朝食の時間が終わり、今日もまた戦いが始まる。
現在ギブン領で起きている戦いは、少し前までのバイストン・ウェルでは考えられないような戦いだった。
ショットやゼットがオーラマシンを開発したからこそ、このような戦いをする事になったのだろう。
周囲を飛んでいるドラムロや、ダンバイン、ドロを見て、しみじみとそう思う。
後方にはナムワンが数隻存在しており、こちらもまたすぐにでも後方から援護射撃を行えるように準備していた。
戦力だけで見れば、圧倒的にドレイク軍の方が有利なんだよな。
にも関わらず、戦いを見る限りだと何故か倒しきる事が出来ない。
そういう風になるのは、やはりショウの存在があるからこそだろう。
聖戦士としては一番才能のあるショウ。
ドレイクにとって不幸だったのは、そんなショウがギブン領に亡命したといったところか。
『どうしたの、アクセル？ 何だか後ろを気にしてるみたいだけど』
と、不意にサーバインの横を飛ぶ白いダンバインからそんな通信が入る。
それが誰なのかというのは、考えるまでもなく明らかだ。
「いや、後方にナムワンがこれだけいるって戦いも、少し珍しいと思ってな」
『ああ、なるほど。そういう事ね。……でも、もう少ししたらブル・ベガーとかいうオーラシップが完成するんでしょ？』
「ああ。出来ればそっちも欲しいんだが……」
そう言うと、映像モニタに表示されているマーベルは呆れの視線を向けてくる。
『あのねぇ。ナムワンだって十分に動かせるだけの人手はないのよ？ その上で、オーラバトルシップも建造して貰ってるんでしょう？ その上でブル・ベガーを貰っても、使い道がないんじゃない？』
「そう言われると、俺も否定は出来ないな」
実際、マーベルの言葉は決して大袈裟なものではない。
シャドウミラーという俺の勢力は、このバイストン・ウェルでは今のところ俺とマーベルしかいない。
俺がドレイクから報酬として貰ったナムワンも、現在はドレイクに預かって貰っているところだ。
具体的には、少しでも少人数で動かせるように改良して貰っているというのが正しい。
もしナムワンを使うにしても、それを運用する人手はドレイクから借りる必要がある。
ナムワンですらそれなのだから、オーラバトルシップを譲渡されたら、一体どうなる事やら。
機械の館をそのまま移築させるというショットのアイディアは、かなり画期的だ。
しかし、その機械の館を十分に使いこなす為には、当然だが熟練の技術者が必要となる。
当然ながら、俺の部下にそういう連中はいない。
ホワイトスターと繋がれば、技術班の面々が嬉々としてやって来るだろうが。
ただ、シャドウミラーの技術班と、バイストン・ウェルの技術者では、同じような意味でも実際には大きく違う。
それでもシャドウミラーの技術班なら、そう時間を掛けずにどうにかしてしまいそうな気がしないでもないが。
ともあれ、オーラバトルシップですらそんな有様である以上、ブル・ベガーを貰っても完全に持て余すといったマーベルの指摘は正しい。
正しいのだが、同時に間違ってもいる。
俺がブル・ベガーを欲しているのは、ゼラーナを欲しがっているのと同じ理由だ。
あくまでも、オーラシップという存在を解析する為……もっと言えば、ホワイトスターに戻った時に技術班への土産とする為という意味が大きい。
これまでシャドウミラーは色々な世界と接触してきた。
その大半は科学技術で人型機動兵器を開発するといったような世界であったり、もしくは魔法やペルソナを使って生身で戦闘をするような世界だったりする。
だが、このバイストン・ウェルは違う。
生体兵器とでも呼ぶべきオーラバトラーや、それ以外のオーラマシン。
それらは、これまで接触してきた世界ではなかった物だ。
……いやまぁ、世界によっては生物兵器とかもあったが、そういうのは言ってみれば恐獣を改造して兵器にしたりといった感じだ。
下手をすれば、その生物兵器が暴走する危険性すらあった。
あるいは、生物兵器という訳ではないがナノマシンを使った兵器とかもあったが、そっちはそっちで暴走するというイメージが強く、好んで使いたいとは思わない。
ともあれ、そんな兵器と違ってオーラバトラーは生物兵器ではあるが、それはあくまでも恐獣の素材を使って開発された人型機動兵器で、今まで全く接してこなかった技術だ。
そういう意味で、オーラマシンの類は可能な限り集めておきたいと思うのは当然だろう。
