前後からの挟撃を行ったのは、どうやらフラオン軍ではなくピネガンの正規軍だった。
何故それが分かったのかと言えば、鹵獲したダーナ・オシーのパイロットがミの国の兵士だった為だ。
アレンは撃墜したが、艦隊の前方に攻撃してきた相手は何機か生け捕りに出来たらしい。
その連中を尋問した結果、判明したのだ。
……まぁ、正規軍であると思わせておいて、実はギブン家がミの国の兵士の服装でダーナ・オシーを操縦しているという可能性もあるので、確実にとは言えないのだが。
この情報については、俺もドレイクから聞いただけで、実際に自分で確認した訳ではない。
ともあれ、それでも今の様子から考えて間違っているといったことはないと思う。
そうして挟撃を撃退してからも艦隊は進み……
「アクセル王、お館様が旗艦の方に来て欲しいと。トッド様が合流したそうです」
「トッドが?」
トッドは、ミの国で反乱軍と共に行動していた。
以前は、フラオン軍と正規軍が戦っている時に有利な方に攻撃して双方を消耗させるといった戦術で戦っていたのだが、トッドが合流してからの反乱軍は今までよりも活発に動いているという話を聞いている。
そんな反乱軍を率いている……いや、反乱軍に協力しているといった方がいいのか。
ともあれ、そんなトッドがドレイクに接触してきたのは何の為だ?
考えられるとすれば、反乱軍がドレイク軍に合流する為か。
元々、反乱軍はドレイク軍に協力を求めており、その一環としてトッドが反乱軍に協力するような事になったのだとすれば、その辺は特に不思議ではない。
いや、そう考えれば寧ろ納得出来る一面も強い。
「分かった。すぐに旗艦に行く。……マーベル、お前はどうする?」
「私も行くわ。このままここにいてもやる事はないしね」
正確には、やるべき事を探そうとすればそれなりにある。
だが、それでも今の状況を思えば……俺やマーベルがナムワンにいれば、そのやるべき事というのは、基本的には襲ってきた相手の迎撃だろう。
しかし、基本的に俺とマーベルはいざという時の為に一緒にいる訳で、そのまま戦いに巻き込まれるという形なのは面白くない。
マーベルもその辺を理解しているからこそ、俺の誘いに乗ってきたのだろう。
……艦長とかが少しだけ心細そうな様子を見せているが、取りあえずそれはスルーしておく。
俺とマーベルをドレイクが乗っている旗艦のブル・ベガーまで運ぶという事は、当然ながらこのナムワンも艦隊の中央に移動するという事になる。
まぁ、いざとなれば俺は特に問題なくマーベルを連れてブル・ベガーまで移動するといったような真似も出来るんだが、ナムワンの安全を考えれば、いざという時の事を考えて対処した方がいいだろう。
このナムワンに乗っているのはドレイクの部下だが、ナムワンその物は俺のオーラシップだし。
それが下手に被害を受けるなんて事になったら、それこそ洒落にならない。
ましてや、このナムワンは普通のナムワンではない。
ショットやゼット、それ以外の技術者によって、出来るだけ少人数でも運用出来るようにと、可能な限り自動化が行われている実験艦でもあるのだから。
そういう意味では、何気にナムワンの中でも試験艦的な意味合いでもある。
ただ、俺のナムワンでその辺りの技術的に問題がないと判明されれば、これ以後のナムワンやブル・ベガー、それどころかウィル・ウィプスにすら採用される可能性はあるだろう。
何だかんだと、ウィル・ウィプスはかなりの巨体を持つ。
オーラバトルシップというように、オーラシップではない別の種類という事にしてるのだから、その辺は当然かもしれないが。
ともあれ、そんな理由でウィル・ウィプスが巨大である以上、自動化というのは非常に大きな意味を持つだろう。
ドレイクにしても、オーラシップやオーラバトルシップが想定していたよりも少数で運用出来るとなれば、余剰人員でもう1隻でも2隻でも、オーラシップを戦力として運用出来る事を意味しているし。
「分かった。じゃあ、行くか。ドレイクのブル・ベガーに向かってくれ」
「は!」
こうして、俺のナムワンはブル・ベガーに向かって移動するのだった。
「へぇ」
ドレイクの乗っているブル・ベガーに到着し、兵士に案内されたのだが……その先にいたのは、ドレイク軍の幹部と言うべき者達だった。
バーンの姿は勿論、他にも何人か艦長を務めている者の姿もあるし、アレン、ジェリル、フェイ、トカマクといったような地上人の姿もあり、そして当然ながら今回反乱軍から合流してきたトッドの姿もあった。
「よう、アクセル。その様子を見ると、元気そうだったみたいだな」
俺を見て、そんな風に声を掛けてくるトッド。
