転生とらぶる1   作:青竹(移住)

2987 / 3408
2863話

 ヨルムンガンドの建造現場に突っ込んできた、ドラムロ。

 正直なところ、最初はギブン家かミの国が攻撃する為にドラムロを奪って襲ってきたのかではないかとすら思った。

 何しろ、俺が見た限りでももの凄い勢いで突っ込んで来ていたのだから。

 しかし、幸いな事にドラムロはヨルムンガンドに突っ込んで来るような様子はなく、急制動をすると動きを止めた。

 ここまで派手な事をするのは誰だ?

 そんな風に思っていると、やがて駐機姿勢を取ったドラムロの中からパイロットが出て来る。

 

「ゼット?」

 

 俺の隣でマーベルがそう呟くが、その言葉は正しかった。

 実際に、こうして見た感じではその相手は間違いなくゼットだったのだ。

 考えてみれば、ゼットも地上人何だから聖戦士として活動する事は出来るんだよな。

 それでなくても、オーラバトラーはショットやゼットが開発した物である以上、相応に操縦出来てもおかしくはない。

 普通ならオーラバトラーに乗る時は、ヘルメット……というか、兜に近いようなのを被る。

 だが、ゼットは余程急いでいたのだろう。特にそういうのはなく、普通の状態でコックピットから下りてきた。

 そんなゼットの様子から、何か緊急事態があったのだいう事は、容易に想像出来る。

 ある程度距離が近付けば通信機の類も使えるんだろうに、その辺を使ってこなかったのは、使うよりも自分で移動した方が手っ取り早く到着出来ると思っていたからか、それとも通信を使うという事すら気が付かないように動転してたのか。

 そもそも、少しでも早く移動するのならドラムロではなく、高機動型のバストール……は、まだガラリアが使っている機体しかなかった筈だから、それなりに量産が開始されているビランビー辺りに乗ってくればよかったものを。

 そんな風に考えていると、ゼットは俺の方に向かって真っ直ぐにやってくる。

 

「アクセル!」

 

 そう叫ぶ様子からは、怒っている……いや、焦っているのか? ともあれ、そんな様子で俺の方に向かって近付いてきた。

 

「どうした? 何かあったのか?」

 

 ゼットがこんな様子だという事は、間違いなく何らかの問題があったのだろう。

 しかし、それが具体的にどんな問題なのかと言えば、すぐに思い浮かぶ事は出来ない。

 

「ガラリアが、消えた!」

「……は?」

「え?」

 

 ゼットの言葉に、俺とマーベルはそんな声を漏らす。

 俺が声を漏らしたのは、消えたという言葉の意味が分からなかったからだ。

 そしてマーベルが声を漏らしたのは、マーベルがガラリアと友人だったからだろう。

 

「どういう意味だ? 消えた? 死んだんじゃなくてか?」

 

 以前と違い、今となっては俺とガラリアはそれなりに友好的な関係ではある。

 そんなガラリアだが、ドレイクがやっているのは結局のところ戦いだ。

 そのドレイクに仕える騎士として、ガラリアが戦いで死ぬといったような事は、あまり好ましくはないが考えられないでもない。

 だが、ゼットが言ったのは消えただ。

 これは、少し納得出来ない。

 

「だから、消えたらしいんだよ!」

 

 消えたと、そう叫ぶゼットは、こっちをからかっている様子には見えない。

 だとすれば、本当にガラリアが消えたという事になるんだが……何がどうなってそうなったんだ?

 

「落ち着け。消えたというだけでは、何が何だか分からないだろ。具体的に何がどうなってそうなったのか、きちんと説明しろ」

「え? あ、ああ。そうだな。とはいえ、これは俺も直接見た訳じゃなくて、ラース・ワウに戻ってきた連中から聞いた話なんだが……」

 