だからこそ、サーバインのマジックコンバータと違って普通のオーラコンバータによって動くオーラバトラー……ゲド、ダンバイン、ドラムロ、ダーナ・オシー、アルダムといった代物や、ドロ、ピグシーといったオーラマシン。それにショットやゼットが現在開発中のオーラバトラーのように、様々な機体を集めているのだから。
「オーラマシンは、今までシャドウミラーが接してきた事がない技術を持ってるからな。そういう意味では、少しでも多く集めたいんだよ。ブル・ベガーもそんな感じだ」
そうしてマーベルと話していると……やがて、映像モニタにギブン家の軍が姿を現す。
どうやら来たな。
まぁ、ギブン家としても俺達をそのままギブン領の中で好き勝手に動かれるといった訳にはいかないだろうし。
『アクセル王、では打ち合わせ通りお願いします』
映像モニタに表示されたバーンがそう言ってくる。
バーンにしてみれば、今回の戦いで俺に好き勝手に動かれる訳にはいかないのだろう。
ギブン家の討伐を自分の手柄とする為に。
とはいえ、今回の件は俺も承諾している……いや、トッドに上手く乗せられたといったところか？
トッドにしてみれば、ショウの相手を俺に任せて自分が手柄を挙げたいと思っているんだろうし。
実際にはショウを倒した方が大きな手柄になると思うんだが。
しかし、それはあくまでもショウを倒せればの話だ。
ショウの実力が高い以上、そう簡単に倒せる相手ではない。
……そう簡単に倒せない相手だからこそ、倒したら大きな手柄となるのだが。
トッドは自分やトカマクではショウに勝てないと判断したのだろう。
プライドの高いトッドにしてみれば、ショウに勝てないと認める事こそがある意味凄いと思うが。
とはいえ、トッドにしても最低限の手柄は立てておきたいといったところか。
「分かっている。ショウの生け捕りは俺に任せろ。……マーベルもいるし、問題はない」
『そうですか』
そう言い、バーンは通信を切る。
バーンにしてみれば、本当は俺の手を借りたくはなかったのだろう。
だが、それでもトッドの口車に乗せられてしまった以上、割り切ったといったところか。
「という訳で、俺達はショウのダンバインの相手をする。他の敵は基本的に相手にしなくてもいい」
『向こうから攻撃してきたらどうするの？』
「その時は反撃してもいい。バーンも、それで文句は言えないだろうし」
バーンにしてみれば、勿論それは不満だろう。
だが、攻撃してきた相手にも反撃をするななんて事は、当然のように言えない。
そして俺達の狙いがギブン家の中でも最強の戦力たるショウである以上、間違いなくギブン家はショウがピンチになれば介入してくると思う。
もしそんな事を言ってきた場合、こちらとしても相応の対処をする必要がある。
『分かったわ。じゃあ……戦いを始めましょうか』
マーベルの様子は、言葉程にやる気に満ちているようには思えない。
元々が優しい性格をしている以上、そんな風になるのはおかしくないのだろうが。
それでも、現在の状況を思えば、マーベルには……いや、ドレイク軍には戦わないという選択肢は存在しない。
「ああ。まずは、ショウをこっちに引き寄せる必要があるな」
当然の話だが、俺とマーベルがショウと戦いたいと思っても、ショウがそれを素直に聞き入れる必要はない。
ショウがドレイクの下にいた頃、俺とマーベルを相手にそれなりの数の模擬戦を行っている。
その全てで、ショウは1度も勝つ事が出来ていなかった。
つまり、そのような状況にも関わらず、ショウは俺とマーベルの2人を相手に戦いを挑むかとなると……少し難しいだろう。
勿論、ショウの強さが以前のままだとは限らない。
ギブン領に亡命した後で、ドレイク軍との間に実戦を繰り広げてきたのだから。
当然の話だが、訓練と実戦では実戦の方が圧倒的に技量が上昇する。
それは数え切れない程の実戦を潜り抜けてきた俺だからこそ、断言出来ることだ。
そんな実戦を潜り抜けてきたショウの技量が、現在どの程度なのか。
トッドとトカマクの2人を相手にしても互角以上に戦えるというのは、フラオンが裏切った時の戦いや、俺は直接見ていないが昨日の戦いが証明している。
その辺の事情を考えれば、間違いなく技量は上がってるんだろう。
だからといって、こっちの挑発に乗るかどうかは、分からない。
まぁ、挑発に乗ってこないならこっちは周囲の敵を攻撃するだけだしな。
約束と違うとバーンは文句を言ってきそうだが、ショウをこっちに誘き寄せる為に必要な行動だと言い張れば、バーンもそれ以上は何も言えないだろうし。
