影のゲートを使って、ミの国に転移してくる。
時間としては、まだ昼前だ。
午前中に起きた戦いに参加し、ショウを捕らえた後はすぐミの国に転移してきたのだから、時間的にはそんなものだろう。
だが……当然の話ではあるが、周囲には反乱軍の姿はない。
いや、反乱軍どころかミの国の戦力すらもなかった。
「どうするの? 反乱軍と接触してフラオンの件を教えるという事だったけど、そうなるとどうやって接触すればいいのかが分からないのよね」
マーベルの言葉通り、俺は反乱軍の拠点をしらない。
本拠地を教えないのは当然であっても、どこかの拠点くらいはこっちに教えてもいいと思うんだが。
とはいえ、反乱軍というのもあくまでも向こうがそのような行動をしているといっただけで、具体的にどのような規模なのかは俺には分からない。
実は数人規模でしかないのかもしれないし、あるいは数十人……場合によっては百人規模の可能性もある。
まぁ、元々はラウの国との国交断絶が理由で生まれた組織だという話だし、普通に考えれば数人規模という事はないだろう。
ラウの国はバイストン・ウェルでも大国である以上、ミの国にしてみれば、そのような相手から国交断絶されるのは大きな損失だったのは間違いないだろうし。
「取りあえず適当に空を飛んでいればいいだろ。後は、機械の館を見つけたら出来れば確保したい」
ショットに言われていた、俺の為のオーラバトルシップに使う機械の館もそうだが、ホワイトスターに戻った時に、オーラバトラーの部品を作るという意味でも、使い道はある。
ホワイトスターにいる技術班の面々なら、機械の館を見ればもっと効率的な部品の作り方を考える可能性が高かったが。
ただし、あまりやりすぎるとミの国を占領した後でドレイクが不満を抱く可能性がある。
ただ、もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、ギブン領を占領してアの国を完全に支配したドレイクが、ミの国に攻め込まないという可能性も否定は出来ないのか。
ドレイクにしてみれば、ミの国は小国で、あまり魅力的な国ではない。
寧ろ、ラウの国との間に存在する国である以上、直接占領しないで防壁代わりに使うといった方法も悪くはない。
ただ、有能だとはいえ、ドレイクもバイストン・ウェルの人間だ。
どうしてもその価値観は、バイストン・ウェルのものに縛られてしまう。
その辺の事情を考えれば、やはり直接支配した方が手っ取り早いと判断する可能性が高い。
とはいえ、そうなるとミの国を治める人員を派遣する必要も出てくる。
ただでさえ、ルフト領からアの国の国王になったドレイクだけに、人材そのものはそう多くはない。
フラオンと一緒に行くのが嫌で残った連中が、どれだけ使えるかだな。
ああ、そうなるとミの国はそこまで気にする必要はないのか?
ミの国では、あくまでも国王のピネガンを追放するのが目的だ。
……いや、駄目だな。
ミの国の軍隊と戦って分かった事だが、ピネガンは多くの者に慕われている。
もしピネガンを玉座から下ろしてミの国から追放する事に成功して、その代わりにドレイクがこの国を治めると言っても、それに対して素直に納得する奴が一体どれだけいるか。
まず、大半の者はドレイクに従うのを拒否するだろう。
であれば、やはりミの国を治めるのに多くの人材が必要な筈だ。
まぁ、その辺は俺が考えなくても、ドレイクが自分で考えるだろう。
「さて、じゃあまずはミの国の上空を飛び回るか。昨日の一件は間違いなく知られている筈だ。自国の領土を侵犯されて、黙っているということはまずないだろうし。もしくは、反乱軍の方が先に俺達を見つけるか」
俺としては、どちらでもいい。
ピネガンに忠誠を誓っている兵士達は、どのみちドレイクが攻めてくればそれを防ごうと反撃をしてくるんだろうし。
あるいは、何らかの理由で戦わずに降伏するようになった場合でも、ドレイクに素直に従ったりせず、虎視眈々とドレイクを暗殺する機会を狙っていたりする者もいる筈だ。
勿論、中にはそこまでピネガンに忠誠を誓っていないような奴もいるだろうが、そういう奴を見分けるといったような真似は難しいし。
もし俺と遭遇してしまったら、その時は運が悪かったと諦めて貰うとしよう。
