転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2812話

 ビショットが来た日の夜……当然ながら、ドレイクはパーティを開く事になる。

 他国の王がやって来たのだから、ドレイクの立場としては何もしない訳にはいかないのだろう。

 そして、当然だが俺もそれに参加をしていた訳だが……

 

「ほう、この蕎麦というのは美味いな」

「いや、こちらの天ぷらもなかなか」

「そうか? 儂はこのハンバーガーというのが……」

 

 何故かパーティ会場で、俺は空間倉庫から出した料理を振る舞っていた。

 ドレイクにしてみれば、せっかくビショットが来たのだから驚かせたいという思いがあったのだろう。

 それで俺に相談してきて、結果として地上界の料理を出す事になった訳だ。

 幸いにも、俺の空間倉庫には大量の料理が入っている。

 それを使えば、パーティ会場にいる者達は十分に楽しめるのは間違いない。

 元々バイストン・ウェルにおいて、地上界というのは伝説の存在的な場所だ。

 ショットやゼット、マーベル、ショウ、トッド、トカマクといった地上人達がいるので、伝説の場所であっても明確に存在する場所なのは事実だったが。

 ともあれ、バイストン・ウェルの者達にとって地上界の料理を食べることが出来るというのは、非常に珍しい体験で、それを喜ばない筈がない。

 ……実際には、俺の空間倉庫に入ってるのは色々な世界の料理であって、この世界の地上界といった訳ではないのだが。

 

「アクセル王、すまんな」

 

 サザエの壺焼きを食べていたドレイクが、そう感謝の言葉を口にする。

 今回のパーティが大盛況といった感じなのは、俺のお陰だからだろう。

 当然のように、ルーザは全く食べに来る様子はなかったが。

 

「気にするな。きちんと報酬は貰う予定になってるんだからな」

 

 俺がここまで奮発するのは、当然のように報酬を提示されたからだ。

 それは、サーバインの予備部品。

 本来なら、サーバインの部品はダンバインの物よりも更に希少で高額な代物となっている。

 しかもその予備部品の大半は棲息する恐獣の関係で、リの国から買うしかない。

 ルフト家の領地で購入出来るのならまだしも、そんな真似が出来ない以上、リの国から高額で購入するしかない。

 だが、リの国であってもサーバインの部品となる恐獣は、かなり希少だという話だ。

 そういう意味で、ドレイクにしてみればかなりの散財だろう。

 俺もサーバインを壊すつもりはないし、機動力特化といったサーバインなら敵の攻撃に命中するといった事も基本的にはない。

 だが、万が一の時の事を考えれば、予備部品はあった方がいい。

 勿論サーバインを受け取った時に、その時点でドレイクが持っていたサーバインの部品は俺が貰っている。

 それでも、やはり予備部品は多ければ多い方がいいのだ。

 あるいは……本当にあるいはの話だが、もしかしたら予備部品でもう1機サーバインを作るといった真似も出来るかもしれない。

 オーラバトラー1機を作るのに必要な部品は大量だろうから、そう簡単に出来る訳ではないのは明らかだったが。

 

「感謝をするのなら、サーバインをもう1機作ってくれてもいいんだぞ?」

「さすがにそれは無理だな」

 

 真顔でそう言ってくるドレイク。

 もしやってもいいというのなら、是非頼んだんだが。

 改めて思うが、サーバインって本当に貴重な部品を使ってるんだよな。

 ショットに以前ちょっと話を聞いた時は、動く美術品とか何とか言ってたし。

 つまり、それだけサーバインの開発や製造には金が掛かってるという事なのだろう。

 とはいえ、美術品も価値は様々だ。

 1000円かそこらで購入出来る絵もあれば、数百億……いや、兆の単位が必要な名画と呼ばれる物もある。

 そう思えば、動く美術品といった風に言われていても、もしかしたらもう少し安いと……いや、サーバインの性能を思えば、それこそ伝説的な名画とか、そんな値段であってもおかしくはないか。

 だからこそ、ドレイクも俺のもう1機サーバインが欲しいという言葉に対して、即座に無理だと言ってきたのだろう。

 

「そうか。なら、もっと貸しを貯めてからサーバインをもう1機作って貰うかな」

 

 その言葉に、ドレイクは難しい表情を浮かべる。

 俺が本気でそう言ってるのが理解出来たのだろう。

 とはいえ、サーバインをもう1機というのは、色々と難しそうではあるが。

 ギブン家との戦いで活躍すれば、それくらいの報酬は貰えるか?

