転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0269話

 ネギとの顔合わせが済んで、ようやく一段落……という所で、近右衛門からの爆弾が投下された。

 子供嫌いを公言している神楽坂の部屋にネギを泊めて欲しいとか。

 いや、近右衛門の話によると近衛に魔法に関してバラしたいという話だったので最初からその予定だったと見るべきか。巻き込まれた神楽坂は悲惨だがな。

 あぁ、いや。でも神楽坂に関しても魔法無効化能力とかいうスキルを持ってるのを考えると最初から巻き込む気だったのかもしれないな。

 個人的にはその辺、いまいち気に食わないが……

 

「もうっ、そんな何から何までーっ!」

「フォフォフォ」

「アスナ、アスナ。この子可愛えーから、私はええよ?」

「もうっ、木乃香ったら……私がガキ嫌いなのを知ってるでしょ」

「でもアクセル君相手だとそんな感じには見えへんけどなぁ」

「そっ、それは……あいつが子供だけど子供じゃないっていうか……とにかく! 何でかは分からないけど、アクセルには子供っぽい感じがしないからよ!」

 

 神楽坂のその言葉を聞き、思わずピクリとしてしまう。

 実はこいつ、馬鹿だけど勘は鋭いのかもしれないな。……いや、馬鹿だからこそ勘が鋭いのか?

 そんな風に考えていると、近右衛門が口を開いた。

 

「仲良くしなさい」

 

 学園長からの言葉だけに2人共聞かない訳にはいかないらしく、結局そのまま殆ど済し崩し的にネギの住む場所は神楽坂達の部屋に決まったらしい。

 神楽坂は不満気に黙り込み、ネギもまた顔を膨らませている。

 

「……あっ、そうだ。アクセル君の部屋は? ほら、僕とアクセル君は男同士だし!」

 

 名案とばかりに顔を明るくしたネギだったが、俺はそれに顔を横に振る。

 

「残念ながら俺の部屋もクラスの女と一緒だ」

「そう言えばそうよね。あんたよく委員長と一緒に部屋にいるのに美味しく頂かれてないわね。……はっ、もしかして実は既にいいんちょの魔の手に!?」

「神楽坂、お前欲求不満か?」

「ちょっ、花の乙女に向かって何て事を言うのよ! 高畑先生が変な誤解するでしょ!」

「お前の場合、花の乙女というよりは、鼻の乙女って感じだがな」

「あー、何となくそれ分かるわー」

 

 俺の言葉に近衛が頷く。

 

「ちょっと、木乃香!」

 

 神楽坂の叫びも虚しく、結局ネギは近右衛門の言葉通りに神楽坂達の部屋に泊まる事になったのだった。

 そのまま高畑以外は学園長室を出て、職員室にネギの荷物を置いてから2-Aの教室へと向かうが、神楽坂とネギの冷戦状態は未だ続いており、2人共碌に顔を合わせようともしていない。

 

「あれー? ネギ君とアスナは相性ええと思ったんやけどなぁ」

「きっとそのうち慣れるわよ」

 

 近衛と源の会話を聞くとは無しに聞いていると、ネギがアスナへと声を掛ける。

 

「あの……」

「あんたなんかと一緒に暮らすなんて私は絶対にごめんだからね。住む所が決まるまでは寝袋でも何でも使ってどこか他の所で暮らしなさいよね!」

 

 念を押すようにそう宣言し、近衛と2人で先に教室へと向かう。

 

「あぅー。何ですかあの人は……」

「フフ。あの子はいつも元気だからね。でもいい子なのよ」

「まあ、確かに。俺に対してはあんなにきつく当たらないんだけどな」

「アクセル君……その、もしどうしても駄目なら泊めてくれるかな?」

「……どうしても駄目なら、な。ただし、立場的には俺もお前と同じだ。ルームメイトがいいって言ったらだがな」

「あらあら、早速男の子2人で仲良くなったのね。はい、これはクラス名簿よ」

 

 源が持っていたクラス名簿をネギへと渡す。

 

「それよりもネギ君、授業の方は大丈夫なの?」

「ちょ、ちょっと緊張してきました……」

 

