放たれたゲイ・ボルクは、オーラバトラーのダーナ・オシーのうちの1機を呆気なく倒す事に成功した。
コックピットを貫かれた状態を見れば、あのパイロットが死んでいるのは間違いないだろう。
ステータスを確認すれば、撃墜数が1上がっているし。
オーラバトラーは、動力炉のオーラコンバータを外付けにすることでかなり小さい。
それこそシャドウミラーの中では小型機であるニーズヘッグと比べても、その大きさは半分程度だ。
そんな小さな機体だけに、コックピットは結構狭い。
ゲイ・ボルクを投擲されて、回避出来る筈もない。
いやまぁ、あのパイロットは回避云々とか考えるよりも前に、何が起きたのか分からないままで死んだ可能性が高かっただろうけど。
「さて、取りあえず1機はこれで撃墜した。そうなると、残り2機はどう動く?」
呟きつつ、ダーナ・オシーを貫いて彼方へと飛んでいったゲイ・ボルクを手元に戻す。
広場では、何が起きたのか全く理解出来ないといった様子で、2機のダーナ・オシーが、いきなり地面に倒れ込んだ仲間に話し掛けていた。
声を聞く限りでは、何か村長を騙そうとしているといったような、そんな風に認識されているらしい。
ゲイ・ボルクの姿を把握することは出来なかったのか?
いやまぁ、こっちとしてはそれはそれで、また不意を突くことが出来るから問題ないのだが。
「で、トッド? これからどうする?」
取りあえず、ダーナ・オシーのうちの1機を倒す事には成功した。
そうなると、残り2機に関してはこっちでは特に何もしなくても、周囲を危険だと判断して逃げる可能性もある。
トッドが倒さなくてもいいというのなら、このまま逃がすというのも一手ではあった。
この連中がフラオンの命令で動いている以上、ここで逃がせば他でも同じような真似をする可能性は十分にある。
そのような真似をすれば、当然のようにミの国におけるフラオンの評価は下がっていくのだから。
普通、フラオンの立場でそのような真似は出来ないと思うんだが……いやまぁ、そんな真似を気にしないところがフラオンらしいが。
そんなところに、痺れもしなければ憧れもしないが。
「残りも倒してくれ。このままあの連中に逃げられたら、戦力を率いてこの村にやって来るかもしれない」
「最初からこの村に来ると連絡をした上で襲撃してきたりしていれば、戻ってこない時点でおかしいと思って誰かを寄越す……いや、どうだろうな」
あの連中はギブン家に所属する者達ではあるが、何らかの理由でこうしてフラオンに協力している。
だが、ギブン家の性格を考えれば、当然だがフラオンに協力するような奴がそんなに多いとも思えない。
少なくても、ギブン家の主力たる面々は、ドレイクの持つ悪しきオーラ力とやらをどうにかする為に、このような戦いを挑んでいるのだ。
悪しきオーラ力をどうにかする為の正義の味方が、村から略奪をするような真似をするかと言われれば……正直、微妙なところだろう。
とはいえ、世の中には自分の正義の為なら何をしてもいいと考えているような者もいるので、その辺りも絶対とは言えないが。
『貴様らぁっ!』
ようやく仲間が死んだのだと、判断したのだろう。
残り2機のダーナ・オシーは、苛立ちと恐怖と共に叫ぶ。
逃げるのではなく、村を攻撃するという方に行動するらしい。
向こうにしてみれば、仲間が殺された以上、このまま逃げるよりも反撃した方がいいと判断したのだろう。
本能に従った行動であるのは間違いないが……
「トッド、どうする?」
「頼む」
「……1機目の件もそうだったが、俺に借りを作ると高いぞ? ジェリルの一件でも俺に借りを作ってるだろ?」
「それでもだ、頼む」
トッドの言葉に、マーベルも俺に引き受けるの? といった視線を向けてくる。
元々マーベルは優しい性格をしている。
それだけに、この村があのような略奪者の被害を受けるのは許容出来ないのだろう。
しょうがない、か。
このまま反乱軍の村を見捨てるといったような事になれば、後味が悪いのも事実だし。
そう判断し、俺はダーナ・オシーの1機が苛立ち紛れに村長に向かってオーラソードを振り下ろそうとしているのを見て、瞬動を使って村長の前に向かう。
自分が殺されようとも、絶対に退かない。
そんな態度で、自分に向かって振り下ろされるオーラソードを見ていた村長だったが、俺はその前に到着すると手を伸ばし……振り下ろされたオーラソードを、あっさりと片手で受け止める。
