転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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2794話

 長剣を天に向けて宣言したバーンに、周囲でガッターとドラムロの戦いを見ていた観客達は、歓声を送る。

 いや、歓声というよりは大歓声と表現した方がいいか。

 このような雰囲気を作るのは、本人の性格もあるがガラリアよりもバーンの方が上だろう。

 そしてバーンによって力を捧げると言われたドレイクは、演説を行う。

 オーラバトラーの力を使えば、荒れているアの国を平穏に戻せる、と。

 それは聞きようによってはドレイクがこのアの国を治めるといったように聞こえなくもない。

 というか、ドレイクは最初からそれを狙ってこの演説をしているのだろう。

 アの国の国王は、あのフラオンだしな。

 そう考えれば、ドレイクが分かる者には分かるだろう反逆心を表に出すというのは納得出来る。

 多分、ドレイクはオーラバトラーの力を使って、いずれアの国を獲ることを狙っているのだろう。

 普通なら、ドレイクにそんな馬鹿な真似はしないようにと言った方がいいのかもしれない。

 だが、フラオンの愚王ぶりを知ってる身としては、ドレイクがアの国の国王になった方が上手く行くと、そう思えた。

 マーベルもその辺を理解しているのかいないのか、ドレイクの演説に不満そうな様子は見せていなかったのだから。

 だが……そんな演説も次の瞬間唐突に終わりを告げる。

 不意にドラムロの周囲で爆発が起こったのだ。

 その爆発は、当然ながらバーンが行ったものでなければ、ドレイクが命じたものでもない。

 空中を飛んできた、見覚えのあるオーラバトラーが手にした4連装ミサイルランチャーを発射した事による爆発。

 そんな武器を持っているオーラバトラーは、俺は1機種しか知らない。

 ギブン家が開発したと思われるオーラバトラー、ダーナ・オシー。

 

「ギブン家のオーラバトラーか!?」

 

 そう叫んだのは、ドレイク。

 どうやらドレイクはギブン家で独自開発されたダーナ・オシーについて知っていたらしい。

 俺がサーバインのテストをしている時に襲われた件は知らせていないので、別のところからの情報か?

 いや、考えてみればドレイクは優秀な領主だ。

 半ば敵対関係にあるギブン家の領地について、偵察していない筈がない。

 もしくは、既にニーが……あるいはそれ以外が操縦するダーナ・オシーとぶつかった事があるのか。

 当然の話だが、俺とドレイクは対等の同盟関係ではあるが、だからといって全てを話している訳ではない。

 例えば、俺の空間倉庫の中にはニーから奪ったダーナ・オシーがあるが、それをドレイクには説明していないし、同時にドレイクもまた全ての事を俺に教えたりはしていないだろう。

 それこそ、俺が知らない間にどこかでドレイクの部下とギブン家の操縦するオーラバトラーと遭遇して戦っていたりといったような事があっても、ドレイクが俺に説明する必要はないのだ。

 

「オーラシップだと!?」

 

 ショットの言葉に空を見上げると、そこには初めて見るオーラシップの姿。

 というか、俺が知っているオーラシップはナムワンしかない以上、あのオーラシップはダーナ・オシーと同じくギブン家が独自開発したものか?

 とはいえ、そう簡単にオーラシップを開発出来るか?

 オーラバトラーなら、ダンバインの開発に関わっていた技術者が何人かギブン家に寝返った……いや、亡命した? ともあれ、そんな感じでダーナ・オシーが開発出来たのは納得出来る。

 だが、人型機動兵器のオーラバトラーとオーラシップでは、開発する際に求められる技術は違うだろう。

 そう考えると、もしかしたらギブン家は俺が考えている以上に高い技術力を持っているのか?

 

「ショット、あのオーラシップをどう思う?」

 

 こういうのは専門家――ショットの専門は人型機動兵器であって、オーラシップは違うのだろうが、それでも俺より技術に詳しいのは間違いないと判断して――に尋ねる。

 

「恐らくだが、ナムワンを改修したものだろう。ナムワンはそれなりの数が出回っているだけに、ギブン家が入手する方法もある」

 

