ガルマとダルシアの会談が終わり、これからのジオンについての話し合いが終わった後……俺達は月に戻ってきた。
これからジオンを率いるガルマがサイド3を出て月に戻ってくるのはどうかと思わないでもなかったが、置いてくるとそれはそれで問題が起きる。
まず最大の問題として、ガルマがジオンで非常に高い人気を誇っているという事があった。
実際にガルマとダルシアが会談をしたホテルの前には、かなりの数……それこそ群衆という言葉が相応しいくらいに多数の者達が集まっていたのだから。
それを考えると、もしガルマがサイド3に……いや、ズムシティに残っているのが知られると、一体どんな騒動が起きるのか分かったものではない。
元々ガルマは高い人気を誇っていたのだが、今はそれにザビ家の生き残りという点も関係して、その人気はもの凄い事になっていた。
そんなガルマのファンや信者といった面々の事を考えると、やはりガルマがサイド3にいたままというのは不味いだろう。
次に、ガルマを殺そうとしている者達。
ガルマはサイド3の住人から熱狂的に支持されているが、それでも全員がガルマに好意を抱いている訳ではない。
1年戦争で負けた、弾圧された、特に理由もなく気にくわない……動機は様々だが、ガルマを憎んでいる者も決して皆無という訳ではない。
それ以外にも、グローブの件を知っていた政治屋達にしてみれば、ガルマがいなければ自分達の目論見は成功したといった思いから逆恨みをしてもおかしくはない。
コバッタや量産型Wを護衛として派遣すれば、そういうのにもある程度対処出来るんだろうが……今は、それよりも月に戻ってきた方がいいと、そうガルマは認識したらしい。
そんな訳で数日が経過し……
「またシーマ達と一緒なのか。まぁ、他にも外交関係の諸々がいるけど」
クレイドルの宇宙港、それも海兵隊専門で部外者は誰もいない中でそう呟く。
そんな俺の言葉に、シーマは笑みを浮かべて口を開く。
「そう言ってもね。今回の件は何がどうなるか、全く分からないんだ。そういう意味では、こっちも相応の準備をする必要があるのは間違いないだろ?」
「まぁ、それはな。何しろ現在は向こうと接触することが不可能だし……あ、でも一応アクシズの方を通して向こうに接触出来るんじゃなかったのか?」
「どうだろうね。何しろ、木星という場所はこの世界においても重要な場所であると同時に、最果ての地といったところだしね」
そう、木星。
これから俺達が向かうのは、木星だった。
以前セイラとも話していたし、今シーマも言ったように、このUC世界において木星というのは大きな意味を持つ。
ミノフスキー物理学によって使えるようになった核融合炉、正式名称ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉にはヘリウム3が必須となる。
そのヘリウム3を入手する為、木星の近くにはコロニーが建設されていた。
その数そのものはそこまで多くはなく、連邦政府の定めたサイド1つにも及ばないらしいが、それでもコロニーはコロニーだ。
木星船団公社という、連邦でもジオンのような存在とは関係ないNGOが基本的に全てを仕切っているらしい。
ちなみに、この木星船団公社とコロニー公社、宇宙引越公社と並んで地球圏の中でも最大級のNGOらしい。
だが……コロニー公社や宇宙引越公社はあくまでも地球の周辺で仕事をするのに対して、木星船団公社の方はその名の通り木星で行われる。
つまり、連邦の手が届きにくい存在なのだ。
……まぁ、片道2年で往復に4年も掛かると考えれば、地球圏での勢力争いにちょっかいを出すような真似はまず不可能だろうが。
それでいて、ヘリウム3という必須の物資を独占している訳だ。
そんな連中と友好的な関係を築いておきたいと考えるのは、月としては当然の事だ。
片道2年という距離も、俺のニーズヘッグがあれば……いや、ニーズヘッグではなくても、シャドウミラーのファブニールを使えば誰でも木星まで転移する事は可能だ。
だが、ファブニールはシャドウミラー内でも様々な技術が投入された外部武装追加ユニットである以上、誰でも使えるという訳ではなく、登録された人物しか使えない仕様になっているが。
