俺とマーベルがクの国に行くと決めてから、少し時間が経過し……
「へぇ、これがナムワンか」
俺は地上に向かって降りてくる、空を飛ぶ軍艦ナムワンを見て、感心したように呟く。
ドレイクから話は聞いていたのだが、こうして実際に見てみると感心する。
オーラバトラーやオーラボムを開発していた以外にこんな軍艦も開発していたのだから、それは当然だろう。
「最新鋭の軍艦だ。もっとも、これが初めてのオーラシップである以上、これからも他に色々と開発されていくといったような事になると思うが」
そう言って満足そうな笑みを口元に浮かべているのは、ショットだ。
オーラシップという全く新しい軍艦である以上、当然このナムワンの開発もショットやゼットが中心になって行ったのだろう。
それだけに、こうして得意げな笑みを浮かべているのには理解出来る。
「で、あっちが俺のナムワンか。外見的には違いがないな」
「当然だろう。元々あのナムワンはドレイク軍で使う予定の物だったんだ。それを半ば強引にアクセルが奪っていったのだから。特別な改修など出来る筈がない。もしやるとすれば、それこそ今回の一件が終わってクの国から戻ってきてから、改めてという事になる」
「そうか。なら、今回の一件の間にどんな風に改修して貰うかを考えておくよ」
ナムワンは、このバイストン・ウェルで初めて開発されたオーラシップだ。
それだけに、こういう時はこういう改修をするといったパターン……テンプレと言ってもいいのかもしれないが、そういうのはない。
そうであるだけに、どういう改修をするのかは自由だ。
勿論、地上にある軍艦を参考に出来るだろうが、地上にある軍艦は水上艦や潜水艦といったように海が必須の軍艦が大半だ。
それに対して、オーラシップは空を飛ぶという以上、地上の軍艦のデータはあくまでも参考程度にしかならない。
俺がナムワンを改修するとなれば……そうだな。まずはやっぱり自動化だな。
現在の俺の勢力は、俺とマーベルの2人だけだ。
そうである以上、当然ナムワンを完全に使いこなすといった事は出来ないが、ある程度人数が揃うにしても、その人数は決して多くはない筈だった。
ホワイトスターから誰かを連れてくる事が出来れば、その辺りは解決するんだが。
それはゲートでホワイトスターに繋がらない以上、どうしようもない。
つまり、今の状況では可能な限り少人数で操縦出来るようにする必要があるのだ。
問題なのは、その自動化する為の技術そのものがないといったところか。
当然だろう。この手の技術は、もっと軍艦の……今回の場合はオーラシップの技術が発展して、それで出て来るようなものなのだから。
それを思えば、今の状況で自動化にするのはかなり難しい。
「少数でナムワンを運用出来るように、自動化してみてくれ。これなら、ドレイクにとってもそう悪い話じゃないだろ?」
「それはまぁ、そうだろうが」
ショットも俺の言葉に同意する。
実際、ドレイクにとってもオーラシップの自動化というのは決して悪い話ではない。
1隻のオーラシップに必要な人数が減れば、その分オーラシップそのものの数を増やす事が出来るようになるのだから。
それを思えば、寧ろドレイクにとっては悪い話どころか、望むところといった感じだろう。
だからこそ、自動化の技術の研究はドレイクからもあっさりと許可が出てもおかしくはなかった。
「なら、そんな感じで話を通しておいてくれ。勿論、すぐに自動化の技術を実用化しろとは言わない。こういうのは、時間を掛けて技術を蓄積していくようなものだろうし」
そんな俺の言葉に、ショットは頷く。
ショットにも、この件については色々と思うところがあるのだろう。
「分かった、ドレイク殿には私から話を通しておこう」
「そうしてくれ。……そう言えば、ゼットはどうした? いつもならこういう時は顔を出すだろ?」
「向こうで少し用事があって、話している」
若干呆れた様子を見せるショットの言葉に、疑問を抱く。
その用事というのが、ショットにとっては呆れの色が強いのか?
そんな疑問を抱いていると……ちょうどそのタイミングで、俺のナムワンではなくもう1隻のナムワンの方からゼットが姿を現す。
ただし、それはゼットだけではない。ガラリアも一緒だ。
何気にいい雰囲気なので、ショットが呆れていたのはこの件か?
