転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2806話

 マーベル、ショウ、トッドの操縦する3機のダンバインと、俺の操縦するサーバインの模擬戦。

 それが開始すると、ダンバイン3機は同時に動き出す。

 まるで前もって相談していたかのように……というか、実際に相談していたのだろうが。

 オーラバトラーは、届く範囲こそ短いものの無線機が備わっている。

 そうである以上、外部スピーカーを使ったりせず、お互いに通信を行うといったような事は容易に出来るのだから。

 真っ直ぐこちらに向かってくるのは、マーベル機、そして左右から向かってくるのは、ショウとトッドの機体。

 その行動はそれなりに理に適ったものだ。

 一応3機編成であるとはいえ、ショウとトッドは昨日初めてオーラバトラーに乗ったばかりだし、当然ながらマーベルとの連携訓練も行われてはいない。

 そうである以上、下手に連携するのではなく、それぞれにこちらに向かって攻撃してきた方がいいのは明らかだ。

 ただし、当然ながら完全に自分だけで好き勝手に攻撃するといったような真似をしても意味はない以上、他の2人の邪魔にならないように気をつけるといったような事くらいは注意しているだろうが。

 

「とはいえ、そんな行動で俺をあっさりどうにか出来ると思ったのは甘いな」

 

 そう言い、まずはショウのダンバインに向かってサーバインを移動させる。

 3方向に分かれているということは、当然ながらどこか1ヶ所に向かえば他の2機との間合いは開く。

 間合いが開くとはいえ、それは数秒程度だろう。

 だが、それは確実に1対1で戦えるだけの時間が数秒はあるということになる。

 その数秒で相手を倒してしまえば、その後は残り2機。

 そして2機を相手にする程度なら、俺にとってもそう難しい話ではない。

 

『なっ!? こいつ、俺に!?』

 

 ショウのダンバインから聞こえてくる動揺の声。

 別にここでショウを選んだのは、特に深い意味がある訳ではない。

 敢えて無理矢理理由を作るとすれば、ショウがこの世界の原作の主人公の可能性が高い以上、最初に倒してしまった方が、主人公特有の何か妙な力が発揮されないだろうと思ったからだ。

 ましてや、このバイストン・ウェルはファンタジー世界だ。

 何らかの俺が知らないような不思議パワーの類があってもおかしくはない。

 間合いを詰めたサーバインに向かいショウはオーラソードで突きを放ってくる。

 その一撃は素人が乗ってるとは思えないくらいの鋭さがあったが、それでもサーバインを捉えるようなことが出来る程ではない。

 サーバインを少しだけ沈ませ、オーラソードの突きを回避する。

 そしてオーラソードを振るって、ダンバインのオーラソードの刀身に命中させて、そのまま吹き飛ばす。

 ダンバインの持っていた武器が吹き飛んだ事で、一瞬動揺したショウ。

 そんなショウのダンバインのコックピットを軽くオーラソードの刀身で叩き、お前はこれで失格だと示し、次の瞬間にはその場から跳躍して移動する。

 そしてサーバインのあった場所に振るわれたのは、トッドの操縦するダンバインのオーラソードの一撃。

 そして俺が跳躍した先には、マーベルのダンバインがオーラソードを振るってくる。

 

「っと」

 

 その一撃をオーラソードで受け止め、受け流す。

 その動きのまま、マーベルのダンバインとすれ違うようにして移動すると……背後では、トッドのダンバインがマーベルのダンバインにオーラソードを振り下ろしそうになって、慌てて止めていた。

 しかし、その動きこそがミス。

 動揺していたトッドのダンバインに対し、サーバインの足の鉤爪を地面にしっかりと突き立て、強引に……それでいて出来るだけ機体にダメージがいかないようにしながらサーバインを動かす。

 急ターンというのとはちょっと違うが、ともあれそんな感じで一気にマーベルのダンバインとの間合いを詰める。

 残っているトッドとマーベルでマーベルを狙ったのは、単純にトッドよりもマーベルの方が強いからというのが大きい。

 つまり、最後に残すのは腕の立つマーベルではなく、聖戦士としての素質はあっても、まだ未熟なトッドの方がいいと判断したのだ。

 マーベルはこの状況で自分が狙われるとは思わなかったのか、一瞬戸惑い……だが、すぐこちらの攻撃を防ごうとしたものの、次の瞬間にはオーラソードの切っ先がコックピットに突きつけられて、敗北する。