 いや、でも今の状況でもルフト領の戦力はギブン領よりも大きい。

 質と量、双方ともだ。

 あ、でもナムワンをベースに改修したゼラーナは、ナムワンよりも性能は高い。

 だとすれば、オーラシップの質ではギブン家の方が上なのか?

 ただし、ゼラーナはナムワンよりも性能は高いものの、格別した差があるといった訳ではない。

 多分、ゼラーナ1隻とナムワン1隻であればゼラーナが勝利する。

 しかしナムワン2隻となれば、ゼラーナが勝つのは難しく、何とか引き分けに持ち込めれば御の字といったところか。

 そしてナムワンが3隻となれば、ゼラーナは負けてしまうだろう。

 ルフト領の実力を考えれば、ナムワンを2隻、3隻と用意するのは難しい話ではない。

 そう考えれば、幾らゼラーナが強力であっても対処は可能だろう。

 ダーナ・オシーに関しては、それこそドラムロよりも性能は低い。

 こうして考えると、戦力的にはルフト領の方がギブン領よりも上なのだ。

 であれば、ギブン家との戦いでも俺やマーベルの出番があるとは思えない。

 ドレイクも、自分達が勝っている状況でわざわざ俺達に仕事を依頼するといったような真似はしないだろうし。

 そうなると、ギブン家との戦いじゃなくてもっと別の勢力との戦いか?

 いっそ、エルフ城に攻撃を仕掛けて欲しいと依頼されたら、嬉々としてやるんだが。

 ……いや、寧ろそうなるとドレイクが自分でやるか。

 フラオンに今まで困らされてきたのは、ドレイクだし。

 

「アクセル王には、出来れば頼りすぎたくはないな」

「そうか? 恐獣の件で結構頼ってると思うが」

「それは……」

 

 ドレイクは反論を口に出来ない。

 実際、俺とマーベルが確保した恐獣の数はかなり多いからだろう。

 そのおかげで、多少なりともドラムロの生産が前倒しになったのは間違いのない事実だ。

 ガッターはドラムロの素材として多用されているし。

 もっとも、ドレイクに渡していない分の何割かは未だに俺の空間倉庫の中に眠っているのだが。

 

「恐獣の件に関しては、こちらも感謝している。しかし、だからといってサーバインをもう1機というのは厳しい」

 

 色々な相手にオーラマシンを売ってるドレイクは、金という意味ならフラオンよりも持っていてもおかしくはない。

 勿論、そうやって入手した金は新たなオーラマシンの製造や開発、もしくはその設備に金を掛けているのは事実なので、稼いでいるように見える程に金持ちという訳ではないだろう。

 とはいえ、それでも他の領主……例えばギブン家と比べても、圧倒的に上なのは間違いのない事実だ。

 そんなドレイクがこのような事を言うとなると、本当にサーバインを製造するのに、一体どれだけの金額が掛かるんだろうな。

 

「まぁ、その件はいいとして……ほら、これでも食べてみろ。タコスだ」

 

 そう言い、ドレイクにタコスを渡す。

 これはペルソナ世界で美味いと有名な屋台で買ったタコスだった筈だ。

 ファーストフードであり、本来ならこういうパーティで出す料理ではない。

 特にバイストン・ウェルはファンタジー世界である以上、その辺は何気に結構厳しいところもあったりする。

 しかし、今回はあくまでも地上界の料理を披露するといった催し物なので、タコスも普通に受け入れられる。

 それどころか、ハンバーガーの類も食べている人は結構多い。

 

「ほう、これは……美味いな。生地にある仄かな甘みが具を優しく包み込んでいる」

 

 タコスを食べたドレイクは、感心したように呟く。

 ちなみにタコスの具というのは色々とあるのだが、このタコスは牛肉を小さめのサイコロステーキ状にして焼き、それ以外にも各種野菜が入っている。

 美味いと評判の屋台のタコスは、どうやらバイストン・ウェルの領主の舌にも合ったらしい。

 

「喜んで貰えて何よりだ。地上に行けば、もっと美味い料理が幾らでもあるんだがな」

 

 この世界の地上界では、現在1980年代らしい。

 であれば、それなりに色々な料理とかはあってもおかしくはなかった。

 まぁ、それ以降に出来た料理とかは、当然ないだろうが。

 

「地上界か。ショットやゼットから聞いた話だと、随分と発展しているらしいな」

「だろうな。俺もこの世界の地上界は見たことがない以上、具体的にどのくらい発展してるのかは分からない。けど、それなりに発展してるのは間違いないらしい。恐獣とか、そういうのがいないのは大きいな」