それでも連邦やジオンならともかく、シャドウミラーとは深い繋がりを持つルナ・ジオンならファブニールを借りる事も可能だろう。
……もっとも、あくまでもシャドウミラー側から派遣された者が操縦するファブニールに転移させて貰うといったような事になると思うが。
「そう言えば、シャリアはどうした? あいつも行く筈だろ?」
「アルテミスの方でジオングのテストをしていたらしいから、それが終わったら合流するそうだよ」
「ジオングか。……アルテミスの連中にしてみれば、興味津々だろうな」
エルメスとはまた違った意味で、現在のニュータイプ研究の中では頂点に位置する存在だ。
それだけに、アルテミスの研究者達にしてみれば、それこそ部品の1つ……ネジ1本まで調べたいと思ってもおかしくはない。
「とはいえ、別にシャリアを使わなくてもいいだろうに。実戦に参加出来るだけのニュータイプなら、クスコやマリオンもいるだろうに」
「さて、それをあたしに聞かれても分からないよ。ただ、シャリアは性格的に実直な面が強いしね。何より、シムスとの付き合いもお嬢ちゃん達よりも長いんだから、その辺が理由じゃないかい?」
ああ、なるほど。ジオングを調べているのはシムスなのか。
いやまぁ、考えてみればそれも当然か。
ジオングのニュータイプ用の武装は、両手の有線ビーム砲だ。
そしてシムスが開発したブラウ・ブロも有線ビーム砲を持っている。
言ってみれば、シムスは有線ビーム砲の第一人者な訳だ。
勿論これは、あくまでもアルテミスの中での話で、フラナガン機関の中にはもっと別の……具体的にはジオングを開発した者もいるだろう。
だが、アルテミスの中ではシムスが有線ビーム砲の第一人者である事は、間違いのない事実だ。
「シーマ様!」
と、俺とシーマが話をしていると、不意にそんな声が聞こえてくる。
誰だ? と考えるまでもなく、俺はそれが誰の声なのかを知っていた。
海賊のような外見からはとても想像出来ないが、シーマの副官のコッセルだ。
シーマの副官をやってるだけあって、その外見とは裏腹に高い能力を持っている。
外見に騙されるなという事を示している1人と言ってもいいだろう。
……ちなみに、ルナ・ジオン軍の中には当然のように規律に厳しい者もいる。
そのような者達の中には、セイラとはまた違った意味でルナ・ジオンの少将たるシーマの周辺にいるのが、コッセル達のような柄の悪い者達では外聞の問題があるといったようなことを口にする者もいる。
まぁ、その気持ちは分からないではないが、実際に高い能力を持ち、ジオン軍時代からシーマと一緒に戦い抜いてきたコッセル達は、シーマと強い絆で結ばれていた。
だからこそ、シーマはそんな周囲の声に耳を貸すといったような事はしない。
それどころか、不満を口にした相手に凄んだという話を聞いた事もあった。
「どうしたんだい?」
「荷物の積み込み、終わりました。けど……MSの数は本当に少なくていいんですか? 幾らアクセルがいると言っても……向こうは木星の連中で、どういう奴か分からないんでしょう?」
「だからって、こっちが強力な武装をしていけば、向こうを刺激するだけだろう? それに、向こうと面識のあるシャリアも一緒に行くんだ。問答無用でドンパチって事はないだろうさ」
そうシーマが告げるが、コッセルは完全に納得した様子はない。
今回の木星との交渉に行くのは、リリー・マルレーンとムサイ級が2隻、それと輸送船のパプア級が3隻の合計6隻での行動となっていた。
パプア級の数が一番多いのは、それだけ食料や水といった物を多数積んでいくからだろう。
パプアだけでは足りず、コッセルが言ったようにムサイやリリー・マルレーンにも補給物資……いや、生活物資の類を積み込んだのは、木星での生活はかなり苦しいとシャリアから聞いていた為だ。
地球の周辺にあるコロニーなら、それこそ多少何らかの問題が起きても……それこそ水や食料の類がなくなっていても、最悪他のコロニーから購入するといったような真似が出来る。
だが、木星の側にあるコロニーでは、何かあっても自分達で解決する必要があった。
だからこそ、食料や水は1人に配分される分量はしっかりと決まっているらしい。
それどころか、空気も1人分がしっかりと決められているとか何とか。