前にもあの2人が話しているところを見た事はあったが、こうして見ている限りでは以前よりも2人の距離は縮んでいるように見える。
ただし、それはあくまでも友人か……もしくは友人以上恋人未満といった距離だろう。
ゼットがガラリアをどう思っているのかは、何となく分かる。
ガラリアの方もゼットの好意に完全に応えている訳ではないが、それでも嬉しく思っているのは間違いない。
にしても、ガラリアか。
バーンと共に俺に対して敵対的な人物の急先鋒の1人だ。
ここにいるという事は、クの国に向かうナムワンにはガラリアも乗るという事だろう。
これは……正直、少しやりにくいな。
ドレイクの考えなのか、それとも護衛の人選を任されたバーンが俺から目を離すのは危険と判断したのか……もしくは、全くの偶然でこういう形になったのか。
その辺は残念ながら俺にも分からない。分からないが、それでも今の状況を思えば決して歓迎出来る事ではないのは明らかだ。
「ガラリアか。あいつが護衛の隊長ってところか?」
ナムワン2隻で移動する以上、当然の話だがそれには護衛も必要となる。
普通に考えれば、オーラバトラーを運んでいるドレイク軍に攻撃を仕掛けるといったような真似は自殺行為だ。
だが、当然の話だがオーラバトラーというのはかなり高価であり、そう簡単に購入出来る物ではない。
そうである以上、襲って入手する事が出来れば、それは無料で入手出来るという事になる。
勿論、自分が手を下したというのを分からないように、ガロウ・ラン辺りを雇ってやらせるとかするかもしれないが。
また、それ以外にも既に俺を直接襲うといったような真似をしたギブン家の例もある。
ダーナ・オシーを俺が欲している事もあって、ニーに襲われた事は報告していない。
俺の情報をギブン家に流したバーンも、まさかそんな事をドレイクに報告する訳にはいかない。
その為、俺がサーバインの運用試験をした日の襲撃は、結果として起きなかった事になっている。
だが……それはあくまでも俺やバーンにとっての話であって、ギブン家は違う。
いやまぁ、バーンからその辺の連絡が噂とか、もしくは間に何人も挟んで知らされた可能性はあるが。
もしそうではない場合、既にギブン家はドレイクと決定的なまでの敵対したと考える可能性もあり……そんなギブン家にとって、オーラバトラーを売りに行く俺達はカモネギといったところだろう。
ともあれ、ギブン家の件までは分からなくても、何者かに襲われる可能性がある以上、ドレイクがナムワンに護衛をつけるのは当然だった。
「うむ、そうなる。彼女はドレイク殿の部下の中でも、腕の立つ方なのでな。若干、独断専行しやすいところもあるのだが……ああ、ちなみに彼女と護衛部隊はアクセルのナムワンに乗る事になるぞ」
「は? いやまぁ、そうする理由は分かるけど」
ナムワンの性能を見れば、搭載可能なオーラバトラーは全部で6機だ。
つまり、俺のナムワンはともかく、クの国に向かうナムワンに搭載出来る売り物のオーラバトラーも全部で6機となる。機体だけではなくて各種部品とかもあるんだろうが。
だが、ガラリアが使うドロといった機体を乗せれば、当然だが搭載出来る数も少なくなる。
その辺の事情を考えると、ガラリア達は俺のナムワンに乗った方がいいのは間違いないのは事実だ。事実だが、問題もある。
「ガラリアの方が、よく納得したな」
そう、ガラリアはバーンと共に俺を疑っている相手の急先鋒とも呼ぶべき存在だ。
そのガラリアが俺と一緒に俺のナムワンに乗り込むといったような真似を許容するとは、到底思えない。
いやまぁ、こうしてショットが言ってるって事は、当然のように向こうにその辺りを納得させた上での話なんだろうが。
「その辺はゼットに説得させた。いや、寧ろ嬉々として説得したと言うべきか」
「なるほど」
ゼットとガラリアの関係を思えば、その辺は納得出来るか?
