パーティが終わった日の翌日……この日は、俺は特にやる事はなかった。
とはいえ、やるべき事がないのはあくまでも俺達だけであって、ドレイクやビショットは当然色々とやるべき事があるだろう。
ドレイクはアルダムを数機購入するつもりだろうし、ビショットの方でもドラムロを始めとして色々と購入していきたい物がある筈だ。
あるいは、双方共に購入という形じゃなくて、アルダムとドラムロを交換するといったような取引になる可能性も否定は出来ないが。
ただし、その辺の交渉については俺が口出しするような事ではないので、特に気にした様子もなく普段通りの仕事をしていた。
「ぐぅ……生身でも勝てぬか」
ただ、普段と違うのは、生身での模擬戦にドレイクの部下たちだけではなく、ビショットの部下――ガラミティだけだが――が参加していたといったところか。
アルダムを使っての模擬戦では勝てなかったので、生身での戦いで一矢報いたいと、そう思っての判断だったのだろう。
だが、クの国の騎士として鍛えており、それこそ地上人の一般人や、それどころか軍人と比べても銃火器を使わない戦いであれば勝てるだろう強さを持っていても、結局のところ普通の人間でしかない。
これでガロウ・ランなら、高い身体能力を持っている分、それなりに戦いになったかもしれないが。
「それなりの腕だったぞ」
これはお世辞でも何でもない。
生身で戦った場合、ガラミティは間違いなくガラリアよりも強い。
バーンともそれなりに互角に戦えるだろう。
ただし、バーンはオーラバトラーはともかく、生身ではそれなりに俺と模擬戦を行っている。
その辺を考えると、ガラミティがバーンに勝つのは難しいだろう。
「感謝する」
まだ悔しそうではあったが、それでも素直に負けを認めるガラミティ。
そうして何人もの相手と模擬戦を行い……休憩となったところで、ふと気が付く。
「そう言えばショウ達はどうしたんだ?」
「何でも、ダンバインの調整があるという話よ」
そう言ってきたのは、マーベル。
当然ながら、マーベルもまた生身での模擬戦には参加していた。
とはいえ、マーベルの場合はバイストン・ウェルに来るまでは普通の大学生だった。
そういう意味では、オーラ力と操縦センスでどうにかなるオーラバトラーとは違って、生身の戦いとなると完全に素人でしかない。
それでも、マーベルは生身での戦いにおいても、相応の実力を発揮するようになっている。
ガラリアのような、ドレイクの部下の中でも強者と呼ぶべき相手には勝てないが、平均的な実力を持つ騎士相手なら6割から7割くらい勝率を得るくらいには。
とはいえ、それはあくまで模擬戦での話だ。
本当の意味で戦いになったら、どうなるか。
それは俺にも分からない。
「ダンバインの調整か。……そう言えば、最近ショウはリムルと仲がいいらしいな。聞いてるか?」
「ええ。ガラリアから少し聞いたわ。……意外よね。アクセルの事を悪しきオーラ力の持ち主と言うくらいだから、彼とも相性は悪いと思ってたんだけど」
その辺は俺にとっても意外だった。
以前に中庭で2人が話しているところを見たというのもあるから、納得しようと思えば出来るんだが。
とはいえ、ショウがリムルとの関係を深めるには、まずドレイクに認められる必要があるだろう。
でも、今のショウは地上人3人の中で一番優秀な聖戦士と思われてるので、それを考えれば、ショウとリムルがくっつく可能性というのは、そう難しい話でもないのか?