実際、それは決して間違いでも何でもない事実なのだから。
「ともあれ、まずは招待状だな」
呟き、ショウのダンバインに向けてオーラショットを発射する。
だが、撃った瞬間には既にショウのダンバインはオーラコンバータを全開にしてその場から離れていた。
俺が撃ったオーラショットは、そのままダンバインのいた場所を通って降下していき、近くにある草原に着弾した爆発を巻き起こす。
「こっちの存在に気が付いていたか」
『当然でしょ』
俺の言葉を聞いたマーベルが、呆れの表情と共にそう言ってきた。
まぁ、そんなマーベルの言葉は俺にも理解出来る。
何しろ、サーバインは赤く、ダンバインは白だ。
紅白といった感じで、非常に目立つ。
それだけに、向こうが俺達の存在に気が付くなという方が無理がある。
……ショウのダンバインも、ギブン家の軍の中では1機だけダンバインなので、かなり目立つんだが。
ギブン家の軍はダーナ・オシーが主力で、それ以外のオーラバトラーはない。
ダーナ・オシーはドラムロよりも性能が低いんだから、後継機とかを開発していてもおかしくはないと思うんだが。
単純に技術力不足で開発出来ないだけか？
けど、ギブン家にはショットの部下でダンバインの開発にも協力した技術者が亡命している筈だ。
そうなると、新型のオーラバトラーくらいは出来てもいいような気がするんだが。
ともあれ、こっちの攻撃でダーナ・オシーの集団から離れてくれたのは、俺にとっても悪い話ではない。
バーンに文句を言われるような事もないしな。
「マーベル、追い込むぞ」
『了解』
俺とマーベルは短く通信を交わし、オーラショットを回避してダーナ・オシーの集団から離れたショウのダンバインを追う。
とはいえ、ショウも別にダーナ・オシーから本当の意味で離れるといったような真似はなかったのか、ある程度の距離を開けたところで、こちらを待ち受けるように待機していた。
……妙だな。俺にもマーベルにも1対1で勝つ事が出来ないというのは、ショウも当然のように理解している筈だ。
にも関わらず、何故俺達から逃げるような真似をしない？
命懸けで俺達を倒す……いや、足止めをする？
だが、ギブン家にしてみれば聖戦士のショウは極めて強力な人材であり、それこそこの戦いでドレイク軍との戦いでは必須の戦力だ。
となると……そう思った瞬間、少し離れた森の中にナムワンが待機しているのを発見する。
普通のナムワンではなく、森の景色に溶け込めるように装甲を緑に塗られているナムワンだ。
あの迷彩に関しては、ショウからのアイディアか？
ともあれ、そのナムワンが機銃をこちらに向けていたのだ。
なるほど。ショウの役目は囮か。
勿論、俺とマーベルがこの戦いに参加するとは思っていなかったので、本来なら恐らくはトッドやトカマク、もしくはガラリアやバーン辺りを狙った罠だったのかもしれないが。
手柄を焦るガラリア辺りなら、ナムワンが待ち伏せしていた場所に誘き寄せられる可能性はあった。
そもそも、ギブン家がゼラーナ以外にオーラシップを持っているというのが驚きだったし。
ナムワンはドレイクがかなり広範囲に売ったオーラシップだ。
それだけに、ギブン家がどこからか入手してもおかしくはない。
そもそもギブン家の使っているゼラーナも、ナムワンをベースに改修された機体だし。
だからこそ、今回の一件のような事が起きても、特におかしくはないのだろう。
「マーベル、気をつけろ。森の中にナムワンが潜んで、こっちを狙ってるぞ。どうやら、ショウは俺達とまともに戦うつもりはないらしい」
『なら、私がナムワンを落としてくるわ』
そう言い、マーベルは森の中のナムワンに向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV：43
PP：1525
格闘：305
射撃：325
技量：315
防御：315
回避：345
命中：365
SP：1987
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル：EXPアップ
SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法（炎）
魔法（影）
魔法（召喚）
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数：1673