 そう言い、ゼットは自分が聞いた話を口にする。

 何でも、今日ガラリアは部下を率いてミの国との国境周辺を見回っていたらしい。

 これは当然だろう。フラオンがミの国に逃げ込んだのは既に確認されているし、ギブン領から逃げ出したギブン家の面々もミの国に逃げ込んだらしいのだから。

 つまり、ミの国は既にアの国の敵国と言ってもいい存在なのだ。

 ……もっとも、フラオンの口車に乗せられてドレイクを攻撃した時点で敵というのは間違いのない事だったが。

 ともあれ、そんな具合にアの国から追い出されたフラオンやギブン家がミの国に集まっている以上、ドレイクとしては国境線沿いの警備を厳しくする必要があった。

 バストールの機体の慣らしをしていたガラリアにしてみれば、国境沿いの見回りというのはちょうどよかったのだろう。

 何かあった時の為に、部下を数人引き連れて見回りに向かったらしいのだが……そこで、ゼラーナと遭遇してしまった。

 まだ完熟した訳ではないバストールだけに、本来なら即座に撤退するのが最良だったのだろうが、手柄を求めるガラリアだけに、撤退ではなく交戦を選んだ。

 しかし、ゼラーナ隊はショウのダンバインがいる事も含めて、ギブン家の中では最強の部隊で、当然ながらガラリア達はピンチになった。

 ショウのダンバインが一番強いのは間違いないが、ニーを始めとした他のパイロットも決して技量が低い訳ではない。

 いや、寧ろドレイク軍との戦いを繰り返しているだけに、技量という点では数は多いドレイク軍よりも上の者も多かった。

 とはいえ、機体性能ではダーナ・オシーはドレイク軍で使われているドラムロに劣るので、総合的に見れば互角といったところか。

 だが、ガラリアの場合は今回あくまでもバストールの慣らしという意味が大きく、一応見回りという名目ではあるが、まさかゼラーナ隊と接触するとは思わず、ドラムロよりもドロの方が多かったらしい。

 そんな訳で戦闘はガラリア達が不利な状況で進み……そんな中、1人で気を吐き、部隊の壊滅を防いでいたのが、バストールに乗ったガラリアだった。

 ゼラーナ隊のエースのショウと戦っていたのだが、その戦いの最中にいきなり光ったかと思うと、消えてしまったらしい。

 

「……なるほど。それで消えた、か」

 

 話を最後まで聞き、それでようやく理解出来た。

 理解出来たが……

 

「何でそれを俺に言いにくるんだ?」

「アクセルなら、魔法でガラリアを捜せるんじゃないか!?」

 

 俺の質問に対し、端的にそう答えてくるゼット。

 なるほど、それを目当てにしてヨルムンガンドを建造しているここまでわざわざ来たのか。

 その理由は分かったし、何とかしてやりたいとも思うが、首を横に振る。

 

「悪いが、魔法というのはそんなに便利なものじゃない。現在ガラリアがどこにいるのかといったようなことは、分からない」

 

 少なくても、俺の使っている魔法にそういう効果を持つ魔法はない。

 ネギのように多数の魔法を使えるだけの才能があり、それどころか自分で魔法を開発するといった真似が出来るのなら、ガラリアを見つけるといったようなピンポイントの魔法も出来ない事もないかもしれないが。

 あるいは、シャドウミラーの中で魔法の教官をしているエヴァ辺りなら何とかなるか?

 ……茶々丸がいれば、発信器でどうにかなった可能性もあるな。

 

「俺に使える中で、近い魔法があるとすれば……召喚魔法だな」

「召喚魔法? それでガラリアを召喚出来るのか!?」

 

 期待の込められた視線を向けられるが、首を横に振る。

 

「残念だが、俺の召喚魔法は前もって召喚の契約を結んだ相手しか召喚出来ない」

 

 それに、これは口にしなかったが、その契約というのは俺の血を相手に飲ませる事で行われる。

 そして、俺の血は魔力が濃縮されており、その濃縮具合はヴァンパイアのエヴァですら、飲むのに苦労するといったような代物だ。

 当然、そんな血を飲めば生き残るのは難しく、生き残っても俺の血の影響で身体が変化する。

 無事に俺と召喚の契約を結んだグリや刈り取る者の姿が変わっているのを見れば、それは誰も否定出来ないだろう。

 人間を召喚するといったような真似が出来るかどうかは、正直なところ分からない。

 だが、もしゼットに言ったように人間と血の契約を結ぶ事が出来たとすれば、ガラリアの姿は混沌精霊となった俺と同じ外見になった可能性も否定は出来なかったが。

 人間を相手に召喚……試してみるのもいいのかもしれないが、失敗すると相手が死んでしまう以上、そう簡単に試す訳にはいかない。

 だが、折角召喚の契約を結ぶのなら、しっかりと戦力になるような奴と契約したいと思うのは当然だろう。

 死刑囚辺りがいれば、そういう連中を試してみてもいいのかもしれないが。

 

「じゃあ、結局アクセルでもガラリアを見つけられないって事か?」

「悪いが、そうなるな。今の状況で俺が何をどうやっても、ガラリアを見つけられるとは思えない。それに……ガラリアはバストールに乗ってどこかに行ったって訳じゃなくて、消えたんだろ?」

