「ザメル? ……へぇ。これは結構……」
数日ぶりにUC世界に戻ってきた俺が向かったのは、ディアナ。
とはいえ、ディアナは現在非常に忙しく働いていた。
ビグ・ザムを始めとした、俺が確保しておいたMSやMAについての解析。
ガルバルディやギャン高機動型をベースにした新型MSの開発。
それ以外にもクレイドル協定が結ばれた事で、サイド3から月に移住してきた新たな技術者達の受け入れや配置。
そして……終戦協定の仲介役を行うという事で、ジオン軍が持っていた技術やMSの提供。
そんな中で俺の興味を惹いたのは、ザメルというMSだった。
分類はMSだが、その運用はMA的な代物だ。
全高27m、本体重量75t、全備重量120tオーバー。
この大きさだけを見ても、MSよりもMA的な存在だというのが納得出来る。
基本的には遠距離から射撃を行うというタイプで、武器に関しても680mmカノン砲、8連装ミサイルランチャー、20mmバルカンといったように徹底している。
唯一20mmバルカンのみは、敵が近接戦闘を仕掛けてきた時に対処する為の武器だが……せめてガンダムやジムが使ってるような、60mmバルカンに出来なかったのか?
そんな尖った性能ではあるが、他にも特徴はある。
それはホバー移動が可能という点だ。
つまり、ルナ・ジオンが地球上に唯一持っている領土のハワイで使うには、それなりに有効だということを示している。
何しろホバー移動というのは水上であっても移動出来る。
その上で、680mmカノンという長距離用の武装を持っているのだから、水上を移動しながら敵を攻撃出来るのだ。
その有用性は語るまでもないだろう。
……勿論、ザメルというMSはメリットだけではない。
その重量から、ホバー移動が出来るとしても決して軽快な運動性とは言わないし、2人乗りが前提である以上貴重なMSパイロットが2人必要になる。
あ、でも一応1人でも操縦出来るのか。その分、腕利きを乗せる必要があるが。
また、そんな巨大なMSである以上、整備の問題もある。
とはいえ、有用性があるのは間違いない。
であれば、取りあえずザメルはハワイで試験運用して貰う必要があるだろう。
ちなみにザメルと同じようなタイプの兵器として、モニク達がいた部隊で試験運用したヒルドルブってのがあるが……こっちはとてもではないがハワイでは運用出来ないな。
ホバー移動のザメルに対して、こちらはキャタピラを使った戦車だ。
重量も、ザメルが120tであるのに対してこっちは220t。
こうなると、ヒルドルブはちょっと使いにくい。
これがハワイでなければ、ある程度使い道もあるんだが。
オーストラリアとかヨーロッパとかの平地の多い場所とかなら、巨体や重量の類もそこまで問題にはならないし。
ともあれ、ザメルはハワイで運用試験をして貰って、使えるのならそのまま使えばいいだろうし、量産してもいい。
ヒルドルブの方は……実物はまだ数台あるらしいから、取りあえず確保しておくか。
報告によると、ヒルドルブは1年戦争中に北米で連邦軍が鹵獲したザクと……それも数機のザクと61式戦車複数と戦って、勝利したらしい。
そう考えると、使い道はありそうなんだが……やっぱりハワイってのがな。
そもそも、ヒルドルブよりの進化形たるザメルがあれば……取りあえず送っておけばいいか。駄目なら駄目で、送り返してくるだろうし。
「さて、次。……へぇ、これは……それなりに使えそう、か?」
次に俺が見たのは、ゼーゴック。
ズゴックに外部武装追加ユニットを付けた代物だ。
ビグ・ラングとどこか設計思想は似ているな。
とはいえ、ゼーゴックはかなり酷いMSと言ってもいい。
ぶっちゃけ、兵士を使い捨てにするってのが、この場合問題だろうし。
ただ、宇宙空間から直接敵の拠点に向かって降下していくというのは、ピンポイントで攻撃するという意味なら、決して悪い選択肢ではない。
それこそパイロットの技量とかも大きく関わってくるが、上手く行けばジャブローに攻撃出来る可能性すらある。
……というか、実際にジャブローに対して試験を行ったんだな。
それによって、ジャブローから宇宙に打ち上げられる予定だったサラミス級やマゼラン級がそれなりに被害を受けたらしい。
結果として、そちらには相応のダメージを与えたものの、ゼーゴックに乗っていたパイロットは死んだらしい。
コバッタとかの無人機を使えば、それなりに使えそうではあるが……そんな風に考えながら、俺はジオン公国から譲渡された兵器情報に目を通すのだった。
