転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0274話

 クラスで行われていた英語の授業。その途中でネギの魔力が暴走したか何かして突風が教室の中に巻き起こり、それが収まると何故か下着姿になった神楽坂の姿があった。

 そんないきなりのストリップにあやかがピキッとばかりに額に血管を浮かせてアスナへと口を開きかけ……不意に何かに気が付いたようにこちらの方へと視線を向ける。

 その視線を受け止めたのは俺の隣に座っているエヴァで、口元に笑みを浮かべて小さく頷いた。

 

「エヴァ?」

「ん? 雪広あやかは気が付いたというのに、お前は気が付かなかったのか?」

 

 どこか呆れたような目で俺を見るエヴァだったが、溜息を吐きながら説明を続ける。

 

「ぼーやがくしゃみをした時に魔力が軽い暴走状態になったのは気が付いたな?」

「ああ、さすがにそれはな」

「で、どういう理由かは詳しく知らないが、その暴走した魔力が風花 武装解除を発動した訳だ」

「……マジか?」

「マジだ」

 

 くしゃみ一つで魔力が暴走し、近くの人物の服を脱がせて強制的にストリップさせる。ネギがまだ子供だからいいようなものの、これが成長して同じ事をしたら即逮捕だろう。……いや、魔法関係なんだから警察とかには犯罪の立証が不可能か? この場合は服を脱がされた相手が猥褻物陳列罪で捕まるとかだったりするのか?

 

「……早急に魔力のコントロールをどうにかさせないといけないな。その辺、高畑か学園長に後で話してくる」

「そうか? まぁ、好きにしろ」

 

 にしても、魔法を使うのなら魔力コントロールは必須事項だろうに。魔法学校とやらでは何を教えているんだろうな。

 そんな風に考えていると、あやかが制服を神楽坂へと渡しているのを目にした。

 神楽坂は孤児でバイトも忙しいらしいが、制服代は出せるんだろうか。

 持ってるスキルはともかく、本人は魔法に関して何も知らない一般人なのだからその辺のフォローも近右衛門に対して言っておいた方がいいだろう。

 神楽坂のストリップという予想外の出来事はあったが、それ以後の授業は特に混乱もなく進んでいった。

 

 

 

 

 

「あうー、失敗しちゃった」

 

 授業終了後、ネギがそう呟きながら俺へと話し掛けてくる。

 

「まぁ、確かにな。だが、それ以上に問題にすべき点もあるぞ」

「問題? 僕、何か悪い事したかな?」

「そうだな、例えば神楽坂を皆の前で晒し上げるような真似とかな」

「え!? でも、それは……」

 

 俺の言葉にショックを受けた表情をするネギ。

 本人に悪気が無いのは分かっているんだが、悪気が無ければ何をしてもいいという訳じゃないしな。

 

「お前が神楽坂を馬鹿にするつもりが無かったのは分かる。だが、それはあくまでもお前の気持ちであって、神楽坂の気持ちでは無いだろう?」

「う、うん……」

「なら、今のお前のするべき事は何だ? ここで俺相手に愚痴を言う事か? それとも……」

「うん! 僕、アスナさんに謝ってくる!」

 

 そう言って、凄い速度で走って教室を出て行く。

 その後ろ姿を見送っていると、横から笑みを含んだ声が掛けられた。

 

「お守り役も大変だな?」

「ま、そもそもあんな子供に教師をやれってのが無茶なんだし、しょうがない」

「ふん、お前にしては随分と優しい事だな」

「……お前俺を残虐非道とか勘違いしていないか?」

「本当に優しい奴は侵入者とはいえ、敵を何の躊躇いもなく殺したりはしないと思うがな。私から言わせれば、お前は十分悪の素質を持つ者だよ」

 

 悪の素質、ねぇ。確かにスパロボOGsでは主人公であるキョウスケやリュウセイ達の敵であるシャドウミラーに所属していたし、今ではそのシャドウミラーを率いる身だ。善か悪かで判断するのなら、確かに俺は悪であるのは間違い無いだろう。

 っと、それよりもエヴァには聞いておかないといけない事があったな。

 認識阻害の魔法を使い、周囲の目を眩ます。

 

