オーラショットの予備弾倉を補給し、念の為にサーバインやダンバインに装備出来ない分の予備弾倉もある程度空間倉庫に収納し、俺とマーベルは再びミの国までやって来た。
影のゲートがあるおかげで、ミの国とルフト領までの行き来が一瞬で出来るというのは、俺達にとっては非常に楽だよな。
もっとも、ドレイクが俺とマーベルに今回の件を頼んだのは、それを知っているからというのもあるのだろうが。
ともあれ、再びミの国に戻った俺とマーベルは、機械の館を探して上空を飛んで移動する。
『なかなか見つからないわね』
「それはしょうがないだろ。ミの国も何だかんだと広いんだからな。せめて、機械の館ではなくて、ミの国の部隊が俺達を倒しにやって来るとか、そういうのでもいいんだが」
元々俺達がドレイクから引き受けた仕事は、あくまでもミの国の注意を俺達の方に向けるというものだ。
そうである以上、別にミの国にある機械の館を襲わなくてもいい。
それでも機械の館を襲っていたのは、単純にドレイクがフラオンを倒してアの国を制圧した後でミの国と戦う時に有利になるようにと考えてだ。
言ってみれば、アフターサービスみたいな感じか? ……別にアフターじゃないか。
それ以外にも、今となってはゼットから頼まれたように壊れてもいい練習機として使う為にダーナ・オシーを少しでも多く確保するといった目的があったり、それ以外にもダーナ・オシー用の生産ラインを確保した場合、今回の一件で俺の為に建造されるオーラバトルシップで、ダーナ・オシー用の生産ラインを用意する事も出来るといったような、そんな意味もある。
だからこそ、出来ればこっちに向かってくるような敵ではなく、機械の館を見つけたいところなんだが。
そうして考えながらミの国の上空を飛んでいると……前方からダーナ・オシーが5機、姿を現す。
「どうやら、機械の館よりも前にミの国の軍に見つかったみたいだな。……それも機械の館で戦った連中と違って、一定の実力がある連中だ」
機械の館で訓練をしていたと思われる敵は、それこそ飛ぶというだけでかなり不自然な様子があった。
それを思えば、ある程度の距離を保ちながら飛んでいるのだから、あのダーナ・オシーのパイロットはある程度の訓練をした連中なのだろう。
そう判断して、攻撃をしようとしたのだが……
「は?」
先制の意味を込めてオーラショットを撃とうとしたのだが、その前にこちらに向かって来たダーナ・オシーが白旗を振る。
白旗の意味は、当然降伏をするといった意味だったり、もしくは戦闘をしないで交渉をしたいといったような意味だったりする。
するが……それは、あくまでも地上での話だ。
バイストン・ウェルでも同じ意味なのか?
あるいは、以前にバイストン・ウェルにやって来た地上人が残した知識だったりするのか?
『どうするの?』
「どうするって言われてもな。白旗を持ってる以上、攻撃をする訳にもいかないだろ?」
白旗を持っているが、実はそれは見せ掛けで、単純にこっちを攻撃してこようとするような相手という可能性もあるのだが、それなら反撃をすればいいだけだし。
それに、始まりの聖戦士と言われているマーベルだが、元々は大学生だ。
こうして白旗を持って近付いてきた相手に対し、いきなり攻撃をするといったような真似をすれば、間違いなく後々問題になる。
最悪、ギブン家……はないにしろ、俺の下からドレイクの下や、あるいはクの国辺りに行ったりする可能性も否定出来ない。
その辺は、まだ経験不足なのだから。
「ともあれ、まずは向こうと接触してみる。何を考えて白旗なんかを持ってきたのかは分からないが、話を聞いておいた方がいい」
あるいは、もしかしたら……本当にもしかしたら、実は白旗というのは降伏や話し合いを求めるようなものではなく、お前達を全員殺すといったような意思表示の可能性もある。
地上ではない以上、白旗が地上とは違う意味を持っているという可能性は否定出来ない。
それでも、今の状況で攻撃をしてくる様子がない限り、そこまで心配はしなくてもいいんだろうが。
取りあえず、向こうを警戒しながらも地上に向かって降下していく。
マーベルのダンバインもそれに続き、そんな俺達の様子を見た5機のダーナ・オシーもまた、地上に降下してくる。
どうやら、こちらに攻撃をしてくるといった様子はないらしい。
そのことに安堵しながら、それでも相手が妙な行動をした時は即座に反撃出来る準備をしておく。
さて、この交渉は一体何を求めてのものだ?