 そして最後に残ったのはトッド。

 そのトッドは半ば破れかぶれになっているのか、こちらに向けてオーラソードを繰り出してくるものの、その一撃はサーバインが振るうオーラソードによってあっさりと弾かれ、勝負はつく。

 

「勝負ありだ」

 

 その言葉に、トッドも大人しく従う。

 今の状況でこれ以上無駄に騒いでも、それは意味がないと理解したのだろう。

 実際、トッドがこの状況で不意を突くように動いたとしても、俺はそれに対処出来るだけの余裕があったのだから。

 それにしても、今回の模擬戦はどの機体も損傷らしい損傷をしていないので、俺にとっても嬉しい事なのは間違いない。

 ショットとかに小言を言われなくてもすむし。

 ともあれ、模擬戦は終了したという事で、それぞれが機体から降りて集まってくる。

 

「これで模擬戦は取りあえず終了だ。トッドが知りたがっていた俺の力、多少なりとも理解出来たと思うが?」

「それは否定出来ないな」

 

 自分達が3人……それもそのうちのマーベルはトッドとショウが2人で戦いを挑んでも勝てなかった相手だ。

 そんな3人掛かりで挑んだのに、いいようにあしらわれてしまったのだ。

 それを考えれば、トッドが悔しいと思うのは当然だろう。

 ショウの方もトッドと同様に悔しいらしく、こちらに視線を向けていた。

 

「取りあえず、今のままでは無理だというのは理解出来たな。また腕を磨いて強くなったら相手をしてやるよ。それで構わないだろう?」

 

 不承不承といった様子で、俺の言葉に頷くショウとトッド。

 本人達にしてみれば、可能ならまだ模擬戦を終わらせたくなかったのだろう。

 聖戦士としての自覚……というよりも、ショウの場合は単純に負けず嫌いであって、トッドは手柄を挙げる為にはもっと自分の技量を磨く必要があると、そう考えての事だろう。

 実際、その選択肢はそう間違ってはいない。

 今の状況を思えば、その理由はなんであれ、ショウやトッドは少しでも自分の実力を上げる必要があるというのは自分達が一番よく理解しているのだろう。

 

「もう、終わりなのかよ?」

「残念ながらな。今の状況では、俺とお前達では極端に腕が違いすぎる。本気で俺と戦いたいのなら、それこそマーベルと互角とまでは言わないが、それでも相応に戦えるようになってから言う事だな」

「ぐ……」

 

 悔しそうな様子で呻くショウ。

 トッドの方も悔しいとは思っているのは間違いないだろうが、ショウ程に表情には出していない。

 昨日からの付き合いによって、俺とマーベルがこの世界においては色々な意味で特殊な存在であるというのを、理解しているのだろう。

 実際、俺は当然だがマーベルも最初の聖戦士……始まりの聖戦士と呼ぶに相応しいだけの実力を持っている。

 とはいえ、バイストン・ウェルに聖戦士として地上人から来る者の事を理解しているとなると、それは恐らく以前にも地上から何らかの手段でバイストン・ウェルにやって来た者がいるのかもしれないという事を意味しているのだが。

 

「それに、こう言ってはなんだが……安心しろ。ギブン家には俺やマーベルくらいに技量のある敵はいないからな」

 

 慰めにはならないかもしれないが、取りあえずそう言っておく。

 それに、トッド達は午後から用事があるって言ってたし、それを考えればここで更に模擬戦を重ねるといったような時間はないだろう。

 

「トカマク、お前もダンバインの修理が終わったら……もしくは新しいダンバインを受け取ったら、しっかり訓練しろよ。言っておくが、お前は今のところ3人の地上人の中で一番劣ってるぞ」

「ぐ……」

 