そんな風に話している間に、ガラリアがこちらにやって来るのが見えた。
その側にはゼットの姿もある。
もしあの2人がそういう関係になったりした場合、多分ゼットはガラリアの尻に敷かれるんだろうな。
「アクセル王、今回はよろしく頼みます」
不承不承ではあるんだろうが、それを表に出さないようにしている辺りは取りあえず合格といったところか。
「ああ、こっちもナムワンに乗るのは初めてだから、そっちには色々と迷惑を掛けるかもしれないが、よろしくな」
サーバインとダンバインは空間倉庫に収納して移動するといった事も考えていたんだが、ナムワンの使い勝手に慣れさせるというのを考えると、空間倉庫という楽を覚えさせない方がいいのは間違いない。
「分かりました。では、挨拶もすんだので私はこの辺で」
そう言い、俺の前から立ち去るガラリア。
ゼットは結局何も言えず、俺に手を振ってからそんなガラリアを追っていく。
出来る限り俺とは一緒にいたくないといった感じか?
ゼットとの関係を考えると、出来れば今のような敵対関係ではなく友好的な関係になっておきたいところだが。
その辺は、今回のクの国への移動中に改善出来ればいいか。
問題なのは、それが本当にどうにか出来るかどうかだが……
「ゼットを連れていってもいいか?」
「無茶を言うな」
ゼットに仲介させてガラリアと友好的になろうかと思ったのだが、ショットにあっさりと断られてしまう。
考えてみれば当然の話か。
ゼットはショットと共にオーラバトラー開発の中心人物だ。
いや、若干政治についても手を出しているショットと違って、純粋な技術者としてはゼットの方が上という可能性もある。
その辺の事情を考えると、ショットとしてはゼットを俺と一緒に他国に向かわせるといったことに危険を感じているのだろう。
「そうか。ゼットがいてくれれば、ガラリアも多少は落ち着くと思ったんだがな。……まぁ、ゼットの立場を考えれば仕方がないな」
そう言っていると、今度はマーベルがやって来る。
「アクセル、荷物とかの積み込みはもう殆ど終わったらしいけど、まだ時間が掛かる?」
「いや、特に何か重要な話をしていた訳でもないしな。俺の方は何も問題ない。……じゃあ、そんな訳で、俺はそろそろ行くよ」
「ああ。気をつけて行ってきてくれ。アクセルが無事に戻ってくるのを待ってるよ」
そう言い、ショットも自分の仕事があるのか戻っていく。
「アクセルって結構彼と仲がいいわね」
「そうか? 普通だと思うけど」
「ショットがあそこまで友好的に話している人ってそうはいないわよ??」
「友好的? 友好的か?」
俺がそれなりにショットと話す機会があるのは事実だ。
だが、その会話内容が友好的かと言われれば、素直に頷くことは出来ない。
俺とショットの会話内容は、とてもではないがそういう感じではないと思える為だ。
「少なくても私にはそう見えたわよ。話している本人にはそういう自覚がないのかもしれないけど」
「まぁ、それは否定しない」
実際に友好的であるという自覚はない為に、俺もそう返す。
それにしても、他の奴にしてみればそのように思えるって事は、普段からショットはどこまで人づきあいの悪い奴って思われてるんだ?
まぁ、それがショットらしいと言われれば、俺もそれには素直に頷くことしか出来ないんだが。
「でしょう? まぁ、それはともかく、ナムワンに乗りましょう。アクセルがいないと、出発するにしても出発出来ないわよ」
「ああ。そう言えば、俺達のナムワンにガラリア達が乗るのは知ってるか?」
「ええ、知ってるわよ。護衛なんでしょ? 何日か前に聞いたわ」
「何日か前に? というか、ガラリアと普通に話してるのか?」
「え? そうね。普通に話してるわよ」
何が驚きかといえば、それこそマーベルがガラリアと普通に話しているというのが驚きだった。
俺を嫌っているガラリアだけに、俺の仲間というか、表向きは俺と付き合ってる事になっているマーベルに対して、それなりに話していたという事だろう。
一体、どういうつもりでそんな真似をしてるんだ?
いやまぁ、それはそれでガラリアと接点が出来て助かるんだが。
ガラリアにしてみれば、マーベルと話して俺の情報を少しでも入手しようと、そんな事を考えての行動の可能性もあるのだが。
ともあれ、マーベルを通してガラリアと話せば多少なりとも友好的な関係になれるかもしれないと、そう思うのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648