「えーっと、これは一体……?」
部屋から出ていたギレが誰かを連れて戻ってきたのだが、部屋の中で行われていたのは、手品大会。
元々はトッドのイカサマを見抜くというのをやっていたのだが、そんな中で話が進み、気が付けば俺が手品を見せるといったような事になっていた。
ちなみに手品とはいえ、プロのマジシャンがやるような本格的な手品ではなく、パーティグッズとして買って空間倉庫の中に入っていた手品用の品を使っての手品だ。
バイストン・ウェルの人間は勿論、これにはマーベルやトッドも驚き、興味深そうにしていた。
まぁ、この手の技術は日進月歩。
技術が進歩するのは早く、1980年代に生きているマーベルやトッドにしてみれば、手品用の道具についても全く理解出来なくても不思議ではない。
そんな訳で、この世界の未来……それも数年ではなく10年単位の未来で販売されていた手品用の道具というのは、バイストン・ウェルの人間だけではなくマーベルやトッドにしても驚くには十分だった。
まぁ、この手品用の道具をどこで購入したのかは、ちょっと覚えてないが。
それでも現在シャドウミラーが接触している世界は、その全てがこの世界……というか、この世界の地上という表現の方がいいか? ともあれ、そこよりも未来の世界だ。
だからこそ、俺の持っている道具は全てがマーベルやトッドの想像よりも先をいくような代物だった訳だ。
「ああ、悪いな。ちょっと地上の道具で遊んでいたんだよ」
「ほう」
ギレに向かってそう言った俺の言葉に、そう声を上げたのはギレ……ではなく、ギレと一緒にいる人物。
一見すると戦うような人物には見えず、寧ろ商人といった様子の男。
いやまぁ、反乱軍は商人が主となって結成された組織である以上、ギレが反乱軍の上層部を連れてくるとなれば、それがこのような商人のような男であるというのは当然なのかもしれないが。
そして商人である以上、地上の道具という俺の言葉に反応するのもまた、当然だった。
何しろ地上というのは、バイストン・ウェルにとっては伝説の場所だ。
いやまぁ、伝承によればバイストン・ウェルというのは地上で死んだ魂が一時の安らぎを得る場所らしいけど。
ちなみにその説を信じるのなら、つまりバイストン・ウェルというのはいわゆるあの世って奴になる訳で。
そう考えると実は俺達って死後の世界にいるようなものなのか?
バイストン・ウェルのようなファンタジー世界が死後の世界……それはそれで、色々と思うところがあるが。
というか、その説が正しいとすれば、マーベルやトッド達は死後の世界に召喚されたという事になるのか?
まぁ、その辺は詳しく考えると色々と不味そうなので、今は取りあえず置いておくとする。
「挨拶がまだだったな。俺がアクセルだ。反乱軍とは、何気にそれなりに付き合いも長くなっている」
そんな俺に続き、マーベル、トッド、補佐役の男がそれぞれ自己紹介する。
「私はウズリーといいます。反乱軍の中では……そうですな。まぁ、上層部の中でも発言権があると考えて貰えれば」
上層部の中でも発言権か。
その言葉から考えると、反乱軍は合議制といった感じなのか?