 図星を突かれたといったように、トカマクは黙り込む。

 実際、俺が言った内容は決して大袈裟なものではない。

 昨日のギブン家との戦いで、トカマクのダンバインは大破した。

 結果として、その後に起きたマーベルとの模擬戦や、今のように俺との模擬戦といったような訓練の機会を逃している。

 強者との戦いの機会を逃しているというのは、聖戦士としての働きを期待されているトカマクにしてみれば、非常に大きなチャンスを逃したのは間違いない。

 トカマクもまた、トッドと同じくドレイクの下で手柄を挙げるのを狙っている。

 それを考えれば、この模擬戦を逃したというのは非常に大きな痛手だろう。

 そういう意味では、トカマクは運がなかったんだろうな。

 ギブン家との戦いでも、何だかんだけと結局は大きなダメージを受けてるし。

 もっとも、運だけではない。

 機体性能を確認していて戦わなかったトッドはともかく、ショウは普通にギブン家の戦力と戦って機体に損傷を受ける事もなく生き延びたのだから。

 それに比べると、ガラリアの助けがなければ死んでいただろうトカマクは、どうしても才能やセンスという意味ではショウには及ばないというのを示していた。

 とはいえ、ショウは恐らくこの世界の主人公なのだから、そう思えばショウのセンスが飛び抜けていても理解は出来るのだが。

 

「このままだと、お前は他の2人より劣った存在としてドレイクやそれ以外の面々に見られる事になる。実力を期待して召喚されたのに、その実力が不足していると思われる訳だ。かなり面白くない待遇になる可能性が高いぞ」

 

 実力を期待して召喚という表現は、かなりバイストン・ウェルの人間に配慮したものだ。

 実際には召喚とはいえ、それは拉致以外のなにものでもないのだから。

 とはいえ、トッドとトカマクの2人はドレイクの下で手柄を挙げれば十分に報いられるというのを理解しており、拉致された事に対しては今となっては特に怒っている様子はない。

 そんな中で唯一、可能な限り早く地上に戻りたいと思っているのがショウだ。

 地上に戻るにも、シルキーの力を使う必要があるらしいのだが、ドレイクにしてみれば地上とオーラロードで繋がるというのは、地上人を新たに呼び寄せる機会であるのに間違いはない。

 もしかしたら地上人を召喚するのと、地上に送り込むといったような真似が同時に出来るのかもしれないが、その辺はそれこそシルキーでなければ分からない事だろう。

 ともあれ、ショウがどうしても地上に帰りたいというのなら、手柄を立ててドレイクから褒美を貰う必要がある。

 

「ともあれ、3人全員が現在の状況ではドレイク軍にとってお荷物……というのは少し言いすぎか。けど、そんな風に思ってる奴もいるのは忘れない方がいい」

 

 特にガラリアなんかは、本来なら昨日はもっと手柄を立てられた筈だ。

 だが、トカマクの面倒を見ていた為に手柄らしい手柄を挙げる事は出来なかったって話だしな。

 トカマクの面倒を見るように頼んだ俺が言うのもなんだが。

 ただ、ガラリアが助けていなければ、トカマクが死んでいたのは間違いないらしい。

 もしトカマクが死んでいれば、当然だがそれはトカマクを率いていたガラリアの責任にもなりかねない。

 そういう意味では、ガラリアにとって昨日の戦いは手柄を挙げるといった事は最初から不可能な戦いだったという事になるのか。

 

「分かってるよ、そんな事!」

 

 ショウが俺の言葉を聞いて、不愉快そうに叫んで走り去る。

 トッドとトカマクも、色々と思うところが――特にトカマクは――あるのだろうが、ドレイクに呼ばれている以上、いつまでもこの場にいる訳にはいかない。

 

「ちょっと言いすぎたんじゃない? もっと優しく言ってもよかったと思うけど」

 

 3人がいなくなると、マーベルがそう声を掛けてくる。

 マーベルにしてみれば、自分と同じ地上人の3人にはもっと優しく接してやりたいと思ったのだろう。

 その気持ちは分からないでもなかったが、あの3人はマーベルと違って召喚されて即座にドレイクによって保護――という表現が相応しいのかどうかは微妙だが――されているので、バイストン・ウェルについての現実を理解していない節がある。

 

「あの3人の場合、しっかりと言わないと分からないだろうしな。それならきっぱりと言っておいた方がいいだろ」

 

 正直なところ、そこまであの3人に気を遣ったりする必要もなかったりするんだが。

 しかし、今の状況を思えば多少なりとも言っておいた方がいいのは間違いない。

 

「そう? まぁ、アクセルがそう言うのなら、そうかもしれないけど」

 

 マーベルは完全に納得した様子ではなかったものの、それでも取りあえずこれ以上の反論をする様子はない。

 

「ともあれ、あの3人はもういなくなったが……どうする? 俺達も戻るか? それとも、もう少し模擬戦をするか?」

 

 そんな俺の言葉にマーベルが選んだのは、当然のように模擬戦だった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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