とはいえ……
「物好きだよな」
「あら、何が?」
「ショウだよ。正直なところ、俺のリムルに対する印象はかなり悪いからか、そういう対象としては見る事が出来ないし」
人を見れば悪しきオーラ力だ云々の言ってくるような奴と友好的に思えという方が無理だろう。
それ以外にも、リムルとそういう関係になるという事は、ルーザと身内になるという事を意味している。
そういう意味では、リムルは間違いなく地雷と呼ぶべき存在だろう。
少なくても、俺は自分から地雷に近付きたいとは思わない。
ショウにしてみれば、ルーザという存在を受け入れた上でリムルと付き合いたいとか、そんな風に思ってもおかしくはないのだが。
実際、俺にとっては非常に不思議な事なのだが、ドレイクの部下達のリムルに対する人気は高い。
勿論、ドレイクの娘という事で悪く言ったりは出来ないのだろうが、それでも人気が高いのは間違いなかった。
バイストン・ウェルの人間にしてみれば、リムルはかなり可愛いと思えるのだろう。
「そうなれば……ん?」
と、マーベルと会話をしていた中で、不意に聞こえてきた音に意識を集中する。
それは、警戒音。
この音が鳴るという事は、誰かが襲撃してきたのだろう。
そして誰かというのは、考えるまでもなく明らかだ。
恐獣という可能性もあるが、それよりも高い可能性として……
「ギブン家か」
そんな俺の言葉に、聞いていたマーベルが真剣な表情で頷く。
マーベルにしてみれば、この状況で襲撃をするのはギブン家以外にいないという事なのだろう。
模擬戦をしていた騎士達も、それぞれが自分のやるべき行動に移っている。
「アクセル王! 俺はビショット王の下に向かう!」
ガラミティがそう叫ぶと、俺の返事を聞く前に走り去る。
ガラミティにしてみれば、ビショットの護衛としてルフト領までやって来たのだ。
今まではルフト家の領土内という事で、ビショットの側にいる必要はなかった。
勿論、現在はガラミティ以外の騎士が護衛をしているのだろうが。
しかし、ルフト家がギブン家――多分だが――の襲撃を受けたとなれば、話は違ってくる。
ギブン家がビショットが現在ルフト領にいるのを知ってるかどうかは微妙だろう。
情報収集に力をいれていれば、当然その辺の情報を入手する事も出来るだろうが……最近のギブン家は、ドレイクによって結構なダメージを受けている。
そうである以上、ギブン家が情報収集の方に人員を回せるかどうかは、微妙なところだろう。
つまり、ギブン家がビショットの存在を知らない可能性も否定は出来ない。
とはいえ、別にビショットの訪問は決してお忍びといった訳ではない。
俺達がクの国に行った時と同様に、ナムワン2隻で移動してきている。
そうなると、幾らギブン家の情報収集能力が落ちているとはいえ、ビショットの存在に気が付かないなどといったことがあるかどうかは、微妙だろう。
個人的には、ビショットがいるからこそ仕掛けてきたといった可能性の方が高いと思うが。
言うまでもなく、この状況でビショットが怪我をするなり、ましてや死ぬといったような事になった場合、その責めを負うのはビショットを迎え入れたドレイクだ。
実際に攻撃を仕掛けてきたギブン家の方が責任は大きいと思うが、ギブン家はその辺を気にする事はないだろう。
「アクセル、私達はどうするの?」
「機械の館に向かうか。いつドレイクから力を貸して欲しいという要望が来るかどうか分からないしな」
ドレイクにしてみれば、俺達に力を貸して欲しいと要望してくるのは出来れば避けたいだろう。
俺とマーベルは、ドレイクと友好的な関係を築いているものの、それでも結局のところはドレイクとは別の勢力なのだ。
そんなドレイクが俺達に協力を要請してくるという事は、そこに何らかの報酬が存在することを意味している。
ドレイクにしてみれば、俺達に仕事を依頼しておいて報酬を支払わないという選択肢は存在しない。
もしそんな事になった場合、俺達はドレイクと手を切って別の勢力――今ならクの国が最有力候補か――と手を組むという選択をする可能性がある。
ドレイクにしてみれば、俺という存在を敵に回す訳にはいかない。
それこそ、影のゲートや気配遮断を使われれば、いつ自分が暗殺されるのか分からないのだから。
その辺の事情を知っているが故に、ドレイクは俺との同盟を解消する訳にはいかなかった。
そんな訳で、今の状況で俺達に依頼をしてくるとなると、当然のようにそこに報酬が発生する。
ドレイクにしてみれば、まさに奥の手といったところか。
俺のサーバインは勿論、最近ではショウ達の事もあって始まりの聖戦士と呼ばれたりするようにもなった、マーベルもいる。
そして使用するオーラバトラーは、サーバインとダンバイン。
戦力としては、これ以上ないくらいに強力だろう。
もしギブン家が想定以上の戦力を用意したとしても、これだけの戦力があれば、どうにも対処するのは不可能な筈だ。
……とはいえ、俺が把握している限り、ギブン家の戦力はゼラーナが1隻とダーナ・オシーが1機、それとこっちは実用化しているかどうかは分からないが、ウィングキャリバーといったところか。
ダーナ・オシーは予備機があったのを考えると、オーラバトラーの数はまだ余裕があるんだろうが、問題なのはオーラバトラーのパイロットが用意出来るかどうかだろう。
ゼットから聞いた話によると、ダーナ・オシーに乗るのに必要なオーラ力は、ドラムロとそう大差はないらしい。
実際、地上人ではないニーが乗ってくるくらいだから、バイストン・ウェルの人間でも一定以上のオーラ力を持っていれば、乗る事が出来てもおかしくはない。
それに、オーラバトラーの各部品を盗んでいった時、オーラ増幅器の設計図も奪っていっている、
まだ未完成だったので、そのまま作っても色々と問題はあったらしいが、それでもギブン家に亡命した技術者がいれば、何とかしている可能性も高い。
そうなると、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、ダーナ・オシーの数が増えている可能性もあるか。
「アクセル、どうやら私達の出番みたいね」
と、影のゲートでサーバインやダンバインが預けてある機械の館に到着すると、マーベルがそんな事を言ってくる。
一体何が?
