転生とらぶる1   作:青竹(移住)

2928 / 3408
2804話

 トッドが俺の家に泊まった日の翌日……少し早めの朝食を食べ終えた俺達は、家からドレイクの城に影のゲートで転移する。

 

「うおっ! ……思ってたより気持ち悪いな。この影に沈んでいく感触、よく平気だな?」

 

 ドレイクの城の中にある影から姿を現したトッドは、影から出るなりそんな風に言ってくる。

 トッドにしてみれば、影のゲートというのには興味津々だったのだろう。

 その気持ちも、分からないではない。

 地上界では魔法とか超能力とか、そういうのは存在しないのだから。

 あ、でも一応ソ連とかアメリカは超能力について研究していたのか?

 だとすれば、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、地上界には超能力を使える奴がいるかもしれないな。

 あまり期待は出来ないが。

 ともあれ、それだけにトッドは俺の魔法に興味を持ち、転移魔法についても体験してみたいと、そう言ってきた。

 別にトッドに体験させたからといって困る訳でもないので、実際に使ってみたんだが……その結果がこれだった。

 とはいえ、今まで何人もが同じような感想を口にしていたので、それを思えばそこまで不思議なものではないだろう。

 

「慣れれば、そんなに気になったりはしないんだがな。マーベルもそれなりに慣れただろ?」

「ノーコメントで」

 

 そう言ってくるマーベル。

 その様子を考えると、多分まだそこまで慣れてはいないらしい。

 マーベルはまだ影のゲートをそこまで体験してなかったか?

 

「ほらな」

 

 トッドが勝ち誇った顔でこちらに視線を向けてくる。

 それが面白くなかったが、取りあえずそれは無視してドレイクに会いに行く。

 途中で何人かの兵士に遭遇したが、その兵士達は特に何かを言ってくるような事はない。

 俺やマーベルの事について知っているのも勿論だが、トッドについても話を聞いているのだろう。

 そしてドレイクの部屋の前に到着すると、ドレイクに面会出来るかどうか、扉の前に立っていた兵士に聞いて貰う。

 幸いにして、時間的に仕事を始めたばかりだったのか、もしくは仕事が始まる前だったのかは分からないが、ドレイクとの面会はあっさりと叶う。

 

「どうしたのだ、アクセル王。こんな早朝から」

「ちょっとトッドの……いや、トッドだけじゃなくて、ショウやトカマクにも俺がサーバインを使って模擬戦をやろうと思ってな。トカマクの場合はダンバインが用意出来ないから、見学だけになりそうだが」

「ふむ、アクセル王の強さを見れば、地上人達が萎縮してしまう可能性もあるが?」

 

 言葉ではそう言うものの、本当にその辺を心配しているようには見えないな。

 ドレイクにしてみれば、俺の力を見せる事で地上人達がそちらに惹かれるのを避けたいといったところか。

 人というのは、強い力を見れば敵対するか、惹かれるかといった両極端になる事が多い。

 勿論、そのどちらでもない第3の選択肢を選ぶような者もいるが、そのような者は少数だろう。

 ドレイクとしては、俺が操縦するサーバインによって、地上人の3人がそのどちらを選んでも困るといったところか。

 

「その辺は特に気にする必要もないだろ。そもそも、これからギブン家との本格的な戦いになる可能性が高いんだ。そうである以上、どうせなら強敵と戦っておいて、そういう経験を積んでおいた方がいいだろう?」

「……ギブン家に、それ程までの強敵がいると?」

「あくまでも可能性の問題だ。ドレイクがトッド達を召喚したんだ。それを知ったギブン家が、地上人には地上人をという事で地上人を召喚しないとは限らないだろ?」

 

 実際、多分……本当に多分だが、マーベルを召喚したのはギブン家の可能性が高い。

 俺がこの世界に転移してくる際にそれに巻き込み、もしくは俺が巻き込まれたのか、バイストン・ウェルに転移してきた時にはギブン家の領地でなくエルフ城の近くだった。

 あくまでもこれは俺の予想であって確証がないのだが、一度マーベルを召喚したという可能性が高い以上、また同じエ・フェラリオの力によって地上から誰かを召喚しないとは限らないだろう。

