転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2798話

 影のゲートから出て約束の場所まで行くと、そこにはドレイクの騎士……ただしバーンではなく、俺も何度か見た事のある奴がいた。

 そして騎士の側には、ガロウ・ランが1人。

 ガロウ・ランというのは基本的に高い身体能力を持っているんだが、そんな中でもこのガロウ・ランはかなりの腕利きと呼ぶべき存在だった。

 

「そいつが俺と一緒に行動する奴か?」

「は! ラム・レノといいます。ラム、挨拶をしろ」

「ラムと申します、アクセル王」

 

 一礼するラムに頷きを返す。

 騎士はそれで顔合わせは終わったと判断したのだろう。すぐに俺とラムの前から去っていった。

 バイストン・ウェルにおいて、ガロウ・ランというのは軽蔑されるべき存在だ。

 まぁ、盗賊とかをやっているのを見れば、そんな風に認識されてもおかしくはないんだが。

 それ以外にも、騎士の中ではトップのバーンが俺を嫌っているのを知っていて、それで俺とはあまり接触したくなかったというのもあるのかもしれないが。

 

「じゃあ、早速行くか。まずは昨日ドレイクから指示された場所に転移するから、そこから機械の館まで案内してくれ」

「は!」

 

 ガロウ・ランにしては、随分と礼儀正しいな。

 いやまぁ、ドレイクに仕えているのか、それとも今回に限って雇われたのかは分からないが、その辺の態度ははっきりとしてるのだろう。

 それに辺に突っかかってこない方が、俺としてもやりやすい。

 

「じゃあ、行くぞ。近くに来い」

 

 そう言うと、素直に俺の近くまでやってくるラム。

 そんなラムでだったが、影のゲートを展開すると、そこに飲み込まれる感触に一瞬反応し……それでもそれ以上は特に反応することなく、影のゲートに沈んだと思った次の瞬間には、俺とラムの姿はギブン家の領地の中にあった。

 

「これは……話には聞いていましたが……」

 

 転移というのは、ファンタジー世界たるバイストン・ウェルであっても非常に珍しいものなのだろう。

 あ、でもシルキーがオーラロードを使って召喚するのは、一種の転移と思ってもいいのか?

 まぁ、召喚と転移じゃ大きく意味は違うか。

 

「ドレイク様から話を聞いた時は、全てを信じていた訳ではなかったのですが……」

「これで信じられたろ。後は、お前が機械の館のある場所まで案内してくれれば、全て解決する。もっとも、ダーナ・オシーの予備機や予備部品があればの話だが」

 

 多分、今頃ニーはギブン領に侵入してきたガラリア達と戦っている筈だ。

 その戦いでギブン家が何機のオーラバトラーを出撃させるのかは、分からない。

 それこそ、もしかしたらニー以外にもオーラバトラーに乗れるパイロットがいるのかどうかも分からないし。

 だが、それでもいざという時の為にオーラバトラーの予備機はあってもおかしくはない。

 ただ、それはあくまでも俺の認識だ。

 バイストン・ウェルというファンタジー世界においては、全く違う判断をしてもおかしくはない。

 

「私が見た時は、予備機がありました」

「そうである事を願ってるよ」

 

 そう言い、ラムの案内に従って機械の館に向かう。

 ドレイクが用意しただけあって、ラムは全く迷う様子もなく道を進む。

 周囲が森のここは、それこそいつ恐獣が姿を現してもおかしくはないんだが。

 にも関わらず、ラムに恐れた様子は全くない。

 そして道を進む速度も普通の人間とは比べものにならないくらいに速い。

 元々ガロウ・ランというのは高い身体能力を持っているのだが、それを考えても俺の予想以上の速度だ。

 そして、30分程森の中を進み……

 

「見えました」

 

 そうラムが言って足を止める。

 視線の先にあるのは、機械の館。

 ただし、その規模は当然ながらルフト領にある物と比べると格段に小さい。

 ルフト家程大規模にオーラバトラーの研究や開発を行っていない以上、隠蔽性を重視したのだろう。

 だとすると、多分ギブン家の機械の館はここだけじゃなくて、他にも幾つも存在している可能性があるな。

 

「俺はこれから侵入するが、ラムはどうするんだ?」

「私はこれで失礼します。もう報酬は貰っていますし、私だけなら問題ありませんので」

 

 そう言うと、ラムは素早くその場から走り去っていく。

 仕事を終わらせると、さっさといなくなるんだな。

 ラムの立場としては、あまり危ない場所にはいたくないといったところか。

 そんな訳で、取りあえず影のゲートを使って機械の館の中に入っていく。

 ダーナ・オシーが起動していなければ、気配遮断で十分なんだが。

 起動しているかどうか分からない以上、やはりここは念には念を入れた方がいいだろう。

 そうして影のゲートで機械の館の中に入り込んでみると……そこには、2機のダーナ・オシーの予備機があるのが目に入った。

 少し離れた場所では、何人かの技術者が何らかの作業をしているのが分かる。

 完品は2機か。

 1機あればいいと思っていたんだが、そういう意味では幸運だったな。

 1機は俺がそのまま貰っておくか?

