転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0275話

 牛丼屋へと行った翌日の夜。俺は部屋で微妙にピンチを迎えていた。

 

「風呂?」

「ええ。アクセル君もこの寮に引っ越してきて随分経ちますが、まだ大浴場には行った事がないでしょう? ですので、この機会にどうかと思ったのですが」

「いや、さすがにそれは拙いだろう」

 

 周囲を見回すと、幸い夏美の姿は無い。朝倉からの情報でネギが神楽坂達の部屋に同居中という話を聞いて遊びに行ったのだ。てっきりあやかも一緒に行くかと思っていたのだが、何故か俺達と共に部屋へと残っていた。

 

「何が拙いのかしら?」

 

 あやかの隣で千鶴が軽く首を傾げている。

 

「お前等、俺が見た目通りの年齢じゃないってのは分かってるだろうに。その俺が思春期真っ直中の女子生徒達がいる大浴場に行くというのはどう考えても拙いだろう。それに幸いこの部屋にはシャワーが付属されているし、俺はそっちで十分だよ」

「アクセル君の年齢がどうでも、今は凛々し……もとい、誰かの庇護が必要な子供である事に変わりはありません! ですからこの私、雪広あやかがきちんとアクセル君を育て上げて見せますわ!」

 

 ポーズを決めながらあやかがそう宣言する。

 

「あやかの言う事も確かに事実ではあるのよ。今のアクセル君が自分は子供じゃないと言ったって誰も信じてくれないでしょう? 傍目には庇護の必要な子供にしか見えないのは事実だし」

 

 まぁ、それは確かに。

 今までにも何度か次元を越えて他の世界へと渡って来たが、まさか10歳前後にまで身体が縮むなんて事になるとはとてもじゃないが予想出来無かった。

 ……じゃなくて。

 

「それと、俺が大浴場に行くのは全く関係ないだろ」

「……あら? そう言われれば確かにそうかもしれないわね。あやかが必死になっていたから、つい」

「と言うか、だ。一緒に暮らしていて今更聞くのも何だが、お前等は俺と一緒に暮らしていてもいいのか?」

「ふふっ、それこそアクセル君の考えすぎよ。それに、別にアクセル君は私やあやか、夏美ちゃんをそういう対象として見てないでしょう?」

「……」

 

 千鶴の言葉に、思わず黙り込む。

 確かに、俺にしてみれば10歳近く年下の子供だ。恋愛対象として見ろというのはちょっと難しいだろう。……まぁ、千鶴やあやかが歳不相応に艶っぽい雰囲気を出す時があるのは事実だが。

 

「そんな! 私はアクセル君をそういう対象として見ているというのに……神よ、これも愛の試練なのでしょうか!?」

 

 そんな微妙にシリアスな雰囲気を吹き飛ばしたのは例によって例の如くあやかだった。

 

「ま、俺の中身に関してはともかく、取りあえず大浴場に行くというのは無しだ。俺はここのシャワーで十分満足しているし」

 

 結局、この話はこれで終わりになった。

 ……だが、その日の大浴場でネギや俺を引き取る権利を掛けて巨乳対決なる馬鹿騒ぎが引き起こされていた事を、俺は知らなかった。

 結局、ネギの魔法でドサクサ紛れに何とか有耶無耶にしたようだが。

 

 

 

 

 

 翌日、教室に入ってきたネギはどことなく明るい表情をしている。

 ……神楽坂は、そのネギをどことなく不機嫌な表情で見ているんだが……また何かやったんだろうか?

 

「えー、皆さんお早うございます。早速ですが連絡事項をお知らせします。夕映さん、アスナさん、まき絵さん、古菲さん、楓さんの5人には用事がありますので放課後に残っていて下さい」

「あー、バカレンジャーの居残り授業か。アスナは前は楽しみにしてたんだけどなぁ」

 

 前の席で明石がそう呟く。

 

「前?」

「うん。ほら、ネギ君が来る前は高畑先生が担任だったでしょ?」

 

 その言葉だけですぐに明石が何を言いたいのかが分かった。

 神楽坂が高畑に好意を持っている事は色恋沙汰に鈍い俺ですら気が付けたのだから。

 

「それがネギに変わって神楽坂は不満、と」

「そうだにゃー」

 

 ま、神楽坂としては不満だろうが成績が悪いというのは学生の身としては致命的な弱点だ。逆に言えば、成績さえ良ければ多少の不都合は関係無くなるというのもまた事実だったりするが。

 

「そういう意味じゃ、ネギの居残り授業も別に悪くは無いんだよな」

 

 小さく呟いて、1時限目の授業が始まったのでそちらに集中する。

 

 

 

 

 

 バカレンジャーの居残り授業があった翌日の昼休み。まだ2月という時期だが、既に雪も無く空には雲が殆ど見えない青空が広がっていた。

 

「はい、アクセル君。良く噛んで食べてね」

 

 そんな天気なので、折角の昼食を公園で食べる事になった。

 公園と言っても、いわゆる校庭の一種で芝生が広がっている場所だ。

 

「あははは。こうして見ると那波さんってアクセル君のお母さんみた……い…」

「馬鹿っ、美砂!」

「あらあら、柿崎さん。何か言ったかしら?」

「いえ、何でも無いです。那波さんがアクセル君のお姉さんみたいだと」

 