 ナムワンをベースに改修か。

 そういう意味でなら納得出来る。

 何も情報がない状況で、1からオーラシップを開発するとなれば高い技術力が必要となるだろうし、試行錯誤も必要となるだろう。

 だが、ナムワンをベースにして開発するのであれば、ベースとなっているナムワンがある以上、1から開発するよりはかなり楽だろう。

 勿論、ナムワンをベースにすると言っても、ナムワンとギブン家のオーラシップの形はかなり違う。

 つまり、ベースにはしているものの、それはかなり大規模な改修をされているという事だろう。

 当然改修している以上、ナムワンよりも性能は高くなっているのは明らかだ。

 出来れば、あのオーラシップを入手したいが……難しいか。

 空間倉庫の中に、生物を入れる事は出来ない。

 そうである以上、あのオーラシップに誰かいない時でもないと空間倉庫に収納は出来ないだろう。

 

「ナムワンとは随分と違うが、ショットの目から見てどういう風に強化されてると思う?」

「あの動きを見た感じでは、ナムワンよりも高い機動力を持っているのは間違いないな。それに対空攻撃も優秀だ」

 

 その言葉には納得出来る部分が大きい。

 こうして見ている今でも、ドレイク軍のドロが向こうのオーラシップの対空砲によって撃破されている。

 それだけではなく、バーンのドラムロと戦っているダーナ・オシー……多分ニーが操縦してるんだと思うが、そのダーナ・オシーの援護も抜かりなく行っていた。

 バーンとニーでは、バーンの方が技量は上だ。

 ドラムロとダーナ・オシーでは、ドラムロの方が性能は上だろう。

 技量でも乗っているオーラバトラーでも、バーンの方が上なのだ。

 そうである以上、本来ならニーが乗っているだろうダーナ・オシーはバーンに即座に負けてもおかしくはない。

 そんな状況でも何とかなっているのは、オーラシップによる援護攻撃が続いていた為だ。

 オーラシップの性能なのか、操縦している者の技量が高いのか。

 出来れば性能であって欲しいところだが。

 とはいえ、戦いそのものは数分程度ですぐに終わる。

 ダーナ・オシーとギブン家の開発したオーラシップは、元から一撃離脱するつもりだったのだろう。

 いや、一撃離脱という点では少し長く戦いすぎた気もするが。

 その辺は、やはりまだオーラバトラーを使った戦闘に慣れていないといったところか。

 ……あるいは、ガラリアの乗ったドラムロが姿を現したからといった可能性も否定は出来ないが。

 視線の先では、ガラリアのドラムロが空中に浮かび上がってきた。

 出るのが遅いという思いがない訳でもないのだが、ガラリアは生身でこの園遊会の護衛をしていたのだ。

 であれば、当然だが襲撃からドラムロに乗り込むまでの時間は必要となる。

 

「アクセル!」

 

 と、そんなガラリアのドラムロがこの場から逃げたオーラシップとダーナ・オシーを追撃する姿勢をとった。

 バーンの方は深追いをしていないというのに、だ。

 ちっ、ガラリアの悪い癖が出たか。

 

「ドレイク、このままだとガラリアは敵の罠に嵌まる可能性がある。俺が止めてきてもいいか?」

「む……しかし……」

 

 ドレイクが戸惑ったのは、こんな事で俺に借りを作りたくないと思ったからだろう。

 しかし、そんなドレイクの横にいたルーザは敵意剥き出しの視線でこちらを一瞥すると、口を開く。

 

「構わないではないですか。やると言うのですから任せればいいのです」

「ルーザ」

 

 ルーザとは今までも敵対関係にあったのは間違いないが、それでもそれは表向きになるような事はなかった。

 だが、今日の園遊会での出来事から、ルーザは明確に俺を敵だと判断したのだろう。

 もっとも、今回に限っては俺にとってそう悪い話ではないのだが。

 

「で、どうする? 俺としてはマーベルの友人のガラリアをそのままにしておくってつもりはないんだが」

 

 そう言うが、実際にはガラリアは俺やマーベルとの模擬戦を繰り返して高い操縦技術を持っている。

 今の状況でギブン家のオーラシップを追って待ち伏せされていても、そう簡単にやられる訳はないと思う。

 思うのだが、ギブン家にしてみればいきなりドレイクの領地を……それもドレイクが園遊会を開いている場所を襲撃するといったような真似をしているのだ。

 そうである以上、何の考えもなくそのような真似をするとは到底思えない。

 つまり、何か考えての事なのは間違いないだろう。

 であれば、わざわざそんな罠に引っ掛かるといったような真似をしなくてもいいだろう。

 

「うむ、アクセル王には悪いが、頼めるか?」

「任せろ」

 

 そう言い、俺はその場で空中に浮かび上がる。

 

「アクセル!?」

 