 一瞬そう思ったが、今回の行動はあくまでもドレイクからの要求によるものだ。

 そうである以上、これをドレイクに渡さないという選択肢はないだろう。

 何より、この機械の館を発見したラムが、2機のダーナ・オシーがあるというのをドレイクに報告していれば、何故1機しかないのかといったように疑問に思うだろう。

 いや、ドレイクの性格を考えると、そう簡単に突っ込んでくるとは思えない。

 だとすれば、1機しかないのを見ても何も言わないで、そのまま今回はスルーするといったような事になりかねない。

 ともあれ、ダーナ・オシーは2機共にドレイクに渡すとして。

 ダーナ・オシー以外に他の物はないのか。

 出来れば、ゼラーナの設計図とかがあればありがたいんだが。

 現状ドレイク軍では主力オーラシップとなっている、ナムワン。

 そのナムワンよりも高性能なゼラーナだけに、それを量産出来れば……

 そう思いつつ、機械の館の中を歩いて回る。

 誰もダーナ・オシーに乗っていないので、気配遮断を使えば見つかる事がない。

 けど、ゼラーナの設計図はないか。

 本物は現在ガラリア達との戦いで使っているんだろうから、そう考えると設計図の類があってもいいと思うんだが。

 このバイストン・ウェルにおいては、パソコンのような物は存在していない。

 つまり、データをコンピュータ内部に残しておくといったような真似は出来ないのだ。

 そうなると、設計図の類がどこかにあってもいいと思ったんだが。

 残念ながら、こうして見た限りではこの機械の館にゼラーナの設計図はなかったらしい。

 とはいえ、考えてみれば当然でもあるのか。

 この機械の館は、ダーナ・オシーを製造出来る程度の施設は整っているが、ゼラーナを収容出来るような大きさではない。

 だとすれば、当然の話だがこの機械の館にゼラーナの設計図があるという可能性は限りなく低い。

 代わりに、ダーナ・オシーの設計図は発見したので、これは取りあえず貰っておこう。

 

「ん? あれ? おい、ダーナ・オシーの設計図はどこにいった?」

 

 っと、危ない危ない。

 ダーナ・オシーの設計図を空間倉庫に収納したタイミングに合わせて、技術者の1人がこっちにやって来た。

 

「知るか。こう大量の荷物がある中じゃ、そんなのを探せって方が無理だろ。で、何が分からねえんだ? 俺が分かる事なら教えてやるから言ってみろ」

 

 他の技術者がそう言い、ダーナ・オシーの設計図を探しに来た男は戻っていく。

 ふぅ。取りあえず設計図の確保は成功か。

 ただ、設計図の入手はこうやって誤魔化せたが、ダーナ・オシーの予備機や部品の類を空間倉庫に収納すれば、今にように誤魔化すといった事は絶対に不可能だ。

 そうなると、どうする? ここにいる全員を殺す……もしくは、気絶させるか?

 ニーにはこの件について報告して貰った方がいいと考えると、やはりここは殺さない方がいいか。

 それに、ギブン家にとって技術者は貴重な筈だ。

 これで俺がドレイクの立場なら、ギブン家の力を少しでも弱める為に技術者を殺した方がいいと判断するだろう。

 だが、俺はドレイクと同盟を結んでいるものの、全てがドレイク優先という訳ではない。

 あくまでも、俺は俺の利益の為にドレイクと手を結んでいるのだ。

 そしてギブン家が開発するだろうダーナ・オシーの次世代機たるオーラバトラーは、当然興味がある。

 特にダーナ・オシーの後継機として開発される以上、その機体は恐らく高機動型の機体となる筈だ。

 いやまぁ、ゲドの後継機として重装甲型のドラムロが開発された事を考えると、絶対とは言えないが。

 ただし、ドラムロを開発したドレイク軍だが、ドラムロ以外に高機動型のダンバインを開発してもいる。

 ……オーラコンバータによってオーラバトラーの能力に影響を与えるというのに極端に特化させるという、色々な意味で特殊なオーラバトラーだったが。

 とはいえ、そのダンバインを開発した事で色々と得た知見もあり、クの国でも高機動型のオーラバトラーを開発しているという事で、現在はダンバインの技術を活かした後継機を開発しているらしいが。