「……な……」
死ぬ覚悟をしていた村長だったが、それでもまさか俺によってこうして助けられるとは、思ってもいなかったのだろう。
そんな驚きの声を上げる。
だが、そんな村長と比べても、更に驚いているのは当然ながらダーナ・オシーのパイロットだ。
当然だろう。このバイストン・ウェルにおいて、オーラバトラーというのはある意味で絶対の兵器と言ってもいい。
他のオーラバトラーや、それ以外の何らかのオーラマシンを使っているのならまだしも、まさか生身の人間が素手で自分の一撃を受け止めるとは、思ってもいなかったのだろう。
そのまま力を入れて、オーラソードの刀身を握り……ダーナ・オシーからオーラソードを奪う。
まぁ、ダーナ・オシーの手は物を持つ事は出来るが、そこまで安定性はない。
力勝負になってしまえば、俺が勝つのは当然だった。
『なぁっ!?』
しかし、それは俺が自分の身体能力を知ってるからこその行動だ。
バイストン・ウェルの人間にしてみれば、まさかそんな事が起きるとは思っていなかったのか、動揺した声が聞こえてくる。
「ほら、行くぞ!」
オーラソードを地面に放り投げ、そのままオーラバトラーを殴り飛ばす。
普通に考えれば、生身の人間がオーラバトラーを殴り飛ばすなんて真似は、まず不可能だ。
だが、その不可能を可能にするのが、混沌精霊としての俺の実力だった。
拳によって吹き飛ばされたオーラバトラーを追い、追撃の一撃を放つ。
地面に叩き付けられたオーラバトラーは、そのまま動かなくなる。
「よし、最後だな」
そう言って視線を向けると、その最後の1機は自分だけでは勝ち目がないと判断したのだろう。
オーラコンバータを全開にして、急いでこの場から逃げようとするも……
「逃がす訳がないだろう?」
影槍を使って影を伸ばし、ダーナ・オシーのオーラコンバータを破壊する。
オーラコンバータは、オーラバトラーにとって最大の弱点だ。
それを破壊されれば、動くことは不可能……とまでは言わないが、それでも難しくなるのは間違いない。
「……アクセル、お前はオーラバトラーを使う必要があるのか?」
最後のダーナ・オシーが地面に倒れて動けなくなったところで、トッドが近付いてくるとそう言ってくる。
その言葉には、強い呆れが含まれていた。
「そうか? 今回はサーバインを出すといったような余裕はなかったけど、サーバインが使えるのなら、普通に使った方がいいと思うけどな」
「いや、そもそも生身でオーラバトラーに勝つってのが、有り得ない事だからな? ……村長、無事か?」
これ以上俺に何を言っても無駄だと判断したのか、トッドは村長に近付くと、そう尋ねる。
やはり村長とはそれなりに友好的な関係にあるのだろうトッドを見ながら、俺は地面に倒れた2機のダーナ・オシーについてどうするのかを考える。
最初の1機は、俺がパイロットを殺した。
しかし、残り2機のパイロットは今もまだ生きている筈だ。
ダーナ・オシーが動かないという事は、多分気絶してるんだろうが。
あるいは、こっちの隙を突こうと狙ってるのか?
まぁ、どっちでもやるべき事は変わらない。
そんな訳で、俺は倒れているダーナ・オシーに向かって近付いていく。
……ただし、敵が動いたら即座に対応出来るように。
ただ、コックピットを開けてみると、両方ともパイロットは気絶していた。
コックピットの中で動き回ったせいで、多少なりとも怪我はしているのだろう。
だが、それでもすぐに死ぬといったような重傷ではない。
とはいえ、この連中は略奪をする為に村に来たのだ。
そう考えれば、生き残っているパイロット2人がどういう結果になるのかは、何となく想像出来るが。
これで警察……いや、軍か。軍がしっかりと機能していれば、もしかしたらまだどうにかなった可能性はあるが。
調べてみれば、もう1機のダーナ・オシーの方も同様にパイロットが気絶していた。
というか、よく見てみれば兵士として鍛えているようには見えない身体だ。
やっぱりこの連中は、最初からギブン家の兵士だった訳じゃなくて、ギブン家がダーナ・オシーを量産する時に急に集めた連中の1人なんだろうな。
だからこそ、ギブン家に対する忠誠心もそこまで高くなく、フラオンに協力していたのだろう。
とはいえ、それはそれで疑問が残る。
そういう連中なら、別にギブン領を追われてミの国に逃げるギブン家と一緒に行動するといったような真似をする必要はない筈だ。
なのに、何故ここにいる?
