転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0270話

 既に恒例と言ってもいいあやかと神楽坂のじゃれ合いも収まり、ネギの恐らく生涯初であろう英語の授業が開始される。

 クラスの皆から期待の眼差しを向けられながらも意を決して教科書を開き、黒板に何かを書く。

 ……否。書こうとした、か。

 

「と、届かない……」

 

 当然と言えば当然だが、年齢的に現在の俺とそう変わらないネギだ。身長もそれ相応な訳で当然黒板の上の方には届かない。

 その様子に、どっと沸く教室。

 

「センセ、これをお使いになって下さいな」

 

 見かねたのか、あやかが妙に豪華な踏み台を黒板の近くへと置く。

 と言うか、なんであんな豪華そうな踏み台を持ってるんだ?

 

「委員長さん、ありがとうございます。これで何とか授業を進められます」

 

 あやかへと礼を言い、早速板書していくが……先程の黒板消しの件でまだ怪しんでいるのか、神楽坂がネギの後頭部を狙い、消しゴムの破片を輪ゴムで飛ばす。

 連続して後頭部を狙われたネギだったが、それをあやかが庇い……そして毎度の如くじゃれ合いが始まり、結局それは授業が終了するまで続いた。

 

 

 

 

 

「歓迎会?」

「ええ、そうよ。アクセル君が転校してきた時もやったでしょう?」

 

 千鶴の言葉に、阿鼻叫喚に近い馬鹿騒ぎを思い出す。

 そう言えば、結局まだ釘宮と約束した牛丼を食べに行ってないな。

 

「またあの馬鹿騒ぎをやるのか」

「そう言わないの。皆が騒ぎたいというのは確かだけど、新しい友人を歓迎したいというのも本当なんだから」

「まぁ、それは否定しない」

 

 実際、子供とは言っても男である俺を屈託無く受け入れている2-Aの生徒達には感謝しているのだ。

 

「それで、歓迎会で使うお菓子やジュースなんかを買いに行く予定だったんだけど、私がボランティアで行ってる保育園の保母さんが急用で手を貸して欲しいって連絡があったのよ」

「なるほど。俺は構わないが……お菓子やジュースなんか詳しくないぞ?」

 

 自慢じゃないが基本的に間食はそれ程しないし、するにしても肉まんやサンドイッチなんかの総菜パンとかその辺が多い。

 

「それなら大丈夫。アクセル君お気に入りの釘宮さん達にお願いしておいたから」

「いや、別にお気に入りという訳じゃないんだが。偶々縁があっただけで」

「人はそれを良縁と言うのよ?」

「いや、言わないから。意味違うから」

「そう? まぁ、いいわ。はい、これがお菓子代よ」

 

 そう言って渡されたのは、5千円札だった。

 

「こんなにか?」

「ええ。女子中学生の若い力を侮っちゃ駄目よ?」

 

 ……若い、ねぇ?

 チラリと千鶴を見上げると、ニコニコしながらも正体不明のプレッシャーを放たれる。

 

「何か言いたい事でも?」

「いや」

「那波さん、お待……た……せ? 御免。ちょっと用事思い出したから1時間程待ってて」

「そうそう。私達もちょっと急用がね」

 

 顔を出したものの、千鶴のプレッシャーにあてられその場で回れ右をする釘宮と柿崎。と言うか、逃がすか。

 ガシっとばかりに2人の腕を掴み、そのまま千鶴の前まで連れていく。

 

「ちょっ、ちょっと。アクセル君」

「この子何でこんなに力が強いの!? 火事場の馬鹿力って奴?」

「あらあら、2人共。どうしたのかしら?」

「いえ、何でも無いです。はい」

「そうそう。……くそう、桜子め。これを感じたから来なかったのね」

 

 柿崎の台詞で、椎名の姿が無いのに気が付く。

 麻帆良のラッキー仮面との異名を取る椎名だが、その本当の実力は強運による危機察知能力にあるのかもしれないな。

 だが、千鶴はそんな釘宮や柿崎の心配をよそに、既に謎のプレッシャーを発しない普通の状態へと戻っていた。

 

「釘宮さん、柿崎さん。じゃあアクセル君の面倒をお願いしますね」

「え、ええ」

「どちらかと言うと、私達が面倒見られる方かもしれないけどねー」

「美砂、それはちょっと情けないわよ」

「えー。でもさぁ、実際アクセル君って私達より余程しっかりしてると思うよ? その、言っちゃ悪いけどネギ君と比べても」

 

 まぁ、それはしょうがない。何せ精神年齢が違うからな。あっちは正真正銘の子供で、俺はいわゆる身体は子供、頭脳は大人な某ちびっ子探偵状態なのだから。

 

「と言うか、お菓子とかジュースには詳しくないんでな。流行りのものを選んでくれると助かる」

 

 そう言って、ふと気が付く。この2人がいれば別に俺がわざわざ買い物に行く必要は無いんじゃないか? ……まぁ、千鶴的には本来は自分の役目だったのでその代わりとして俺に行って欲しいんだろうが。

 

「あ、そういう事。それなら私達にお任せだよ。美味しい流行りのお菓子とか一杯知ってるしね」

「……ちなみに柿崎。一般受けしない類は却下だぞ」

 

 嬉しそうに笑う柿崎へと忠告する。

 何せ自分が助けられたお礼にと、ゴーヤクレープを勧めてくるのだから、念を押しておくに越した事はないだろう。

 

