既に出撃準備は出来ていたので、オーラバトラーに乗り込んだ俺達はすぐに出撃する。
俺達がいたのは、ギブン家の砦――と呼ぶには若干無理があるが――からそれなりに距離のある場所だったが、オーラバトラーに乗って空を飛ぶといった真似をすれば、そこまで離れた場所ではない。
「見えてきたな。後は、それぞれ予定通りに行動しろ。フォロー役は大変だろうが、頑張れよ」
そう言うと、トカマクが映像モニタに表示される。
『フォロー役って事なら、俺だけじゃなくてアクセルもだろ?』
「そうだな。けど、アレンはそこまで無理はしないだろうから、あまり心配はないな」
これは事実だ。
アレンは元軍人というだけあって、慎重な一面が強い。
好戦的なジェリルやフェイに比べると、一歩……いや、半歩程後ろに退いている感じだ。
言い換えれば、計算高いといった様子になるのだが。
『褒められてるのかどうか、微妙なところだな』
俺とトカマクの会話を聞いていたアレンが、そう言葉を挟んでくる。
それなりに評価したつもりだったんだが。
「その辺はお前の判断に任せる。……それより、この中で指揮を執れるのはお前だけなんだ。ジェリルとフェイの2人をしっかりと指揮しろよ」
『アクセルは?』
「今回の俺の役目は、あくまでもお前のフォローだ。基本的にお前がピンチにならない限り、前に出るつもりはない」
『そーかい』
俺の言葉に納得したのか、それとも不満だったのか。
その辺は俺にも分からなかったが、そんな返事がされる。
それ以上突っ込むような真似はせず……いよいよ出撃となるのだった。
『見えてきたよ! けど、迎撃に出てくる敵はいないみたいだね!』
ギブン家の砦が見えてくると、先頭を進むジェリルからそんな通信が入る。
これは別に俺だけに送ってきた訳ではなく、自分以外の5人全員に向けてのものだろう。
『甘く見るな。向こうだって今が一番重要な時なんだ。自分達に敵が迫っていると判断したら、すぐに迎撃に出て来るぞ!』
アレンの叱責するような声が響く。
実際、その判断は間違ってないだろう。
ギブン家にしてみれば、ドレイク軍の本陣を攻撃して時間を稼いだつもりだったのだろうが、それでも完全に安心するといったような真似は出来ない筈だ。
普通なら攻撃をしてくると考えないが、それでも万が一の時の為に用意しておくのは当然の話だった。
そして、当然の話だがそのような場合に出て来る戦力は、精鋭に決まっている。
「出て来たか、ダンバイン」
サーバインの映像モニタに表示されたその機体は、今や敵味方合わせてもショウとマーベルの2人しか使っていない、ダンバイン。
実際にはトッドのダンバインはかなり軽傷の状態で奪っていったらしいので、それを考えればギブン家にはまだもう1機ダンバインがあるんだろうが。
しかし、ダンバインというのは聖戦士並のオーラ力があって初めて本領を発揮出来る特殊なオーラバトラーだ。
それこそダーナ・オシーを操縦するのがやっとといったようなギブン家の者達では、ダンバインがあっても宝の持ち腐れだろう。
あるいは猫に小判か。
ギブン家がエ・フェラリオに協力を頼み、地上人を召喚するといったような真似をすれば、ダンバインも使い物になるのかもしれないが……今のところ、そんな予定はないだろう。
というか、そんな余裕はないと表現すべきか。
こうしてギブン領から逃げ出そうとしているのを見れば分かる通り、現在のギブン家はかなり不利な状況にある。
そんな中で、エ・フェラリオを探すといったような真似は難しいだろう。
あるいは本当に追い詰められれば、一発逆転を狙ってそんな真似をする可能性は否定出来なかったが。
『あたしが貰うよ!』
ダンバインに向かい、ジェリルのビランビーは真っ直ぐに突っ込んでいき、慌ててトカマクのドラムロが援護を開始する。
勿論、ショウのダンバインはそんなドラムロのフレイボムをあっさりと回避し、ジェリルのビランビーと鍔迫り合いをする。
だが……経験の差と、本人が持つオーラ力の差もあるのだろう。
ダンバインよりも大きなビランビーが、オーラソード同士の鍔迫り合いで押され始める。
『させるかよっ!』
そんな叫びと共に、アレンがダンバインの背後からオーラソードで攻撃をしようとするが、当然ながら迎撃に出て来たのはショウだけではない。