 

 恐獣ではなく恐竜の類なら、遙か昔に存在したのだろうが、当然もう絶滅している。

 もし地上に恐竜の類がいたとしても、戦闘機や戦車を前にしたら勝ち目などない可能性が高いのだが。

 そうして暫くドレイクと話をしていたが、ドレイクも俺とだけ話しているといった訳にはいかない。

 このパーティのホストである以上、ビショットは勿論、それ以外の相手に対しても色々と会話をする必要がある。

 そんな訳で、ドレイクは他の参加者と会話をする為に俺の側から離れていく。

 とはいえ、それで俺が暇になる訳でない。

 このパーティに参加している者の中には、地上界の料理に強い興味を持つ者も多い。

 そのような者達から話し掛けられ、料理の説明をしていく。

 とはいえ、俺が出しているのは空間倉庫の中の料理……つまり、出来ている料理だ。

 その料理に関しても、料理名とかはともかく、具体的にどうやって作るのかといったようなレシピを聞かれても、答えようがない。

 それに調味料とかそういうのも、基本的な調味料以外に色々と特別な物が使われていたりするし。

 そんな訳で、俺が教えられるのは料理名くらいだ。

 

「アクセル、寿司を食べさせてくれ」

 

 ショウが近付いてきて、そう告げる。

 

「寿司って言ってもな。スーパーで売ってるパック寿司くらいしかないぞ?」

 

 そう言いながら、ショウが以前食ったパック寿司よりも少し値段の高いパック寿司を取り出す。

 そう言えば今更……本当に今更の話だが、1980年代にパック寿司って売ってたのか?

 いや、以前パック寿司を出した時にもショウは普通に食べていたのを考えると、多分売ってたんだろう。

 ちなみにパック寿司に関しても、実は昔に比べると近年の方がかなり美味くなっているらしい。

 それは新鮮な魚が届くといったようになったのも影響しているし、何よりスーパーとかで売られている寿司で使われている寿司を作る機械が進化しているらしい。

 実際、美味いパック寿司は下手な寿司屋で食べる寿司よりも美味いって話を聞くし。

 

「サンキュ。……うーん、やっぱり美味いな」

 

 そうしてショウが寿司を食べていると、パーティに参加していた女の何人かと話していたトッドやトカマクもこっちにやって来る。

 

「アクセル、俺はピザが食べたいんだけど、あるか?」

「あるぞ」

 

 そう言われ、ピザを取り出す。

 取り出したのだが……トッドは何故かがっかりとした様子を見せる。

 何でここでがっかりする?

 このピザはネギま世界でも有名なピザ屋のピザで、実際に美味いのは俺も知っている。

 というか、美味いからこそ空間倉庫に収納していた訳で。

 

「俺が食いたいのは、こういうのじゃなくてもっとしっかりしたピザなんだけどな」

 

 そう言いながらも、トッドは焼きたてのピザを切って口に運ぶ。

 

「お、けどこのピザも美味いな」

「それはそうだろ。本場のイタリアで修行してきた職人が焼いてるピザなんだし」

「だからか。けど、俺が知ってるピザってのは、もっとこう……生地が厚いんだよ。パンみたいに」

 

 その言葉で、以前美砂から聞いた話を思い出す。

 ピザというのは、イタリア風とアメリカ風の2種類があると言っていたのを。

 大きな違いは、ピザの生地だ。

 簡単に言えば、イタリアのピザは薄めだったり、多少厚くてもそれは空気を含ませて大きくしているのに比べると、アメリカのピザはピザ生地というよりはパン生地の上に具をトッピングして焼いているらしい。

 これは、アメリカのピザは元々売れ残ったパンを使って作ったとか何とか。

 実際には色々な説があって、どれが事実なのかは分からないが。

 アメリカ生まれのトッドにしてみれば、やはりアメリカ風のピザに慣れていただけに、俺が取り出したイタリア風のピザにがっかりしたのだろう。

 それでもこうして食べれば、美味いと満足そうにしていたが、

 寿司は、生魚という事もあってか、バイストン・ウェルの人間にはあまり好まれなかったようだったが、ピザはバイストン・ウェルの者達にとっても美味いと思えたのか、結構な枚数を空間倉庫から出す事になる。

 バイストン・ウェルから出たら、もっと大量に買っておいた方がいいなと、そうしみじみと思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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