UC世界には暫く来る事が出来なくなりそうだし。
「ねぇ、アクセル。いよいよ……明日ね」
ホワイトスターにある家で夕食を食べていると、レモンが不意にそう呟く。
そんなレモンの言葉に、話を聞いていた全員の視線が俺に向けられる。
……ちなみに、その全員の中には普段はペルソナ世界で暮らしているゆかりと美鶴の姿もある。
2人が来てるのは、レモンが言ってる通り明日が特別な日だからだ。
特別な日……つまり、俺がゲートを使って未知の世界に転移をする日。
他の面々はもう何度か経験しているのだが、ゆかりと美鶴はペルソナ世界で俺の恋人になったばかりで、俺が未知の世界に転移するというのは、まだUC世界でしか経験がない。
それだけに、2人は余計に俺が心配なのだろう。
だからこそ、俺は全く何の心配もないと笑みを浮かべてすき焼きに箸を伸ばす。
ちなみに肉は、美鶴がちょっとお高い牛肉を持ってきてくれた。
ただし、この人数で食べる量だけにどうしても結構な量になる。
俺もまた、食おうと思えば好きなだけ食う事が出来るし。
そういう意味で、テーブルの上にある鍋はこの人数だけあって3つもあった。
牛肉を鍋から取り、溶き卵に潜らせてから口に運び……幸せな一時の経験してからレモンに頷く。
「そうだな。とはいえ、ゲートを設置すればすぐにでもホワイトスターに戻ってくる事が出来るんだから、そこまで心配しなくてもいいと思うぞ」
……まぁ、転移した世界によっては何らかの理由でゲートを設置出来ないとか、そういう事もあるが。
SEED世界の時なんか、ヘリオポリスに出るとイザーク達がガンダムを奪いに来ていて、それを阻止するなりなんなりしているうちにアークエンジェルに乗る事になってしまって、それからはずっと移動しながら戦い続けて、最終的にゲートを設置出来たのはオーブだったしな。
マクロス世界も似たような感じだった。
「本当に大丈夫なの? 何なら、私も一緒に行こうか?」
「いや、お前は学校があるだろ」
「もう3年なんだから、3学期なんて基本的に自由登校よ?」
ゆかりの言葉に少し考える……が、すぐに却下する。
「無理だろ。そもそもの話、俺が行く世界は時差があってこっちとゲートで繋がるまでの間にどれくらいの時間が流れるか分からないんだ。受験……は関係ないだろうけど、卒業式とかに戻って来られるとは限らないんだぞ」
ちなみにゆかりの受験がもう終わってるというのは、推薦で合格を貰っている為だ。
本来なら、入試の類は1月末から2月。少し遅いところでは、2月中旬の今も受験をやっているところがあるらしい。
ともあれ、ゆかりは現在美鶴が通っている大学に推薦で合格してるので、受験云々は気にする必要がない。
だが……場合によってはというか、その可能性がかなり高いのだが、俺がこっちに戻ってくる時は3月とか4月をすぎている可能性が高い。
そうなれば、卒業式も入学式も参加出来なくなる可能性がある。
そうである以上、俺としてはそれは許容出来ない。
「では、私はどうだ?」
「美鶴も大学の授業があるし、何よりもシャドウワーカーの運営があるだろ」
ペルソナ世界でシャドウの件を解決するという意味ではシャドウワーカーの仕事は大きい。
それに、出来ればタルタロスのような場所を見つけて欲しいし。
「むぅ……」
「それよりも、すき焼きを楽しむぞ。……それと、今夜は寝かせないから、そのつもりでな」
『なっ!?』
ゆかりと美鶴の口からそんな驚きの声を聞きながら、俺はこれからのことを楽しみにするのだった。
翌朝、例によって例の如く疲れ切ったレモン達はいつもより少し早めに魔法球に入って疲れを癒やし、現在転移区画にあるゲートの前にいた。
昨夜色々と凄い事になったゆかりは、どこか拗ねたような視線を俺に向けているが……取りあえず有言実行だったという事で。
「じゃあ、ゆかりも怖いし、そろそろ行くか」
「……全く。あんな事をするなんて……馬鹿じゃない? てか、馬鹿じゃない?」
ゆかりらしい言葉を受けつつも、俺はレモン達とそれぞれ唇を重ねて別れの挨拶する。
……ゆかりには昨日の仕返しか、舌を噛まれたが。
「取りあえず、いつまでもここにいると未練が残って転移出来そうにないから、そろそろ行くよ。頼む」
量産型Wが俺の言葉に従い、システムXNを操作する。
とはいえ、今回はランダムで転移するのだ。
そうである以上、操作の方はいつもと違う。
そして、システムXNが起動して光の繭に包まれ……
「じゃあ、行ってくる」
その言葉と共に、俺は転移する。
そして転移した瞬間、激しい揺れを感じた。
何だ!?
