍の兵士と遭遇すればどうなるか。

 それは、考えるまでもなく明らかだろう。

 ……実際にこうして問題は起きているのだから。

 そんな事を考えながら通路を進み、やがて食堂に到着する。

 当然だが、食堂では既に多くの者が血気に逸った様子を見せていた。

 

「おら、やれやれ! アの国の連中なんかに負けるな!」

「ミの国のような小国が、俺達に逆らおうってのか? ほら、アの国の力を見せてやれ!」

 

 周囲にいる者達も、そんな風に喧嘩をしている者達を囃し立てる。

 そんな様子に、思わず溜息を吐く。

 この連中は兵士としてそれなりに鍛えられている……いや、銃とかもあるが、長剣とか槍とかを使った戦闘が普通に存在する世界だけに、肉弾戦ともなれば地上の軍人よりもしっかりと鍛えられている。

 それはいいのだが、それだけにこういう食堂で派手に殴り合いの喧嘩をされようものなら、ナムワンの施設に被害が出る。

 はぁ……と、息を吐いた次の瞬間、俺は身体から殺気を滲ませる。

 それも、微かな殺気といったようなものではなく、強烈な……この食堂にいる者の多くが恐怖で震えて動けなくなるような、そんな殺気だ。

 そして殺気が食堂中に満ちた瞬間、数秒前まで起きていた喧噪は一気に消える。

 それこそ、静寂という表現が相応しいような、そんな状況。

 

「静まったようだな」

 

 そんな食堂の中に、俺の声だけが響き渡る。

 

「俺はこの船の艦長……いや、持ち主か。持ち主の、アクセル・アルマーだ。そう言えば、俺が何故ここに来たのか、分かって貰えるな? いいか、騒ぎは起こすな。もし騒動があった場合、お前達をどう処分するのかは、俺の胸先三寸なんだからな」

 

 そう言い、次第に殺気を薄れさせながらも、言葉を続ける。

 

「それは、ドレイクの部下であっても、反乱軍であっても同じ事だ。……次にこんな騒動を起こしたら、どうなるか。それはもう十分理解して貰えたな?」

 

 大分殺気も薄まってきたからだろう。

 何人かが、口を開くことは出来ないまでも、慌てて何度も頷く。

 そうして他の者達に視線を向けると、自分はどうなのかと聞かれているのかと思ったのか、そのような者達もまた同様に頷く。

 

「よし、分かって貰えたようで何よりだ。後は、お互いに友好的にな。……友好的。俺の言ってる意味は分かるよな?」

 

 改めて尋ねると、食堂にいる面々……諍いを起こしていた連中は全員が素直に頷く。

 よし、これでもし駄目だったら、もう少し殺気を出す必要があったんだが、幸いな事にそんな必要はないらしい。

 

「じゃあ、俺は行くけど、もう騒ぎは起こすなよ。ああ、そうそう。それとこの件は食堂にいない他の連中にも知らせておけ。また同じような騒動が起きるような事があったら、その時は相応の覚悟をして貰うぞ」

 

 そう言い、最後の言葉にその場にいた面々の顔が青くなったのを確認すると、それ以上は話を聞く事もなく食堂を出る。

 

「あのね……ちょっとやりすぎじゃない?」

 

 呆れた様子でそう言ってくるマーベル。

 マーベルはまだ殺気の類を感じたり出来る訳ではないが、それでも食堂の中の様子を見ていて、何が起きたのかを完全にではなくても理解したのだろう。

 

「そうか? 水と油……とまではいかないが、決して友好的な関係ではない連中を1つの場所に入れておくんだ。そう考えれば、これは寧ろ優しい方だと思うけどな」

「あのねぇ……いえ、アクセルにこれ以上言っても意味がないようだから、取りあえずこの辺にしておくけど」

 

 結局そう言い、これで一旦話は終わるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1679

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