ギブン家との戦いがあった日の夜、俺とマーベルは家で食事をしていた。
「おお、これ美味いな! 俺達が食ってるのより美味いぜ!?」
何故かその食事の場には、トッドの姿もあったが。
模擬戦の後で、オーラバトラーの操縦について色々と聞きたいといって、俺の家に泊まりに来たのだ。
一応ショウとトカマクの2人も誘ったんだが、ショウはマーベルに模擬戦で負けたのだが面白くなかったのか誘いを断り、トカマクの方はトッドの存在が面白くなかったのか、断ってきた。
ショウがマーベルに負けた件で断ったのなら、トッドもそうなのでは? と思ったんだが、その辺は違ったらしい。
トッドにしてみれば、自分よりも高い操縦技術を持つマーベルや、そのマーベルが自分よりも上だと言ってる俺に対して教えを請うといったような事は特に問題はないらしい。
勿論、マーベルに負けたのが悔しいのは事実なんだろうが……
「ドレイクの部下の聖戦士と、ドレイクと同等の同盟関係を結んでいる俺達だと、どうしても待遇は違ってくるんだろうな。とはいえ、トッド達は聖戦士だ。他の兵士や騎士よりも待遇はいい筈だぞ」
これは大袈裟な話ではなく、ガラリアから聞いた話なので間違いない。
正確には、マーベル経由でガラリアから聞いたといった方が正しいが。
「そうなのか? まぁ、強引にこっちに召喚なんて真似をしたんだから、待遇くらいはよくないとな。俺達も聖戦士として活躍するんだし。マーベルは聖戦士としてもう活躍してるんだろ? どんな具合なんだ?」
その言葉に、パンを口に運んでいたマーベルはその手を止めてから口を開く。
「私は、あくまでもアクセルの部下といった扱いだから、ドレイクから命令されるといった事はないわね。依頼を受けて行動して報酬を貰うといった感じかしら」
「マーベルも俺達みたいに召喚されたのに、何でだ?」
ん? そう言えばその辺は知らなかったのか?
まぁ、別に特に隠す必要がある訳でもないから、話すのは構わないが。
「マーベルはシルキーに召喚されたんじゃないぞ」
「え? そうなのか?」
俺の言葉に、トッドは意表を突かれたのだろう。
驚きの視線をマーベルに向ける。
「そうね。私とアクセルはエルフ城……アの国の王都の近くに転移させられたのよ。ガラリアから聞いた話だと、私達が来た頃にシルキーが召喚したりといったような真似はしてないわね」
「じゃあ、誰が?」
「さぁ?」
首を振るマーベル。
俺も誰がマーベルを召喚したのかは分からないが、それでも何となく予想は出来る。
ドレイクの下にショットやゼットといった地上人がいるというのを知れば、ドレイクと敵対しているギブン家はどう思うだろうな。
ましてや、以前恐獣狩りをしていた時にニーが接触してきて、その辺について探りを入れるような会話をしてきた。
それを考えれば、予想するのは難しくはない。
ただし、ニーにその辺を聞いても素直に認めるとは思わないし、認めたら認めたでマーベルの身柄はギブン家にあるべきだといったように言ってきてもおかしくはない。
「俺がホワイトスター……本国からこっちの世界に転移してきた時、そのタイミングでマーベルもバイストン・ウェルに召喚されて、結果として俺達が出現する場所が予定とは違った場所になったんだろうな」
「そうね。でも、私はアクセルと一緒だったから助かったわよ? もしアクセルがいないと、エルフ城でどうなっていた事か。最悪、捕まっていたでしょうし」
「捕まる? 何でだ? やっぱり地上人だからか?」
マーベルの説明に、トッドは理解出来ないといったような視線をこちらに向けてくる。
ドレイクの下で聖戦士として丁重に扱われているだけに、その辺が少し分からなかったのだろう。
「地上人だから、というのもあるかもしれないな。正確には、俺とマーベルが持っていた服を売って資金を作ろうとしたら、そこからどうにかなってフラオン……このアの国の国王に俺達の存在が知られて、それで兵士に追われる事になった訳だ」
「何だ、それ。何でそんな事になるんだ?」
トッドは全く理解出来ないといった様子でこちらを見てくる。
「バイストン・ウェルと地上界では、技術的な格差が大きいだろ? そんなバイストン・ウェルの人間にしてみれば、マーベルの着ていた服は驚くべき存在だったんだろ」