いつもなら転移をする時は一瞬で転移するというのに、今回に限っては何故か宇宙空間や火星、木星、月、地球といった場所がどこともいえぬ空間に映し出されていた。
ただし、そんな光景が見えている間も俺は激しい揺れに襲われており、光景をゆっくりと見る事が出来ず……次の瞬間、まるでガラスが割れるかのような激しい音と共に強い衝撃を受け、俺は女の悲鳴らしき声を聞きながらも、意識を失うのだった。
「ん……」
漂ってくる香りに目が覚めていく。
木々や草の香りが漂い、同時に香水か何かのような、甘い香りに意識が戻っていく。
そうして目を開けると、そこに広がっていたのは自然の光景。
……だが、どこかに違和感がある。
そんな風に思いつつ周囲を見回すと、俺のすぐ隣に1人の女が気絶しているのが見えた。
もしかして、転移している時に聞こえてきた悲鳴ってのは、この女のものか?
そう思いながら、女の様子を確認する。
年齢としては、10代後半から20代前半。
茶髪で顔立ちの彫りは深いが、見た者は殆どの者が美人と言うだろう。
眠っているのか気絶しているのか分からないが、上下する胸はかなりの大きさを持ち、日本人ではないことを示していた。
いやまぁ、日本でも美鶴や千鶴といった胸の持ち主はいるから、実は日本人でしたという可能性は否定出来ないが。
何しろ俺が転移する世界は基本的に原作のある世界で、その原作というのは日本にあるゲーム、漫画、小説、アニメといった諸々である以上、日本人が出て来る可能性は高い。
そんな事を思いつつ、女から視線を逸らして周囲の様子を見る。
先程この女から漂ってきた香水とは違い、自然の匂いが漂ってくる。
俺達がいるのは、どうやら林らしい。
ただし、林の奥深くといったような場所ではなく、木々の向こう側には道が見える。
……唯一心配なのは、俺の見えている道がアスファルトとかで舗装された道ではなく、土が剥き出しになっているところだろう。
どうやらかなり田舎に転移してきたらしいが……
というか、この林に生えている木々に全く見覚えがないのが若干不安だ。
「ん……」
これからどうするべきか考えていると、女が呻き声を上げながら目を開ける。
「どうやら目が覚めたみたいだな」
「……っ!? 誰!?」
女は俺の言葉を聞いた瞬間、素早く上半身を起こして俺から距離を取ろうとする。
まぁ、女にしてみれば気絶していた状態で気が付けば、そのすぐ側の男がいたのだ。
それも子供ではなく、20代の。
昨日の夜の件もあって20代の姿のままだったが、いっそUC世界の時のように10代半ばにしておけばよかったか?
「落ち着け。……と言ってもそう簡単に俺を信じることは出来ないか。取りあえず距離を取るから」
そう言い、女との距離を取る。
それを見て、ようやく女は落ち着いたのか、周囲の様子を見る。
……実際には、瞬動とかがあるから、この程度の距離は全く何の意味もないんだけどな。
それを言えば、女は警戒したままだろうから、その辺を言うつもりないが。
「ここは……どこ?」
周囲の様子を見回しながら、女は戸惑ったように言う。
どうやら、この女もここがどこかは知らないらしい。
だとすると、やっぱり転移している時に聞いた悲鳴は、この女だったのだろう。
「残念ながら、俺も分からない。……その前に、まずは自己紹介しないか? こんな場所で2人になったんだ。お互い、相棒はいた方がいいだろう?」
「……そうね」
俺の言葉に頷きながらも、女は俺を完全に信じた様子ではない。
今の状況では当然か。
「俺はアクセル。アクセル・アルマーだ。……そっちは?」
「マーベル・フローズンよ」
そう、短く言葉を返すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637