そのトッドも、反乱軍として行動した結果として、以前よりも鋭い雰囲気を持つにいたっている。
こうして見ると、トッドが反乱軍と共に行動したというのは、トッドの為にも悪くなかったのかもしれないな。
ちなみにアレンは、そんなトッドを見て感心した様子を見せていた。
アレンにしてみれば、トッドはまだ自分よりも下の相手と、そう見えているのだろう。
とはいえ、それは少し油断しすぎな気がしないでもないが。
現状、アレンとトッドでは、オーラバトラーの操縦技術という点では、間違いなくトッドが上なのだ。
アレンはそれもいずれは逆転出来ると思っているようだが……さて、どうだろうな。
とはいえ、ジェリルのような癖の強いパイロットを使いこなしている辺り、決してアレンも口だけって訳じゃない。
「ああ、そっちも反乱軍で活動していた割には元気そうだな」
「食料は豊富だったしな」
「ああ、なるほど」
反乱軍の上層部は、商人達……それもその辺の商人ではなく、以前はラウの国と国境を越えた商売をしていたような、そんな大商人と呼ぶべき者達が集まっている。
それだけに、食料の類を買い集めるのは難しくなかったのだろう。
あるいは、自分達が反乱を起こすのだから、実際に反乱を起こすよりも前に食料や……それ以外にも各種生活物資の類を買い集めておくといったようなことは、難しくない。
それどころか、反乱が起きたという事でピネガンに協力している商人達に関しては、食料や物資を割高に売っているという可能性も否定は出来ない。
そうである以上、食料の類を心配する必要はない訳だ。
「それで、トッドがこっちに来たという事は、ドレイク軍に合流するのか?」
反乱軍としては、出来るだけ早く現在のミの国の状況を何とかしたいと、そう思っているのだろう。
しかし、その為には当然ながらドレイク軍の力が必要となる。
まぁ、元々反乱軍としてはピネガンを始めとする王族を追放したら、ミの国はドレイクに治めて欲しいと思っていたのだから、その辺は特に気にする必要もないのだろうが。
「ああ。とはいえ、反乱軍はナムワンのようなオーラシップを持ってないからな。現在のドレイク軍が使っているナムワンとかに同乗させて貰うって感じになると思うが」
「それはまた……」
まぁ、実際に俺がミの国で破壊活動をしている時に遭遇したダーナ・オシーは、ナムワンのようなオーラシップは勿論、ウィングキャリバーの類も使っていなかった。
だとすれば、やはり反乱軍にその手の兵器はなかったのだろう。
オーラシップはともかく、ウィングキャリバーくらいなら入手出来そうな気がしないでもなかったが。
まぁ、ないならないでいいけど。
実際に、今まではそんなやり取りをしていて不便がなかったのだろうし。
「今、その辺りについて話していたところだ。アクセル王、座ってくれ」
ドレイクに促され、俺とマーベルは空いている場所に座る。
相変わらずジェリルがマーベルに対して面白くなさそうな視線を向けているものの、マーベルは既に慣れたといった様子で気にしていない。
それが余計にジェリルの気に障るらしいのだが、その辺はジェリルの自業自得だろう。
「さてそれで反乱軍についてだ。……アクセル王のナムワンでも、幾らか引き受けて貰えぬか?」
「俺が? いやまぁ、そうしたいのは分かるけど」
当然の話だが、現在のドレイク軍はミの国を倒す為にここまで遠征してきた。
それはつまり、現在のドレイク軍は結構な戦力を有しており、ナムワンやブル・ベガーにも相応の戦力を搭載しているという事を意味している。
ましてや、進軍速度を重視する為にドレイク軍は馬車で荷物を運ぶなどといったような事もなく、物資の類も全てオーラシップに搭載されていた。
そうである以上、現在のドレイク軍にそこまでの積載量的な意味での余裕はない。
勿論、これだけの人数が野営をしたのだから、食料の類はそれなりに減ってはいるだろう。
だが、そうして食料が減った分だけでは、反乱軍を受け入れるというのは難しい。
「頼むよ、アクセル。あの連中も訓練して、それなりの練度にはなってるから」
トッドの言葉に少し考える。
正直なところ、ダーナ・オシーを始めとした反乱軍を受け入れるのは、そう悪い話ではない。
ナムワンは確かに俺のオーラシップだが、実際に運用しているのはドレイクの部下で、俺が敢えて何かをするといったような必要はない。
ましてや、多人数が……そしてオーラシップに慣れていないような者達がオーラシップを使う事によって、自動化に関してのデータも今までとは違った視点から集まりやすくなってくるだろう。
そういう意味では、寧ろ利益の方が大きいのか?