まぁ、反乱軍というのは元々ピネガンがパットフットというラウの国の王女と駆け落ちした事により、ミの国とラウの国が国交断絶したことで、大きな被害を受けた商人達がベースとなっている組織だ。
そういう意味では、多数の商人がそれぞれ自分の意見を通す為に合議制といったような形になるのは分かるのだが……ぶっちゃけ、合議制って他の者の意見を聞くという意味ではいいのかもしれないが、物事をスムーズに決めるという意味では向いてないよな。
特に今のミの国では内乱が起きており、それに対処する為に全員で話し合って、それぞれの意見を出し、そして利害調整をして意見を纏めて……といったような真似をしていれば、間違いなく遅れる。
とはいえ、フラオン軍のように1人の意見で決めるにしても、その意見を決める者が無能であれば、合議制よりもっと悪い方向に進むだろう。
結局のところ、こういうのは人によって違うといったところか。
であれば、もしかしたら反乱軍の合議制というのも、俺が知らないだけで実は上手くいってるのかもしれないな。
実際、現在の合議制で反乱軍は正規軍とフラオン軍の有利な方に攻撃を仕掛けて、どちらか一方が圧倒的に勝利をするといったような事は行われていないらしいし。
「ウズリーか、よろしく頼む。それで、早速だが俺はドレイクから援助物資としてオーラマシンとかそういうのを色々と預かってきてるんだが、どこに出せばいい?」
「は、出す……ですか? その、どこに持ってきてるんです?」
ウズリーは俺の言葉が理解出来ないといった様子でそう言ってくる。
どうなっている? 俺の空間倉庫については、反乱軍の連中にも見せた事があった筈だが。
そこから報告がされているんだとばかり思っていただけに、これに関しては完全に予想外だった
「聞いてないのか? 俺には空間倉庫という能力がある。……こういうのだな」
そう言い、空間倉庫からオーラバトラーの部品の1つを取り出してみせる。
「うおっ!」
明らかに、どこかに隠しておくような真似は出来ない代物。
にも関わらず、こうしてそれが出て来た事にウズリーの口からは驚きの声が漏れる。
空間倉庫についての情報を持っていなかったのだから、その辺も当然なのかもしれないが。
「分かったか? この空間倉庫という力の中には、ドレイクから預かったドロを始めとするオーラマシンがある。これがあれば、反乱軍も戦力を強化する事は可能だろう」
「そ、それは……そうですが……」
空間倉庫という能力に驚き、ウズリーは何を言うような真似も出来ない。
ウズリーにとって、それだけ空間倉庫が驚くべき能力だったという事だろう。
バイストン・ウェルの人間にしてみれば、そういう能力を見てすぐに理解しろという方が無理なのかもしれないが。
それでも数分で我に返った辺り、それなりの胆力の持ち主ではあるのだろう。
「それでは、その……私達が使ってる倉庫の方に案内しますので、そこでお願いします」
そんなウズリーの言葉に頷き、俺達は酒場から出るとユニコンの牽く馬車で移動するのだった。
「ここか。……なるほど、洞窟を上手く使ってるな。けど、恐獣の心配はないのか?」
この場所は、林だ。
森とは違ってそんなに恐獣が多いとは思わないが、それでもバイストン・ウェルの状況を考えれば、こういう場所なら恐獣が襲ってきてもおかしくはない。
……おかしくはないが、それに対しては自信がありそうにウズリーは笑みを浮かべる。
「それなりに戦力を用意してますので、強力な恐獣でも来ない限りは問題ありませんよ」
自信に満ちているのは、それだけこの場所の防御力が充実しているという証だろう。
実際、ここが反乱軍にとっても重要な場所である以上、当然だがそのような防衛力は必要だろう。
下手をしたら、ガロウ・ランの盗賊団に襲われて洞窟の中に置いてある装備品を奪われるといったような事にもなりかねないのだから。
そうならない為には、そういうのが必要だと考えてもおかしくはない。
そして事実、洞窟の中にはダーナ・オシーが1機、待機している。
ダーナ・オシーが1機か。
防衛力としては若干足りないような気がしないでもなかったがガロウ・ランを相手にした場合は問題ないと思う。
とはいえ、ガロウ・ランの中には何らかの手段で恐獣を飼い慣らしたような奴もいると聞く。
そういうガロウ・ランが襲ってきた場合は、ダーナ・オシー1機で対処するのは難しいと思う。
まぁ、当然の話だが恐獣を飼い慣らすといったような真似はそう簡単に出来る事ではない。
俺が噂で聞いたのも、ナの国の方にいるガロウ・ランがそういう技術を持ってると噂で流れてきただけであって、実際にそうなのかどうかは俺にも分からない。
もしかしたら、情報そのものが伝わってくる間に大袈裟になっていったという可能性も否定は出来ないのだから。
「どうです? それなりに立派なものでしょう? ……もっとも、アの国のドレイク王が有する物資と比べれば、どうしても劣ってしまうのでしょうが」
ウズリーの言葉に、改めて洞窟の中を見る。
ダーナ・オシーがいるように、洞窟の入り口そのものはかなりの大きさを持つ。
そんな洞窟の奥には、長剣や槍、弓といった武器が結構な数保管されていた。
これは……凄いかどうかと言われれば凄いのは間違いないが、それでもオーラバトラーを含めたオーラマシンでの戦いがメインになっている今の状況で、こういう歩兵用の武器が役に立つのか?