「それに、アクセルの服は異世界の服でしょう? そういう意味でも、バイストン・ウェルの人には珍しかったんじゃない?」
俺の服は確かに異世界の服だが、質そのものはこの世界の地上界とはそう違いはないと思うけどな。
勿論、細かいところを探せば色々と違いはあるのだろうが、バイストン・ウェルの人間にそれを見抜く目があるかどうかは微妙なところだろう。
もっとも、時に職人は素人には信じられないような事を把握したりする。
触っただけで、0.1gの違いが分かったりとか。
そういう意味で、俺の服とマーベルの服について詳しく知る事が出来た職人がいたかもしれないが。
「どうだろうな。その辺に関しては今更何を言ったところで意味があるとは思えないが」
「ふーん、そういう意味だと、俺はこのルフト領に召喚されて運がよかったんだろうな。もっとも、最善なのは召喚されなかった事だろうけど。まぁ、来てしまったのはしょうがない。カリフォルニアくらいの土地を貰えるかもしれないって話だし」
カリフォルニアくらいの土地を欲するというのは、トッドにとってかなり期待しているのだろう。
「その辺は実力を発揮して戦果を挙げる必要があるんだけどな」
「分かってるよ。だから、こうしてマーベルやアクセルからオーラバトラーの操縦のコツについて聞こうと思って来たんだろ」
「それが少し意外だったんだよな。トッドは……こう言ってはなんだが、プライドが高いだろ? そんなお前がこうして教えを請うてくるとは」
トッドの性格からすれば、そんな事はしなくても自分でどうにかするといったように判断してもおかしくはないと思うんだが。
「アレンって奴がいてな」
と、不意にそんな事を口にするトッド。
アレン? 一体誰だ?
何だか人型機動兵器に乗ってそうな探索者の名前だが。
いや、それはアランだったか。
「誰だ?」
「俺の先輩だよ。アメリカ軍の空軍パイロットをやっている相手だ。俺とは色々と関わりのある相手だが……まぁ、それはいいとして。そういう奴がいたからこそ、プライドだけで自分の限界を決めるといった真似はしたくない」
そう言いつつも、やっぱりトッドにしてみれば自分が他人に頼るというのは面白くないのだろう。
あるいは、ここに俺達がいなければ……それこそ、初めてダンバインに乗ったのが自分達で、頼るべき相手がいなければ、トッドがここまでして頼ってくるといったような事はしなかっただろう。
トカマクは操縦技術がまだ未熟で、頼る相手としては論外。
ショウはトッドと同じくらい……あるいはトッドと違って実戦を経験していない分、上かもしれない。
しかし、ドレイクの下で戦功を挙げる事を目指しているトッドにしてみれば、ショウは自分のライバルでしかない。
その点、俺とマーベルはドレイクに協力しているとはいえ、ドレイクの部下ではなく対等の同盟相手といった関係だ。
また、マーベルの出身がトッドと同じアメリカだというのも、この場合は関係している可能性がある。
ともあれ、俺とマーベルはトッドにとって頼れる相手であるというのは、間違いのない事実だった。
「トッドの気持ちは分かった。……鍛えるのは、マーベルに任せた方がいいだろうけどな。どうだ?」
「アクセルは俺と模擬戦をしないのか?」
若干不満そうな様子のトッドだったが、俺が何かを言うより前にマーベルが口を開く。
「アクセルと模擬戦をするのなら、私に余裕で勝てるようになるくらいの実力は必要よ」
「本当にアクセルってマーベルよりも強いのか?」
トッドが疑惑の視線を向けてくるのは、俺の実力を疑っているというよりも、自分でマーベルの実力を味わったからだろう。
それによって、マーベルが自分よりも強いというのを知り、だからこそマーベルがそこまで言う俺の強さを疑問に思ったといったところか。
そうだな、トッドを含めてショウやトカマクにも一度俺の実力を見せておくのは悪い話じゃないか。
「分かった。俺の力も見せないでおいて、マーベルに勝てないと云々なんて話をしても、そう簡単に信じるといったような真似は出来ないだろうしな。そうである以上、一度……明日にでも、俺の操縦するサーバインと模擬戦をしてみるか?」
「いいのか!?」
まさか、俺があっさりと模擬戦を引き受けるとは思ってもいなかったのだろう。