問題なのは、反乱軍の連中が勝手な真似をしないかといった事だが、反乱軍も自分達がドレイクに逆らえる立場ではないというのは、知っている筈だ。
その辺の事情を考えれば、俺のナムワンに乗せたとしても、馬鹿な真似をするとは限らない。
そう考えると、やはり問題はないのか?
「そうだな。ある程度の人数であれば、引き受けても構わない。ただし、ナムワンの中で何か妙な真似をした場合、こちらで相応の処分をすることになるぞ?」
反乱軍は、商人達が上層部にいる。
そんな商人達にしてみれば、ナムワンというのは非常に興味深い代物だろう。
自分で使ってもいいし、商品としても売ってもいい。
その為に、ナムワンについての秘密を知る……といったような真似をする為に、反乱軍の兵士に妙な命令をしていてもおかしくはない。
そのような相手を見つけた場合、こちらで処理をする。
それを受け入れるのなら、引き受けてもいい。
……とはいえ、バイストン・ウェルにはコバッタや量産型Wがいないんだよな。
量産型Wは人造人間である以上、生命があるので空間倉庫に収納することは出来ないが、コバッタなら無人機なんだし空間倉庫に入れておいてもいいかもしれないな。
ただ、コバッタはコバッタで、見る者が見ればかなり高度な技術が使われているというのが分かるので、面倒な事になりそうだが。
ショットやゼット辺りなら、もしコバッタを見つければそれを欲するだろうし、下手をすればそれが原因でドレイクに俺を狙わせるなんて真似をしかねない。
このバイストン・ウェルにおいて、コバッタというのはそれだけ非常に大きな意味を持つ代物なのだ。
まぁ、コバッタはコバッタで相手が何かをしようとしても、ある程度の自衛は出来るだけの装備はあるが。
「む……分かった。反乱軍の方にはアクセルの言葉を伝えておく。それで問題ないとなれば、無事に引き受けるんだな?」
「ああ。こっちも色々とデータの収集が出来る以上、悪い話じゃないし」
俺のナムワンで得られたデータは、当然ながらヨルムンガンドにも適応される。
そう考えると、やはりこの件は悪い話ではない。
「助かる、アクセル王」
ドレイクもまた、俺が反乱軍を受け入れるということに感謝の言葉を口にする
「そう言って貰えると、こっちも引き受けた甲斐はあるよ。だが、それでも反乱軍全体となれば、俺のナムワンだけで全員を引き受けるって訳にもいかないぞ?」
反乱軍が一体どれだけの戦力がいるのかは分からないが、ナムワンに搭載出来る機数は決まっている。
あるいは、最悪ダーナ・オシーは全て俺の空間倉庫に収納してしまうという荒技もないではないが、それでも反乱軍全員をナムワンに乗せるのは無理がある。
それでも無理にという事になれば……それこそ、身動きが出来なくなる可能性すらあった。
そう思えば、やはり全員を引き受けるといったような真似は出来ない。
「分かっている。勿論反乱軍はある程度こちらでも引き受けよう。だが、アクセル王のナムワンが一番積載量に余裕があるのでな」
ドレイクが俺の言葉に、そう言って頷く。
どうやらこの流れはドレイクの予想通りだったらしい。
あるいは、俺とマーベルが来る前に打ち合わせでもしていたのか?
ドレイクの性格を考えると、そういう真似はしそうにないが。
そんな風に思いつつ、俺は取りあえずそれ以上は何も言わないでドレイクの言葉に頷いておくのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1679