「分かったわ。じゃあ、行きましょうか。いつまでもここでこうしているのも、どうかと思うし。恐獣とかが出て来る可能性もあるから」
「恐獣? 出て来たら出て来たで、寧ろ俺にとっては倒しやすい敵なんだけどな」
恐獣は種類によるがオーラバトラーの素材になるし、肉は普通に食用として使える。
ましてや、ここで倒した恐獣は別にショット達に渡したりしなくてもいいので、空間倉庫に収納しておけば、ホワイトスターに戻った時にお土産として使えるだろう。
そういう意味では、ミの国のオーラバトラー隊ではなく、恐獣の方が嬉しいくらいだ。
「アクセルだものね」
呆れたような笑みを浮かべつつ、マーベルは駐機姿勢をとっているダンバインに乗り込む。
俺だからって理由は、正直どうかと思うんだが。
マーベルも、別に俺を責めるつもりでそんな風に言ってる訳でもないらしいので、取りあえずその辺は置いておくとする。
そうして俺もサーバインに乗り込み、2機でミの国の上空を適当に飛ぶ。
いつ敵が出て来てもいいように待っているのだが、当然ながらこっちが待ってるからといって、そう簡単に敵が姿を見せるような事はない。
そうして30分程が経過し……そこで、ようやく映像モニタに6機のダーナ・オシーの姿が映し出された。
白旗を持ってないって事は、反乱軍じゃないな?
「マーベル、敵だ」
『どうやらそのようね。白旗を持っていない以上、こっちに攻撃を仕掛けてくるのは間違いないでしょうね。……来た!』
マーベルの言葉の途中で、ダーナ・オシーは一斉にミサイルを発射する。
オーラバトラーが使っているミサイルは、威力という点では結構期待出来るものがあるのだが、幾ら攻撃力が高くても、命中しなければ意味はない。
ホーミング機能……とまではいかないが、近接信管くらいはあればいいんだが。
ミノフスキー粒子やニュートロンジャマーの類はない以上、ホーミング機能や近接信管の類があれば、かなり強力な武器になるだろう。
もっとも、技術的な問題でそれが出来ないのだろうが。
「撃破するぞ」
『了解』
俺の言葉にマーベルは素早く返事をし、一気に敵との間合いを詰めていく。
当然そのような行動をするという事は、自分からミサイルに向かって突っ込んでいくという事になる。
しかし、ミサイルは当たらなければ爆発する訳ではない。……まさにこれこそ、当たらなければどうという事はない! って奴だな。
あるいは、もっと多くの……それこそ50機、100機といった数を揃えてミサイルを一斉に発射し、こっちが回避するような空間的な余裕がないような状態にするとか。
そうでもしないと、6機程度のダーナ・オシーが発射するミサイルは、回避するのも難しくはない。
これは別に俺やマーベルだけではなく、一定の技量があれば誰でも出来るだろう。
トッドやトカマク、ガラリアやバーンといった技量があれば、問題はない筈だ。
そんな風に考えながら間合いを詰めていくと、向こうもミサイルでどうにか出来る相手ではないと判断したのか、全てのミサイルを発射したミサイルランチャーを投げ捨て、オーラソードを構える。
あのミサイルランチャー、使い捨てというのはかなり便利だよな。
先制攻撃をするという意味でなら、結構使い勝手がいい。
サーバインもダンバインもオーラショットという飛び道具を持っているし、予備弾倉もある。
それでも無限ではない以上、使い捨てのミサイルランチャーというのは、それなりに便利そうだ。
最悪、ミサイルじゃなくてミサイルランチャーの発射機構の方も投擲すれば武器として使える。
ショット辺りに頼んで開発して貰うのもいいかもしれないな。
そんな風に思っていると、サーバインに向かってダーナ・オシーの持つオーラソードが振るわれる。
昨日の一件が広まったのか、それともギブン領での戦いの生き残りからの情報なのかは分からないが、マーベルのダンバインよりも俺のサーバインの方を危険だと判断したのだろう。
6機中4機が俺に向かって攻撃してくる。
敵にしてみれば、しっかりと攻撃相手を狙っての分け方だったのだろうが、マーベルを相手にダーナ・オシーが2機程度ではどう考えても戦力的に足りないし、何より……
「たったそれだけで、俺をどうにか出来ると思ってるのか!」
4機のダーナ・オシーが、左右と前、そして上から一斉に襲い掛かってきたものの、その斬撃のタイミングは必ずしも揃っていない。