驚いたように声を出す。
「いいの?」
驚いているのはトッドだけではなく、マーベルもまた俺に視線を向けてくる。
とはいえ、別にそこまで心配されるような事ではないと思うんだがな。
サーバインを使って模擬戦を行うだけなのだから。
純粋な模擬戦というだけであれば、それこそマーベルやガラリア、他にも何人かドラムロに乗る事を許されているドレイクの部下と行っている。
トッド達は聖戦士という立場である以上、地位的にはガラリア達と同じか、上だ。
そうである以上、俺がサーバインでトッド達と模擬戦を行うのは特に問題はない筈だった。
「ああ、問題ない。そうだな、トッドは今日泊まっていくんだから、明日にでもドレイクの城に行ってショウとトカマクを連れてきて、サーバインを使った模擬戦を見せるか。もっとも、ショウはともかくトカマクが模擬戦を出来るかどうかは分からないが」
今日のギブン家との戦いにおいて、トカマクのダンバインは大破と呼ぶに相応しい被害を受けた。
そうである以上、まさか一晩であのダンバインを直すといった訳にはいかないだろう。
予備部品の類はそれなりにあるので、そちらを使えば何とかなるかもしれないが。
ただ、ダンバインという機体は同じであっても、オーラ力の強弱、個人の癖といった具合にそれぞれ微妙に調整が違う。
その辺を考えれば、新しいトカマクのダンバインを用意しても、今日使ったダンバインのようにしっかりとした操縦が出来るとは限らない。
であれば、トカマクに関しては模擬戦をしなくても横から見ているだけというのも、ありかもしれないな。
トカマクも前日に撃墜こそしなかったものの、大破されてしまったのを考えれば模擬戦をやろうとは思わない可能性が高いし。
「トカマクに関しては、機体の用意が出来るかどうかも分からないから、模擬戦は参加ではなく見学でもいいかもしれないな。元々ダンバインの部品は少ないし」
「……そうなのか?」
俺の言葉に、トッドは驚いた様子を見せる。
この様子だと、ダンバインについて聞かされていなかったのか?
ダンバインは色々と特殊な機体だ。
ゲドで判明した、オーラコンバータによってパイロットの持つオーラ力によって乗っているオーラバトラーその物の性能を強化出来るという現象。
それに特化した形のオーラバトラーだという事だ。
とはいえ、基本的に聖戦士となるべく召喚された地上人は、皆が大きなオーラ力を持つ。
そういう意味では、そのオーラ力を最大限に利用するという意味で、ダンバインの設計コンセプトは間違いではない。
間違いではないんだが、それでもダンバインを普通に操縦出来るのはあくまでも地上人のような強いオーラ力を持つ者だけとなる。
そしてトッド達を思えば分かる通り、地上人というのはそう簡単に召喚するといった真似は出来ない。
つまり、ダンバインを大量に作っても意味がない訳で……当然だが、ダンバインの予備機や予備部品の数も決して多くはなかった。
まぁ、俺の空間倉庫の中には赤いダンバインや予備部品の類もそれなりに収納されているが。
しかし、当然それは俺がドレイクから報酬として貰った物である以上、トカマクの為に使うつもりはなかった
空間倉庫に入っているという以外の説明をトッドにすると、それを聞いたトッドは納得した様子を見せる。
「ふーん、そうなのか。なら、他の連中が使っているドラムロってオーラバトラーはどんな感じなんだ?」
「機体を動かすのに、そこまでオーラ力を必要としない、そんなオーラバトラーだな。その割に結構高性能だけど」
実際、ドラムロはエースが乗るオーラバトラーとして考えれば若干物足りないところもあるかもしれないが、一般の兵士が乗るという意味では決して悪くないオーラバトラーだったりする。
完成度が高いんだよな。
勿論、オーラバトラーの技術がこのまま進めば、ドラムロよりももっと高性能なオーラバトラーは開発されるだろう。
しかし、それが具体的にどういうオーラバトラーになるのかは、分からない。
未知のオーラバトラーを入手出来るという意味では、次々にオーラバトラーを開発して欲しいとは思うのだが。
そんな風に思いつつ、俺はトッドと会話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650