「おい、アクセル。あの機体は何なんだ?」
ゼットとの話が終わり、ガラリアに合わせたバストールの最終調整を行うというゼットと別れてビランビーの方に戻ってきた俺とマーベルに対し、アレンがそう尋ねてくる。
「お前達が乗るビランビーと同じく、新型のオーラバトラーだよ」
「……俺達の機体が最新鋭機じゃないのか?」
「それも間違ってはいない。……ああ、もしかして知らないのか? オーラバトラーの開発者は2人いる。その2人がそれぞれビランビーとバストールを開発したんだ。で、バストールを開発したのが、さっき俺と話していた男な訳だ」
「じゃあ、別にあっちの方が性能が高いって訳じゃないのか?」
なるほど、気にしていたのはそこか。
自分達が選ばれた存在であると認識しているので、性能の高い最新鋭機は自分が欲しいといったところか。
まぁ、自分の乗る機体に拘るのは悪い話ではないが。
「素人が乗る限りだと、ビランビーどころかドラムロにも劣るだろうな。けど、腕の立つパイロットが乗った場合、かなり高性能なのは間違いない」
そう断言するが、実際にバストールに乗った訳ではなく、あくまでもミロンガと同じ感じであると判断しての言葉なので、それが絶対に正しいとは限らない。
実はバストールに乗ってみたら、思った程に性能を発揮出来ない……といった可能性も、否定は出来ないのだから。
それでも個人的にビランビーとバストールのどっちに興味を持つのかと言われれば、バストールだが。
俺好みの尖った性能に、新型のオーラ増幅器という点で興味深い。
以前の約束でビランビーもバストールもそれぞれ1機ずつ貰えるんだが。
ただ、どのみち俺の場合はオーラコンバータが普通の奴だと、乗っても機体が壊れるだけなんだよな。
俺の魔力で動かせるようにした、専用のオーラコンバータ……マジックコンバータを用意しないといけない。
だが、このマジックコンバータは作るのに結構手間やコストがかかるらしく、そう簡単に量産するといった真似が出来ないのも事実。
あるいはもう少しアの国が落ち着いたら、新しいマジックコンバータを製造する余裕もあるのかもしれないが、今はそんな余裕はない。
それに、バストールやビランビーは興味のある機体なのは間違いないが、ぶっちゃけ純粋な性能という点ではサーバインには到底及ばないのは間違いない。
ダンバインのプロトタイプ的な存在という事で、つまりサーバインというのはダンバインよりも前に開発されたオーラバトラーな訳だが……それでも希少な素材をふんだんに使っている為か、その性能は未だにトップクラスだ。
そういう意味だと、俺が次に乗る機体はまだ暫く出て来る事はないんだろう。
「なら、俺もいつか乗れるかもしれないな」
バストールを見て、アレンはそう断言する。
アレンにしてみれば、まだ数の少ないバストールの方がいい機体のように思えたのか?
あるいは、単純に俺がバストールを腕のいいパイロットが乗ればかなり高性能な機体になると、そう言った為か?