そもそも、この状況で斬撃を揃えるにしても後ろに飛べば問題はないのだが。
だが、相手のタイミングが合ってない以上、わざわざそんな真似をする必要はない。
振るわれたオーラソードの間を潜り抜けるようにしながら、前方にいるダーナ・オシーの真横を通り抜け……その横を通り抜けながら、オーラソードを振るう。
斬っ、と。
そんな手応えと共に、ダーナ・オシーの胴体がコックピット諸共に切断される。
同時にオーラショットを装備している方の手からショットクローを発射。
ダーナ・オシーの1機の身体にワイヤーが絡みつくと同時に、電撃を流す。
『うわあああああっ!』
恐らくはパイロット本人も自分が悲鳴を上げているといったつもりはないのだろう。
我知らず、大きな悲鳴を上げているのだ。
そんな相手の悲鳴を聞きながら、ショットクローでダーナ・オシーを振り回し、近くにいた1機に投擲する。
向こうもいきなりの事だったし、何より仲間が飛んできた以上は受け止めないという選択肢は存在しなかったのだろう。
そうして受け止めたところで、感電していたダーナ・オシーの背中をオーラソードで貫き、同時にその一撃を受け止めたダーナ・オシーにも攻撃し……ちっ、外したか。
いや、これは受け止めた敵の行動が上手かったのか。
ショットクローで捕らえたダーナ・オシーのパイロットを殺す事には成功したが、それを受け止めた方のダーナ・オシーは右肩を貫かれただけで終わった。
だが、逃がす訳にはいかない。
ショットクローを装備した方の手は完全にではないが自由に動けるようになっていたので、右肩を失ったダーナ・オシーに向けてオーラショットを撃つ。
その一撃は、至近距離でダーナ・オシーに命中し……コックピット諸共、その機体は爆散する。
当然ながら、そのような状況になっている以上は爆散した敵の近くにいたサーバインにもダメージがあるのだが、オーラソードでコックピットを貫かれたダーナ・オシーを盾にする事で、そのダメージを回避する。
これで残り1機。
そう思ってその1機に向かって武器を構えようとするが……
「は?」
映像モニタには、確かに残り1機のダーナ・オシーの姿が映っている。
ただし、それは後ろ姿だ。
この戦場から素早く……高機動型のオーラバトラーという特性を活かして最大限の速度でこの戦場から逃げ出したダーナ・オシーの姿だ。
逃がすか。
オーラショットを撃とうとするが、再び俺達というミの国を襲撃する者達が現れたというのをミの国に広げて貰う為には、伝書鳩的な意味で生かしておいた方がいいか。
そう判断し、真っ先に逃げていったダーナ・オシーは、そのまま逃がす事にする。
マーベルの方は……と視線を向けると、丁度2機目のダーナ・オシーのコックピットをオーラソードで貫くところだった。
「そっちも無事に終わったみたいだな」
『ええ。けど、そっちは1機逃がしたみたいだけど……よかったの?』
マーベルの言葉から、逃げた1機は俺が意図的に逃がしたのだと理解しているのだろう。
実際にはこっちの意表を突かれて逃げ出したのを、追撃しなくてもいいかと判断しただけなのだが。
「ああ、俺達の存在は出来るだけ大々的に知らせて貰った方がいいしな」
『あら、じゃあ私も1機逃した方がよかったかしら』
「別にそこまでしなくてもいいと思うぞ」
そう言いながらも、微妙に違和感を覚える。
俺が知ってる限り、マーベルは基本的に優しい性格をしているのだ。
にも関わらず、今はこうして平気で人を殺す事が出来るようになっている。
これが、例えば元々軍人だったりするのなら、そこまでおかしな話ではないのだが……マーベルはバイストン・ウェルに召喚されるまでは、本当に普通の学生だったのだ。
それを示すように、当初は恐獣を殺すのも戸惑っていたし、オーラバトラーを倒すのも躊躇していた。
それを思えば、今のように普通に人を殺せるようになったのは……バイストン・ウェルという世界に適応したと考えれば、そうおかしな話ではないのだろうが。
『アクセル? どうしたの?』
「いや、何でもない。取りあえず適当にミの国の上空を飛び回って、敵か機械の館を探すとしよう」
取りあえずマーベルに妙な様子はないので、大丈夫だろうと判断して、そう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676