やはり、フラオンの部下だけあってか、凄腕じゃないな。
オーラソードの切っ先を突きつけている状況からなら、別にわざわざオーラソードを振りかぶるといった行為をする必要はない。
そのまま突き刺すといった真似をすれば、相手を殺すには十分な威力が発揮されるだろう。
オーラバトラーは想像力で動かす。
つまり、あのゲドに乗っているパイロットは、ゲドを動かせるだけのオーラ力は持っているが、戦う者としての才能は低いといったところなのだろう。
もっとも、今の場合は例え振りかぶらなくても、その一撃を止めてないが。
そんな訳で、ドレイクに向かって振り下ろされたオーラソードは、俺が瞬動を使って間合いを詰めて振るった拳によって、刀身半ばでへし折れ、回転しなからあらぬ方向に飛んでいく。
その刀身がドレイク軍の誰かに命中しないかと思ったが、幸いにして炎を生み出すなり、影槍を放つなりといった追撃の一撃は必要なく、そのまま誰にもダメージを与える事なく地面に落ちる。
『なっ!?』
ゲドのパイロットが、驚愕の声を出す。
オーラバトラーを使ったのならまだしも、まさか生身でオーラソードの一撃を防がれる……というか、オーラソードをへし折られるとは思ってもいなかったのだろう。
「無事だな?」
「ああ、さすがアクセル王」
ドレイクも驚きはしたものの、すぐにその表情を笑みに変えて俺に向かってそう言ってくる。
他の騎士や兵士達が唖然とした表情で俺を見ているのに比べると、その差は明らかだろう。
『貴様……アクセル・アルマーか!』
ゲドのパイロットがそう叫ぶ。
どうやら今まで俺の存在に気が付いてはいなかったらしい。
暗殺対象のドレイクが目の前にいたのだから、そちらに意識が集中するのは当然かもしれないが。
しかし、周囲の様子に気を配れず、狙った相手だけを見ているというのも、戦う者としては甘い。
とはいえ、このゲドのパイロットの言動には疑問が残る。
「何故俺の名前を知っている?」
そう、それは明らかに疑問だった
俺について詳しいのは、それこそルフト領の面々とクの国くらいだ。
ああ、ギブン家の方でも……いや、つまりそういう事なのか?
その辺に考えが及ぶと、何故このような状況になっているのかを理解した。
「フラオンはやっぱりギブン家と手を組んだ訳か」
そう呟くも、現在の状況……フラオンの軍がドレイク軍に攻撃をしているという現状や、こうしてフラオンの手の者がドレイクを殺しに来たのを考えれば、それは明らかだ。
だが、何故そのような事になったのか。
それは……
『やはりな。アクセル・アルマー。フラオン王の思し召しに逆らった反逆者。貴様を匿っていた時点で、ドレイク・ルフトが反逆者なのは明らかだ。ギブン家からの情報に間違いはなかった!』
そう叫ぶ。
フラオンに逆らったというのは、俺とマーベルが服を売った翌日に兵士が捕らえに来たのだが、そこから逃げ出した時の事を言ってるのだろう。
フラオンの性格を考えれば、俺やマーベルの事などもう忘れていて当然だと思っていた。
しかし、それはあくまでも誰もフラオンに俺達の事を知らせなければだ。
ニーは俺の存在を知っているし、何よりもショウやリムルが現在ギブン家にいる。
そこから俺やマーベルの情報が伝わり、フラオンは忘れていた俺やマーベルという存在を思い出し、そして俺とマーベルを匿っているドレイクを反逆者と認識した。
となると、やっぱりギブン家があそこまでダーナ・オシーの数を揃えられたのは、フラオンの力があってこそか?
だが、ドレイクも言っていたように、フラオンの性格を考えればギブン家だけがダーナ・オシーを持っているというのは我慢出来ないだろう。
それこそ、ドレイクを騙し討ちするというのも考えず、ただひたすら自分にダーナ・オシーを寄越せと、そのように言う筈だった。
つまり……
「フラオン以外にも、ギブン家に協力している奴がいるな? それも、領主といった規模じゃなく、国単位で」
『ほう、地上人でもそのくらいは分かるか』
地上人?