ギブン家のダーナ・オシーが数機姿を現し、アレンのビランビーをダンバインに近づけまいとミサイルランチャーを撃つ。
ちなみに、ダーナ・オシーのミサイルランチャーを分析したのか、ビランビーにもミサイルランチャーは装備されている。
もっとも、そちらの名前は5連装オーラランチャーという名前で、ミサイルという名前は使われていないが。
オーラランチャーとミサイルランチャーのどこが具体的に違うのかといったような事が疑問なのだが、その辺は恐らくショットにとって技術者としての拘りのようなものがあるのだろうと、そう判断する。
ともあれ、自分に向かって放たれたミサイルを回避していくアラン。
この辺の操縦技術はさすがといったところか。
ただし……当然だが、戦闘機とオーラバトラーでは操縦感覚が大きく違う。
だからこそ、ミサイルを回避するといった行動にも無駄が出来て……
「甘い」
そんな言葉と共に撃ったオーラショットが、ビランビーに向かって放たれていたミサイルを数発纏めて撃破する。
「アレン、戦闘機のパイロットだった感覚は一旦忘れろ。今のお前は戦闘機のパイロットじゃなくて、オーラバトラーのパイロットなんだからな」
『分かってる!』
俺に助けられたのが不満だったのか、そう叫びつつアレンはオーラソードを使って次々と自分に向かってくるミサイルを迎撃していく。
真っ先に動いたアレンにダーナ・オシーの意識は集中したものの、次の瞬間にはそんなアレンを囮にしたかのようにフェイがジェリルのビランビーと戦っているダンバインに攻撃する。
それも、オーラショットやオーラランチャーといった武器を使ってアレンに集中しているダーナ・オシーの意識を向けられないように、オーラソードを持ってだ。
……オーラソードで攻撃しようとしたという点では、アレンも変わらなかったのだが。
それでも真っ先にダンバインを攻撃しようとしただけに目立ってしまい、ダーナ・オシーにそれを邪魔されることになってしまった訳だが。
アレンはそんなフェイにとっていい目眩ましとなったのだろう。
アレンも軍人である以上、その辺は分かってもおかしくはないと思うんだが。
これは単純に、初めてオーラバトラーに乗っての戦いという事で、緊張してるのか?
いやまぁ、普通に考えればいきなりファンタジー世界に召喚されて、貴方達は聖戦士ですと煽てられ、夢にも思わなかったオーラバトラーなんて人型機動兵器に乗ったのだから、そうなってもおかしくはないか。
だが、ショウも多くの戦いを潜り抜けてきたのだ。
自分の隙を突こうとするフェイの動きを察して、牽制するようにオーラショットを撃つ。
この辺は、ジェリルがまだそこまで手強くないのでそのような余裕があったといったところか。
もしこれがジェリルではなくマーベルであれば、恐らくショウはフェイの存在に気が付くことは出来なかったか……もしくは気が付いても、今のようにオーラショットで牽制をするといったような真似は難しかった筈だ。
この辺が、まだジェリル達が甘いというか、初心者でしかないということを示しているんだよな。
これが初陣であるとなれば、それはおかしくないのだが。
『あたしを前に、余裕があるねぇっ!』
ショウにとっては当然の行動であっても、そのショウと戦っているジェリルにしてみれば、自分を相手に余裕があるということを見せつけられているようで面白くないのか、苛立たしそうに叫びながら、オーラソードを振るう。
しかし……そんなジェリルの隙を突くかのように、ダンバインは攻撃を回避して懐に潜り込もうとし、しかし次の瞬間には素早くジェリルから距離を取る。
何故そんな真似を? と思わないでもなかったが、それはジェリルを守るように突っ込んできたトカマクのドラムロを見れば、明らかだ。
へぇ。近接戦闘については才能がないと自分でも理解しているだろうに、いざという時はこの状況でも前に出るような真似が出来るんだな。
あるいは、これは相手がジェリルだからか。
ともあれ、ショウもジェリルやフェイと一緒にトカマクのドラムロを相手にするのは面倒だと思ったのか、一度距離を取る。
『おい、アクセル! お前は俺のフォロー役だろ!?』
ショウの戦いを見ていると、不意にそんな声が聞こえてくる。
一体どうした? と思って視線を向けると、そこでは3機のダーナ・オシーに集中攻撃されているアレンのビランビーの姿があった。