そのようなコロニーだけに、備蓄分の食料や水の類は幾らあってもいいだろう。
木星船団が巨大な船団であっても、それでも2年に1度となると、どうしてもその数は制限されるし。
だからこそ、転移能力を持つニーズヘッグやファブニールが大きな意味を持つ。
システムXNというだけなら、実は月の周辺に配備されている機動要塞のニヴルヘイムにも搭載されているし、機動要塞で移動するのなら今回の交渉団以上に補給物資を持っていく事は可能なのだが……現状、連邦軍にシャドウミラーが転移能力を持っているというのは知られていない筈だ。
いや、俺個人が影のゲートで転移をするといったような能力がある事は知られているが、それはあくまでも俺個人だけの話であって、MSとかが転移するというのは知られていない。
……ゴップ辺りなら、俺の影の転移からMSとかでも転移出来る能力があるという可能性を考えているかもしれないが。
ともあれ、システムXNについての情報は知られていない以上、ニヴルヘイムを転移させるといったような真似は奥の手として取っておいた方がいい。
まぁ、木星のコロニーから木星公社を通じて連邦に情報が流れるという可能性は否定出来ない……いや、かなり高いだろうが。
「ともあれ、あたし達が行くのは木星と友好関係を結ぶ為だよ。……もっとも、外交をするのはあたしじゃないけどね」
「ハモンか。……木星の連中が掌で転がされるのが目に浮かぶようだな」
今回の交渉団のトップは、戦力的な意味ではシーマだが、総合的にはハモンとなっている。
……ハモンを木星に連れて行くとなると、それこそラル辺りが自分も乗り込むとか言うのかと思ったが、幸いにして今のところは特にそんな様子はない。
まぁ、ラルはコロニー落とし前にコロニーの住民を毒ガスで殺した件について、自分が断ったからシーマがやらされたという罪悪感を持っている。
それを考えれば、シーマ達の実力を疑うといった事は出来なかったのだろう。
そうでなくても、シーマ率いる海兵隊は高い練度を持つ事で知られているし。
ましてや、そのシーマ艦隊にはニーズヘッグに乗った俺もいるし、当然量産型Wやコバッタで護衛も固めている。
……そう言えば木星のコロニーでMSは開発……されている訳がないか。
何しろ、1年戦争はその名称通り1年程で終了したのだ。
1年戦争で最初の戦いとなった1週間戦争で、初めてMSを使った戦いが行われたのだから。
あ、でもそれ以前にも当然ジオンでMS――その名前が知られていたかどうかは分からないが――の実戦テストをしていたのは間違いないから、噂くらいは聞いていた可能性があるな。
「木星でMSが知られていないとなると、ヅダとか出しても大きな騒動になりそうだな。……ニーズヘッグとか、出しても大丈夫か?」
ニーズヘッグは一般的なMSに比べるとかなり小型だ。
その辺りの事を考えると、もし木星のコロニーがニーズヘッグを見たりした場合、何か誤解を抱かれそうだな。
「どうだろうね。けど、最初はともかく木星との間はこの先も長く関係を持つ予定なんだろう? なら、最初は多少誤解しても、いずれその誤解は解消されるんじゃないかい?」
そう告げるシーマの言葉に、納得する。
正確にはそれしかないかというのが正しいのだが。
今の状況ではニーズヘッグを使わないで転移するという方法はないのだから。
……あ、でも格納庫の中にニーズヘッグがいて、そこでシステムXNを使って転移フィールドを生成すれば、転移した先でもニーズヘッグの存在は見つからないか。
とはいえ、そうなったらリリー・マルレーンが転移能力を持っているという事になりかねないが。
「その辺は実際にやってみるしかないだろ。それに……例え木星側でこっちに敵対の意識を持っていても、食料や水を譲渡すると言われれば、友好的に接する可能性もあるし」
「もしかしたら、中には倒して奪おうなんて考える奴がいるかもしれないよ? そうなったら、どうするんだい?」
「そうだな。そうなったら……いっそそれを理由にして、木星のコロニーを支配下に置くというのも、ありかもしれないな」
そんな風に会話をしていると、通信でシャリアが来たという報告が届くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637