なるほど。ギブン家の方でも、俺の情報を全てフラオンに渡している訳ではないらしい。
まぁ、フラオンの愚王ぶりを考えると、情報を全て渡すといったような事は出来る筈がないが。
とはいえ、そうなると一番怪しいのは、やはりクの国となる。
何しろ、現在俺が知ってる限りオーラバトラーを開発出来るのはクの国……いや、違うな。
クの国はアルダムというオーラバトラーを独自開発出来るだけの技術を持っているが、生産するのがダーナ・オシーだけなら、別にクの国ではなくてもいい。
ギブン家にしてみれば、とにかく数を揃えられればそれでいいのだから。
「どこの国だ?」
そう尋ねるも、相手がそれを教えるとは思えない。
『ふんっ、それを言うと思うか?』
取りあえず、フラオンより有能なのは間違いないだろう。
もしこれがフラオンなら、それこそ嬉々として話しているのは間違いないのだろうから。
どこの国か。
それを考えるのは難しい。
アの国が多くの国に囲まれている状態なのだから、当然だろう。
クの国はドレイクとの関係から考えなくてもいいとして、そうなると残るのはミ、リ、ケム、ハワの4国。
ただし、リの国はドレイクと恐獣の素材を大々的に取引しているので、積極的に敵対するとは思えない。
勿論、それはあくまでも他の国よりも可能性が少ないといったところだが。
そうなると、残るのはミ、ケム、ハワ。
この3国に共通しているのは、どの国も決して国力が豊かではないといったところだろう。
特徴らしい特徴がない国。
ああ、でもミの国は1つだけ特徴があったな。
ミの国の上にはラウの国という国があり、このラウの国はかなりの強国と言ってもいい。
ミの国の国王の妻は、ラウの国の王女らしい。
ただし、それはラウの国とミの国が友好関係にあるという訳ではない。
それどころか、駆け落ちといった感じで半ば強引に国から逃げ出してラウの国の王女はミの国の国王と結婚したらしく、ラウの国とミの国は隣接しているにも関わらず、国交断絶して全く交流がないらしい。
まぁ、ラウの国の国王の立場になってみれば、その辺は納得出来るところもあるんだが。
ともあれ、ミの国はそういう悪い意味で有名な国なのは間違いない。
「なら、力ずくで聞き出させて貰おうか」
そう言うと、ゲドのパイロットは呆れた様子で口を開く。
『力ずくで、だと? 貴様、状況を理解しているのか? 俺はゲドに乗っているのに対し、お前は生身だ。この状況で、どうやって力ずくで聞き出すつもりだ?』
このパイロットは、さっきドレイクに向かって振り下ろしたオーラソードが、俺によって弾かれたのを忘れたのか?
それ以前に、ショウやリムルといった面々から俺の情報を聞いたのなら、俺が生身で恐獣と戦っていたという話を知っていてもおかしくはないと思うんだが。
あるいは、その情報を聞いても有り得ない事だと判断されたか。
どのみち、俺にとっては悪い話じゃないのは間違いのない事実だ。
「どうやってだろうな。そもそも、相手のオーラバトラーがゲド……それも、ゲドすらろくに使いこなせていないパイロットが相手だ。正直なところ、俺が何かをするよりも前にあっさりと死ぬといったことになってもおかしくはないと思うけどな」
『き……貴様ぁっ!』
一瞬、何を言われたのか分からなかった様子の相手だったが、それでもすぐに自分が侮辱されたと理解したのだろう。
俺に向かってオーラソードを振り上げてくる。
よし、取りあえずこれで不意にドレイクが攻撃されるといったような事はなくなったな。
ドレイクやその周囲にいる護衛の騎士達に、ここからどいてろと手で示す。
そんな俺の行動に真っ先に気が付いたのは、当然のようにドレイク。
部下達と共に、戦闘となる場所から離れていく。
俺達にとって幸いだったのは、ドレイクを殺す為にやって来たのがこのゲド1機だけだったという事か。
普通なら何かあった時の為に、もっと多くの戦力を送ってきてもおかしくはないんだが。
そうならなかったのは、やはりフラオンが愚王だったからだろう。
とはいえ、その愚王っぷりに今回は助けられたのだから、俺としてはそれに対して不満はないのだが。
味方であるとその愚王っぷりは非常に厄介だが、敵になった場合は非常に助かる。
フラオンにしてみれば、自分の部下でゲドを操縦出来る者は少ないし、その少数もギブン家と挟撃に派遣している。
ドレイクにしても、出せる戦力はほぼ全て前線に出しており、護衛の戦力はいない……もしいてもオーラバトラーはいないと、そう思っていたのだろう。