普通に考えれば、ミの国からの使者といったところか。
まだ俺達が暴れているという情報がどこまで広がっているのかは分からない。
だが、もしその情報を多少なりとも知れば、ミの国側で自分達に被害が出ないようにする為に交渉を求めて来ても、おかしくはない。
正面から戦って勝てるのなら、交渉を求めてはこなかったのかもしれないが。
そんな風に考えながら、地上の草原となっている場所に着地する。
「マーベル、連中とは俺が話し合う。もし万が一向こうがこっちを騙そうとしていた時は、マーベルが対処してくれ」
普通なら、幾ら性能が低いとはいえ、5機のダーナ・オシーをダンバイン1機だけでどうにかするのは難しい。
だが、それはあくまでも普通ならの話だ。
マーベルは聖戦士の中で、現在のところはという言葉が頭に付くが最強の人物なのは間違いない。
それこそミの国の兵士程度であれば、5対1であってもマーベルに勝つといったことはまず不可能だろう。
また、俺も生身で恐獣を相手に出来るのだから、ダーナ・オシーを相手にするといった事も出来る。
正直なところ、もしこれが騙し討ちの類であったとしても、この程度の戦力で俺とマーベルをどうにかするのは不可能に近い。
『分かったわ。気をつけてね?』
「大丈夫だ。向こうが何をしたところで、俺に危害を与えるような事は出来ないだろうし」
そう言い、俺はサーバインから降りる。
そんな俺の姿を確認すると、向こう側のダーナ・オシーからも人が降りてきて……へぇ、まさかこの状況で5人全員が降りてくるとは思わなかったな。
こっちはマーベルがダンバインで待機しており、何かあったら即座に対抗するように準備をしているのは、見れば明らかだ。
にも関わらず、ダーナ・オシーのコックピットから出て来たとなると、もしかしてこれは本気で俺に交渉を持ちかけようとしてきたのか?
最初は俺を誘き出す為の罠かと思っていたのだが、どうやらそれは違ったらしい。
交渉を求めて来たとなれば、それはそれで何を求めての交渉なのかといった疑問もあるが。
「ドレイク・ルフトの同盟者、アクセル・アルマーだ。それで、白旗を上げて近付いてきたという事は、その意味を理解しているのか? 俺の認識では、それは降伏の証といったところなんだが」
「降伏というよりは、交渉をして欲しいと思って今回このような真似をしました」
ダーナ・オシーのパイロットの1人……恐らくは向こうの代表なのだろうが、その男が俺を見てそんな風に声を掛けてくる。
年齢としては、40代……いや、50代か?
ファンタジー世界においては、かなり年齢が高いと言える。
地上なら医療技術が発達しているので、50代といった年齢は珍しくもなんともない。
だが、このバイストン・ウェルはファンタジー世界だ。
当然のように、医療技術とかは発達していない。
まぁ、ドレイクのように地位のある者なら、その辺はどうにか出来るんだろうが、一般人となれば……そこそこ珍しくてもおかしくはなかった。
「交渉か。今の状況でミの国が一体どんな交渉をしてくるというんだ? 交渉をするのなら、フラオンに協力するよりも前に接触してきたのなら、まだ納得出来る点もあったんだが」
「私達もそうしたかったのですが、当初はピネガンの勢力が強く、とてもではないがそんな真似は出来ませんでした」
へぇ。
今この男は、ピネガン王ではなくピネガンと、そう言った。
それはつまり、この男はピネガンに対して忠誠を誓っている訳ではないといった事か?