自分だけではダーナ・オシーの攻撃に対処出来ないと判断し、俺に助けを求めて来たのだろう。
「分かった、こっちに来い。2機は俺が片付けてやる」
そう言い、俺はアレンのビランビーに向かって飛ぶ。
サーバインが動いた瞬間、ショウのダンバインが過敏に反応する。
どうやら俺の存在には気が付いていたらしい。
極端に戦場から離れていた訳ではない以上、サーバインの存在に気が付くのは当然か。
そしてショウにしてみれば、一度捕らえられている。
それを思えば、俺の存在に注意をするのは当然だった。
そんな中でいきなり俺が動いたのだから、ショウが過敏に反応するなという方が無理だった。
とはいえ……サーバインが向かうのは、ジェリルとフェイ、トカマクの3機を相手に1人でやり合っているショウではない。
ちなみに3機のオーラバトラーを相手としているだけに、フェイのフォローを任されているマーベルは特に動いている様子はない。
フェイ達がショウにやられそうになったら、当然動き出すだろうが。
そんなショウ達をよそに、俺はアレンのいる方に向かう。
アレンのビランビーもまた、俺のいる方に向かってきた。
そうしてサーバインとビランビーがすれ違い……その瞬間、ショットクローを放つ。
放たれたショットクローは、3機のうち先頭にいたダーナ・オシーの身体にショットクローが絡みつき……次の瞬間、俺のスイッチによってショットクローから流された電撃がダーナ・オシーの機体に伝わる。
とはいえ、ショットクローの電撃はそれなりに強力ではあるが、パイロットを殺すような威力はない。
心臓が悪いとか、そういう持病があるのなら死ぬ可能性もあるが。
それでも流れた電撃はパイロットに機体の操縦を止めさせるには十分であり……そのままサーバインの腕力で振り回し、すぐ近くにいたダーナ・オシーにぶつかり……そして次の瞬間、サーバインのオーラソードがショットクローで動けなくされたダーナ・オシーのコックピットをオーラコンバータごと貫き、横薙ぎに振るって破壊し、次にもう1機のダーナ・オシーのコックピットにゼロ距離からオーラショットを放って撃破する。
3機の中で、最後まで残ったダーナ・オシーは、アレンのビランビーを3機で追い回していたところで、いきなり2機が撃破された事に驚いたのか、見るからに動きが鈍くなる。……鈍くなるのだが、アレンがそちらに攻撃する様子はない。
「アレン! 何をしている! 呆けてないで攻撃しろ!」
『っ!? 分かってるよ!』
俺の言葉でようやく我に返ったのか、アレンは残った1機のダーナ・オシーに向かって突っ込んでいく。
ダーナ・オシーの方も、そんなアレンの動きに気が付いたのか、慌てたようにオーラソードを構え……だが、数が多い時ならまだしも、1対1での戦いとなると高いオーラ力を持つ聖戦士のアレンと渡り合うのは難しく、オーラソードでの鍔迫り合いであっさりと負け、オーラソードを弾き飛ばされる。
そのやり取りで勝ち目はないと判断したのか、ダーナ・オシーは逃げようとするものの……特に何かアレンの目眩ましといったような真似をせず、普通にその場から後退しようとしたのは悪手でしかない。
アレンはそんなダーナ・オシーの背中から、オーラコンバータ越しにコックピットを貫く。
取りあえず初陣の最低条件はこれでいいな。
そうなると、問題なのは……
そう思い、もう1つの戦場たるショウのダンバインの方を見る。
そこでは相変わらずショウがジェリル、フェイ、トカマクを相手に互角の戦いを繰り広げている。
それでいながら、形勢はほぼ互角……いや、ショウの方が有利なくらいか?
ジェリルとフェイはこれが初陣で、トカマクは実戦経験こそ豊富だが操縦技術はお粗末という、そんな3人ではあるが、それでも3人全員が聖戦士であるのに、それと戦って有利な状況に持っていけるというのはショウの操縦技術の向上を示していた。
それでいながら不安がないのは、いざとなったらマーベルが割って入るというのを理解していたからだろう。
別のダーナ・オシーと戦っているアレンを見ながら、取りあえず安心だなと判断するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678