「学園長との話し合いはどうなったんだ? 昨日、歓迎会の後で会ったんだろう?」

「ん? あぁ、そうだな。お前には話しておくか。そうだな、簡単に言えば3年に上がった後に一度あのぼーやとの戦いを演出する事になった。それで私が勝った場合はぼーやを殺さないという条件で血を吸い、この忌々しい呪いの解除をする。ぼーやが勝ったら今回の件を秘密にしていたのをこれ以上責めない、と」

「……随分と学園長側に有利な条件のように聞こえるが」

 

 ネギが負けたとしても、血を吸われるのはネギであって近右衛門に被害は無い。いや、英雄の息子であるネギが負けた事に関して周囲からは責められるかもしれないが。

 そして勝てば八方丸く収まり万々歳って感じだ。

 

「ふん、どのみち私の呪いが解けるのは確定しているんだ。ぼーやが私に勝てると思っているのか?」

「……油断はしない方がいいと思うがな」

 

 そう呟いて、懐から携帯電話を取りだして登録してある番号へと連絡する。

 

『もしもし、アクセル君かの?』

「ああ。ちょっと聞いておきたい事があって電話させてもらった。今、時間の方は大丈夫か?」

『ふむ、構わんよ』

「ネギに関してだ。今日の授業中に魔力を暴走させて風花 武装解除とかいう魔法を暴発させ、神楽坂の服を剥いたんだが……」

『ひょ!?』

「魔法学校ってのは魔力コントロールに関してどういう風に教えてるんだ?」

『……』

「幸い、神楽坂は過ぎた事を余り気にしない質だからいいが、これが宮崎のようなタイプが犠牲になったら……恐らく、クラス中からネギが責められるなんて事にもなりかねないぞ?」

『うーむ……知っての通り、ネギ君はナギ譲りのかなり高い魔力を持っておるのじゃが……それ故に他の魔法使いに比べてもコントロールが難しいんじゃよ。お主もその辺は理解出来るじゃろう?』

 

 近右衛門にそう言われるが、俺の魔力。即ちSPは以前からスライムに使うSPブーストやグレイプニルの糸に切断属性を与えたりと、今まで色々とコントロールしてきたおかげかそれなりに自由にSPのコントロールが出来ている。

 SPのコントロールでミスったのは、エヴァの家で一番最初に使った魔法の『火よ灯れ』くらいだろう。

 

「まぁ、そっちの言い分は分かったが、そっちでネギに何も対処しないというのならこちらはこちらで勝手に動かせて貰うが、構わないな?」

『ひょ!? ちょ、ちょっと待っとくれ。それは契約違反じゃぞい』

「そうか? 俺が動くのはいざという時だろう? 少なくても、この年頃の生徒達に取って強制ストリップはそのいざという時になるんじゃないのか?」

 

 麻帆良全体に薄くだが張られている認識阻害の影響か、はたまた2-Aの生徒としての特性か分からないが、幸い今日の神楽坂の強制ストリップに関しては大きな騒ぎにならずに済んだ。だが、それはあくまでも偶々だろう。この麻帆良以外で授業中に下着姿になっていたりしたら、普通は親を呼ばれる等の騒ぎに発展するのは間違い無いし、もちろん内申点なんかにも影響が出るのは確実だ。

 

『む、むぅ……分かった。ネギ君に関してはその辺、こちらから注意しておくからそれで勘弁してくれんかのう』

「……次は無いぞ?」

『うむ』

 

 近右衛門の呻くような同意の声を聞き、通話を終える。

 

「くくっ、次は無い、か。もしその次があったらどうするつもりだ?」

「さて、どうだろうな。別に本気でネギをどうこうしようなんて風には今の所思っていないからな。あくまでも脅しのようなものだ」

 

 さすがにあんな子供に手を出すのは気が引ける。

 

「っと、それよりもそろそろ休み時間も終わりだな」

 

 教室の時計で時間を確認し、認識阻害の魔法を解除する。

 その後は1時間目のようなハプニングも無く、無事にその日の授業が終了した。

 ……もっとも、さすがに強制ストリップをさせられた神楽坂は不機嫌な顔でネギに対してキツイ視線を向けていたが。

 

 

 

 

 

「ねぇ、アクセル君。前から言ってた駅前の牛丼屋、良かったら今日行ってみない?」

 