ただし、そういう風に見せ掛けているだけといった可能性もあるので、完全に信用するといったような真似は出来ないのだが。
「ピネガン、か。自分達の国王を呼び捨てにして、その上でそんな事を口にするってのは……当然だが、その意味を理解した上での行動なんだよな?」
念の為といったように尋ねる。
もしかしたら……本当にもしかしたらの話だが、実はピネガンに対して普段から呼び捨てにしているだけといった可能性も否定は出来ないのだから。
俺がフラオンを呼び捨てにしているように。
とはいえ、フラオンの場合は本人があまりに無能なので、そのように言うしかないというのも、間違いのない事実だったりするのだが。
「はい。私達の仲間……ここにいる者達もそうですが、他にもいる仲間達は、家がラウの国と取引をしていた者が大半です」
「ああ、なるほど」
その言葉だけで、この連中がピネガンを恨んでいるのだろう理由は分かった。
勿論、それはこの連中の言葉が真実ならばの話だが。
ただ、こうして見た限りでは、少なくても俺達と交渉をしている男が嘘を言っているようには思えない。
であれば、恐らくその言葉が真実なのだろうというのは容易に予想出来るのも、間違いはない。
「お前達はピネガンの恋愛の為に、大きな被害を受けた訳だ」
「は!」
俺の言葉に、即座にそんな返事がされる。
ミの国の国王たるピネガンは、隣接する大国ラウの王女と恋をした。
いや、あるいは王族として恋愛だけならラウの国王もそれを受け入れた可能性はあるだろう。
だが……恋愛だけではなく、お互いに結ばれたいと思ってピネガンと姫……パットフットとかいう名前だったと思うが、その2人は駆け落ちをした。
ぶっちゃけ、その時にラウの国王フォイゾンはミの国を攻めてもよかった。
それでも攻めず、国交断絶をするといった程度に留めたのは、フォイゾンもまた人の親だったという事だろう。
だが、その国交断絶によってミの国では俺の前にいる者達の家のように、被害を受けた者も多い。
ラウの国は大国として有名だ。
当然そのラウの国と取引を行っていた者も多かっただろうし。
けど、ピネガンの慕われ具合からすると、自分の決断によって国民が受けた被害は補償くらいしてもおかしくはないと思うんだが。
あるいは被害を受けた者が多すぎて、補償を十分に出来なかったとか、補償された方にしてもそれは満足出来る補償ではなかったとか?
そんな風に思うが、ともあれミの国の中に反ピネガンの者達がいるかもしれないという俺の予想が当たったのは、そう悪い話ではない。
そういう存在がいるかもしれないと予想はしていたが、実際には可能性は低いと思っていたんだが。
ともあれ、今の状況を考えるとこちらとしてはこのような連中の存在は決して悪いものではない。
ただ、ドレイクとしてはどうだろうな。
恐らく、ドレイクの中ではミの国はアの国を制した後で攻撃する対象と考えている筈だ。
それはつまり、ミの国をミの国として残しておくのではなく、アの国の領土とするつもりなのだろう。
……占領した後の事を考えると、基本的には誰かにミの国を治めさせて、それをドレイクが支配するという間接統治の方が色々と便利なのは間違いないんだが。
ドレイクの性格を考えれば、自分で直接統治したいと思ってもおかしくはない。
ましてや、ドレイクにはそれを行うだけの能力もある。
これでドレイクに能力が足りないのなら、間接統治といった方法も有用だったのだが。
その辺は、俺が考えるような事ではないか。
「まず、交渉をする前にこれだけは聞いておきたい。お前達はピネガンを排除すればそれでいいのか? つまり、もしピネガンを排除したのなら、その後はミの国を誰が治めるかといった事だが」
その言葉は、向こうにとっても予想外だったのだろう。
意表を突かれたといった様子でこちらに視線を向けてくる。
「それは……」
「お前達の望みがピネガンの排除で、現在アの国でフラオンを相手に戦っているドレイクにこの国の支配を委ねるというのなら、俺はお前達の行動にも協力出来る。だが、あくまでもミの国を治めるのはミの国の人間でなければいけないと言うのなら、残念だが俺がそれに協力するような真似は出来ない。今の状況においては、特にな」
もしここでミの国を治めるのはミの国の人間であるべきだと、そう相手が主張した場合、最初は協力出来るかもしれないが、最終的にはドレイク達と戦う事になる。
そして戦力で考えれば圧倒的にドレイクの方が有利な以上、それを覆すような何かを必要とするのは間違いない。
それこそ、戦いの最中にドレイク軍を背後から襲ったり、場合によっては他の国を更に自分達の味方として引き入れたり。
そんな事になった場合、ミの国での戦いは泥沼になるのは間違いないのだから。
俺の言葉に、向こうは深刻そうな表情で悩むのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1525
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1673