 そんな話をしているうちに、2-Aの教室へと辿り着く。

 

「ほら、ここがネギ君の教室よ」

 

 源にそう言われ、ネギは少し開いているドアの隙間から教室の中をこっそりと覗き込む。

 教室の中ではいつものように賑やかに騒いでいるのだろう。開けられているドアの隙間からでも中の音が聞こえて来る。

 そしてクラスの中と、自分の持っているクラス名簿を確認するネギ。

 数秒、何かを考え込んでいたらしいが意を決してドアを開けようとして……頭上から黒板消しが降ってくる。

 先程中をこっそり覗いた時には既にドアに挟まれていたのだろうが、こっそりと覗き込んだ故にドアは開かれておらず、その時は落ちてこなかったのだろう。

 だがその黒板消しはネギの頭に命中する直前、ピタリとその頭上で止まり……咄嗟にネギが障壁を解除したのかそのまま頭へと命中する。

 その様子に一瞬教室がざわめくが、一歩進んだネギが今度は仕掛けられていたロープへと引っ掛かり、バケツがどこからか落ちてきて、吸盤付きの弓矢が発射され、それらの衝撃で転んで教壇へと突っ込んでいく。

 いや、我がクラスながら非常に見事なトラップ連鎖だ。以前に高畑に仕掛けたのと同じような罠だが、その熟練度が上がっているのが分かる。恐らく悪戯の名手である鳴滝姉や春日の仕事だろう。

 その様子に思わずクラス中に笑いが広がるが、すぐにトラップの餌食になったのが10歳程度の子供だという事に気が付いたのか悪戯を仕掛けた面々がネギへと集まってきた。

 

「えーーーっ、子供!?」

「君、大丈夫?」

「ごめん、てっきり新任の先生だと思ったんだけど」

 

 上から順に、椎名、佐々木、鳴滝姉だ。

 そんな様子を笑みを浮かべて眺めていた源だったが、パンパンと手を叩いて皆の注目を集める。

 

「いいえ、その子が貴方達の新しい先生よ。さ、自己紹介してもらおうかしら。ネギ君」

「は、はい」

 

 トラップ連鎖で服に付いたゴミ等を払い、改めて教壇の前へと立つネギ。

 そんなネギを見ながら、俺も自分の席へと戻る。

 

「今日からこの学校でまほ……英語を教える事になりました、ネギ・スプリンフィールドです。3学期の間だけですけど、よろしくお願いします」

 

 そう言って、ペコリと頭を下げるネギ。そして静まる2-Aの教室。と言うか、明らかに魔法って言いかけたよな。魔法学校を飛び級で卒業したという話だし秘匿意識が薄いのかもしれないな。……俺が言える事じゃないが。

 そんな様子を見た俺は、隣にいるエヴァと共に耳を塞ぐ。ちなみに俺の席の近くでは長谷川や綾瀬も耳を塞いでいた。

 

『キャアアアアアアアっ、可愛いーーーーーーー!』

 

 同時に響く歓声。と、ネギへと向かってクラスの殆どが突っ込み揉みくちゃにしている。

 そんなネギの様子に苦笑を浮かべながらも、隣で観察するようにしてネギを見ているエヴァへと声を掛ける。

 

「どうだ?」

「ふむ、そうだな。何で魔法障壁を展開しているのかは分からないが、魔力自体はそれなりに大きいな。さすが奴の息子という所か」

「ん? 魔法障壁は常時展開してるんじゃないのか?」

「まさか。私のようなお尋ね者だったり、戦場に身を置く者ならまだしも普通はそんな真似はしないさ。今のように何かあった時に怪しまれるだろう?」

 

 確かに黒板消しが落ちてきた時の一瞬の浮遊を見た神楽坂がどこか不審そうな表情でネギを見ている。

 と言うか、ついさっきまで運動着だったのにいつの間にか制服に戻ってるな。廊下で俺達を置いていった時に着替えたのか?