「えー。アクセル君もちょっとは冒険してみようよ」

「そうそう、食べてみると意外に美味しいかもよ?」

 

 柿崎に続き、釘宮までもが乗ってくる。

 お前等、そんなにゴーヤが好きか。

 

「まぁ、趣味に走った食べ物も多少は構わないけど……そればかりというのも、困るわよ?」

 

 柿崎と釘宮の話を聞いていた千鶴が、ウフフフと微笑みながらも再度謎のプレッシャーを発生させる。

 

「はいぃっ! もちろんです那波さん! 是非アクセル君の意見を参考にさせて貰います!」

 

 ビシィっとばかりに敬礼をする柿崎。そしてその後ろに隠れる釘宮。……実は結構ちゃっかりしてるな。

 

「そう? じゃあ歓迎会のお買い物の件、お願いするわね。私はそろそろ保育園に行かないといけないから」

 

 そう言っていそいそと教室から出て行く千鶴。その後ろ姿を見送る残された3人だったが、やがて千鶴の姿が見えなくなるとそれぞれが溜息を吐く。

 

「ふぅ。何と言うか最近の那波さん、ますます雰囲気が出て来たわよね?」

「確かに。いつくらいからだっけ?」

「それは、ほら……」

 

 柿崎がチラリと俺の方へと視線を向ける。

 その視線を追い掛けるように釘宮も俺の方を見て、すぐに納得の表情を浮かべた。

 

「そう言えばそうね。確かにアクセル君が転校してきた辺りからかしら。……いいんちょの暴走が増えたのもあの頃からだしね」

「それはまぁ、ほら委員長だし」

「だよねぇ。……にしてもアクセル君、よくあの2人と同じ部屋で暮らしているのに無事に過ごせてるわね」

「うわっ、円にしては際どい所を」

「え? 私、何か変な事言った?」

 

 ニヤリとした柿崎の笑顔に、意表を突かれた様子の釘宮。

 

「だって、ほら。ようはアクセル君が委員長に純潔を汚されてないか心配なんでしょう、円的には?」

 

 柿崎の言葉に、何を想像したのか釘宮の顔が微妙に赤く染まる。

 純潔ねぇ。いやまぁ、この子供の姿に戻ってからは確かに誰ともそういう関係にはなっていないんだから純潔と言えば純潔なんだよな。

 あやかが暴走する時もあるが、そういう時は千鶴や夏美が止めてくれるし。それになにより俺のベッドはあやかの部屋と居間に跨がって存在しているのでそういう雰囲気にはなりにくい。

 

「さて、ここでアクセル君の純潔について詳しく語っているのも楽しいんだけど、ネギ君の歓迎会の買い出しもしっかりしないといけないしね。……那波さんとか怖いし」

「……そうね」

 

 柿崎の言葉にまだ顔を赤くしながらも真剣な表情で頷きそのまま3人で教室を出て行く。

 

「で、買い物はどこでするんだ?」

「んー、そうね。商店街にあるスーパーなんかどう? ほら、前に買い物途中で会った」

「ああ、あの地獄のすき焼きパーティの時の」

「いやー、あれは面白地獄と言ってもいいような状況だったわね」

 

 あのすき焼きパーティ事件を思い出しているのか、釘宮も柿崎もどこか苦笑に似た笑みを浮かべている。

 

「ま、いい女的には過ぎ去った過去は忘れるものなのよ。取りあえず今考えるべきはネギ君の歓迎会の為のお菓子ね。折角の機会だから新製品を色々と試してみたい所なんだけど……」

「別にそれでもいいけど、その場合は那波さんの対応は美砂に一任するわよ?」

「御免なさい。新製品は少しだけにします」

 

 2-Aの中でもムードメーカーとして名高い(?)柿崎があっさりと前言を撤回する所に千鶴の凄さが現れていた。

 

「っと、見えてきたわね」

 

 釘宮の言葉に視線を向けると、確かにそこには何度か通った事のあるスーパーがあった。

 このまま歩いて5分程度といった所か。……何事も無ければ、だがな。

 そんな俺の嫌な予感は見事に的中する。

 

「ね、ね、ね。そこの美人なお二人さん。俺達とちょっと遊ばない? いい店知ってるんだけど」

「いえ、私達は用事が……あ」

 

 商店街でナンパというのもちょっとアレだが、まぁ、この年頃ならそれもしょうがないんだろう。だが、当然ナンパされる方としては嬉しい訳でも無いので断ろうとした柿崎だったが、その台詞は途中で止まる。

 

「ん? あれ? 君達どこかで俺と会った事ない?」

「馬鹿。そんなありきたりの口説き文句があるかよ」

「いや、そうじゃなくて……本当にどこかで……あぁっ!」

 

 最初に声を掛けて来た軽そうな男が柿崎と釘宮の顔を見ながら数秒程何かを思い出そうとして……それに成功する。

 

「お前等、確か前に……つーか、そこにいるガキ!」

「どうしたんだよ、お前らしくもない」

 

 もう1人の男が不思議そうに聞く。

 

「つーか、お前も忘れたのかよ! ほら、以前この2人をナンパしようとしたらしゃしゃり出てきたガキだよ!」

 

 軽そうな男の声が周囲へと響き渡った。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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