 昼食を共にしているのは既にいつものメンバーと言ってもいい千鶴に、あやか、夏美。そして柿崎、釘宮、椎名と俺で合計7人だ。

 学生の定番というべきか、皆がそれぞれ持ち寄った昼食でおかずのトレードをしたりしている。

 ……もっとも、俺、千鶴、あやか、夏美の4人は全部千鶴が作っている同じ弁当だし、柿崎達は冷凍食品の詰め合わせとかコンビニおにぎりとか、総菜パンとかだが。

 

「夏美ちゃん、そのミートボールちょっと貰ってもいいかな?」

「あ、うん。いいよ。はい」

 

 柿崎にお願いされ、ミートボールを取りやすいように弁当箱を差し出す。

 

「ありがと。はい、こっちはお礼ね」

 

 そう言って渡されたのは麻帆良でしか売ってないだろう一口サイズのツナマヨおにぎりだった。

 

「さて、見た目はすごく美味しそうだけど……うわ……本当に美味しい……」

 

 夏美から貰ったミートボールを味わう柿崎。その顔はどこか驚いたような表情を浮かべていた。

 

「ね、美砂。そんなに美味しいのかにゃ?」

 

 椎名の質問に真面目な表情でコクコクと頷く。

 そのまま、千鶴手製のミートボールを味わい、呑み込む。

 

「那波さん、これってもしかして手作り?」

「ええ。やっぱりお弁当といったらミートボールでしょう?」

「うわ、これは凄いわ……まさかミートボールから手作りとは」

 

 千鶴の言葉に感心したように呟く柿崎。だが、すぐに悪戯っぽい表情を浮かべて釘宮の方へと視線を向ける。

 

「円、あんたももっと料理が上手くならないと、那波さんにアクセル君をモノにされちゃうかもよ?」

「……美砂、あんたねぇ。いつもいつもそんな風に私をからかってるけど、実はあんたの方がアクセル君に気があるんじゃないわよね?」

「まさか。円やいいんちょじゃないんだよ? そりゃまぁ、確かに将来有望だとは思うけどさぁ……」

 

 そう言って俺の顔を覗き込む柿崎。

 

「ちょ、ちょっと柿崎さん!? 貴方、確か彼氏がいる筈でしょう!? そ、それがこんなふしだらな!」

「はいはい、あやかも落ち着いて。ご飯を食べてる時に騒がないの」

「ですが、千鶴さん……」

 

 あやかが千鶴へと何かを言い返そうとしたその時、柿崎の口から爆弾発言がもたらされる。

 

「あ、彼とはもう別れたわよ?」

「え? マジ?」

「うん。マジ」

 

 釘宮も初耳だったのか、思わず柿崎へと問い返していた。

 

「だってさあ、どうにも性急すぎると言うかなんと言うか……女! って感じでガツガツしてて、思わず引くと言うかなんと言うか。元々お試し感覚で付き合ってみただけだったんだからしょうがないんだけどね。ああいう男と付き合うくらいなら、アクセル君を私好みの男に育てる方が絶対いいよねぇ」

 

 そう言いつつ、俺を抱きしめてくる柿崎。

 中学生にしてはそれなりの大きさを持っている胸が背中でぐにゃりと形を変えているのが分かるが、さすがにその程度で顔を赤くする程にウブではなかったりする。

 

「取りあえず、弁当がこぼれそうなんで離れてくれると助かるんだが」

「あー、アクセル君的にはまだまだ花より団子か」

 

 そんな風な話をしていると、ネギが何やら急いで走っているのに気が付く。

 

「ネギ?」

「あら、本当ね。あんなに急いでどうしたのかしら」

 

 弁当に入っているプチトマトを口へと運びながら小首を傾げる千鶴。

 

「何か、嫌な予感がしますわね。ちょっと行ってきますわ」

「あ、いいんちょ。私も付いてく」

 

 椎名がそう言って、ビニールシートの上から靴を履いたあやかの後を追っていった。

 

「あのまま放って置いて大丈夫だと思うか?」

 

 未だに俺に抱きついたままの柿崎へと尋ねる。

 

「んー、ちょっと心配は心配だけど……桜子が行ったって事は、まず危険は無いと思っていいんじゃないかな? それよりもアクセル君、背中どうよ?」

「背中?」

「そうそう。何か幸せな感じがしない?」

「……まぁ、そういう事にしておいてもいいが」

 

 これが俗に言う、『当ててんのよ』状態という奴か。

 

「うーん、この年頃じゃやっぱり女の子にはまだ興味ないかぁ」

「ちょっと、美砂。はしたないからやめておきなさいよ。いいんちょが戻ってきたらまた騒がれるわよ?」

「ふふふ。もしかしたら私も円みたいにアクセル君争奪戦に参加するかもね?」

「はぁ……まぁ、私の事はいいから……ん? あれって高畑先生?」

 

 釘宮の言葉に視線を向けると、そこには猫を持つかのように襟首を掴まれたあやかと神楽坂の姿があった。他にも見覚えのない女子達がいる。あの様子からして、恐らく2-Aの生徒達とやりあった相手なのだろう。

 ネギはその間でおろおろしていたようだが、今は高畑のおかげで安堵の溜息を吐いている。

 まぁ、10歳程度の子供が女子中学生達の揉め事に巻き込まれてしまえばしょうがないだろう。ただでさえ人前ということで魔法を使う訳にもいかないんだし。

 結局その場は高畑が収めたが、これが原因で揉め事が起きなきゃいいけど……




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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