まぁ、その辺は別に俺が気にするような事でもないか。
「トッド、ダーナ・オシーのパイロット、2人はまだ生きてるけどどうするんだ? 反乱軍の方で引き取るのか、それともこの村のほうでどうにかするのか」
「ちょっと待ってくれ!」
そう言い、トッドは村長と何やら話し合う。
数分が経過し、やがてトッドがこっちに戻ってくると少しだけ疲れた様子で口を開く。
「取りあえず、この連中は反乱軍で引き受ける事になった。ダーナ・オシーも、反乱軍が貰う。ただ、そっちは反乱軍が買い取るといった形だな」
ダーナ・オシーは、正規軍、反乱軍、フラオン軍といった勢力全てで使われている。
そうである以上、機体は幾らあっても困らない。
修理してそのまま使えるのなら問題はないだろうし、修理が出来なくても予備部品として使う事も出来る。
もっとも、オーラバトラーは部品となる恐獣の素材が1つずつで違う。
そうである以上、予備部品として使おうと思っても使えないという可能性も否定は出来ない。
「ふーん。まぁ、その辺はトッドの好きにすればいいんじゃないか? けど、反乱軍の事をお前が決めてもいいのか?」
「これでも聖戦士として派遣されてる身だぜ? そのくらいの事は出来るよ」
そう言う様子を見れば、多分本当にそんな真似を出来るのだろう。
とはいえ、その辺は俺が特に気にする必要はないか。
「分かった。なら、そんな感じで頑張ってくれ。……ただ、一応言っておくが、今回の件で俺への借りが増えた事は忘れるよな」
「分かってるよ。……踏み倒すような真似はしないから、安心してくれ」
その言葉を本当に信じてもいいのかどうかは、正直なところ微妙だろう。
しかし、今の状況で俺がどうこう言っても対して意味はない。
そうである以上、こちらとしては特に不満を言ったりといったようなことをする事はなかった。
……もし借りを踏み倒そうするのなら、その時は相応の償いをして貰うが。
「ともあれ、トッドもこの件でいそがしくなるだろうし、俺とマーベルもそろそろアの国に戻るよ」
普通なら、アの国からミの国まで移動するのにも相応の時間が必要となる。
それを、それこそ近くにコンビニに買い物にでも行ってくるといったような感じで言えるのは、やはり俺の影のゲートを使って移動しているからだろう。
「分かった。こっちもこれから忙しくなるだろうし、そうしてくれると助かるよ。……そう言えば、アの国が本格的に動くのはいつくらいになりそうだ?」
「今は準備中らしいけど、そう遠くないうちに動くと思うぞ」
ドレイクとしても、ミの国と敵対した状態のままいつまでも時間を無駄にしたいとは思わないだろう。
そうである以上、出来るだけ早くミの国を占領する必要があった。
特にミの国では王であるピネガンに対して強い忠誠心を抱いている者も多い。
まぁ、俺達との戦いで忠誠心の高い奴はかなり死んだりしているが、それでも全員という訳ではない。
そうである以上、今は少しでも早くミの国を占領して、そういう連中をどうにか対処する必要があった。
どのみち占領する必要があるのなら、少しでも早く占領した方が結果的にミの国を無事治めることが出来るのは間違いない。
最悪、他国に追放するといったような感じになるだろうが。
ここであまりに大量に殺してしまった場合、ミの国を治める上でそれがマイナスとなるのは間違いないし。
「そうか。なら、こっちもそれに合わせてしっかりと準備しておくよ。そうでもしないと、この仕事を任された意味がないしな」
元々はアレンに対するコンプレックスから受けた仕事だったが、この様子だと結構上手い具合に意識改革が出来ているらしいな。
そんな様子に満足し、俺は頷きを返す。
「そうしてくれ。ドレイクが動けば、反乱軍も派手に動く事になるだろうしな」
そう告げ、マーベルと共に建物の陰に向かって影のゲートでアの国に帰るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1679