 とはいえ、俺とマーベルがバイストン・ウェルに来てからそれなりに長期間になる。

 それを思えば、多分マーベルを召喚した後で地上人を召喚していないのか、出来ないのか。

 ニーと初めて会った時の事を考えれば、俺はともかくマーベルは自分達が召喚した相手と認識してる可能性が高い。

 もしまたエ・フェラリオの協力によって地上人を召喚したとして、それが自分達の領地に召喚される訳ではなく、またルフト領の戦力となる可能性があると考えれば……うん、躊躇っても仕方がないよな。

 自分達の戦力として召喚した地上人が、敵の戦力となるのだから。

 ギブン家にしてみれば、とてもではないがまた地上人を召喚したいとは思えないだろう。

 

「ふむ、ギブン家の地上人か」

 

 そう呟き、ドレイクの視線はマーベルに向けられる。

 ドレイクが何を考えているのかは、俺も理解出来た。

 つまり、ギブン家が召喚するかもしれないと、そう思っているのだろう。

 ドレイクは自分がトッド達を召喚して利用しているだけに、ギブン家でも召喚するといったような真似をする可能性があると考えているところか。

 

「そうだ。地上人同士の戦いが行われる可能性が高いと考えられる。そうなれば、強敵と戦い慣れている方が有利なのは間違いない。そういう意味でも、俺が模擬戦を行うというのは悪い話ではないと思うが?」

「それは……」

 

 その言葉に、ドレイクは少し考え込む。

 だが、すぐに顔を上げると、頷きを返してきた。

 

「分かった。ではそのように。ただし、今日は午後から地上人達に用事がある。模擬戦を行うのなら、午前中に頼みたい」

 

 午後から用事?

 そう一瞬疑問に思ったが、今の状況を考えるとギブン家に対する何かだろうというのは、容易に予想出来る。

 

「分かった。俺はそれで構わない。トッドも別にそれでいいよな?」

「ああ」

「マーベルは……まぁ、今回の件はマーベルの出番はないか」

「そうね。大人しくトッド達がどこまでアクセルに抗えるかを、見させて貰うわ」

 

 俺が戦うといったことになった以上、マーベルにとっての出番というのは基本的には存在しない。

 マーベルもそれが分かっていたからこそ、俺の言葉に対して素直にそう頷いたのだろう。

 もっとも、マーベルがそんな態度を取るというのはトッドにとっては自分が侮られているように見えて面白くなさそうだったが。

 

「じゃあ、ショウとトカマクを呼んでくるか。……ドレイクはどうする? 模擬戦を見るか?」

 

 今までにも、何度かドレイクが俺達の模擬戦を見るといったようなことはあった。

 だから今回も見るのかと聞いたのだが、ドレイクは首を横に振る。

 

「いや、少し急ぎの仕事があるのでな。ハワの国にドロを売る事になったのだが、それについての書類を整理する必要がある」

 

 ハワの国という名前に、アの国を中心として周辺の地図を思い出す。

 ハワの国というのは、アの国の下にある国だ。

 アの国の下には、ハワの国とケムの国という2つの国がある。

 地図で見れば、ハワの国はアの国の右下でケムの国はアの国の左下といった感じで。

 とはいえ、ドレイクはともかく俺はそんな国に縁はないんだよな。

 ケムの国の左上にあるリの国はオーラバトラーの素材となる恐獣を購入しているという意味でそれなりに親しい国だし、リの国の上にあるクの国はビショットが治めている国という事で、俺も行った事のある国だ。

 そういう意味では今回ドレイクがドロを売る契約をするハワの国は、俺にとっても非常に珍しい国なのは間違いない。

 もっとも、だからといって俺がハワの国にどうこうするといったような事はないだろうが。

 ドレイクの様子を見る限り、ハワの国との取引はドロが数機といった感じであって、クの国とは違うらしいし。

 クの国のように、ナムワンとかも購入するのなら、興味深い存在でもあるんだろうが。

 今この時期にドロを数機といったように、これからオーラマシンを導入するといった様子であるのを考えると、ハワの国に先見性を持つ者はいないと思った方がいいかもしれない。

 勿論、それはあくまでも今の状況でそのように思えるというだけであって、ドロを購入して実際に使うようになったら、その便利さから積極的にオーラマシンの導入を進めるといったような可能性もない訳ではないが。

 それでもクの国やギブン家のように、現在から積極的にオーラマシンの運用を進めている国と比べると、どうしても劣ってしまうという風に認識してしまってもおかしくはない。

 

「ハワの国か。ドレイクにしてみれば、ドロを購入してくれるだけでも、いい商売相手といったところか?」

「ドロを数機……それなりの金額にはなるのだがな」

 