そういう意味では、的外れだったと言ってもいい。
俺とマーベル以外にも数機のドラムロはいるし、ドロもそれなりの数がいざという時の為に待機している。
まぁ、今回の件はあまりに予想外だったからか、出番はなかったが。
しかし、俺がこうしているという時点でフラオンの狙いは失敗しているに等しい。
『死ねぇっ!』
叫び声と共に、俺に向かって振るわれるオーラソード。
その声の内容こそ勇ましいのだが、ショウやトッドは勿論、トカマク――以前ではなく今の――にすら劣る機体の動きで俺に攻撃を命中させるような真似出来る筈がない。
いや、寧ろこの場合は回避するよりも防いだ方がいいか。
ぶっちゃけた話、オーラソードは普通の物理攻撃以外のなにものでもない。
そうである以上、俺がそのまま食らっても混沌精霊の俺にダメージを与える事は出来ない。
混沌精霊としての力を見せる必要はないので、そのまま手を伸ばし……俺に向かって振り下ろされた刀身を、そのまま受け止める。
『何ぃっ!?』
そんな光景に驚きの声を上げたのはゲドのパイロットだったが、同時に周囲で様子を見ていたドレイクの部下達も信じられないといった視線をこちらに向けていた。
一応俺が生身で恐獣を狩っていたというのを知っている者も多いのだろうが、実際にそういう光景を自分の目で見たことがなかっただけに、オーラソードを生身で止めるといった真似が出来た光景に驚愕したのだろう。
「どうした? こんなものか?」
それは挑発の為の言葉であったが、同時に素直な気持ちでもある。
実際、今の一撃は人を殺すという点なら問題ない一撃だったが、恐獣を殺せるかと言われれば、それは否だ。
少なくても、マーベルが使っていたゲドの一撃はもっと速度があり、威力も高かった。
初めて作られたオーラバトラーのゲドは、ダンバイン程ではないにしろパイロットの持つオーラ力によって性能が上下する。
そういう意味で、見た感じ何とかゲドを動かせる程度の実力しかなかったこの男は、ゲドの性能を十分に発揮出来るだけの実力がなかったということなのだろう。
『ば……化け物が!』
そう叫び、再度オーラソードを振り下ろす。
普通ならここで横薙ぎの一撃を放ってもおかしくはないのだが、俺はオーラバトラーに乗ってる訳でもない、生身だ。
そんな俺に横薙ぎの一撃を放つとなれば、それこそゲドをしゃがませながら一撃を放つ必要があり、何とかゲドを動かせるといったこの男にはそのような技量はなかったのだろう。
再度放たれた一撃も受け止め、それどころか刀身をしっかりと握り締める。
そうなると、ゲドのパイロットが再びオーラソードを振り上げようとしても、俺に抑えられているのでそんな真似は出来ない。
そうして動かせなくなったオーラソードに、ゲドのパイロットは焦った声で叫ぶ。
『何故だ!? 何故このような事に……くそう、こんな真似が許されてなるものか!』
「うるさいな。少し黙ってろ」
そう言い、握っている刀身をもう少しだけ強く握って手元に引き寄せる。
『おわぁっ!』
咄嗟にオーラソードを離すような真似が出来れば、ゲドもバランスを崩すような真似はしなくてもよかったのだろう。
だが、生憎とゲドのパイロットは動揺と技量の未熟さから、そんな真似は出来なかった。
結果として、ゲドはバランスを崩して地面に倒れ込む。
ずずん、と。
ゲドの重量そのものはPTやMS程ではないにしろ、それでも十分な重量を持っているのは事実だ。
そうである以上、ゲドが倒れ込む音は大きなものとなるのは当然だろう。
そうして倒れ込んだゲドを見ながら、ゲドの持っていたオーラソードを奪い取る。
ゲドは基本的にオーラソードしか武器を持っていない。
いやまぁ、ギブン家と繋がっているのなら、ダーナ・オシーが使っているミサイルランチャー辺りを持っていてもおかしくはないのだが。
ミサイルランチャーは手持ちの武器なので、ゲドも普通に装備出来る。
あるいは、オーラショットの情報を持っている技術者だったり、それを使うダンバインがあるのだから、それを量産するような真似も出来るだろう。
それでも、こうして見た限りではその手の武器を持っていないのは間違いなく、オーラソードがなくなった時点で武器はなくなる。
そうして武器を奪われたゲドのコックピットを強引に開いて、パイロットを捕虜とするのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650