もしくは、トッドと同じ機体に乗るのはプライドが許さなかったという点もあるのかもしれないが。
「どうだろうな。まぁ、オーラバトラーの場合は想像力で操縦する一面がある以上、機体性能が高いからといって、それが自分に似合っているとは限らない。機体性能が低くても、自分に合ってると思えば結果的にそっちの方が使いやすいというのもあるし」
この辺、想像力が大きな意味を持つんだよな。
だからこそ、純粋にカタログスペックだけでどうこうといったような真似は出来なかったりする。
「ふーん。そういうものなのか」
そんな風に会話をしていると、ビランビーの方の準備が出来たのかアレン達はそれぞれ自分のオーラバトラーに乗るように指示される。
アレン達は、その指示に従ってビランビーに乗っていく。
特に説明らしい説明がないままの行動だったので、若干戸惑っていたようだったが。
戦闘機とかとは違い、オーラバトラーの類は習うより慣れろって感じの機体だしな。
それを考えれば、こういう感じでいきなり乗るといったような事になってもおかしくはない。
そして……実際、3人が乗ったところでビランビーを起動させると、何となく操縦の仕方が分かったのか、それぞれビランビーの手足を動かしたりしていた。
「さて、じゃあ俺も乗るかな」
「頑張れよ」
トッドに向け、そう告げる。
ビランビーという機体……いや、オーラバトラーという存在に関しては、トッドはそれなりに経験を積んでいる。
また同じ地上人であるという点も、アレン達に対する教導を任された理由なんだろうが……
「大丈夫かしらね?」
トッドがアレンに対してどのような思いを抱いているのかを知っているマーベルが、俺の隣で心配そうに呟く。
マーベルにとっても、トッドは何だかんだとそれなりに付き合いのある相手だ。
トカマクとかと違って、何度か俺とマーベルの家までやって来ているというのも、この場合は大きいだろう。
そんな訳で、この教導が上手くいくかどうかを心配している様子らしい。
「大丈夫だとは思うけどな。少なくてもアレンは自分が乗っているオーラバトラーの性能とかをしっかりと理解するまでは、トッドにあまりちょっかいを出したりといったような事はないと思うし」
寧ろ、その辺の心配をするのならアレンではなくジェリルだろう。
新たに召喚された地上人3人の中で、一番腕が立つのは間違いなくアレンだ。
だが、一番危険というか、危ないのは間違いなくジェリルだろう。
自分の感情を抑える術を知らない……もしくは、知っていてもそれを抑えるつもりがないように思える。
勿論、俺がジェリルと直接話したのはさっきが初めてである以上、もしかしたらそのように見えるだけで、実は冷静に感情を抑えることが出来るといった可能性もない訳ではないのだが。
そういう風に考えると、新たな地上人3人の中で一番扱いやすいのはフェイなのかもしれないな。
フェイはフェイで、若干危なっかしいところはあるように思えるが、それでも他の2人よりはマシといったイメージがある。
「あ、飛んだわよ」
マーベルがトッドのビランビーを見て、そう告げる。
外部スピーカーを使ってないところを見ると、通信機で会話をしているのだろう。
他の3機のビランビーもそのままオーラコンバータの力で浮かび上がる。
トカマクよりも下手な奴はいないな。
そう考えれば、トカマクはやっぱり操縦技術というか、オーラバトラーの操縦の才能は少し足りないといったところなんだろうな。
そんな中でも特にオーラバトラーの操縦が上手いのは……当然のように、アランだ。
トッドの時もそうだったが、やはり戦闘機の操縦訓練が大きな影響を与えているのだろう。
とはいえ、ジェリルやフェイの操縦も未熟といった訳ではない。
アレンよりは若干劣るが、それでも聖戦士としての才能は十分に感じさせるものだった。
「さすが聖戦士といったところかしら?」
「それをマーベルが言うのは、どうかと思うぞ」
始まりの聖戦士と呼ばれているマーベルだけに、聖戦士としての能力で他人を褒めるのは、正直どうかと思わないでもない。
「そう? 別にそこまで私の事を気にする必要はないと思うんだけど。……オーラバトラーの操縦をするのは、その人の能力次第なんだから」
「その能力が、マーベルの場合はとんでもないものだという自覚が欲しいな」
「あのね、そういう意味なら、それこそアクセルの方が自覚が欲しいと思うんだけど?」
呆れの視線を向けてくるマーベル。
マーベルの言いたい事は分かる。
実際、俺が操縦するサーバインは普通のオーラバトラーとは比べものにならない程の性能を発揮しているのだから。
しかし、俺の場合はオーラバトラーを操縦するまでに様々な人型機動兵器を操縦してきている。
その経験は、オーラバトラーを操縦する上で間違いなく大きな意味を持っていた。
そんな風に会話をしていると、トッドと共に空を飛んでいた3機のビランビーが、それぞれ自由に動き回り始める。