 そう呟く様子からは、そこまで乗り気ではないといったところか。

 それでも取引を行うのは、これから先の事を考えた場合、やはりそうした方が色々と便利だからというのがあるのだろう。

 何しろ、これから間違いなくギブン家との戦いになるのだ。

 であれば、ギブン家との戦いにはオーラバトラーやオーラシップのようなオーラマシンは幾らあっても多いという事はない。

 いやまぁ、現在のルフト領とギブン領の間には結構な力の差がある。

 それを思えば、今の状況で戦っても勝てるのだろうが。

 それでも今後の事を考えれば、やはりここは圧倒的な戦力差でギブン家を倒したいと思ってもおかしくはなかった。

 

「そうか。なら、そっちは精々頑張ってくれ。じゃあ、俺達はそろそろ行くよ。気が向いたら、模擬戦を見にきてくれ」

 

 そう言い、マーベルとトッドを引き連れて部屋を出る。

 次に向かうのは、ショウとトカマクの部屋だ。

 そちらに関しては、トッドの方が詳しいので案内して貰う。

 当然の事だが、ドレイクもトッド達地上人は一纏めにしておきたいらしく、部屋は纏められている筈なのは当然だった。

 

「それで、トッド達の部屋はどんな部屋なんだ?」

「どんなって言われてもな。特に特徴もない、普通の部屋だな。昨日泊まったアクセルの家の部屋の方が豪華だと思う。勿論、暮らしにくいって訳じゃないけどな」

 

 そう告げるトッドの様子から考えると、取りあえずそれなりの待遇であるのは間違いないらしい。

 これでドレイクの下で聖戦士として活躍していけば、それこそもっと豪華な部屋に移ったり、場合によっては屋敷を貰ったりとかするんだろうが。

 そうしてトッド達の部屋のある方に向かっていたのだが……不意に、俺達が進む方から走ってくる相手を見つける。

 あれは……リムル?

 何だってリムルが地上人達のいる区画に?

 リムルの家庭教師のミュージィの姿もないって事は、1人で来たんだろうが。

 

「っ!?」

 

 当然だが、向こうと近付けばリムルも俺達の存在に気が付く。

 そして、息を呑んで足を止め……

 

「何故貴方がここに? それに、そちらは地上人ですよね? 貴方の悪しきオーラ力によって、妙な真似をしようとしてはいませんか?」

「いや、前から言ってるけど、悪しきオーラ力って何だ? 俺がそれを持ってるように思えるのか?」

 

 以前からリムルは俺を見ると悪しきオーラ力といったように言ってるんだが、それが具体的にどういう意味なのかは理解出来ない。

 いや、悪しきという言葉がある以上、それは悪者といったように感じても不思議ではないのだが。

 だからといって、俺にそんなつもりは……まぁ、今まで多数の戦いに関与してきたのを考えれば、悪しきと表現されてもおかしくはないのか?

 

「貴方と話す必要は感じません!」

 

 そう言い、逃げるように去っていくリムル。

 

「向こうからやって来たって事は、普通に考えればショウかトカマクに会っていたって事なんだろうが……どう思う?」

「俺がいれば、俺に会いに来てただろうな」

 

 何故か自信満々でそんな事を口にするトッド。

 いやまぁ、その言葉は決して間違っている訳ではないのだが。

 ただ、昨日の戦いを理解した上で会いに来たとすれば、トッドよりもショウに会いに来たと思うんだが。

 ギブン家の戦力に大破状態にされたトカマクはともかく、ショウの場合は戦闘をしなかったトッドと違って、戦いを経験した上で無傷で生き延びたのだ。

 その辺りの事情を考えると、普通ならショウがトッドより格上の存在と認識してもおかしくはないと思うんだが。

 それを言うと、トッドは不満を持つだろうから言わないが。

 それに、トッドはアレンとかいう人物への対抗心からか、俺やマーベルにオーラバトラーの操縦訓練をして欲しいと素直に――という表現はどうかと思うが――頼みに来るといったような潔さがある。

 その辺の事情を考えると、将来的にはトッドの方がショウよりも操縦技術的に上になったとしてもおかしくはない。

 ただし、ショウは恐らくこの世界の主人公だ。

 その辺の事情を考えると、トッドが努力しても及ばない才能を持っているという可能性は否定出来なかったが。

 そんな風に考えながら、俺はマーベルやトッドと共に地上人達の部屋に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。