 その日の授業が終わり、帰り支度をしていると釘宮にそう声を掛けられる。

 その後ろには柿崎と椎名の姿もあり、どこか期待した視線を俺へと向けていた。

 確かに今日は特に用事も無いし、以前からの約束を果たすという意味では問題無い。

 チラリと、肩を落としながら教室を出て行くネギの姿を目で追う。

 本当はネギのフォローをしようかと思ってたんだが……

 だが、そんなネギの後を追うように宮崎、綾瀬、早乙女の3人が教室を出て行くのを見て意識を切り替える。

 ネギに関して好意を持っている宮崎の事だ。恐らく落ち込んでいるのが心配で後を追ったのだろう。

 

「あら、牛丼ですか? 私も一度食べてみたいと思っていたんですがご一緒してもよろしいでしょうか?」

「確かにたまにはいいかもしれないわね。でも、夕食が食べられなくなる程に食べちゃ駄目よ?」

 

 こちらへと近付いてきていたあやかがそう反応すると、その隣にいた千鶴もまた笑みを浮かべながら条件付きで同意する。

 

「牛丼か。ちづ姉達いいなー。私も部活が無かったら一緒に行けたんだけど」

 

 演劇部の練習がある夏美は羨ましそうにこちらを見ていた。

 

「あら、じゃあ夏美ちゃんの分はテイクアウトでもしましょうか。釘宮さん、これから行くお店はテイクアウト出来るのかしら?」

「え? ええ。まぁ、牛丼屋だし持ち帰りは可能だけど」

「なら、夏美ちゃんの分は私に任せておいて頂戴。それよりも、急がないと部活の練習に遅刻してしまうから早く行った方がいいわよ」

 

 千鶴の言葉に、時計を見て急いで帰り支度を開始する夏美。

 

「うわ、本当にやばい。じゃ、ちづ姉、牛丼よろしくね!」

 

 それだけ言うと、ダッシュで教室を出て行った。

 

「あらあら、元気ねぇ」

「えーっと、じゃあ、那波さんといいんちょも一緒に牛丼屋に行くって事でいいんだよね?」

 

 釘宮の言葉に頷く千鶴とあやか。

 

「ええ。牛丼というのは話には聞いてましたが食べた事はないので、是非この機会に食べてみたいと思いますわ」

「そうねぇ。私は以前何度か夏美ちゃんに付き合って食べた事があるけど、確かに美味しかったわね」

 

 そんな2人の言葉を聞き、微妙に顔を引きつらせる釘宮と柿崎。

 

「ね、ねぇ、円。この2人、なんだか凄く期待値が高そうなんだけど……大丈夫かな?」

「うーん。美砂の言いたい事も分かるけど、この2人なら大丈夫そうじゃない? えっと、那波さん、いいんちょ。一応これから行くのは普通の牛丼チェーン店であって、一流の料亭とかじゃないのは理解してるよね?」

 

 そんな釘宮の言葉に頷く2人。

 

「ええ、もちろんですわ。牛丼店は初めてですが、ハンバーガーのチェーン店でしたらアスナさんに強制的にですが連れて行かれた事がありますし」

「私は以前にも夏美ちゃんと一緒に行った事があるから大丈夫よ」

「ほらね。いくらこの2人がお嬢様でもそこまで常識知らずじゃないわよ」

「そう? ならいいんだけど……なら、これ以上円の恋路に邪魔が入らないうちに行きましょうか」

「にゃはは。あの円がいいんちょの同類になるとはねー」

「ちょっと、美砂、桜子。貴方達いいんちょのいる前で余り迂闊な発言しないでくれる?!」

「いいでしょう、釘宮さん! 貴方を私のライバルと認めますわ!」

「ほら、こうなったぁっ! だから、私はショタコンじゃないってのに……」

 

 ブツブツと言いながらも、それでも俺との付き合いをやめないのが釘宮のお人好しさ加減を表しているのだろう。

 こうして、俺、千鶴、あやか、釘宮、柿崎、椎名の6人は釘宮お薦めの駅前にあるという牛丼チェーン店へと向かった。

 

 

 

 

 

 ちなみに、この翌日。茶々丸からネギが惚れ薬を作ってその効果で2-Aが凄い事になっていたという話を聞いたが……俺は何も見てない、言ってない、聞いてない。

 その件や、魔力暴走に関して近右衛門に絞られたりもしたらしいというのもエヴァから聞いた。

 

 

 

 

 

 牛丼は確かに美味かった。思わず3杯もおかわりをしてしまったとだけ明記しておく。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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