自由時間といったところか。
そうして3機が飛び回り始めたのだが……不意に、その中の1機がトッドの乗るビランビーに向かって飛びながら蹴りを放つ。
オーラソードを使ったりしていない辺りは、まだ安全を考えてはいるのだろうが……オーラバトラーの足というのは、立派な武器だ。
実際、足の爪を使った蹴りは、相手の装甲を容易く斬り裂くだけの威力を持っているのだから。
「ちょっと!」
ダンバインの足の爪の鋭さを、実感として知っているマーベルは慌てたように言うが、トッドはそんな攻撃を回避すると、肘の一撃をビランビーの胴体に放つ。
イメージで操縦するのに慣れているからこそ、咄嗟にそのような真似も出来たのだろう。
勿論、トッドがその気ならビランビーのコックピットを潰すような真似も出来ただろうが、その辺はトッドも理解している。
アレン達3人の地上人は、ドレイクが権威付けの為に地上から召喚した者達なのだ。
そんな連中がいきなり訓練で死んだなんてことになれば、それこそ権威付けどころか、権威は低下してしまう。
だからこそ、トッドの一撃もパイロットに衝撃を与えつつも、コックピットを破壊しない程度に手加減されていたのだ。
「オーラバトラーの技量で、あの3人がトッドに敵う筈はない。……少なくても今はな」
オーラバトラーの操縦はイメージが大きな力となるが、同時に経験も必要となる。
今日初めてオーラバトラーに乗ったアレン達3人と比べると、当然ながらトッドは今までそれなりの数の戦いを経験してきた。
とはいえ、トッドもトッドでダンバインからビランビーに乗り換えたばかりというのはあるが……ビランビーはダンバインの後継機である以上、全てではないにしろ、大体同じ感覚で操縦出来る筈だった。
「それはそうかもしれないけど、だからっていきなりああいう真似をするのはどうかと思うわよ。……アレンかしら?」
「いや、多分ジェリルだな」
あくまでも予想だが、多分当たっている筈だ。
アレンは軍人だけあって、慎重な性格をしている。
少なくても自分が乗っているオーラバトラーがどのような性能を持っているのかを確認し、きちんと使いこなせるようになるまでは、妙な騒動を起こしたりはしない筈だ。
だが、ジェリルは違う。
感情の赴くままに動く性格をしており、しかも好戦的。
正直なところ、ジェリルがいても問題しか起こさないような気がする以上、早いうちにその辺を直すか……もしくは、いっそ処分した方がいいと思う。
とはいえ、ドレイクにしてみればそう簡単にそんな真似をしたりも出来ないだろうが。
まぁ、ジェリルが何らかの問題を起こしたとしても、それはドレイクがどうにかするだろうから俺がどうこう言う筋合いはないんだろうが。
その後は、特に問題らしい問題も起きる様子がなく……やがて、ビランビーを使った訓練を終えると、トッドも含めて4機のビランビーが地上に降りてくる。
さて、トッドに攻撃を仕掛けたビランビーは誰の機体だ?
マーベルに言ったように、恐らくジェリルだろうと思っていたのだが……そんな俺の予想は、見事に当たる。
コックピットに……というよりは装甲に多少なりとも傷のあるビランビーから降りてきたのは、予想通りジェリルだったからだ。
その表情には、見るからに不機嫌そうな色がある。
ジェリルにしてみれば、自分が負けた事が許せなかったのだろう。
ショウのような才能の持ち主でもない限り、オーラバトラーに乗っていきなり戦い、それで相手に勝つなんて真似は出来ないと思うんだが。
ジェリルは自分ならそれが出来ると思ったのだろう。
あるいは、バイストン・ウェルに聖戦士として召喚された事により、自分は選ばれた存在だと思っているのかもしれないな。
いやまぁ、実際その考えはそこまで間違ってはいないのだから。
事実、オーラ力の強い人物だからこそバイストン・ウェルに召喚されたのだから。
「で、オーラバトラーはどうだった?」
降りてきた3人……その中でもトッドの知り合いというだけあって、それなりに話の通じるアレンにそう声を掛ける。
ちなみにジェリルの方は不機嫌そうな様子を隠しもしていないので、もしジェリルに話し掛けていたりしたら、間違いなく面倒な事になっていただろう。
「そうだな、思っていたのとは少し操縦感覚が違っていて驚いた。ただ、イメージで飛ぶってのは、慣れれば地上の戦闘機よりも使いやすいかもしれないな」
そう告げるアレンは、自分がビランビーを使うことに自信を持っているらしい。
実際、ビランビーを動かしているところを見た感じでは、それなりの動きだったし、才能があるのは間違いないだろう。
「トッドはどう思った?」
「悪くはないと思うが……しっかりと訓練を積んでから実戦に出した方がいいだろうな」
その言葉に、アレンとフェイは納得した様子を見せたものの、ジェリルは不愉快そうに舌打ちをするのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676