 

「しかしマスター。ネギ・スプリングフィールドがサウザンドマスターの息子であるというのなら、他人に狙われる可能性が無いとは言えません。それを考えると障壁を展開していてもおかしくないのではないでしょうか」

 

 茶々丸がエヴァの方を見て、そう尋ねる。

 その質問に軽く頷き、ネギの方へと視線を向けるエヴァ。

 

「確かにそう言われるとその可能性も考えられるが……だが、ああやってあわあわしている所を見る限りではちょっと信じられんな」

 

 エヴァがそう言った途端、教壇の方からざわりとした声が聞こえて来る。

 そちらを見ると、そこではネギの襟首を片手で持ち上げた神楽坂の姿があった。

 

「ねえ、あんた。さっき黒板消しに何かしなかった? 何かおかしくない、あんた」

 

 アスナのその言葉にギクリとするネギ。内心の感情が思い切り表情へ出ている所に未熟さを感じる。

 いや、ネギは俺と違って正真正銘の子供なんだからそこまで言うのは酷かもしれないな。

 ネギがあうあうと唸っていると、そこに救いの手がさしのべられる。机をバンっばかりに叩いてあやかが立ち上がったのだ。

 

「いい加減になさい! 皆さん、席に戻って下さい。先生もお困りになってるでしょう。全く、こんな可愛い子に暴力を振るうなんて……これだからおサルさんは困りますわ。ネギ先生、大丈夫ですか?」

「なんですって?」

 

 額に血管を浮かび上がらせながら、ギロリとばかりにあやかを睨みつける神楽坂。

 だが、あやかはそんな神楽坂に見向きもしないでネギへと声を掛ける。

 

「ネギ先生はオックスフォード大学を卒業した天才と伺っていますわ。教えるのに年齢は関係ございません。どうぞHRをお続けになって下さい」

 

 なるほど、ネギはオックスフォード大学を卒業したという経歴になっているのか。にしても、俺ですら今知った情報をあやかは良く知ってるな。さすが性癖以外は完璧お嬢様だ。

 ちなみに、俺の斜め前の席に座っている長谷川は頭を抱えて『労働基準法はどこいった?』とか呻いていた。

 

「は、はぁ。どうも」

 

 あやかの取成しで何とか落ち着いたのかHRを続けようとするネギ。だが、そう簡単に事が進まないのが2-Aクオリティだ。

 

「委員長、何いい子ぶってんのよ、アンタ」

「あら。アスナさんと違っていい子なんだから、いい子に見えてしまうのは当然でしょう?」

「何がいい子よ、このショタコン。アクセルからこのガキに乗り換える訳?」

「なっ! わ、私のアクセル君に対する愛は真摯なものです! プラトニックなもので、真実の愛なのです!」

 

 いや、教室中所か隣のクラスにまで響くような大声で宣言しなくても。

 チラリと横を見ると、ニヤニヤとした目のエヴァと視線が合った。

 

「真実の愛、だそうだぞ?」

「あー、まぁ……麻疹みたいなもんだろ」

 

 何と言うか、恋人が3人もいる身でありながら10歳近く年下の相手にこうも明け透けに好意を寄せられると対応に困るな。

 

「何がプラトニックよ。委員長の場合欲望一直線じゃない」

「なっ、ななななな……アクセル君の前で良くもそんなあること無い事……いえ、無い事無い事を仰いますわね。あんたなんかオヤジ趣味のくせに! 知ってるのよ、貴方高畑先生の事を……」

 

 あやかはその先を口に出す事は出来無かった。神楽坂が素早くあやかへと掴みかかったからだ。

 

「うぎゃー! その先を言うんじゃねーこの女ぁっ!」

 

 そして2-Aでは既にお馴染みとなった掴み合いの喧嘩……と言うか、じゃれ合いが始まる。ネギはおろおろとしているが、周囲の生徒達はいつもの事とばかりに食券を賭ける者までいたりする。オッズ的には神楽坂の方が若干高いか?

 だが、そんな騒ぎも再び手を叩いて注目を集めた源が鎮める。

 

「はいはい、皆。時間も押してるし授業しますよ! ネギ先生、お願いします」

「は、はい」

 

 その言葉にほっとした様子のネギだった。

 ……正真正銘の子供に、この2-Aの担任を任せるというのはちょっと厳しいと思うんだがな。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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