「あ、ああ。そうなる」

「だとすると、もしかしたらバイストン・ウェルにいないという可能性もあるな」

 

 ショウという、トッドと並ぶ原作主人公候補の1人が、ガラリアと一緒に消えたのだ。

 その辺の事情を考えると、何の証拠もない直感だが、もしかしたら地上に向かったという可能性も否定は出来ない。

 もしこれが原作通りの流れだった場合、原作のヒロインはガラリアだという可能性もあるのか。

 原作でガラリアとゼットの関係がどうだったのかは、俺にも分からない。

 あるいは原作ではゼットとガラリアは恋人関係ではなかったという可能性もある。

 そして、ガラリアは地上でショウと行動するうちに惹かれあい……やがてくっつく。

 とはいえ、それはあくまでも原作での話であって、この世界ではガラリアは既にゼットと付き合っている。……いやまぁ、お互いに告白したのかどうかは分からないが。

 そもそも、俺が存在している時点で原作の流れは大きく変わっている筈だった。

 だとすれば、俺がここで何をしたところで気にする必要はないだろう。

 

「バイストン・ウェルにいない? ……地上か!?」

「あくまでも可能性だけどな。ショウの持つ高いオーラ力と、バストールに搭載されていた新型のオーラ増幅器。この2つを考えると、ショウとガラリアが地上に向かったという可能性は必ずしも否定は出来ない」

「そんな……」

 

 俺の言葉を聞いたゼットは、心の底からショックを受けた様子を見せる。

 それもまた、当然だろう。

 ゼットにしてみれば、ガラリアが地上に行ってしまったということは、手を出せないということになるのだから。

 ガラリアは、生粋のバイストン・ウェルの人間……ファンタジー世界の住人だ。

 地上に出たとして、一番可能性が高いのはやはりショウと同じ日本に出る事だろう。

 そしてガラリアが日本で上手い具合にどうにか出来るとは、到底思えない。

 間違いなく騒動を起こすだろう。

 バイストン・ウェルの人間として活動するとなれば、それこそ暴行事件とかは普通に起こす筈だ。

 いや、その程度ですめば御の字といったところか。

 場合によっては殺人といった行為で警察に追われる可能性もある。

 この場合、ガラリアがバストールというオーラバトラーを持っていることが、余計に騒動を大きくする。

 この世界の日本の軍隊……いや、自衛隊か。自衛隊がどんな感じなのかは、俺には全く分からない。

 しかし、そんな相手とガラリアが上手くやれるかというと、これは難しいだろう。

 

「シルキーのオーラロードで地上に向かうといった真似は出来ないの?」

 

 俺とゼットの話を聞いていたマーベルが、そう告げる。

 マーベルにとっても、ガラリアは親しい友人だ。

 何とかしたいと、そう思っての言葉だったのだろうが……ゼットはそれに対して首を横に振る。

 

「残念だが、それは出来ない。シルキーも、いつでもオーラロードを開ける訳じゃない。それに、もしオーラロードを開いて地上に戻れても、今度はバイストン・ウェルに戻ってくることが出来なくなる」

 

 シルキーがオーラロードで召喚出来るのは、基本的にランダムだ。

 勿論本当の意味でランダムという訳ではなく、一定以上のオーラ力を持っているというのが前提だが。

 だが、地上に出たガラリアだけを召喚するといった真似は出来ないだろう。

 そもそも、ガラリアは一定以上のオーラ力というところでシルキーの召喚対象から外れてしまう可能性が高い。

 であれば、シルキーが召喚するのは不可能だろう。

 シルキーによってガラリアだけをバイストン・ウェルに召喚して、ショウだけを地上に残すといった真似が出来れば、それが最善なのは間違いないのだが。

 

「そうだな。シルキーが召喚出来るようになるのは、もう暫く先だ。ショウ達を召喚してからアレン達を召喚するまでの期間はかなり短かったが、それは運によるものも多いし……何より、短期間で2度の召喚をやったせいで、シルキーはかなり弱まっている」

 

 ゼットの言う通り、今の状況でこれ以上シルキーに無茶をさせるとなると、シルキーの負担が大きすぎるだろう。

 最悪、そんな風に酷使されたことによって身体を壊し、これ以上の召喚が出来なくなるといったような事にもなりかねない。

 ドレイクとしては決してそんな事は許容出来ないだろうし、何気にマーベルもシルキーに対して同情するところがあるのか、そうなった場合の未来はとてもではないが想像したくはなかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1678

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。