 俺とドレイクの話し合いの様子を見ていたのか、それとも偶然俺が空を飛んだ光景を見て驚いたのか、その辺の理由は分からなかったが、トッドが驚きの声でそう言ってきた。

 そしてトッドの様子に気が付いたのか、ショウとトカマクの2人もこちらに驚きの視線を向けている。

 

「魔法だよ、魔法」

 

 取りあえずそう言って誤魔化しておく。

 実際に魔法を使えば空を飛べるし、空中を足場にするような虚空瞬動を使ったりも出来る。

 そういう意味では、魔法というのは決して間違ってはいない。

 もっとも、こうして俺が空を飛んでいるのは魔法ではなく混沌精霊としての力の方だが。

 

「じゃあ、園遊会はこれで終わりになるだろうけど、終わるまではもう少し楽しんでてくれ。マーベル、何かあったら頼む」

「ええ。もっとも、ダンバインがないと私には何も出来ないけど」

 

 そう告げるマーベルをその場に残し、俺は空を飛んでガラリアの後を追う。

 ドロとかに乗って追ってもよかったんだが、ドロって何気に速度はそこまで速くはないんだよな。

 いや、一般人が地上を進むのに比べれば圧倒的に速いのは間違いないんだが、俺が空を飛ぶ速度に比べるとどうしても劣ってしまう。

 それに小回りとかもドロより俺が直接飛んだ方がいいし。

 一応ドロもオーラバトラーと同じく、イメージや重心によってその辺は微妙に変わったりする。

 バーンのドラムロの側を通ると、向こうもそれに気が付いたのか空を飛んでいたドラムロが若干動揺した様子で動く。

 

『アクセル王!?』

 

 そしてドラムロから聞こえてくるバーンの声。

 まさか、バーンもここで俺がガラリアを追って移動するとは思わなかったのだろう。

 とはいえ、今の状況を思えばそこまでおかしな話ではないと思うんだが。

 

「ガラリアを追う!」

 

 一応、それだけ叫んでおく。

 バーンに俺の言葉が聞こえたのかどうかは分からないが、それでも何も言わないで行動するよりはマシだろう。

 そんな訳で園遊会が行われていた闘技場から10分程飛び続け、やがて視線の先にドラムロの姿が見えてきた。

 幸いにして罠の類はなかったが、ギブン家の者達にしてみればドラムロ1機だけであれば勝てる相手だと判断したのだろう。

 ダーナ・オシーとオーラシップが協力して、ガラリアの操縦するドラムロと戦っていた。

 とはいえ、戦況は互角といったところか。

 オーラシップからの援護があって、それでようやくダーナ・オシーはドラムロと互角に戦う事が出来ていた。

 この辺は、純粋にガラリアの実力が高いから……というのもあるが、恐らくニーだろうけど、ダーナ・オシーのパイロットの技量が拙いというのも関係している。

 オーラバトラーの操縦技術という点では、ニーがガラリアに勝つのは……不可能とは言わないが、かなり難しい。

 例えば、きちんとした格闘技の訓練を行っている者と、精々喧嘩くらいしかした事のない者が戦えばどうなるか。

 それも路上での喧嘩ではなく、格闘技のルールの中で。

 勿論、そのような状況であっても喧嘩をしていた者に特別な才能があれば、勝つといった事もあるだろう。

 才能というのは、それだけの力なのだから。

 だが……こうして見た限り、ダーナ・オシーに乗っているニーにはそこまでの才能があるとは思えない。

 それに比べると、ガラリアはかなりの才能を持っており、その上で俺やマーベルとの模擬戦を繰り返しているのだから、ニーに勝ち目がある筈もない。

 ましてや、ダーナ・オシーとドラムロではドラムロの方が性能も高い。

 そんなニーの弱さを補っているのが、オーラシップだ。

 ガラリアも、ニーのダーナ・オシーだけならともかく、オーラシップが援護に回ればそう簡単に対処は出来ない。

 これでオーラシップだけが相手なら、ガラリアもどうにか出来たんだろうが……技量が劣るとはいえ、ニーの操るダーナ・オシーはガラリアにとっても放っておけるものではない。

 

「取りあえず、これでも食らってろ」

 

 呟き、腕を大きく振るって白炎の壁を空中に作り出す。

 いきなりのそんな光景に驚いたのか、戦場は沈黙し……そして危険だと判断したのか、ダーナ・オシーはオーラシップと共に後方に去っていく。

 そんな相手を更に追撃しようとしたガラリアだったが……俺が生み出した炎獣がドラムロの周囲を飛び回ると、やがて渋々といった様子ではあったが追撃を断念するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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