 ショットやゼットが最近忙しそうにしているのも、その辺が影響してるんだろうな。

 

「そう言えば、知ってるか? 昨日、ニー様がドレイクに攻撃を仕掛けたらしいぞ」

「本当か? なら、今頃ドレイク軍がこっちに攻めて来てるんじゃないか?」

「どうだろうな。出来れば被害はあまり出ないで欲しいと思うけど」

 

 と、技術者達のそんな会話が聞こえてくる。

 情報が遅い……とは、この場合言えないだろう。

 そもそもの話、この世界にはネットの類はないのだ。

 一応オーラバトラーに無線機の類は装備されているが、それだってそう簡単に使える訳じゃないし、範囲も狭い。

 その辺の事情を考えると、昨夜の一件をもう知っているというのは耳が早いと言ってもいい方だ。

 ギブン家はルフト家には負けるが、色々と革新的な技術を使っているのは間違いない。

 ピグシーとか、グライダーのようなのとか、そういうのを使って素早い情報のやり取りをしているのだろう。

 あるいは、ドレイクと同じようにガロウ・ランを雇っている可能性もある。

 いや、可能性どころかほぼ確実に雇ってるだろうな。

 そう判断しておいた方がいい。

 ともあれ、いつまでもこの機械の館でこうしている訳にもいかないし、そろそろ仕上げに掛かるか。

 話をしている2人の技術者に近付き、手刀で首の後ろを殴って気絶させる。

 当然気配遮断のスキルは俺が攻撃した瞬間に効果は切れたが、残るもう1人の技術者はいきなり話していた相手が気絶した事に驚き、そのままの状況で気絶した。

 例え気配遮断が解除されたとしても、結局のところここにいるのはFate世界のサーヴァントや、ネギま世界の戦士、もしくはペルソナ世界のペルソナ使いといったような者達ではない。

 瞬動を使わずとも、俺の姿を認識するような真似はまず不可能だった。

 

「さて、後はダーナ・オシーだな」

 

 気絶した2人はそのまま床に寝かせておき、ダーナ・オシーの予備機や予備部品……それと、以前ニーと戦った時は森の中に捨てられて持っていかなかったミサイルランチャーも確保しておく。

 それと、ギブン家の技術を見るという意味でオーラソードも貰っていくか。

 まぁ、ギブン家の技術者はルフト家から亡命した連中だと考えれば、技術力そのものはルフト家と変わらないだろう。

 いや、大量に金を使って設備を整えたルフト家と比べると、国力――国ではないが――で劣っているギブン家はそこまで技術に金を掛ける事は出来ない。

 そう考えると、やはりギブン家はルフト家に……いや、ドレイクに劣っているのは間違いない。

 とはいえ、技術力というのは設備だけでは決まらない。

 時には1人の天才によって驚くような飛躍をする事もあるのだ。

 そう考えれば、オーラソードを確保してギブン家の技術力を調べるといったような真似は必要だろう。

 そうしてダーナ・オシー関係の予備パーツや武器の類を確保すると、他に何かないのかと機械の館の中を見て回り……

 

「何だ、これ?」

 

 小型のオーラシップか?

 いや、それにしても小型すぎる。

 俺にとってオーラシップと言えば、思いつくのはナムワンだ。もしくは、ゼラーナか。

 だが、俺の目の前にあるオーラシップはそんなのとは違う。

 それこそ、オーラバトラーと同じような大きさなのだから。

 オーラシップが軍艦だとすれば、俺の目の前にあるこれはボート的な何か……というのは、少し言いすぎか? そこまで小さくはないし。

 ただ、とてもではないがオーラシップとは違う。

 だとすれば……ああ、もしかしてこれはウィングキャリバーって奴か?

 俺やマーベルは移動する時は影のゲートで移動してオーラバトラーは空間倉庫に入れておくとか、ナムワンで移動するとかしているから使う事はなかったが、ドレイク軍ではオーラバトラーを運ぶ為の……一種のSFS、シャドウミラーで使っているダラニのようなのは開発されていた筈だ。

 取りあえずこれも貰っておくとしよう。

 そうしてウィングキャリバーを空間倉庫に収納すると、俺は影のゲートでその場から立ち去るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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