それとも、これは村とか街を占領する時に反乱軍の兵士が使うのか?
武器がないよりはあった方がいいのは間違いない以上、取りあえずこの件に不満はないが。
「そうだな。思ったよりも充実していると思う。……さて、持ってきた援助物資は、一体どこに出せばいい?」
「そちらにお願いします」
洞窟の中の、人がおらず物資のない場所を示すウズリー。
そんなウズリーの指示に従い、俺は空間倉庫からまずはドロを10機程取り出す。
「おお、これは……凄い……」
ウズリーの口から出た凄いというのは、ドロがこれだけ援助物資に入っていた事か、それとも俺の空間倉庫についてか。
ともあれ、凄いと思っているのは間違いない。
空間倉庫とかあれば、商売ではもの凄く便利だしな。
特にこの世界においては商品を運ぶのはユニコンの牽く馬車が一般的だ。
当然のように馬車で運べる荷物の量というのは限られているし、それ以上を運ぶのなら馬車の数を増やすしかない。
そうやって馬車の数を増やせば、当然だがガロウ・ランの盗賊達に目を付けられやすくなる。
それに比べると、空間倉庫があればその辺については全く気にする必要がない。
それこそ、ユニコンに馬車を牽かせることなく自分で乗って移動すれば、それだけで大量の荷物を運ぶ事が出来るのだ。
「次、食料とか武器とか出すぞ」
そう言い、ドロから少し離れた場所に食料や武器を置いていく。
武器の中には、ここにあったような長剣や槍の類もあったが、銃の類もそれなりにある。
それを見て、嬉しそうにする商人。
「まぁ、こんな感じだな。それと……」
最後に、少し離れた場所にトッドの乗っているビランビーを空間倉庫から出す。
ドレイク軍で使われている最新鋭オーラバトラーだけに、ウズリーも知らなかったのだろう。
慌てた様子で俺に尋ねてくる。
「これは、このオーラバトラーは一体なんです!?」
「ビランビー。ドレイク軍の最新鋭オーラバトラーだな。そこにいるトッドの機体だ」
本来なら、ビランビーをミの国で運用するのは止めておいた方がいい。
反乱軍にドレイクが加担していると判明してしまうし。
だが、フラオン軍にはショウがいる。
ショウの操縦するダンバインに勝つ為には、やはり強力なオーラバトラーが必要となるだろう。
これでショウがいなければ、トッドにはダーナ・オシーに乗って戦うといったような真似をして貰ってもよかったのだが。
もっとも、ビランビーが戦闘に参加した時点でドレイクが反乱軍に協力していると判明してしまうが。
そうなれば、いっそドレイクが大々的に反乱軍に協力した方がいいのかもしれないな。
「ほう、これが……噂では聞いてましたが、大きいですな」
ウズリーがそう言うのも当然だろう。
ミの国で主力オーラバトラーとして使われているダーナ・オシーの全長は7m半ばといったところだ。
それに対して、ビランビーは9mを若干超えている。
2m近い差があるのだから、ビランビーを巨大だと思うのは当然だろう。
「このビランビーというオーラバトラー……私達も購入する事が可能なのですか?」
ビランビーを見て、ダーナ・オシーよりも強そうと思ったのだろう。
実際、ダーナ・オシーとビランビーの外見では、ビランビーの方が大きいし、強そうに思える。
そんな様子を見れば、ウズリーがビランビーを欲しいと思ってもおかしくはない。
「買うにしても、ビランビーはドレイクにとっても最新型だ。当然のように高額だぞ? ……まぁ、お前達なら購入出来てもおかしくはないけど」
商人、それも大商人と呼ぶべき者達が多く集まっているのが反乱軍だ。
そうである以上、金という点ではミの国の中でもかなり持っているだろう。
とはいえ、オーラバトラーは非常に高額だ。
国王や領主といった立場の者であればまだしも、商人が買えるかとなれば、難しいところだろう。
それ以外にも、商人は商人である以上、当然のように金に執着している者が多い。
そうである以上、そのような者達が自分の財産を消費してでもビランビーを購入するかとなると……どうだろうな。
「取りあえず、もし本当にビランビーを購入する気があるのなら、ドレイクには言っておく。話が纏まったらまた声を掛けてくれ」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678