一瞬そう思ったが、よく見てみればサーバインの前で待機してる兵士が1人いる。
明らかに、俺に用事があってやって来たのだろう。
「どうした?」
「アクセル王、お館様から迎撃に協力して欲しいと」
「早いな」
もし協力を要請してくるにしても、もう少し後になると思っていた。
それがこの状況でとなると、俺の嫌な予感が命中したか?
「バーンやガラリアを始めとするドラムロ隊や、ショウ達3人の地上人がいるだろ。その状況で、まだ戦力が足りないのか?」
「は。実は、地上人の1人ショウ・ザマがリムル様を誘拐してダンバインで逃げたと」
「……は?」
その兵士の口から聞いたのは、あまりに予想外の言葉。
だが、考えてみればそこまで予想外でもないのか?
ショウとリムルの関係が友好的だったのは、間違いない。
であれば、リムルが駆け落ち的な事をしてもおかしくはない……か?
それは一応納得出来る話ではあったが、それでも素直に頷く事は出来ない。
「一応聞いておくが、それは冗談とか何かじゃないよな?」
念の為にそう聞いてみると、兵士は頷く。
「アクセル王がそのように言うのは理解出来ます。正直なところ、私も何故ショウ・ザマがそのような真似をしたのかというのは分かりません。ですが、現在トッド殿とトカマク殿がショウ・ザマを追っています」
ショウが呼び捨てでトッドとトカマクが殿付けだというのは、やはりショウが裏切ったからこそか。
そして、この兵士の様子を見る限りではショウが裏切ったというのは間違いないだろう。
であれば……俺もまた、ドレイクからの要望を聞かない訳にはいかないか。
「ちなみに、攻撃してきたのはギブン家なんだよな?」
「は! ゼラーナとダーナ・オシーの姿を確認しています」
「ダーナ・オシーの数は?」
そう言うと、兵士は驚いた表情をこちらに向けてくる。
まさか、そう指摘するとは思っていなかったのだろう。
そしてこうして兵士が驚いたのを見れば、ダーナ・オシーの数が増えているというのは、俺の予想通りだったらしい。
まぁ、ダーナ・オシーが1機なら、それこそバーンやガラリアの、そして他にも騎士が乗っているドラムロがいるのだから、ショウの追撃に戦力を回せないって事はないだろうし。
「3機です」
「そうか」
予想よりも少なかった。
ゼラーナがナムワンを改修したオーラシップなら、多分搭載可能なオーラバトラーは6機だ。
いや、あるいは改修したのだから、運用出来る戦力を少しでも増やした為に、オーラバトラーの搭載数はナムワンの6機よりも増えているのか?
もしくは、ゼラーナの性能は明らかにナムワンよりも上だった事を考えると、意外とナムワンの6機よりも搭載数は減っている可能性もあるのか。
ともあれ、ダーナ・オシーが3機……ドラムロ隊の数は現状でも10機近いので、それでもダーナ・オシーを落とせないとなると、ダーナ・オシーが防御に徹しているのか、それとも純粋にダーナ・オシーのパイロットの技量が高いのか。
いや、バーンはともかく、それ以外のパイロットは俺が鍛えてるんだから、技量で負けてるという事はないと思う。
「ともあれ、分かった。俺とマーベルはショウを追えばいいんだな?」
「いえ、マーベル殿には、出来ればダーナ・オシーの方に回って貰えると……」
そう、申し訳なさそうに兵士は言うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650